新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

私たちは壁のない監獄に閉じ込められつつある!

2021年05月09日 11時52分43秒 | デジタル庁

昨年の10月16日、内閣総理大臣に就任してちょうど1か月目に菅義偉は「共同通信加盟社編集局長会議」にて講演を行った。
 
以下にその時の内容と現在の大きな相違を検証してみる。
 

この新型コロナウイルス、爆発的な感染拡大を絶対に防ぐ。そして、国民の皆様の命と健康を守る。さらに、その上に立って社会経済との両立を図っていく。こうしたことを、両立を図らなければ、国そのものが立ち行かなくなるからであります。このコロナウイルスの感染拡大、そして経済は4月ー6月期のGDP(国内総生産)については、戦後最大の下落であります。正に、この国難とも言える中にあって、内閣総理大臣として私に対しての最大の使命というのは、国民の皆さんお一人お一人が安心して安全で元の暮らしに戻ることのできる、そうした環境をつくり上げる、そのことだというふうに思っております。
 総理大臣に就任して早速、冬のインフルエンザの流行期に備えて、一日当たりの平均検査数を、インフルエンザの検査数と同等程度の約20万件、確保する予定であります。同時に、高齢者の方や基礎疾患のある重症化リスクが高い方々を重点的に検査して、インフルエンザ、コロナウイルス、こうしたことに対応する体制をしっかりとつくり上げていきたい、そのように思っております。

 
すでにCOVID-19の感染拡大は「第4波」を迎えていることから、詳細を指摘するまでもなくまったく実現してはいない。
 
この7月からは、GoToキャンペーンを開始いたしました。これまで、約2,500万人の方が延べ人数で利用いただいてます。その中で、感染が判明した方というのは20数名であります。30人まではいってません。正に、事業者の皆さんが感染対策をしっかりと講じた上で、利用する方々は、いわゆる3密をしっかり守っていただき、マスクをする。そうしたことであれば、この移動によって、あるいは宿泊によって、このコロナウイルスが感染する可能性は極めて低いということが、この2,500万人の方が利用して、結果として確か27名でありましたと思いますけれども、そうした数字に明らかになっているのではないでしょうか。

 
GoToキャンペーンによる感染者数が少ないというが、そのキャンペーンによって全国的に感染者が拡大し、散々批判されてようやく昨年末に中止したという失態を演じていた。
 
行政サービスや民間でのデジタル化の遅れなど、様々な問題が浮き彫りになったと思っています。私の内閣では、規制改革の一丁目一番地としてデジタル化を早急に進めて、経済社会を一変させる、そうした転換期にしたいと思っています。
 実は昨年の6月に骨太で保険証とマイナンバーカードの一体化を決めて、そして来年の3月からこの一体化はスタートさせる、そうしたことを決めておりました。そしてまた、マイナンバーカードをこれから2年半の間で全世帯に普及させる、このことも骨太で昨年6月に決めております。こうしたことを実現して、役所に行かなくてもあらゆる行政手続を可能にする、そうした改革を進めてまいります。
 このデジタル行政というのは、皆さん御承知のとおり、総務省、経産省、内閣官房、それぞれが行ってます。こうした、省庁のシステム、さらに自治体のシステムそのものも自治体によって異なります。こうした縦割りを打破して、5年で自治体システムの統一・標準化を行って、国民の皆さんがどの自治体にお住まいになっても行政サービスをいち早くできるようにしたいと思ってます。正に、省庁のシステム、そして地方の皆さんのシステム、こうしたものの一体化というものも行っていきたい、このように思います。
 こうした改革を進めていくために、強力な司令塔機能を持たせるために、デジタル庁を来年には設立したいと思います。そのために、年内に基本的な方針を取りまとめたい、このように思っております。そのために、官民問わず高い能力の人材を集めて社会全体のデジタル化をリードする、そうした組織をデジタル庁として来年には立ち上げたいというふうに思っています。国民の皆さんが当たり前に望んでいるサービスを実現し、デジタル化の利便性を実感できる社会というものをつくっていきたいと思います。

