新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

ウクライナ問題の解決が長引けばバイデンの2年後は危うい

2022年04月04日 11時49分16秒 | 戦争と歴史

先日、ある訳知り顔のコメンテーターなのかロシア専門家なのかは知らないが、現在のロシアのウクライナ侵攻について、こんなことをのたまわっていた。
 
「プーチンは崩壊したソビエト連邦の復活を企んでいる」
 
一見、さもありなんと思わせる口調であったが、実際にプーチンの口からはそのような趣旨は伝わってはいない。
 
そしてネット上では多くの「識者」らしき人物が思い思いにロシアの、いやプーチンの狙いや誤算などを書き立てている。
 
多くは「当たらずとも遠からず」なのだが時の経過とともにそれらの内容も変化しているようである。  
 
元国税調査官で作家の大村大次郎は自分のメルマガでこんなタイトルの記事を発表していた。
 
その無料部分の一部を紹介しておく。
 
追い詰められたロシアが爆発。プーチンを疑心暗鬼にしたNATOの大罪
 

■ロシアは”仲間外れのジャイアン状態”だった
今回のロシアのウクライナ侵攻について、どうしてもお伝えしたいことがあり、今号では予定を変更してこのことについて少し述べさせてください。
まず今回の戦争について、筆者は絶対的にロシアが悪いし、ロシア軍は一刻も早く停戦し、撤退すべきだと思います。ウクライナの人々には、どうにか頑張って生き抜いていただきたいし、日本からも多くの人が心を痛めていることを伝えたいし、些少ながら筆者もウクライナ大使館に寄付をさせていただきました。
今回のロシアの侵攻というのは、まるで東西冷戦時代のソ連のような蛮行であり、今の時代にこういう所業が許されていいわけはありません。プーチン大統領は完全に判断を誤っていますし、歴史的な責任を負うことになるでしょう。
が、今回の戦争について反省しなければならないのは、プーチン大統領だけではないのです。NATOの側にも大いに反省すべき点があるのです。
今回の戦争の発端は、ウクライナがNATOに加盟しようとしたことに対してプーチン大統領が怒ったというものです。
あまり論じられることはありませんが、このNATOという存在は、時代錯誤気味なのです。そもそもNATO(北大西洋条約機構)というのは、第二次大戦後の東西冷戦時代に、ソ連や東欧諸国の共産圏国家群に対抗するためにつくられた軍事同盟です。仮想敵国は、ソ連や東欧諸国ということになっていました。
が、ご存じのように、ソ連は今や存在しない国ですし、東欧諸国には共産主義国家はなくなりましたので、NATOにとっての「敵」はいなくなったはずなのです。かつてNATOに対抗してソ連や東欧諸国でつくられていたワルシャワ条約機構という軍事同盟は消滅しています。つまり、NATOにとってもはや敵はいなくなったのです。
「敵はいなくなったけれど、国同士の同盟関係は大事だからこのまま続けていこうよ」ということで、NATOは今も続いているわけです。もちろんNATOがそれだけの存在であれば、あまり問題はないと言えます。
が、NATOは、仮想敵国としていたソ連がいなくなった代わりに、ロシアを事実上の仮想敵国として存続しているのです。NATOに「ロシアを仮想敵国とする」という明確な指針があるわけではありませんが、NATOのこれまでの経緯を見ると、「ロシアに対抗するための軍事同盟」という性質が如実にあるわけです。
ロシアから見れば、「自分たちはソ連とは違うんだし、東西冷戦のような西側諸国を敵対視する政策はやめたのだから、いつまでもロシアを仮想敵国とするのはやめてくれ」ということだったのです。
ソ連崩壊以降、ロシアは西側諸国と積極的に交流し、不完全ながらも民主化を進めました。貿易も年々拡大し、今ではヨーロッパのエネルギー資源の重要部分をロシアが賄うほどになっています。人的な交流も盛んですし、かつて鉄のカーテンで閉ざされた「東西冷戦時代」のソ連とは明らかに違います
