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映画鑑賞

昔の名画から最近上映の映画まで、国内外を問わず幅広く楽しんでいます。別世界へ連れて行ってくれる作品が好み(本棚6)。

「モテキ」(2011年、日本映画)

2015-04-16 00:12:45 | TV放映
監督:大根仁
出演:(藤本幸世)土井亜紀、(中柴いつか)小宮山夏樹、(林田尚子)森山未來、(野波麻帆)満島ひかり、(松本莉緒)菊地凛子

<解説>(Yahoo!映画より)
突然やってくるモテモテの時期“モテキ”が訪れたさえない男を『世界の中心で、愛をさけぶ』などの森山未來が演じ、深夜の放送ながら話題を呼んだ異色の恋愛ドラマを映画化。メガホンを取るのは、テレビドラマと同じく「アキハバラ@DEEP」などの演出家、大根仁。原作を手掛ける漫画家、久保ミツロウが、テレビドラマのラストから1年後を舞台に映画用のオリジナルストーリーを書き下ろした。恋にエロスに翻弄(ほんろう)される不器用な主人公の行く末に期待。


すみません。
観たんですが、内容を覚えていません。

「オーストラリア」(2008年、アメリカ・オーストラリア合作映画)

2015-04-16 00:11:40 | TV放映
監督 :バズ・ラーマン
出演:二コール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン、デビッド・ウェンハム、ブライアン・ブラウン、ジャック・トンプソン

<解説>(Yahoo!映画より)
映画『ロミオ&ジュリエット』『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督が、壮大なオーストラリアの自然を舞台に描く運命的な愛の物語。主演は『ムーラン・ルージュ』に引き続きバズ監督作品参加となるニコール・キッドマンと映画『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のヒュー・ジャックマン。広大なオーストラリア大陸のロケーションや、主要キャストをオーストラリア出身者で固めるなど、バズ監督のこだわりが随所に見ることができる。

<あらすじ>
第二次世界大戦を目前に控えたオーストラリアを訪れた 英国貴族レディ・サラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)。サラは死んだ夫が残した広大な土地と1,500頭の牛を相続し、土地を守るために粗暴な現地のカウボーイ(ヒュー・ジャックマン)と手を組み、遠く離れたダーウィンまで牛を引き連れて行かなければならなかった。反目しあう二人だったが、長旅やアボリジニの孤児の少年との出会いを通し、徐々に惹(ひ)かれあっていく。


新大陸を西洋人が“発見”したのと同じ、上から目線の映画です。
それが鼻について、素直に楽しめませんでした。
映画としての完成度は高いとは思いますが。

★ 5点満点で3点

「私が愛したヘミングウェイ」(2012年、アメリカ映画)

2015-02-11 07:56:43 | TV放映
監督:フィリップ・カウフマン
出演:クライヴ・オーウェン(アーネスト・ヘミングウェイ)、ニコール・キッドマン(マーサ・ゲルホーン)



番組紹介
文豪ヘミングウェイと戦時特派員ゲルホーンの波乱に満ちた恋愛を描いた大作ドラマ。ハリウッドの2大スター、ニコール・キッドマンとクライヴ・オーウェンが出演。 
「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」「老人と海」などの名作を遺した文豪アーネスト・ヘミングウェイだが、豪放な性格と突出した行動力を持ち、生涯で4回も結婚した。本作は彼と3人目の妻ゲルホーンの情熱的関係を、世界各地を舞台に再現。監督は『ライトスタッフ』の巨匠P・カウフマン。監督にとってヘンリー・ミラーを描いた『ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女』、マルキ・ド・サドを描いた『クイルズ』に続く“文豪シリーズ”第3弾。見ものは豪華キャストで、『めぐりあう時間たち』でアカデミー賞主演女優賞に輝く人気女優キッドマンがゲルホーン役、『インサイド・マン』の実力派男優オーウェンがヘミングウェイ役を熱演。ベッドシーンも辞さない迫真の熱演を見せた。記録映像とキャストを合成した精巧なVFXも圧巻。全米HBOで2012年5月28日に放送された本作を、未公開作をどこよりも早く贈る“WOWOWプレミア”で日本初公開。