 
規制改革の一丁目一番地としてデジタル化だけは静かにかつ急速に進んでいる。
 
しかし、「保険証とマイナンバーカードの一体化を決めて、そして来年の3月からこの一体化はスタートさせる」ことは見送られた。
 
マイナンバーカードの保険証本格運用、トラブルで先送り
   
そして、中身が大雑把な法案だけが4月6日には独り歩きし始めた。
 
デジタル改革法案、衆院通過 個人情報保護などに懸念」(朝日新聞)
デジタル庁創設や個人情報保護法改正を盛り込む「デジタル改革関連法案」が6日、衆院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決された。菅義偉首相の肝いり「デジタル庁」を司令塔に、データ利活用による利便性をアピールする。ただ、個人情報保護や監視社会に関する懸念は残ったままで、参院審議でも焦点になりそうだ。
 「新型コロナウイルスとの戦いは、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れなど様々な課題を浮き彫りにした。改革を一気に加速し、誰もがデジタル化の恩恵を最大限に受けることができる世界最先端のデジタル社会を目指す」
 菅義偉首相は6日、世界経済フォーラムが開いたオンライン会合へのメッセージでこう訴えた。
 法改正のきっかけは、コロナ禍で一律10万円を配る特別定額給付金などの公的な給付金のオンライン上の手続きが滞ったことだった。はんこを必要とするさまざまな行政手続きもテレワーク推進の障害になった。
 今回の法案では、首相をトップとするデジタル庁のもとで、省庁や各自治体でばらばらだった個人情報保護のルールやシステムを共通化させていく。
 さらに、マイナンバーに預貯金口座をひもづけ、公的な給付金の受け取りをスムーズにし、災害や相続時の口座照会も可能にする。マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載できるようになる。平井卓也デジタル改革担当相は将来的に「すべての行政手続きをスマートフォン一つで60秒以内に可能にする」と強調する。
 首相は今秋までに必ずある衆院選をにらみ、目玉政策を実績にすべく急ぐ。昨年9月の自民党総裁選で「デジタル庁」創設を公約に掲げた後、政権発足から5カ月足らずで法案を閣議決定した。
 しかも、9月のデジタル庁設置に間に合わせるため、「霞が関の常識を超えたスピード」(平井氏)で法案の作成が進められ、新年度予算が成立する前に、重要法案が審議入りするという異例の展開に。「早く審議入りするため作業時間がなくなった」(内閣官房幹部)ため、国会提出後に要綱などに計45カ所の誤りが発覚した。
 63本もの新法や改正案が一つに束ねられた法案の衆院内閣委員会での審議時間は、参考人質疑も入れて27時間25分。野党や日本弁護士連合会、市民団体が指摘していた個人情報保護など、課題の多くは積み残しになり、政府への注文などとして28項目もの付帯決議がついた。(西村圭史、南彰)
自治体が作った個人情報保護ルール「リセット」
 「個人情報保護をはじめとする個人の権利が十分に守られていることを担保することが、デジタル化の推進には不可欠だ」
 デジタル庁設置法案には賛成したが、個人情報保護法改正案などで反対に回った立憲民主党の松尾明弘氏は、衆院本会議でこう指摘した。
 デジタル改革関連法案の柱の一つは、個人情報保護のルールの見直しだ。
 個人情報保護は、住民に近い自治体が、国よりも先行して規制のルールを作ってきた。
 新たな行政サービスや民間のビジネスに活用していくことを目ざす政府にとって、全国の約2千もの自治体が独自に持つ条例は、情報を利活用する上で「壁」のように映り、「2千個問題」とも呼ばれる。今回の改正案では、個人情報保護に関する自治体のルールは「いったんリセット」(平井氏)させる。
 その結果、人種や思想、信条、犯罪歴、病歴などの「要配慮個人情報」の収集や記録のあり方が、影響を受ける恐れがある。
 総務省によると、2019年4月時点で、要配慮個人情報の収集や記録を条例などで規制している自治体は、都道府県、市区町村ともに9割以上にのぼる。
 例えば、東京都国立市の個人情報保護条例では、「思想、信条、宗教その他内心の自由を侵害する原因となるおそれ」や「人種、民族、犯罪歴その他社会的差別の原因となるおそれ」のある個人情報については、原則、取り扱ってはならず、扱う場合は審議会の意見を聞くなどとしている。同市で今年4月から同性パートナーシップ制度が始まるにあたり、性的少数者の個人情報を扱ってもよいかどうかを審議会に諮る手続きをしている。
 今回、統一化されるルールでは、人種、信条、病歴、犯罪歴などを「要配慮個人情報」と定め、不要な取得はしないとしている。ただ、国立市のような収集禁止という「原則」は記されていない。
「個人情報の規制緩和だ」
 自治体の個人情報保護審査会の委員などを務めるNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「自治体が条例でつくってきた個人情報保護の原則が吹き飛ぶもので、個人情報の規制緩和だ」と批判する。
 実際、自治体側からは懸念の声も上がっている。都内では、小金井市議会は昨年12月、「自治体の判断によらず一律に個人データを利活用することに反対し、実行しないことを求める」とする意見書を可決。国立、あきる野両市議会も昨年11~12月に慎重な検討を求める意見書を可決した。
 また、行政に情報がより集まりやすくなる中、デジタル技術が監視社会に結びつくことへの危惧もある。
 衆院での審議では、防衛省や内閣情報調査室による市民や政治家の電話やメールの傍受の有無が問われた。政府は「国家的なリスクになる場合は、差し控えなければいけない答弁もある」(中山泰秀防衛副大臣)と明言を避け、どういう情報を集めているのかを明らかにしていない。
 政府は、今回の法改正で、省庁や自治体が正しく個人情報を取り扱っているかについて、個人情報保護委員会の監視機能を高めると説明する。しかし、同委員会はLINE問題で対応が後手に回ったとの批判を国会で受けた。法改正後には体制を拡充する予定だが、監視機能がどこまで働くのかは不透明だ。