にもかかわらず、NATOは基本方針を変えずにここまで来てしまったのです。NATOというのは、ヨーロッパの大半の国々とアメリカが加盟している世界最強の軍事同盟です。その世界最強の軍事同盟から、いつまでも仮想敵国とされているのは、気味のいい話ではありません。
考えてみてください。第二次大戦で敵国だったからといって、アメリカ、韓国、中国が、日本を仮想敵国とした軍事同盟を保持し続けていたら、日本としては相当、気分が悪いですよね?もちろん、ロシアと日本ではかなり状況が違いますから、こういう比較は乱暴ではあります。ただ、周囲の国々から仲間外れにされるということは、その国としては絶対に面白くはないはずです。
しかも「世界最強の軍事同盟」から仲間外れにされ、敵視されているのです。恐怖さえ感じていたかもしれません。
今のロシアというのは「仲間はずれにされたジャイアン」のような状態だと言えます。ジャイアンといえども、みんなから仲間外れにされれば、不安になり恐怖を覚えるでしょう。そして、一番近くにいた奴をつかまえて殴りかかった、それが今回のウクライナ戦争ではないでしょうか?もちろん、ウクライナとしてはたまったものではありませんが。
■「ソ連=ロシア」ではない
日本人の多くは、ロシアというとソ連のイメージがあります。というより、世界中の人にとって、ロシア=ソ連というイメージはまだ払拭できていないようです。
が、ソ連と今のロシアは明確に違います。というより、今のロシアがソ連から脱退することによってソ連は崩壊したのです。つまり、ソ連を崩壊させたのは、今のロシアなのです。
ソ連というのはそもそも15の共和国が連邦してできた国でした。が、ソ連は1970年代から深刻な経済不振に陥り、国内が困窮するようになりました。1985年、ゴルバチョフ書記長の就任により、政治経済の大幅な改革「ペレストロイカ」が推し進められ、グラスノスチ(情報公開)にも着手されました。また民主化も一部、認められるようになりました。
その結果、ソ連を構成していた15ヵ国や自治区が軒並み「主権」を主張しはじめたのです。そして1991年の12月、ソ連の中核だったロシア、白ロシア、ウクライナの3ヵ国の代表が秘密会談を行い、ソ連からの離脱を決定します。ここで、ソ連は崩壊してしまったのです。
ソビエト連邦は、事実上、ロシア共和国を中心に構成されていました。が、ソビエト連邦政府と、ロシア共和国政府は別個のものであり、両者は主従関係にありました。もちろんソビエト連邦政府が主で、ロシア共和国が従です。
しかし、ソ連の晩年、ロシア共和国の政府がソ連の政府に背いたのです。ソビエト連邦の晩年、ソ連の指導者は、書記長から大統領となっていたゴルバチョフでしたが、クーデター未遂事件などが起き、指導力が低下していました。それに代わって影響力を強めていたのが、クーデター未遂事件を解決に導いたロシア共和国最高議会議長エリツィンでした。エリツィンはソ連の指導者ではなく、ロシア共和国の指導者だったのです。
エリツィンは、連邦内の他の国々や自治区にも働きかけ、ソビエト連邦政府の影響を排除する運動を推し進めました。その結果、ロシア、白ロシア、ウクライナの連邦からの離脱となったわけです。ロシア、白ロシア(今のベラルーシ)、ウクライナがソ連から離脱したので、他の連邦構成国も次々に離脱し、ソ連は崩壊したのです。
つまり、今のロシアという国は、ソ連政府に背くことで成立した国なのです。
■NATOの重大な責任
もちろん、ソ連=ロシアではないと言っても、国柄というのはそう簡単に変わるわけではありません。またロシアは、歴史的にも周辺の国々にかなり野蛮なことをしてきたこともあるので、警戒感を持たれるのはある程度仕方がないことです。
旧東欧諸国や旧ソ連構成国の多くが、NATOに入りたがるのも、ロシアの脅威を排除するのが目的であり、ある意味、「ロシアの身から出た錆」という面がないこともないのです。
