備忘録

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『ハムレット』(ミュージカル版)

2012-02-17 00:56:27 | 国内ミュージカル
オープニングから元国王の葬式で始まり、そのままオフィーリアのハムレットとのノロケ話に。そのため、ハムレットの先王との(一方的な)亡霊会話は無し。また、ここでホレーショーとハムレットの関係が明確化するが、それが無いため、途中からホレーショーが登場すると、"あんた、誰?"状態。
ボローニアスの出番が多い。一番セリフが多いのでは?と思うくらい、舞台にいる(勿論、一番多いのはハムレットだが)。
クローディアスとガートルードの婚約発表では、一応、黒服で登場するハムレットだが、一人喪に服している感は薄い。常に黒を着ているため、なおさら。でも、階段の上から登場。
時折、国王の亡霊として役者本人が出てくるのだが、その裏に何故か役者本人の投影映像も。何故に巨大化させる?
この辺で、ハムレットの苦悩→狂気(の振り)と話が流れるが、その発端となる父親との会話がかなりクドく、途中で記憶が飛んだ。
基本、全編歌なのに、尼寺シーンは台詞芝居。ま、その前後に歌っているけど。
『To be~』は二幕冒頭に入れるが、『be,not be』というセリフで訳さない。劇中劇では、どの辺からクローディアスが気づくのか観ていたが、毒の瓶が出てくる辺りから狼狽。結構、大げさ。
この後に六重唱で、6人がソロ曲のパートを歌うが皆、声が通るので、かなり圧巻。
ボローニアスがガートルードの部屋で隠れる時は、床の絨毯の下に隠れる(ベッドに隠れる?)。そのため、ハムレットのセリフに体を起こし、ハムレットに居ることがバレバレ。もう、隠れる気があるのかと。
その後、ガートルードに詰め寄られている間、狂気(の振り)で、ずーっと引きつった表情を見せるハムレット。この時のピクピクする表情が大変に印象的。そして、ガートルードが去った後に、すっと元に戻る瞬間の演技(表情)がこれまた印象的(良い意味で)
オフィーリアが発狂後、階段を駆け上がり、まさかの投身自殺。
墓掘りシーンが異様に陽気で、韻を踏む会話。元々、ここはコメディだとは思っていたが、ここまでコメディになるとは。で、おしゃべりヨリックはカット。
ガートルードが毒で死ぬのだが、なんか、毒が入っているのが分かっていて、ハムレットに証明するために飲んで死ぬような演出に感じた。

で、フォーティンブラスは?

井上@ハムレット。
得意な音域でなく、ダミ声で熱演(なんだと思う)。かなり『ウェディング・シンガー』を彷彿。ロックなキャラだと、あれかも。そのため、時折、高音域な歌い上げを歌うと全てかっさらっていく。ただ、『組曲虐殺』でもああいうセリフ廻しだったので、そういう話し方の演出を付けるが、好きなだけ?

昆@オフィーリア。
ま、想定内。ジュリエットは未見だが、ああいう演技なんだろうな、と。小さいな~と思って観ていたが、回りがデカいのか?一番の見せ場はハムレットやレアティーズとのデュエットでなく、狂気の曲だと思うので、あのくらいの壊れ方がわざとらしくなく、好み。いや、四季の野村@オフィーリアくらいイッチャッている演技も好きだが。

伊礼@レアティーズ。
この世界観(ロック・ハムレット)に一番合っている役者かと。やはり、ロックを違和感なく歌えるかは結構重要。そのまま、ハムレットもやっちゃいな的な雰囲気もあるが、主役には弱いか。

ソンハ@ホレーショー。
ストレートで観ると、あの発声がかなり浮くけど、ミュージカルだと全く違和感なし。蜷川シェイクスピアとか、声をはる演出なら問題ないかなと思っていたけど、セリフの無いミュージカルでも良いかも。かなり、ユダとかを観たいと感じたのは四季の金森氏に似たものを感じたから?

山路@ボローニアス。
キャラ的には好きだし、クローディアスへの忠臣ぶりが全体にみられる演出も好みなのだが、如何せん、今作には合わない気がした。特にラップとか、かなり無理が…。そもそも、歌える人ではないのか?

涼風@ガートルード。
好みな歌い方。あの苦手な歌い方が無かったので、良かった。

村井@クローディアス。
ずーっと、ミュージカルで、それも歌いあげる舞台で観たいと思い、それがやっと叶ったと思ったら、『え~』な役。チャペルでの懺悔歌とかの低音域曲はツボなのだが、他が如何せん。山路氏よりは平気なのだが、ロックが歌い切れていない気がした。

平田@ヘレナ。
昨年の『レミゼ』のエポ以来で、リーヴァイの受賞後、初めて観たが、そういう視線で観ると、チョイ役なのに、かなり印象的に。勿論、上手いとは思うが、やはり、意識して観ているからか?ただ、そもそも原作にこんな役がいないから、余計に違和感を覚えたのかも。


楽曲そのものやほぼ全編歌で、中弛みを全てカットし、スピーディーに進む展開は好み。だけど、このロックな楽曲を歌いこなしている役者が伊礼氏だけな気がしてミュージカルとしてみると…。
楽曲の中に『アイーダ』の“ヌビア“と似たような旋律曲があり、それが頭から離れない。

また、セットや栗山演出に見られる独特の照明演出は好み。

自分が座っていた背後に脚本家のロバート・ヨハンソン氏が座っていたが、幕間で横に座っていた関係者に『ステージングが良い』と話していた。役者についてどう感じたかを聞きたい衝動に。
そして、脚本・演出の他、役者として、ロミオやイアーゴで舞台に立っているという略歴を見て、そのまま舞台で立っちゃいなよ、とか思ったり。舞台映えしそうなビジュアル。

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4 コメント

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Unknown (SHkiyolove)
2012-02-17 06:52:31
クワシイ セツメイ アリガトウ ゴザイマス。アラ、キョウハ カタカナ ナノデ、マタ デナオシマス。ワタクシノ PCニモ コマッタモノデス。
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初コメントです (花菱)
2012-02-17 07:52:57
ずっと読み逃げしてましたm(_ _)m
これはシェークスピアと言うより原案かな、と思いました。要所は押さえていても、そぎ落としたものも多いので。
ロックテイストの似合う役者さんで見たいですよね。あの方やこの方で…
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SH様 (dacho)
2012-02-17 12:18:01
今まで観てきたハムレットとの違いしか書いてないですけど。
と言いつつ、正当派のハムレットってあまり観てないです(笑)。
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花菱様 (dacho)
2012-02-17 12:24:58
此方こそ読み逃げしていてすいません。

あ~、確かに原案に近いですね。
ま、原案『ハムレット』と言いつつ、
原作を留めていない作品とかもありますし。

そして、花菱様の言う、ロックを歌える、
あんな方こんな方、どの辺りか気になります(笑)。
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