以前から、「ワクチン副反応不安は健康教育の欠如による」と書いてきました。
今回紹介する記事を読み、ますますこの思いが強くなりました。
大学生を対象に、HPVワクチンに関するアンケート調査の学会報告です。
大学生を医学部と他学部に分けて分析しているのがポイント。
当然、医学部生は医学情報が多く入ってきます。
一方、他学部性はマスコミ情報が中心。
すると、興味深い結果が得られました。接種率に差が出ることは予想していましたが、認識の差が明らかに出たのは新たな発見です。
抜粋しますと、
他学部では、特にワクチンの効果に比べ副反応について知っている割合が高く、同氏は「メディアによるワクチンの副反応に関する報道の影響が示唆される」と述べた。
これがすべてを表していると思います。
大学生レベルでも、医学部以外ではワクチンの効果に関する教育を受ける機会がないのが日本の現状。
そこに「副反応が恐い」という情報が押し寄せてきたらどうなるでしょう。
不安が募ってワクチン恐怖に陥ることが避けられません。
この状況を変えるためにすべきことは、誰の目にも明らかです。
「病気の知識とそれを予防するワクチンの知識を持つこと」
繰り返し紹介しますが、イギリスではHPVワクチンの知識を接種される本人である10代の女子対象に啓蒙します。
そして接種率80%を維持しているそうです。
子どもへの性教育・性感染症〜子宮頚癌の教育・啓蒙を本気で考える踏み絵ですね。
日本の本気度が試されていると思います。
「医学部と他学部でHPVワクチンの認識に差」
(Medical Tribune、2018年08月24日)
安全な医療を提供するために、医療者は患者のヘルスリテラシーについて理解し、患者に正しい知識の習得や理解を促す必要がある。佐賀大学医学部5年生の野田貴美子氏は、将来医師として意識すべきヘルスリテラシーの課題を検討するため、その一例として、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関する学生の知識と意識を医学部と他学部で調査・比較し、第50回日本医学教育学会(8月3~4日)で報告した。
◇ 20~23歳女性の接種率は医学部で85%、他学部では45%
野田氏は、同大学に在籍する学生(学部:医、理工、農、文化教育、教育、芸能地域デザイン、経済)5,957人を対象に、HPVワクチンに関する認識や接種状況についてウェブアンケートを実施。有効回答は、医学部で219人(男性35%、女性65%/18~19歳:18%、20~23歳:61%、24歳以上:21%)、他学部で365人(同42%、58%/32%、64%、4%)だった。
HPVワクチンの認知状況は、医学部では「よく知っている」が28%、「ある程度知っている」が57%、「名前は聞いたことがある」が11%、「分からない」が4%であったのに対し、他学部ではそれぞれ0%、21%、33%、46%と、医学部に比べ他学部での認知度は有意に低かった(P<0.05)。
また、HPVワクチンに関する知識については、「子宮頸がん以外への予防効果」が医学部では55%、他学部では7%、「副反応」がそれぞれ88%、36%だった(いずれもP<0.05)。他学部では、特にワクチンの効果に比べ副反応について知っている割合が高く、同氏は「メディアによるワクチンの副反応に関する報道の影響が示唆される」と述べた。
女性のHPVワクチンの接種状況は、医学部では18~19歳で68%、20~23歳で85%、24歳以上で50%が接種していたのに対し、他学部ではそれぞれ43%、45%、0%といずれも有意に少なかった(P<0.05)。さらに、他学部では接種の有無が「不明」との回答も多かったことから、同氏は「予防接種の意義を十分に理解しないまま接種している可能性も示唆される」と考察した。
◇ HPVワクチン接種勧奨「再開すべき」は医学部で76%、他学部で44%
男性のHPVワクチンの接種希望状況は、「接種したい」との回答が医学部では45%、他学部では16%だった。さらに、医学部の学生の方が他学部に比べ、有効性や副反応に関する知識を有している割合が高かった(P<0.05)。
さらに、HPVワクチンの積極的接種勧奨については、「再開すべきである」との回答が医学部では76%、他学部では44%、「再開すべきでない」との回答はそれぞれ19%、50%だった(P<0.05)。
以上の結果を踏まえ、野田氏は「医学部生に比べ他学部生は、HPVワクチンに関する知識を有する割合が有意に低く、ヘルスリテラシーが低いことが示唆された」と考察した上で、「医療者となる学生は、医療の重要性や効果、限界について一般人と医療者の認識には差があることを理解し、患者に寄り添ったコミュニケーションを意識する必要がある」と結論した。
