自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

初めてのロードレース。

2018年02月16日 03時05分27秒 | 自転車
ロードレースを撮ることになった。


しかし、撮影のハードルは高い。
ロードレースは風の抵抗をいかに減らすかがカギなので、
モトバイクは選手の近くを走ることができない。
例えば選手を前から撮影するときは
選手よりも20m以上前を走らなくてはいけない、などなど
レギュレーションで決まっている。

選手の真横であれば、選手に対する風の抵抗とは関係ないので
ある程度撮影できたりするのだが、
道幅が広くないと撮影できない。
以前、群馬CSCでロードレースをモトバイクから撮影したが、
2時間のレースのうち
まともに撮影できたのは5分以下だった。


それではどうやって撮影すればいいのか?
それはカメラマンがオンボードカメラを着けて
選手として集団内を走るのが一番でしょう。
去年からずっと練習に励んできたのは、
こういう目標があったからです。



撮影内容やレースの結果などは
放送を楽しみにしていただくとして、
とりあえず私にとって初のロードレース参戦です!



撮影:廣瀬さん


走るのは4つのカテゴリーのうち
上から2番目のクラス。
1周5kmのコースを8周、
40kmのレースです。
ちなみに1番上のクラスはプロも出場するレベル。
2番目のカテゴリーは、おそらく私にとって
かなり高いハードルでしょう。
撮影どころではないかもしれない…。


とりあえず集団の先頭近くにいる方が有利なので
早めに並んでスタートの位置どりをし、
10番手ほどでスタート。
その直後!いきなりロードレースの洗礼を受ける。



300mほどはパレード走行。
パワーも100w以下でまったり走る。
カーブを曲がった直後、先導車の旗が振られた。
同時に選手たちが一斉にスピードを上げる。
ちょ、ちょっと待て!
こんなにパワーが上がるなんて聞いてないぞ!
パワーは一気に600W以上に跳ね上がる。
面食らいながらも、なんとか食らいつく。
アタックは30秒続き、ようやく落ち着く。
ちぎれた人もいるかと思いきや、全員が一団となったままだ。
ここにいるのは、猛者ばかりなのだ。



レースは私を放っておいてはくれなかった。
前方右側に大きな水溜りが現れた。
「水溜り!」「左!」「◯◯!」「△△!」
選手たちが次々に何かを叫んだかと思ったら、
一斉に道の左側に寄ってきた。
隣の選手と肩がぶつかり合う!
おおおおお〜!
右の選手と当たれば左に押され、
左の選手と当たれば右に押される。
ぬおおおお〜!
当たった方を見たいけれど、
見ていられない。
左右にはある程度ブレても大丈夫、
それよりも前を見てないとヤバい。
ぶつかり合いながら、前方を凝視。


長い長い水溜りを過ぎたら、
ぶつかり合いはおさまった。
冷や汗が吹き出ている。
こりゃあ……
ワクワクしてきたぞ!



撮影:廣瀬さん


コーナーを立ち上がるたびに
アタックがかかる。
500〜600Wが30秒ほど続く。
巡航中は集団内にいれば200W〜220Wほどなので
なんとか耐えられるのだが、
コーナーごとのアタックによって脚がじわじわと削られていく。
ここにいる人、全員すごすぎる。


向かい風区間はパワーを抑えてじわじわ集団の前方から後方へと下がり、
追い風区間でまた集団の前方に上がっていく。
なんとかハイパワーのアタックをうまくやり過ごしていたが、
5周目。
20キロ地点のコーナーの立ち上がりで、脚がスカスカ言い出す。
おお〜、もう400W出せない。
集団から数メートルちぎれてしまった。
この数メートルは大きい。
自力では追いつけない…万事休す!

「ちぎれるんじゃねえ!」
私の後ろにいた選手が
脚のなくなった私を追い越して集団を追いかける。
なんとかそれに便乗して、私も集団に復帰。
助かった。もう少し撮影できそうだ。


…と思ったのも束の間。
次のコーナーの立ち上がりで、完全にちぎれた。
集団は10m、20mと離れていく。
たった22kmで私の仕事は終わってしまった。





諦めるもんか。
ポロポロと集団から遅れた人たちに声をかける。
「回していきましょう! 集団のスピード落ちてるから追いつけるよ!」
…すいません、集団のスピード落ちてる、はウソです。
「追いつけるかも!」と思わせないと、一度気持ちが切れた選手は
追いかける気持ちにはならないので
嘘つきました。
でも、これに3人が呼応してくれて、
私を含めた4人で先頭交代しながら集団を追いかけた。



7周目。
集団ははるか前方のままだ。
4人で先頭交代をし続ける。
しかし、だんだんと先頭に出られない選手が現れ始めた。
そして気がつくと、真後ろに回収車が!
私たちより後ろの選手は、全員回収されたようだ。
初のレース参加で回収なんて嫌だ!
パワーを上げる。
4人のうち2人はちぎれて回収車に飲み込まれた。
私ともうひとりの若者は、なんとか先頭から半周遅れでゴール。
完走できてよかった…



撮影:廣瀬さん


8周のうち、仕事になったのは4周のみ。
あとは根性で走ってただけだった。



レース時間:1時間7分
距離:40.2km
平均パワー:246W
最大パワー:716W
最高スピード:58.7km/h
平均スピード:39.0km/h
TSS(トレーニング・ストレス・スコア):130
DSS(ペダリング効率):左0.2 右0.1
 (ほぼペダリングによるロスは無し)


驚いた。
1時間全力走をした時のTSSが100なのに、
1時間7分で130だなんて…
地獄だったわけだ。


そしてFTP(1時間全力で漕げる最大パワー。戦闘力みたいなもの)は
255Wまで上がっていた。
私は強くなっていた。
しかし、全く歯が立たなかった。






私のヘルメットに取り付けたオンボードカメラの映像は
よく撮れていたらしく、スタッフは興奮していた。
しかし、私はレースで初めて「恐怖」を味わってしまった。
自分は何をしたら通用するのか?
そもそも通用するようになれるのか?
気持ちが沈んで、レース後の2日間は
自転車に触れられなかった。

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2 コメント

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お疲れさまでした! (トラベラー)
2018-02-24 05:06:22
凄い経験をされましたね、完走されたのは素晴らしいです☆

世間は広い、どれだけの猛者がおられるのでしょう!?

満足出来る映像が撮れていますように(^-^)
トラベラーさま。 (D☆)
2018-03-05 20:01:43
良い経験をさせてもらいました。
映像は、
ちぎれて一人旅になってるところも含めて
かなり楽しく撮れてましたよ〜

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