木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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書評「デザインの骨格」(山中俊治著)

2011年02月22日 | デザイン系書評100連発
<「デザインの骨格」山中俊治著>
◆デザイン書評「デザインの骨格」
1007:【デザイン系書評100連発】第7発


 こんにちは!
 デザインコンサルタントの木全(キマタ)です。一般の方に向けて工業デザインのエッセンスについて書いたり、デザイナーとの付合い方などについて書いています。御相談がありましたら、コメントをくださいね。コメントによるご質問には基本的に無料でお答えいたします。

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 「デザインのコツ・ツボ100連発」を達成して、次に拙ブログで、なにをしようかと考えていました。

 そんな折、日経デザインの太田憲一郎さんから、拙ブログで紹介してほしいと、太田さんが編集にかかわった書籍を献本していただきました。

 そして、ふと、「デザインのコツ・ツボ100連発」の次は、「デザイン関連書籍の書評100連発」にしようと決めました。

 毎週書評を書くのはしんどいので、月一回くらいになると思います。ということは、100連発達成には8年かかる計算です。あと8年ブログを続ける理由ができました。頑張ります(苦)。

 ということで、「デザイン関連書籍の書評100連発」の最初は、日経デザインの太田憲一郎さんから献本いただいた「デザインの骨格」(山中俊治著)の書評です。

 基本的には、いままで読んできたデザイン関連書籍の書評をするつもりですが、献本していただければ、書評を書かせていただきます。献本お待ちいたします(笑)。


「デザインの骨格」は品がいい

 著名な工業デザイナーである山中俊治氏の著書「デザインの骨格」は分厚い本です。最初、献本していただいた本の厚さを見て、読むのがしんどそうだと思ったのですが、読み始めたらあっという間に読了していました。

 読みやすかったのは、もともと、山中俊治氏のブログである「山中俊治『デザインの骨格』」でのエッセイを書籍にしたということもありますし、項目ごとに掲載されている写真やスケッチがきれいだということもあります。

 でも、それよりもこの本を読みやすくしているのは、全体を通して感じられる「品のよさ」ではないかと思います。

 デザイナーが書く本は、どうも説教臭い。自分も含め、デザイナーの本は「まだまだ日本でデザインをわかっている人が少ないから、デザインの啓蒙をしなければならない」という使命感に駆られて書いている場合が多い。それはそれで、重要なことだと思いますが、それはある意味押し付けがましい。そのような押し付けがましさが、「デザインの骨格」にはほとんど見当たらない。

 山中氏のこういう姿勢を「品がよい」というのだと思う。だから、スラスラ読める。


稀有な人材

 でも、デザイナーとして、言うべきことはしっかり盛り込まれている。

 科学は世界を単純化して考える
 なぜ上空から降ってくる雨が痛くないのか?
 ポテンシャルエネルギー
 フェルミ推定
 インボリュートギア

 など、工学の言葉を使い、冷静な視線で世界を見る技術の重要性を伝えつつ、しかし、頭でっかちになりすぎると、「四本足のニワトリ」を描いてしまう現実を戒めている。

 つまり、バランス感覚がいいのだろう。品よく、嫌味なく、主張すべきことを伝えている。

 そのバランスのよさは、山中氏の出自に関係がある。山中氏は大学で工学を学びつつ、漫画家を目指してスポ根マンガばかりかいていたそうだ。彼のバランス感覚は、工学系の左脳的な感性とスポ根マンガの右脳的な感性のバランスよさから来ているのかも知れない。

 そのようなバランスのよさは、たぶん、誰でもできることではない。

 本書の中で、山中氏が目指していたマンガが、大友克洋や士郎正宗ではないかと指摘する話が出てくるが、たぶんその直感は間違っていない。

 大友克洋や士郎正宗が、漫画の世界の中でも稀有な存在であるのと同じく、山中氏も稀有なデザイナーなのだろう。(そういえば、士郎正宗もキャプション好きだし。)

 これから、山中氏のような「品のよさ」と「バランス感覚」は益々重要になってくるはずだ。

 最後に、ひとつだけ指摘させていただくと、これは純粋にレイアウトの問題だが、きれいな写真に気を取られ、そのまま本文を読み進めてしまうために、ページ右上の小見出しをついつい読み飛ばしてしまう。気の利いた小見出しだけに少しもったいない気がした。



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