しかし、ソ連や東欧共産主義圏が崩壊し、東西冷戦が終結したにも関わらず、東西冷戦時代の敵視姿勢を取り続けたNATOにも大きな問題はあると思われます。
プーチン大統領も、就任当初はNATOに加盟したいと考えていたともいわれています。プーチン大統領がなぜNATO加盟をあきらめたのかなどの詳しい状況はわかりません。が、現在のNATOの姿勢を見ればNATO側にロシア加盟歓迎の意向がなかったことは十分に考えられえます。
NATOでも、1991年にロシアも参加させた「欧州大西洋パートナーシップ理事会」という機関をつくっています。これは、NATOと旧共産主義国(ロシアを含む)との信頼関係を構築するためにつくられたものです。NATOとしても一応はロシアにも配慮しているということです。が、この「欧州大西洋パートナーシップ理事会」は同盟などとは程遠い、「ちょっとした会合」程度の存在で、国際関係には何の影響も与えていません。
NATOが拡大すれば、ロシアが孤立していくのはわかっていたことなのだから、なぜロシアが孤立しないような配慮をしなかったのか、なぜロシアが疑心暗鬼に陥るような状況をつくってしまったのか、NATO側も重大な反省をすべきなのです。
また今回のウクライナ戦争において、当初、NATO諸国はウクライナへの武器支援はなかなかしたがりませんでした。ドイツなどはヘルメットしか寄贈せずに、ウクライナ側からの失望を招きました。それは、NATO側に「ロシアはウクライナを占領してしまう、負け馬に乗っていたずらにロシアを刺激したくない」という意向があったものと思われます。が、案に反し、ウクライナが善戦し、ロシアの侵攻を食い止めるようになってから、NATO諸国はウクライナへの積極的な武器支援を行うようになったのです。
こういう状況を見ても、NATOには「ヨーロッパの平和に責任を持つ気概」は見られないと言えます。ウクライナを守るつもりはないのであれば、ウクライナがNATOに加盟したいと言い出したときに、ロシアやウクライナとも話し合い、今後のヨーロッパの安全保障をどうやっていくべきかを考えるべきだったのです。
このウクライナ戦争は、単なるロシアとウクライナの戦争ではないと筆者は思います。
このままロシアを仲間外れにしておくことは、日本を含めた西側諸国にとっても、のちのち大きな負債を負うことになりかねません。現在もその兆候が見られますが、これ以上、西側諸国がロシアを阻害すれば、ロシアは西側諸国よりも中国を盟友とみなすようになるはずです。世界第2位の経済大国である中国と、世界最大の核保有国であるロシアががっちりとスクラムを組めば、西側諸国にとっては強烈な脅威になります。もちろん世界経済においても巨大な勢力となります。
現在の世界経済は、アメリカを中心とする西側諸国がイニシアティブをとっています。必然的に、西側諸国にとって都合のいいルール、都合のいいモラルが幅を利かせています。が、西側諸国が自分たちの都合のいいようにばかりやっていると、後でとんでもないしっぺ返しを食らわせられるかもしれないのです。また日本では、西側諸国が世界の標準のように思われていますが、世界には西側諸国のことを嫌っている国や地域も多々あるのです。アジア、アフリカ、南アメリカなどでは、反米、反英、反仏の地域はたくさんあります。それらの国々が、ロシア、中国と結託すれば、相当な勢力となってしまうでしょう。
だから今のうちに、西側諸国とロシアが、本気で信頼関係を構築する気にならないと、そのうち本当に第三次世界大戦が起きるように思います。
日本としては、一刻も早く停戦となることを考えつつ、NATOとロシアの信頼関係が構築できるような提言をしていくべきだと筆者は思います。おそらく日本がそういう役割を担うのは無理だとは思いますが…。欧米の顔色ばかり窺い、何一つとして自分で決断ができない日本には…。