今回紹介する記事を読み、ますますこの思いが強くなりました。
大学生を対象に、HPVワクチンに関するアンケート調査の学会報告です。
大学生を医学部と他学部に分けて分析しているのがポイント。
当然、医学部生は医学情報が多く入ってきます。
一方、他学部性はマスコミ情報が中心。
すると、興味深い結果が得られました。接種率に差が出ることは予想していましたが、認識の差が明らかに出たのは新たな発見です。
抜粋しますと、
他学部では、特にワクチンの効果に比べ副反応について知っている割合が高く、同氏は「メディアによるワクチンの副反応に関する報道の影響が示唆される」と述べた。
これがすべてを表していると思います。
大学生レベルでも、医学部以外ではワクチンの効果に関する教育を受ける機会がないのが日本の現状。
そこに「副反応が恐い」という情報が押し寄せてきたらどうなるでしょう。
不安が募ってワクチン恐怖に陥ることが避けられません。
この状況を変えるためにすべきことは、誰の目にも明らかです。
「病気の知識とそれを予防するワクチンの知識を持つこと」
繰り返し紹介しますが、イギリスではHPVワクチンの知識を接種される本人である10代の女子対象に啓蒙します。
そして接種率80%を維持しているそうです。
子どもへの性教育・性感染症〜子宮頚癌の教育・啓蒙を本気で考える踏み絵ですね。
日本の本気度が試されていると思います。
「医学部と他学部でHPVワクチンの認識に差」
(Medical Tribune、2018年08月24日)
安全な医療を提供するために、医療者は患者のヘルスリテラシーについて理解し、患者に正しい知識の習得や理解を促す必要がある。佐賀大学医学部5年生の野田貴美子氏は、将来医師として意識すべきヘルスリテラシーの課題を検討するため、その一例として、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関する学生の知識と意識を医学部と他学部で調査・比較し、第50回日本医学教育学会(8月3~4日)で報告した。
◇ 20~23歳女性の接種率は医学部で85%、他学部では45%
野田氏は、同大学に在籍する学生(学部:医、理工、農、文化教育、教育、芸能地域デザイン、経済)5,957人を対象に、HPVワクチンに関する認識や接種状況についてウェブアンケートを実施。有効回答は、医学部で219人(男性35%、女性65%/18~19歳:18%、20~23歳:61%、24歳以上:21%)、他学部で365人(同42%、58%/32%、64%、4%)だった。
HPVワクチンの認知状況は、医学部では「よく知っている」が28%、「ある程度知っている」が57%、「名前は聞いたことがある」が11%、「分からない」が4%であったのに対し、他学部ではそれぞれ0%、21%、33%、46%と、医学部に比べ他学部での認知度は有意に低かった(P<0.05)。
また、HPVワクチンに関する知識については、「子宮頸がん以外への予防効果」が医学部では55%、他学部では7%、「副反応」がそれぞれ88%、36%だった(いずれもP<0.05)。他学部では、特にワクチンの効果に比べ副反応について知っている割合が高く、同氏は「メディアによるワクチンの副反応に関する報道の影響が示唆される」と述べた。
女性のHPVワクチンの接種状況は、医学部では18~19歳で68%、20~23歳で85%、24歳以上で50%が接種していたのに対し、他学部ではそれぞれ43%、45%、0%といずれも有意に少なかった(P<0.05)。さらに、他学部では接種の有無が「不明」との回答も多かったことから、同氏は「予防接種の意義を十分に理解しないまま接種している可能性も示唆される」と考察した。
◇ HPVワクチン接種勧奨「再開すべき」は医学部で76%、他学部で44%
男性のHPVワクチンの接種希望状況は、「接種したい」との回答が医学部では45%、他学部では16%だった。さらに、医学部の学生の方が他学部に比べ、有効性や副反応に関する知識を有している割合が高かった(P<0.05)。
さらに、HPVワクチンの積極的接種勧奨については、「再開すべきである」との回答が医学部では76%、他学部では44%、「再開すべきでない」との回答はそれぞれ19%、50%だった(P<0.05)。
以上の結果を踏まえ、野田氏は「医学部生に比べ他学部生は、HPVワクチンに関する知識を有する割合が有意に低く、ヘルスリテラシーが低いことが示唆された」と考察した上で、「医療者となる学生は、医療の重要性や効果、限界について一般人と医療者の認識には差があることを理解し、患者に寄り添ったコミュニケーションを意識する必要がある」と結論した。