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『ワーニャ伯父さん』ケラ版

2017-09-03 16:04:59 | 国内ストプレ
KERA meets CHEKHOV vol.3

vol.1の『かもめ』感想はコチラ

木場@ワーニャ(山崎演出版)の一言感想はコチラ


段田@ワーニャ
タイトルロール。
なんだけど、前半はセレブリャーコフ
の方が、主役なのでは?と思ってしまった。

後半は、銃を持ち出してのドタバタ、
そして、最後は以前の生活に戻る、と
メインになり、そういえば、主役だったな、と。

段田氏を主役で観る事が少なく、
なおかつ、ワーニャ伯父さんが教授の事、
という、間違った認識から、そういう感覚に。

よく考えたら、
このタイトルはソーニャ目線。

チェーホフの段田氏というと、
何故か、屈折した青年イメージ
(桜の園のロバーヒン)だったので、
今回、老年キャラなため、ちょっと違和感。

でも、セレブリャーコフのために、
コツコツ働く、いざ、本人が現れると、
影響を受けやすく、生活が変わる。

そういう流動性な役はイメージ通り。
ただ、エレーナに積極的なのは段田氏のイメージで、
あんなにアクティブに動くのか、ワーニャ。


宮沢@エレーナ
この人が一番、印象が変わった。
こんな低音でドッシリした役をするイメージがなく、
もっと、儚く、浮き世離れした、或いは、
キャンキャンとした声の印象だったのだけれど。

こういう役作りもするんだ。
故に、エレーナがヒロインという印象に。


黒木@ソーニャ
タイトルがソーニャ目線なので、
こっちがヒロインかと思ってた。
ちょっと、わき役路線というか…。

黒木さん自体は、
安定のしっかりした雰囲気。

でも、アーストロフへの、
恋心とか、か、可愛いとなる。

意外と舞台経験は少ないが、
こういう内に籠もる役なら、
そこまでの違和感はない。


山崎@セレブリャーコフ
教授様。
名前が出てこなかったので、
こっちがワーニャだと思い、
これが主役か〜、と一瞬なった。

その後も、名前は出てきても、
愛称がワーニャかな、という印象に。

1幕、後半で、我が儘っぷりになり、
あれ、木場氏の時は、こんなだっけ?
となり、幕間で確認して、誤解に気づく。

なので、主役と言っても過言ではない、
傍若無人で、我が儘に過ごし、
勝手に資産売却案とか提案した挙げ句、
最後には去っていくという、キャラ。

そんな豪快な役を氏が演じるんだけど、
インテリ気質の役に違和感が全くない。

でも、ワーニャ役でも観てみたい。
そっちでも、似合いそうだし。

本編を観た後に、ワーニャと
セレブリャーコフ、両方の役が
似合いそうな役者って、少ないかも。


横田@アーストロフ
この作品、唯一の色男。
それを横田氏が演じ、宮沢さんと
黒木さんが取り合うという構図が、
なんか、可笑しくて(笑)

どうも、胡散臭さが全面に。
これが橋本さとし氏だと、
胡散臭さの中に、色男要素が
マッチするんだけど、何が違うのか。

で、台詞廻しで、時々、
吉田鋼太郎氏を彷彿する事がシバシバ。


水野@マリーナ
宣材写真を見た時と、
実際に舞台に登場した時の違和感。
一体、幾つなんだろう?
そのくらい、年寄りに見えてしまう演技。


遠山@下男
今回、出番が少なく、
そもそも必要な役なのか?
でも、遠山氏が演じると、こういう
召使い、時代劇とかで、出てくるよね、と。


立石@ヴォイニーツカヤ夫人
ビジュアルは、当時実際にいそうなマダム。
なのに、喋り出すと、世間話好きなおばちゃん感。

親しみやすい口調というのがあり、
それが見事に当てはまる。


小野@テレーギン
謎のワッフルさんという、あだ名。

一応、地主で、別に小間使い、
或いは従者という訳ではない。
でも、冒頭から教授と一緒に出てくると、
にじみ出る、一歩引いた印象。

ビジュアルはカイゼル髭と、
ロシアっぽく、それに”あばた”面。
”ほくろ”が点々と付いているメイク。
なので、ちょっと珍しい扮装。

特に、ストーリーに絡まない役なので、
舞台に居るだけ、というのが圧倒的に多い。
その代わりに、ギターを弾くシーン多数。
ただ、本当に弾く訳ではないので、
後ろ向きが多いという残念な点も。

そもそも、エアギターというのが、
一目瞭然という、手つきなのが(笑)



ケラ演出。
開演前から謎の戦隊モノな音楽。
開演してからの音楽はギターの音色。
でも、その曲調にアコギ感は少なめ。

衝撃的な台詞の後に、
音楽が入るという流れに若干のケラ感。


テーマ的に、セレブリャーコフが
来てからと、去ってからの差を出すのかと
思ったけど、そこはあまり関係なく、
最後、どうやって終わるのかと思ったら、
淡々と金勘定をするワーニャと、
黙々と仕事を続けるソーニャの俯瞰で、暗転。

特に、衝撃的な終わり方とかはなく、
ト書き通りの終わり方なのかな、と。


気になった事に、
本物の鳥が鳥かごに。

台詞に小鳥のさえずり、と
あるので、文字通り、さえずり、
なんだけど、他にも自然の音の描写が
出てくるのに、なぜ、これだけがリアルに。


今回、『かもめ』ほど、ケラ色を感じず、
チェーホフ独特の閉塞感をあまり感じなかった。
その原因が、メインの役者によるものか、
それとも、作風によるもの、なのか。

むしろ、ケラ好きな人に、
どの辺にケラ色が有るのか、聞きたいくらい。

敢えて言うなら、脚本が同じでも山崎版は、
ワーニャとソーニャがメインだったが、
(ツイに書いてある通り、記憶は無いが、
配役を読み直して、ふと、思い出した)
このケラ版だと、エレーナの存在感が、
ソーニャよりも強く感じた。

クレジット順という大人の事情はさておき、
エレーナって、こんなに揺れる女性像だったんだな、と。

惜しむらくは、そんなエレーナに、
木場@ワーニャが、どうアプローチしたか、
感想に書いてなかったこと。
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