米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除に踏み切りました。つい最近までブッシュ大統領もライス国務長官も、日本の拉致被害者家族には深い同情の念を抱き、日本との関係を最優先すると云っていたのに、です。
このテロ支援国家指定解除は、北朝鮮が得意としてきた瀬戸際外交の勝利でしょう。金正日の重病説さえ怪しいものです。
北の核の検証すらあいまいなこの時期に、この米国の弱腰はどこから来ているのか。結局ブッシュ政権はあと3ヶ月の生命、レイムダック化した政権のなせることでしょう。
日本と違って米国では政権が替わるとスタッフまで全員替わります。これはブッシュがマケインに替わっても、オバマに替わっても同じです。ですからライス国務長官はもちろんのこと、ヒル国務次官補にいたってはクビ寸前なのです。
そのため、いまやヒル国務次官補は次の就職先探しに大わらわで、拉致問題どころではないのです。次の就職先探しには、目下の政権での実績がものを云うでしょう。現政権下でもっぱら北朝鮮問題に関わってきたヒル国務次官補にとっては、在職中に何一つまとめられなかった、ということは無能とラベルを貼られるのと同じことです。どんなかたちであれまとめなければならなかったのでしょう。これは、ブッシュ、ライス両氏にとっても同様です。ライス氏は大学に戻れば無事ですが、ヒル国務次官補はさしあたってそのあてもないようです。
ヒル国務次官補はブッシュ大統領の遠縁に当たるそうで、ブッシュ大統領の牧場での内々のパーティに出席しては大統領に近づこうとしていた、と月刊文藝春秋で読んだ記憶があります。
私は、2007年6月23日にこのブログで「ヒル国務次官補はオオカミ少年?」と題して彼の発言のいい加減さを指摘しましたが、日本では、ヒル国務次官補がレッドソックスの大ファンである、などというどうでもよいことを書き立てて彼を好意的に見るような、お世辞にもジャーナリストとは呼べない甘い新聞記者達しかいませんから、彼の実態なぞ伺い得べくもないのでしょうが、これで横田さんご夫妻をはじめとする拉致被害者のご家族も、また苦しみに耐えなければならなくなってしまいました。残念きわまりないことです。
日本としては、憲法を改正して正式の軍隊を保有し、力を以て対抗できるようにすることが根本的な対策でしょうし、当面は日本独自で経済制裁を強化するなどの措置をとるべきでしょう。いまは世界中が同時株安の経済問題で頭が一杯ですから、日本が対北朝鮮の経済制裁を強化することなど眼中にないかも知れません。
それにしても、日本の「癌」は民主党小沢一郎でしょう。