<ストーリー>
1936年、戦時特派員のマーサ・ゲルホーンはキーウエストのバーで有名な作家ヘミングウェイと出会い、その豪快で情熱的な人柄に魅了される。2人は内戦が続くスペインで再会し、同じホテルの同じ階に泊まったこともあり、肉体関係を結んでしまう。ポーリンという2番目の妻がいながら、ヘミングウェイはゲルホーンと一緒にいる時間が増えていく。ついにヘミングウェイはポーリンとの離婚を成立させ、1940年、すぐにゲルホーンと再婚する。しかし、時は第二次世界大戦下。戦時特派員のキャリアを重視して海外に向かいがちなゲルホーンからヘミングウェイの心は次第に離れていき、2人はついに正面から衝突するようになって……。


 「ヘミングウェイ」と「ニコール・キッドマン」がキーワードとなって拝見。
 ゲルホーンがヘミングウェイに惹かれた、というよりヘミングウェイがゲルホーンに一目惚れ、という感じで描かれています。
 彼女の記者魂は、歴史を動かす英雄達の姿よりも、戦時下の一般市民の表情に向きがち。
 中国へ取材へ行った際、蒋介石、周恩来などに会うことになりますが、リーダー達の論理よりも場末で見た子どものことが気に掛かるのでした。
 彼女の仕事への情熱が強くなるほど、ヘミングウェイの愛情が希薄になる状況・・・男と女の関係はいつの時代も変わりないんだな、というシンプルな感想を持ちました。

★ 5点満点で3点。
 ニコール・キッドマンの美しさに頼ってしまった点が難、かな。

「千年の愉楽」(2012年、日本映画)

2015-02-01 19:23:01 | TV放映
監督:若松孝二 



(「Yahoo! 映画」より)
<解説>
昭和の作家・中上健次が故郷・和歌山を舞台に書いた小説を、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』『キャタピラー』の若松孝二監督が映画化した人間ドラマ。若い男たちの奔放ながらも悲しい生と性(さが)を、この地で見つめ続けた老女の視点で描き出す。出演者は、『キャタピラー』の寺島しのぶのほか、高良健吾、高岡蒼佑、染谷将太など実力派俳優たちが顔をそろえる。常に衝撃的な作品を発表する若松監督だけに、ストーリーはもちろん俳優たちの見せる新たな一面にも期待が持てる。

<あらすじ>
年老いたオリュウノオバ(寺島しのぶ)の脳裏に、この紀州の路地で生まれ、女たちに愉楽を与え、散っていった男たちの思い出が駆け巡る。自らの美ぼうをのろうように生きた中本半蔵、生きることを強く望んだ田口三好、北の地でもがいた中本達男。彼らの誕生から死までを、助産師をしていたオリュウノオバは見つめ続けていたのだった。


 観終わった後で、原作が中上健次であることを知りました。
 彼の小説の“土着的濃厚さ”が猟奇的な方向へアレンジされていますね。

 知性・理性よりも本能・愛を選択して生きた色男達。
 ヘルマン・ヘッセの「知と愛」(ナルシスとゴルトムント)で扱われた古くて新しい主題でもあります。
 理性的に生き、地位を築き、周囲に尊敬されて生きる人生。
 本能の赴くままに生き、女達に愛され、しかし周囲からは半分蔑視される人生。

 どちらが幸せなのでしょう?

★ 5点満点で3点。
 中上健次の雰囲気をもっと出して欲しかったなあ。

「ふたりのアトリエ~ある彫刻家とモデル」(2012年、スペイン映画)

2015-02-01 13:47:19 | TV放映
原題:El artista y la modelo
監督:フェルナンド・トルエバ



番組紹介/解説
若く美しい娘との出会いをきっかけにかつての創作意欲を取り戻した老彫刻家を、「髪結いの亭主」のJ・ロシュフォールがいぶし銀の魅力で味わい深く好演した人間ドラマ。
「ベルエポック」で第66回アカデミー外国語映画賞に輝いたスペインの名匠、F・トルエバ監督。彼がフランスの彫刻家アリスティド・マイヨールをモデルにして、今は亡き彫刻家の兄とともに早くから構想を温めていた本作の企画を、今回ついに実現。老彫刻家の主人公を名優J・ロシュフォールが味わい深く演じる一方、彼に新たな創作の息吹をもたらす若き女神を、以前にもトルエバ監督の作品に主演した経験を持つスペインの若手女優A・フォルチがフレッシュに好演。スペイン国内では数々の映画賞にノミネートされた。

