「夏への扉」・・・
この言葉を耳にすると、
私の心は中学生時代にタイムスリップします。
当時の私は、世界のSF小説を読み耽る、
ちょっと変わった少年でした。
中でも名作といわれた、
「火星年代記」(レイ・ブラッドベリ)
「地球幼年期の終わり」(アーサー・C・クラーク)
と共にお気に入りだったのがこの、
「夏への扉」(ロバート・A・ハインライン)
でした。
ブラッドベリはファンタジー、
クラークは科学的知識をベースに構築された正統派。
ハインラインは壮大なストーリーの中にもロマンティックな雰囲気がありました。
「夏への扉」が書かれたのは1956年。
もう61年も昔のことです。
そして、私が初めて読んだのは1970年代の終わり頃です。
分野としてはタイムトラベルもので、
恋愛を絡めたストーリー。
ピートという名前のネコが場面場面で登場し、
不思議と記憶に残るのです。
その後、山下達郎がこの小説をモチーフにして「夏への扉」という曲を作り、
それもお気に入りでした。
彼は「メリーゴーラウンド」という、
レイ・ブラッドベリの「何かが道をやってくる」をイメージさせる曲も作っています。
おそらく彼もコアなSFファンなのでしょう。
というわけで、私はこの映画を平常心で見ることができない過去を持っているのです。
映画化してくれただけでも、うれしくてたまりません。
まるで思春期につき合った女性に再会したかのよう。
映画のできはそこそこですが、すべての場面がノスタルジックに目に映りました。
点数は・・・つけられません。

<解説>
ロバート・A・ハインラインの名作SF小説「夏への扉」を、「キングダム」の山崎賢人主演により日本で映画化。舞台を日本に移して再構築し、人生のすべてを奪われた科学者が時を超えて未来を取り戻す姿を描く。1995年、東京。ロボット開発に従事する科学者・高倉宗一郎は、亡き父の親友だった偉大な科学者・松下の遺志を継ぐプラズマ蓄電池の完成を目前にしていた。愛猫ピートと松下の娘・璃子との穏やかな日常の中で、研究に没頭する宗一郎だったが、信頼していた共同経営者と婚約者に裏切られ、自身の会社も開発中のロボットや蓄電池もすべて奪われてしまう。さらに宗一郎は人体を冷凍保存する装置・コールドスリープに入れられ、2025年の東京で目を覚ます。監督は「坂道のアポロン」「フォルトゥナの瞳」の三木孝浩。主題歌は、人気アニメ「鬼滅の刃」「ソードアート・オンライン」などで知られるLiSA。
2021年製作/118分/G/日本