備忘録

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『渦が森団地の眠れない子たち』

2019-10-20 13:25:32 | 国内ストプレ
テキトーなあらすじ。

大人の圭一郎がトイレに籠もっていた小学校時代の
思い出を語り、従兄弟の鉄志が嫌いだったと最後に告白。

時は遡り、圭一郎が小学生の頃。
鉄志を中心に中学生のデンジャーを
追いつめる渦ヶ森団地の小学生達。
無邪気に遊んでいるが、阪神大震災の
余震に怯えていたり、と何処か影が有る。

そして、場面は、
圭一郎と鉄志の出会いの話に。
引っ越した当日、圭一郎とキッコの兄妹は、
似たような建物ばかりの団地で
自宅が分からなくなり、団地で迷子になってしまう。

そこに現れる、鉄志。
見慣れない兄妹のために、拡声器で部屋を探す。
それを聞いて、降りてくる圭一郎の母、景子。

その時、鉄志と知り合い、
その名字から従兄弟とわかり、友達に。
ただ、鉄志の母親・美佐枝は、
双子の妹である圭一郎の母親・景子を
嫌っており、圭一郎だけには絶対に
負けるなと、鉄志に言い続ける。

ある日、野球をしている時、
小学生モデル・ダイアナの居る
方向にボールを打つ圭一郎。

そのボールはダイアナの顔に当たり、
モデルをしてるダイアナにとっては死活問題に。

鉄志は直ぐに、代役を立て、圭一郎を庇う。
実は、鉄志がダイアナの気を引こうとして、
圭一郎に、そっちにボールを打つように指示。

帰宅後、景子にその事を問題視され、
鉄志に従うのかと圭一郎に詰め寄る。

そこで、圭一郎は自治会長の安部の家に、
鉄志以外の仲間を集め、相談しようとする。

そこに鉄志が現れ、
なんとか誤魔化すが、
翌日から圭一郎は仲間ハズレに。

それはエスカレートし、
それに反抗する圭一郎。
それは団地の子供たち達にも広がり、
皆が鉄志に反抗、圭一郎が”キング”になる。


二幕。
キングの座を奪われた鉄志は安部の家で過ごす。
一方、圭一郎は団地のキングになって中心人物に。

そして、ことあるごとに、
口喧嘩をする圭一郎と鉄志。

そんなある日、鉄志の一言が、
キッコを傷つけ、それに動揺した
キッコは事故に遭い、車いすの生活に。

鉄志はキッコに謝るが、
それをみた美佐枝が団地の前で叱りつけ、
その様子は、団地内の全員が知る処に。

その後、美佐枝は
夫の保険金詐欺問題で逮捕。
鉄志は養護施設に行くことに。

安部家で送別会を開くが、
それは鉄志への嫌がらせだったのに、
単純に別れを惜しんでると鵜呑みにし感動する鉄志。

出て行く日の早朝、圭一郎を呼び出す鉄志。

以前、取り上げた、
圭一郎の創作ノートを返し、
最後のページの絵について問いつめる。

それは猫の死体を書いたもので、
大変にリアルな絵だった。

実は、震災で人の死を知り、
感情がなくなっていた圭一郎。
その穴埋めに動物を殺していたが、
鉄志で出会い、口喧嘩をする事で、感情を取り戻していた。

圭一郎の秘密を抱え、去っていく鉄志。
その後、会うことは無かった圭一郎と鉄志。

圭一郎は鉄志との出会いを思い出す。
しかし、その記憶の鉄志は警察の制服を
着ており、その姿で再現し、終幕。


藤原@鉄志
子ども役に違和感が無い。
正直さと奔放さを併せ持つ子ども。
いじめっ子役に違和感が無い。

ただ、声が既にガラガラ。
そこまで叫ぶ役では無いハズだが。


鈴木@圭一郎
いじめられっ子役。
そのポジションが変わっても、
(キングになっても)やはり、いじめられっ子。

一幕はブレザーと転校生仕様。
しかし、二幕からはパーカーと、
子どもというか、”キング”になっていく。

発声に違和感が無く、
実は舞台向きなのかも。


奥貫@美佐枝&景子
二人の母親を演じる。
それゆえ、突然、入れ替わるシーンが
有るのだが、その人格の入れ替わりが秀逸。


ロレンス@ダイアナ
あの日本離れした容貌に、
ここまでマッチした役が有るとは。


木場@安部
近所のおじいちゃんにして、家を子供たちに開放。

もともと、子どもは嫌いだったが、
偶然、森で迷子を見つけたことで、
テレビに取材され、一躍、有名人に。
そして、団地の自治会長に推薦され、
団地のご意見番のような存在に。

しかし、その平和主義が、
逆に、子供たちを苛つかせ、
鉄志を公然で殴ってしまい、
一気にその信用はがた落ち。

それでも、子ども好きは変わらず、
去っていく鉄志に嫌がらせをするために、
送別会まで企画してしまう。

その後の出番は無いし、
物語は絡んでこないで幕。


必然性の無い唄と、
大変に場面にマッチした唄を披露。
予想外に歌唱シーンが有った。

厭世感のある気難しい面と、
人懐っこい陽気な面を持つが、
蓬莱脚本にしては、前に出てこない役なので、
ちょっと物足りなさも。もっと、少人数の舞台で、
観れば、もっと、木場氏の美味しい処を引き出す
当て書きの脚本が観れるような気がする。

若干、木場氏の無駄遣い感。



蓬莱脚本、演出。
出てくる台詞を後半に繰り返したりして、
やたらと、記憶に残るような台詞が多い。


小学生の心情がリアル。
いじめの集団心理とか、
震災からの心理的不安とか。

創作と現実の狭間を行くので、
生々しくもあり、虚構感もあり。

そんなスレスレの脚本なのに、
安部の登場シーンで突然、歌い出したりするなど、
やはり、虚構感と妙に現実的な狭間をいったりきたり。


登場人物、すべてにスポットが当たる。
別に必要なさそうなキャラにもきちんと、
見せ場を作るので、余計にリアル。


圭一郎の腹痛の原因と野良猫の死体。
その犯人は圭一郎では有るが、
その殺戮衝動が鉄志との対立に変化する。

会う度にちょっかいを出す、
というのも小学生っぽいが、
実はそれにも理由が有った。



ラストの鉄志の警官姿。
あれは警官になったのか、
単に迷子になったとき、
助けてくれたヒーロー像の再現なのか。


等々、色々と考えさせる舞台では有るけど、
木場氏が出てなければ、避けるタイプの舞台だった。
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