<内容/物語>
1943年夏、ドイツ占領下のフランス南西部、スペインとの国境に近い村。次第にナチスの取り締まりが強化されるなか、老彫刻家のクロスは、生きる気力や創作意欲を失い、漫然と日々を過ごしていた。そんなある日、彼の愛妻リーが、市場で若くて美しいひとりの娘に目を留め、スペインから逃げてきた彼女メルセを家に連れて帰る。メルセを新たなモデルにして、クロスの心に火がつき、彼は再び創作活動に打ち込むようになる。




 全編モノクロ映像で、渋い映像です。
 裸婦像を一心不乱に描き彫刻する芸術家のこころを垣間見せてくれました。

 女性の美しさってなんだろう?
 なぜ豊かなバストやお尻に男性は魅力を感じるのだろう?
 学問的には「健康な赤ちゃんを産んでくれそうな女性の体に惹かれるよう遺伝子に組み込まれているから」と説明されてます(笑)。

 映像から読み取れることは・・・
 彼が「足のラインが上手く描けない」とデッサンをクシャクシャにする場面とか。
 彼女の裸に欲情してエレクトしてしまう場面では「最低だ!」と自分に怒ってスケッチをやめてしまう、とか。

 エロス以上の“美”があるんだろうか?
 ウ~ン、複雑。

 この映画で一番印象に残っているのは、老彫刻家がモデルにルーベンスのスケッチを見せて説明する場面です。
 それは、よちよち歩きの乳児を家族が見守る絵でした;

「この絵はどうだ?」
「ステキな絵ね」
「そんなことしか云えんのか?」
「・・・」

 そこから、彼の解説が始まります。

 脇で支える幼女は姉であろう
 彼女は乳児の顔を心配そうにのぞき込みながらしっかりと支えている
 おそらく、はじめて歩いた瞬間ではなかろうか
 逆側にいる大人の女性は母親であろう
 彼女は幼女ほど心配している様子はなく、どっしり構えている様子
 姉で経験済みだから余裕があるのだろう
 乳児が向く先には大人の男性が手を広げて迎えている
 我が子の初歩きを喜ぶ父親であろう
 通りがかりの男性はこれらの様子を微笑ましく眺めている

 フ~ン、一枚の絵からこれだけのことがわかるんだ・・・と感心しきり。
 いいものを見せていただきました。

★ 5点満点で4点。

「おくりびと」(2008年、日本映画)

2015-02-01 13:46:40 | TV放映
監督:滝田洋二郎



解説
ひょんなことから遺体を棺に納める“納棺師”となった男が、仕事を通して触れた人間模様や上司の影響を受けながら成長していく姿を描いた感動作。監督には『壬生義士伝』の滝田洋二郎があたり、人気放送作家の小山薫堂が初の映画脚本に挑戦。一見近寄りがたい職業、納棺師に焦点を当て、重くなりがちなテーマを軽快なタッチでつづる。キャストには本木雅弘、広末涼子、山崎努ら実力派がそろい、主演の本木がみせる見事な納棺技術に注目。

<あらすじ>
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。


 話題になった映画を、ほとぼりが冷めるまで待って観てみました。
 ちょっと期待が大きすぎたせいか、あまり感動はしませんでした(苦笑)。

 「納棺師」という仕事に脚光を浴びせた功績はあり、映像の丁寧な作りが好ましい。
 観ている間は感動するのですが、観終わってしばらくすると醒めてしまっている自分に気づくのでした(m(_ _)m)。

★ 5点満点で3点。

「ステキな金縛り」

2014-11-16 22:02:04 | TV放映
2011年、日本映画
監督:三谷幸喜
出演者:深津絵里、西田敏行、竹内結子、草剛、浅野忠信、阿部寛、中井貴一



<Amazonの解説>
失敗続きで後がない弁護士エミが担当したのは、とある殺人事件。被告人は無実を主張、完璧なアリバイがあるという。なんと事件当夜、旅館の一室で金縛りに遭っていたのだ。無実を証明できるのは、一晩中彼の上にのし掛かっていた、落ち武者の幽霊だけ。エミはその幽霊・六兵衛を証人として法廷に召喚させる。しかし、この六兵衛、すべての人に姿が見えるとは限らなかった。しかもエミの前には、一切の超常現象を信じない、敏腕カタブツ検事・小佐野が立ちはだかり―。 人生のどん詰まりに立たされたダメダメ弁護士と、421年前に無念の死を遂げた落ち武者の間に生まれた奇妙な友情。果たして、彼らは、真実を導き出す事が出来るのか!? 今、全世界注目の裁判が、幕を開ける――!!!