 
いうまでもなくNATOの黒幕は米国であり、米国の核の傘の下平和を甘受している日本がウクライナ侵攻を食い止めるとか、停戦協議に積極的な役割を果たせるなんて誰も思ってやしない。
 
とはいっても、「西側諸国とロシアが、本気で信頼関係を構築する気にならない」ならば、経済制裁を受けているロシアの報復が現実的になることは容易に想像がつく。
 
ルーブル化で資源国をドル離れに誘導するプーチン」 
 
4月2日が過ぎても、EUなど米国側の諸国は天然ガスの輸入代金をルーブル払いしたと報道されていない。ロシアが求めたルーブル払いは米国側に拒否されている。ロシアは今後おそらく数日内に、欧州へのガスの送付量を減らすだろう。ロシアが欧州にガスのルーブル払いを要求したのは言葉だけの脅しであり、欧州がルーブル払いを拒否してもロシアが欧州に送っていたガスを減らすことはないという推測が出回っているが、その見方は間違いだ。
この件でロシアが欧州へのガスを減らし、ロシアのガスに強く依存している欧州経済が大混乱に陥り、欧州が最終的にルーブル払いに応じると、それは世界的なエネルギー代金決済の非ドル化の流れを誘発し、ドルの基軸性と米国覇権の低下をもたらす。それが今回のルーブル化の狙いなので、プーチンは欧州へのガスの送付を必ず減らし、欧州に大混乱を引き起こす。プーチンの行為は脅しでなく、米国側とロシア側(非米側)の地政学的な果たし合い・覇権争奪戦なので、ロシアはその戦いに勝つために、これから必ずガス送付の削減や停止を挙行する。 
ロシアは欧州へのガスの輸出を止めても困らない。石油ガス鉱物など資源全体が世界的に大きく値上がりしており、欧州へのガス送付の削減による収入減少は、他の資源の輸出収入の増加によって穴埋めされている。米国側はロシアの資源を買わなくなったが、中国やインドはどんどん買い増している。米国はインドに加圧してもロシアの石油を買うのをやめないので、インドの露石油輸入を「一定量まで」容認した。インドはロシアの兵器もどんどん買っている。米国から睨まれたら何もできなくなる他の同盟諸国が馬鹿を見ている。何だかんだでロシアの収入は増えている。対照的に、欧州はこれから深刻なガス不足に陥り、大混乱になる。 
欧州は、ロシアからのガス送付が急減したら大混乱に陥るとわかっていたので、できればロシアのルーブル払いの要求に応じたかっただろう。しかし欧州の親分である米国が、それを許さなかった。ロシアが求めるガス代のルーブル化が実現すると、資源保有する世界中の非米諸国がロシアを真似て「ドルでなくうちの通貨で払え」と米国側に要求し始め、ドルの基軸性と米国覇権が低下してしまう。米国は、それを許すわけにいかないので、欧州に命じて、ガス代をルーブル払いを拒否させた。 
しかし今後、ロシアからガスの送付を減らされた欧州はとても困窮し、最終的にガス代をルーブルで払う。それはイラン、イラク、サウジアラビアなど産油する非米諸国がロシアを見習って、米国側に石油ガス代金の決済をドルでなくイラン・リヤルなど自国通貨建てで払ってくれと求めることを誘発する。ロシアは最近、イランに対し、一緒に米国の経済制裁を迂回していこうと持ち掛けている。イランは大喜びだ。結局、ドルの基軸性と米国覇権の低下が引き起こされる。プーチンの策略が成功し、米国側が覇権を喪失する。
ロシアから欧州へのガス送付の削減がこれから長引くと、欧州の政治状況も転換していく。独仏など西欧諸国の市民がガス不足に非常に困らされ、欧州市民の心境は、輸出を止めたロシアを恨む状態から、事前準備せずにロシアを敵視してガス不足を引き起こした自国や米国の上層部を恨む状態に変質していく。それが続くと、やがて西欧諸国で反露・対米従属の既存の政権が選挙で転覆され、親露・対米自立の新政権に転換していく流れになる。すでにフランスでは親露反米のマリーヌ・ルペンの人気が上がっている。
▼日本はルーブル払いを免れている
プーチンが決めた今回のガス代ルーブル払いの義務化は気体状のガスだけで、液化して液体状でロシアが輸出するLNGは含まれていない。日本はロシアから気体のガスを買っておらず、液体のLNGしか買ってないので、ルーブル払いを義務づけられていない。米国側で、気体のガスをロシアからパイプラインで輸入しているのは独仏EUなど欧州大陸諸国だけだ。EUは消費するガスの4割が、ロシアからパイプラインで送ってくる天然ガスで、ガスを止められたらとたんに経済が破綻する。プーチンはEUを狙い撃ちして困らせる策をとっている。
