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こんにちは!「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。
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■商品を好きになる(1)
26:【デザイン相談室】考え方5
このブログを始めたころ、商品のデザインはお客様への優しさの心や贈り物の心が大切だというお話をしました。
今回は、その続きの話です。
■自分の商品が好きですか?
お客様への贈り物である商品を、自分も好きになること。
今回のお話は、それに尽きます。
でも、どうでしょう?意外と忘れていませんか?
私はずっと、デザイナーの立場で、商品のデザインをしてきました。ラフスケッチやデザインスケッチや図面を合わせて、1000枚近くは描いてきたと思います。そして、いろいろな人たちと仕事をしてきました。
そしてたびたび、商品の企画担当者や設計者から、商品に対する情熱や「好き」という思いを強く感じました。
■好きってどういうことなの?
私は今まで普通の人よりは、さまざまな企画担当者や設計者と仕事をしてきたと思っています。(どんなことをしてきたか、ご興味がありましたら、ここを見てください。)
さすがに、今までお会いしたすべての商品企画担当者や設計者から、商品に対する情熱を感じたといったらウソになりますが、それらの方々の中で、印象に残っている方が何人かいます。
「自分の商品が好きってどういうことなのか」、以下に私の経験からいくつかお話しようと思います。そこから、何かを感じていただければ幸いです。
■アニメーション監督
いきなり、工業デザインから離れてしまいましたが、以前、アニメーション制作への投資事業にかかわっていたときがあります。そのとき、「マクロス」や「エウレカセブン」で有名な河森正治監督と話をさせていただいたことがあります。
お会いしたのは(大変おこがましいことではありますが)、私が出資者の立場として、河森監督から新作アニメーションへの投資依頼を受けるためでした。(いただいた企画書は今でも大切に保管してあります。)
そのときの、河森監督の熱意は今でも忘れることがありません。
河森監督は新しい作品の構想を練るために、世界中を旅したそうです。旅のはじめから構想があったのではなく、旅の最中に徐々に自分の中にある想いが固まってきたのだそうです。
「自分がどうしても今、世の中に発信しなければならないことがある。」その思いを、訥々と、ひとつづつ言葉を選びながら、夕方から2時間近く説明してくださいました。
決して雄弁ではありませんでしたが、言葉の端々から、新しい作品に対する熱い想いが伝わってきました。
■初心が大切
作品を作りたくてしょうがない新人監督ならば、これから作る作品について、間違いなく、しつこいくらいの情熱を持って説明をするでしょう。
しかし、若いころからたくさんの作品を作り、作品も大ヒットして、たぶん周りからもちやほやされ、やりたいことも十分にやり尽くし、どんな作品が売れるか、どうすれば売れるか、業界ズレして、儲け主義に走ってもおかしくない立場にいる有名監督が、初心な新人監督と同じように、もしかすると、それ以上の情熱を持って、次回作について語っている。
これは、凄いことではないでしょうか?
もし、あなたが設計者や企画者だとしたら、会社に入って初めて任された商品のことを、すこし思い出してみてください。
きっと、初めて任された商品では、あれもしたいこれもしたい、いろいろ考え、少なからぬ情熱を持って取り組んだはずです。
初めて商品を任されたときは、「お客様への贈り物である商品を、まず自分が好きになる。」なんていうことは、当たり前で、簡単なことだったはず。
その初心を忘れず、常にいま開発中の商品を好きになる。
10年も20年もその情熱を維持するのは大変かもしれませんが、大切なことですよね。
さて、そのとき、河森監督が提案された作品ですが、私は強く推したのですが、残念ながら、会社判断で、投資できませんでした。しかし、河森監督の想いが強かったのでしょう。作品は翌年テレビアニメ化されました。その作品は「地球少女アルジュナ」。私は、いい作品だと思います。
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