 奇想天外の展開を見せる三谷映画です。
 ただ、観ていて首をひねることしばしば。
 幽霊は、現実にモノを触ったり食べたりすることはできませんが、息を吐くことで存在感を示すことができる。
 幽霊を見ることができるヒトの条件は、「仕事がうまく行かない」「最近、死を身近に感じた」「シナモンが好き」の3つ・・・
 う~ん、ちょっと設定に無理があるなあ。
 SF少年だった私には、この矛盾は受け入れがたい(苦笑)。

 というわけで、今ひとつ楽しめませんでした。

★ 5点満点で3点。

「風俗行ったら人生変わったwww」

2014-11-15 21:56:59 | TV放映
 2013年、日本映画



<番組紹介/解説>
 ネットの巨大掲示板・2ちゃんねるへの投稿から始まった冴えない青年の純愛ドラマを映画化。人気女優・モデルの佐々木希が、男運に恵まれない風俗嬢のヒロイン役を熱演。
 何事もすぐに諦めてしまう29歳童貞の青年が、初めて接した風俗嬢に恋したことから始まる騒動と純愛を描くラブコメディ。2ちゃんねるへの投稿をもとにしたベストセラーを「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」の飯塚健監督が映画化。人気女優・モデルの佐々木希が風俗嬢役に挑んだことも話題を呼んだ。ともに連続テレビ小説「梅ちゃん先生」で人気を集めた満島真之介と松坂桃李が、主人公の青年と友人役で共演。
<内容/物語>
 自分にはできないと決めつけ、すぐに諦めてしまう29歳の童貞青年・遼太郎。そんな自分を変えたいと願った彼は、意を決して初めての風俗にトライしてみるが、過度の緊張から過呼吸を起こして倒れてしまう。その際、彼は優しく介抱してくれた担当の風俗嬢・かよに恋してしまった。やがて、かよが元恋人にだまされて借金を背負わされたと知った彼は、SNSを通じて知り合った友人・晋作の力を借りて彼女を救い出そうとするが……。
(以上、WOWOWオンラインより)


 吃音&コミュニケーション障害で家族からゴミ扱いされている青年の起死回生ストーリー。
 シリアスすぎないところがよいですね。
 賛否両論はありましょうが、私は結構楽しめました。
 健康な人が見るとつまらないかもしれないけど、勇気づけられる人達もいるのではないかと。
 みんなで笑い飛ばしましょう!

★ 5点満点で3点

「武士の家計簿」

2014-10-11 21:27:20 | TV放映
2010年、日本映画



監督:森田芳光
脚本:柏田道夫
キャスト:猪山直之(堺雅人)、猪山駒(仲間由紀恵)、猪山常(松坂慶子)

<解説>
磯田道史原作のベストセラー「武士の家計簿『加賀藩御算用者』の幕末維新」を、森田芳光監督が映画化した異色時代劇。代々加賀藩の財政に携わり“そろばんバカ”と呼ばれた下級武士が、妻の支えを得ながら一家、そして藩の財政を切り盛りしていく姿を描く。主演は、『南極料理人』の堺雅人、彼の献身的な妻役に『ごくせん』シリーズの仲間由紀恵。先行き不透明な現代にも通じる、幕末維新の激動の時代をたくましく生き抜いた主人公一家の姿が胸を打つ。(シネマトゥデイ)


 NHKの「BS歴史館」でおなじみの磯山さんが原作を映画化したもの。
 そこに興味があり、TV放送したものを録画して視聴しました。

 「チャンバラがなくても成り立つ時代劇」との評判ですが・・・私の感想はちょっと違いました。
 まじめで不器用な正直者はいつの世でも生きにくい。
 この主人公は、たまたま運良く出世できましたが、タイミングが悪ければ左遷されて一生浮かばれない生活をしていたことでしょう。
 正しいと教えられたことを実行しようとすると角が立ち社会的にはギクシャクする、理想をあきらめ妥協していくことが大人になる作業・・・そんなことを考えさせられました。