問題なのはこれかもしれない。
 
 
この法案に対しては、自由法曹団や日本民主法律家協会でつくる「デジタル監視法案に反対する法律家ネットワーク」が、「『国家の市民監視許さぬ』と声明」をだした。
 
国会内で記者会見した海渡雄一弁護士は「デジタル社会をつくるには、市民と公権力の間に緊張関係と信頼関係がなければならない。この(審議)状態では信頼関係は絶対持てない」と、政府を批判した。

さらに声明は「デジタル庁が集約した情報は、官邸を介して警察庁・各都道府県警察と共有されることが強く疑われる」としているが、疑いどころかすでに菅義偉は官房長官時代から、内閣情報調査室を使って官僚幹部の個人情報の収集に力をいれており、その結果官邸発と思われる情報でスキャンダル化されかけた元文科省事務次官の前川喜平の例をみれば明らかである。
 

映画「新聞記者」にも登場する内調とは一体どんな組織か。官邸を知る記者や元官僚が対談
  
「デジタル改革関連法案」は単独法案ではなく、2015年9月に強行採決された10本の法律改正を束ねた安保法制のように、6つの法案から成っており、なかなか詳細はメディアを通して国民には正確に伝わってはこなかった。 
 
最近、知り合いの「北大生・宮澤弘幸 『スパイ冤罪事件』の真相を広める会」の事務局から下記のメールが届いたのでその一部を紹介する。 
 

デジタル関連法案の正式名称は
「❶デジタル社会形成基本法案」とは、
「❷デジタル庁設置法案」
「❸デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」
「❹公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案」
「❺預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案」(内閣委員会)と
「❻地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」(総務委員会)の6法案である。
この法案は2 月9 日に閣議決定し、4 月2 日、衆議院の内閣委員会をはわずか27 時間余の審議で可決し、6 日の衆院本会議であたふたと可決し、参議院に送付したのである。
閣議決定された段階でこの法案の危険性は指摘されていた。
まず組織形態だ。
デジタル庁は内閣におき、その長は内閣総理大臣で、関係行政機関の長に対しても指示できることになっている。
内閣総理大臣が各省を指揮監督する際は閣議決定が必要である。ところがデジタル庁業務では、実質総理大臣の専決となり、内閣総理大臣の名において閣議にも国会にも諮らず自由自在に企画立案し、関係省庁に指示することが可能になる。
さらに定数500 人とされるデジタル庁職員のうち、100 人は民間のIT 企業から兼務で採用される。元朝日新聞記者の小笠原みどりさんは、コロナ禍で経済活動が縮小する中で、楽天やソフトバンクグループ、世界ではアマゾン、アップルなどが「ステイホーム」で莫大な利益を上げていると指摘している。
山田健太・専修大学教授は、5.6 院内集会で「政府が2024 年までに全国民に事実上強制する計画のマイナンバーは、健康保険証、自動車運転免許証にもつけられ、さらに収入(借金)、健康状態(服用薬)、前科前歴(車の違反)、学業成績、介護・生活保護情報、土地売買の履歴、生体情報(顔認証、指紋)、思想信条(原発や基地への賛否)、民間情報もひも付けされる」と指摘した。
つまりデジタル関連法案が成立すれば、国民の食生活、健康、教育、医療、介護に関する個人情報のほとんどが関連企業に筒抜け同然になる。すでに権力私物化を強引に進めている菅首相がすべての権限を持つデジタル庁と、関連するIT 企業が一体になったとき、国民生活がどうなるかは、容易に想像がつく。
個人情報保護についてはこれまで自治体が個人情報保護条例を制定して保護してきた。
しかし今回の法案には個人情報保護の視点が全く欠落しているだけでなく、デジタル庁が一括管理して「利活用する」というのだからとんでもない落とし穴となる。
衆議院本会議では、自由民主党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、国民民主党は賛成し、反対は日本共産党だけだった。
国民を丸裸にする法律を許していいのか。与野党とも賛成した政党は再検討すべきだ。
意味のない「付帯決議」衆議院内閣委員会での審議では、政権与党と立憲民主党、国民民主党の合意によって28 項目の「付帯決議」がつけられた。
この「付帯決議」には「本法の運用にあたっては、デジタル化の推進が国民を監視するための思想信条、表現、プライバシー等に係る情報収集の手段として用いられることのないようにする」「情報の活用により個人の権利利益が害されることのないようにする」「デジタル庁への民間からの人材確保に当っては、特定企業との癒着を招くことがないように配
慮する」「大量に個人情報を保有している事業者が我が国の個人情報に関する法令を遵守するよう徹底する」――等々とある。
これらで合意できたのなら、そのまま法案本体に織込むのが立法の正道というものだ。噴飯物とはこういう事を言うのだろう。
デジタル関連法案は、この付帯決議と真逆の仕組みになっている。
なぜか。政権与党が合意に応じたのは、付帯決議には法的拘束力がないからだ。権力とその与党にとっては法案を成立させるための便法に過ぎず、成立と同時に忘れ去られるのが常識になっている。

