備忘録

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『誰もいない国』NTライブ2017

2017-09-24 15:04:20 | ライブビューイング(舞台関係)
ある屋敷。
年輩の男が二人。

椅子に座る男は、
この屋敷の主人ハースト。

一方、そのハーストとパブで会い、
誘われ、屋敷まで来てウォッカ
を浴びる様に飲み続ける男スプーナー。

呂律が回らないながらも、
ずっと話し続けるスプーナー。

その内容は他愛も無い話であったが、
ハーストと妻の関係について、
触れ始めると、グラスを投げつけ、
怒って出て行ってしまう。

途方に暮れるスプーナーの元に、
若い男が入ってくる。
その男の名はフォスター。

突然、現れたスプーナーを質問責めにし、
さっきまで饒舌だったスプーナーは黙りこくる。

更に、厳つい体付きをした男、
ブリグスが入ってくる。
フォスターとは、仕事上のパートナー以上に、
仲の良さを見せつけ、スプーナーを
パブで見かけたと正体を突き止めようとする。

そこに、バスローブ姿のハーストが戻ってくる。
先ほどよりも、足取りはしっかりしているが、
記憶が混濁状態。連れきたスプーナーを
覚えておらず、そこでハーストとの友情を強調するが、
フォスターとブリグスの二人もハーストを守ろうとする。

そのまま、ブリグスに連れられ、寝室に行くハースト。
残された、スプーナーとフォスターだが、
唐突に照明を消され、暗転。

二幕。

翌朝。
スプーナーは昨日の部屋で目覚めるが、
扉には鍵がかけられ、閉じこめられる。

そこにブリグスが朝食を持って現れる。

客として給仕されるスプーナーだが、
部屋を出ることだけは許されない。

そこにハーストが上機嫌で入ってくる。
一方的に、スプーナーが大学時代の友人であり、
学生時代の思い出を語っていく。

それを黙って聞いているスプーナーだが、
女性問題になり、急に反論、お互いを非難する。

更に、フォスターも現れるなか、
ハーストに詩人としての自分をアピールし、
秘書として雇ってくれるように頼む。

それに反論するフォスターだが、
肝心のハーストは全く別の事に関心をもつ。

それは、自分の周りには、
誰もいない、ということ、
それはフォスターですら例外ではなかった。

そんなハーストにスプーナーは、
この屋敷には、誰もいない、
ここは誰もいない国だと、
ハーストに解き、暗転。


Patrick Stewart@ハースト
最初は黙って聞いていたが、
段々、饒舌に。二幕になると、
もう、止まらない、でも途中から失速。

豪邸の主人で有ることは分かるけど、
何故、パブに居たのか、本当に妻は居るのか、
そして、誰もいない国に居るのか(孤独なのか)
その辺は明らかにならず。

主演らしい。
饒舌にはなるけど、全体的に受けの演技。
イアンの相方としては知ってるけど、
教授とか静の役が多いので、その印象。


Ian Mckellen@スプーナー
最初は饒舌。
しかし、それはアルコールによるもので、
翌日、アルコールが抜けると受けの演技に。

結局、ハーストの邸宅に来た理由は明らかにされず、
ハーストへ置かれている状況を助言する。
そういう役回りゆえ、脇、というか助演扱い。


映像の人の演技を舞台でも観れる、
というミーハー心を満たすには、
ちょっと難解過ぎる台本と台詞量。

そもそも、ハーストに近づいた、
動機は語られず、秘書を希望するが、
それが最初からの目的なのか不明。


Damien Molony@フォスター
ハーストの秘書。
どちらかというと、頭脳担当。
ただ、ちょっと感情に左右されることが多い。


Owen Teale@ブリグス
ハーストの秘書。
どちらかというと、腕力担当。

フォスターよりは、
ハーストへの忠誠心が強い。


ピンター脚本。

抽象的な台詞の応酬で進み、
その一方で具体的な下世話な内容も出てくる。

ただ、その下世話な話は
結局、本編には関係ない。

誰もいない国、という台詞を、
一幕ではハーストが、
二幕ではスプーナーが言う。

一幕では妻の存在に触れた時に
出てきたので既に死別、或いは殺害したのか、
そして、一人で暮らすこの屋敷の事を言ってるのか
と思ったけど、同居人は二人も居た。

二幕では、孤独であるハーストに、
スプーナーが念を押すように、ハーストに言う。

同居人が居ても、結局は孤独。
それは自分が例え、秘書として、
同居しても変わらないという忠告。


これだけ聞くと、なんじゃらほい、
という内容だけど、アフトクで語られた、
認知症と老い問題と絡めると、
かなり、重い内容に激変。

周りに”誰もいない”という環境、
信頼出来る人が”誰もいない”という話でなく、
自分の記憶から人が消え、”誰もいない”という
トリプルミーニング的なタイトル。

ビジュアルで攻めるオチが無いので、
見終わった後に、ジワジワとくる。


今回、個別インタビューでなく、
終演後に公開アフトクというパターン。

結構、興味深い話も多かったが、
一番は、サーだけが着替えて、
スカーフをサラッと巻いていた件。

アフトクなのに、オシャレ過ぎる。
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