★ 5点満点で3.5点。

「少年H」

2014-08-25 06:06:18 | TV放映
2012年、日本映画



監督:降旗康男
原作:妹尾河童「少年H」(講談社文庫刊)
出演:水谷豊, 伊藤 蘭, 吉岡竜輝, 花田優里音, 小栗 旬

~「Yahoo! 映画」より~
<解説>
1997年に発表されベストセラーを記録した、妹尾河童の自伝的小説を実写化したヒューマン・ドラマ。戦前から戦後までの神戸を舞台に、軍国化や戦争という暗い時代の影をはねつけながら生きる家族の姿を見つめていく。実際に夫婦でもある水谷豊と伊藤蘭が、テレビドラマ「事件記者チャボ!」以来となる共演を果たし、少年Hの父母を演じる。メガホンを取るのは、『鉄道員(ぽっぽや)』などの名匠・降旗康男。感動にあふれた物語もさることながら、当時の神戸の街並みを再現したオープンセットも見どころだ。
<あらすじ>
昭和初期の神戸。洋服仕立て職人の父・盛夫(水谷豊)とキリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)の間に生まれた肇(吉岡竜輝)は、胸にイニシャル「H」が入ったセーターを着ていることからエッチというあだ名が付いていた。好奇心旺盛で曲がったことが嫌いな肇だったが、オペラ音楽について指南してくれた近所の青年が特別高等警察に逮捕されるなど、第2次世界大戦の開戦を機にその生活は暗い影を帯びていく。やがて、彼は盛夫に対するスパイ容疑、学校で行われる軍事教練、妹の疎開といった出来事に直面し……。


子どもの目を通してみた“戦争”を描いた作品です。
原作者の少年時代の姿「少年H」は“ひと言多い”キャラクター。
おかしいと思ったことは「おかしい!」とつい口にしてしまうのです。
戦時中という時代背景からいろんな不条理が彼の前に立ちはだかり、「そんなことおかしいやろ?」とつぶやくとトラブルが発生しがち;

・クリスチャンであることを責められる。
・帰国したアメリカ人宣教師から絵はがきをもらったことだけで「スパイ容疑」をかけられ父親が拷問のような尋問を受ける。
・可愛がってくれたうどん屋の兄ちゃんが「アカ」として警察に連行される。
・田舎芝居の女形俳優に召集令状が来て彼は自殺してしまう。
・中学校ではささいな理由で教官に殴られる。
・新聞やラジオでは「日本は戦争に勝ち続けている」と言うが、街には戦死者が遺骨としてたくさん帰ってくる。
・避難所でコメを炊くと他人に分けてざるを得ない。
・いつも正しかった父親が何を聞いても答えてくれなくなった。
等々。

私が一番印象的だったのは、水谷豊演ずる父親が、終戦後“ふぬけ”になってしまった場面です。
各人さまざまな形で戦後を迎えた日本人。
彼は洋服店を営んでいましたが、神戸空襲の際、焼夷弾の飛び交う炎の中、母子が運び出してくれたミシンは使い物にならず為す術無し。
何をしてよいのか途方に暮れ、家族の前でも父親の威厳を保てなくなります。
・・・「熱中時代」や「相棒」のテンポとは異なる水谷豊の演技が新鮮でした。
「少年H」は弱くなった父親の姿をみるのがつらくてもどかしくもあり、ついつい当たってしまうのでした。

中年期はいろんな要素が絡み合い、虚無感に陥りやすい年代でもあります。
自分の人生を振り返り、立ち止まり、また歩き出す年代。
フッと、自分の経験が重なりました。

映画の中では、父親はミシンを直して仕事を再開し、「少年H」は15歳にして家族の元を離れ「絵」の世界へ飛び込んでいきます。

★ 5点満点で4点。
・第35回モスクワ国際映画祭特別作品賞受賞! 日本実写映画史上初の快挙を達成! !
・興収15億円突破! "今だからこそ"見たい映画として、シニアを中心に大ヒット! !
・累計340万部を誇る妹尾河童の国民的ベストセラーが、遂に映画化!
・水谷豊×伊藤蘭 奇跡の“夫婦役"初共演! !