 
上記の文中で紹介されていた元朝日新聞記者の小笠原みどりさんが、4月11日にアムネスティ・インターナショナル日本のセミナー「デジタル監視と人権侵害~あなたの個人情報はどう使われているのか~で話した動画を紹介しておく。 
 
<ゲストスピーカー:小笠原みどりさん>
ジャーナリスト、社会学者。横浜市生まれ。朝日新聞記者(1994-2004年)として盗聴法、住民基本台帳ネットワーク、監視カメラなど、個人情報をめぐる調査報道を開始。2005年にフルブライト・ジャーナリスト奨学金により米スタンフォード大学でデジタル監視技術を研究。2016年、米国家安全保障局による世界監視システムを告発したエドワード・スノーデンに日本人ジャーナリストとして初のインタビュー。2018年、カナダ・クイーンズ大学で近代日本の国民識別システムについての論文により社会学博士号を取得。現在オタワ大学特別研究員、21年よりビクトリア大学教員(ブリティッシュ・コロンビア州)。著書に『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』『スノーデン・ファイル徹底検証』(共に毎日新聞出版)など。朝日新聞GLOBE+で「データと監視と私 https://bit.ly/3eiF6YI​ 」を連載中。 
 
 
【オンライン】デジタル監視と人権侵害~あなたの個人情報はどう使われるのか〜(ゲスト:小笠原みどりさん)
 
この中で小笠原みどりさんはこう警鐘を鳴らしていた。
 
「パンデミックを契機として始まった監視、それを主導するいまの経済のあり方を「パンデミック監視資本主義」と私は呼ぶ。いま政府が構想しているデジタル庁がある。菅義偉政権がめざすデジタル庁はまさに市民監視のパノプティコンとして機能するのではないか。
 

        【Wikimedia Commonsより】
 
政府は収集した様々な個人情報を繋げて一望監視の下に置き、市民のほうからは、自分の情報を政府が本当に見ているのか、使っているのかさえわからない。
このデジタル庁という仕組みがあれば、私たちは見張られていることを前提に行動せざるを得なくなり、当然、そこには自由な行動の萎縮、自粛といういう問題がうまれてくる。私たちは監獄に入らずして、壁のない監獄にいることになる。
デジタル庁構想は、
①総務省が狙う不人気なマイナンバーカードの普及拡大→事実上の強制化
②厚生労働省が管轄する健康保険証や医療・健康情報のデジタル化による一括把握
③経済産業省がIT企業と共同して進める民間情報デジタル化と官民連携
④文部科学省が進める教育のデジタル化
⑤警察庁が進める運転免許証などのデジタル化
⑥内閣官房が進めるIT総合戦略
など、各省庁が個別に推進してきたデジタル関連予算・権限・人事の集約などをめざして一元化するものだ」
 
そしてこのデジタル庁の最高責任者は「総理大臣」だと言う。
 
そうなれば「菅義偉に刃物」となりこれほど危険な国家はないだろう、とオジサンは思う。

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