日本の政府や権威筋は、日本がプーチンによるルーブル払い義務化攻撃の対象にされていないことをよく知っている。それなのに日本政府は「ルーブル払いは全く認められない。断固拒否する」と怒ってみせる演技をやっている。日本政府は、日本がルーブル払い義務の対象になっていないので大混乱を免れて良かったと心底思っているが、その気持ちを全く表に出していない。表に出せない。
米国の覇権低下が続く中、いずれ米軍は日本から出ていき、日本は対米従属だけで生きていけなくなり、ロシアや中国との敵対を解消していかざるを得なくなる。日本政府は、こうした国際情勢の先行きを知っているので、本当はロシアと敵対したくない。今の日本は「素」の姿は、どこかの外国を敵視するほどの国際パワーを持っていない。素の日本は、反露でも反中でも反韓でもない。反露と反中は、米国が反露や反中だからやっている。反韓は、日韓が仲良くして安保協定を結んだりすると、そのぶん在日と在韓の米軍がいなくても良いことになり、日本も韓国も米軍撤退はダメだということで、相互に敵対(というより痴話喧嘩)を続ける策をとっている。
…中略・・・
今回のプーチンのルーブル払い義務化攻撃は、ドルの基軸性と米国覇権を拒否する政治攻撃であり、プーチンから攻撃されている米国は、同盟諸国を強く巻き込んでルーブル払いを断固拒否するロシア敵視の姿勢をとる必要があり、対米従属の日本は、自国が攻撃対象になっていなくてもロシア敵視の姿勢をとらねばならない。LNGもルーブル払いの対象にされていたら、日本政府自身はルーブル払いしても良いと考えただろうが、米国がそれを許さず、日本は他のG7諸国と歩調を合わせ、泣く泣くルーブル払いを拒否して困窮し、ロシアへの恨みを募らせる事態になっていただろう。日本を除外するのがロシアにとっての得策だった。同様に、韓国もロシアからのガス輸入がLNGだけなので除外されているが、韓国は日本以上に親露的で、かつ対米従属だ。韓国政府はウクライナ開戦直後から、わが国は米国側ですがロシアとの貿易は絶対やめませんと表明している。
今回、プーチンからルーブル払い義務化の狙い撃ちをされているドイツなど欧州諸国も、本心ではルーブル払いに応じたい。私は一昨日の記事で「ドイツ(など欧州)はウクライナ開戦後に自国内のロシア側の資産を没収したので、ドイツがガスプロム銀行に新口座を作ってガス代のユーロ資金を入れたら、ロシア政府に報復措置として没収されかねないからでないか」という趣旨を書いた。しかし、ドイツが事前にロシアと話をつけて没収しないという口頭の確約をとっておけば、送金しても安全なはずだ。プーチンの目的は米国側にルーブルで支払わせ、ロシアがドルや米国覇権を拒否していることを米国側に認めさせることにある。ロシアがドイツに対し、送金しても没収しないと約束する可能性は十分にある。
欧州諸国がルーブル払いを拒否した理由は、冒頭に書いたように、自国の覇権低下を引き起こすことを恐れた米国に強く禁じられたからだ。しかし、これからロシアが欧州へのガスを止めると、欧州は困窮してルーブル払いに応じ、米国の覇権低下につながっていく。そして、欧州諸国も反露・対米従属から親露・対米自立に転換していく。欧州が屈服するのが予想されたので、プーチンは、ドイツなど欧州を狙い撃ちしてルーブル払いを強要した。日韓に強要してもこういうダイナミックな展開にならないので、日韓は許すことにしてLNGを対象から外した。 
ドイツなどEUは冷戦終結以降、2014年の米国によるウクライナ政権転覆あたりまで、ロシアと仲良くする戦略を採っていた。その間に、ロシアの天然ガスを海底パイプラインでドイツに送るノルドストリームの計画が推進された。当時の欧州は、永久にロシアと仲良くするつもりで、米国がロシアを敵視することも永久にないと予測していた。だからこそ欧州は、消費するガスの半分をロシアに依存する構造を喜んで作った。しかし2014年以降、米国はどんどんロシア敵視を強め、対米従属の欧州は米国に引きずられてロシアを敵視せざるを得なくなり、今に至っている。
ドイツは昨年ノルドストリーム2のパイプラインを完成させたのに、米国から反対されて稼働できず放置している。欧州にとって、米国は全く信用できない親分(従属先)である。米国が事前にドイツなど欧州に十分説明した上でロシア敵視を強めていたら、こんなことにならなかった。近年の米国は、ブッシュもトランプもバイデンも突然豹変するので予測不能だ(オバマは米国をまともな覇権国に戻そうとして道半ばで終わった)。日本は、米国が豹変するたびに無能な小役人を演じ、しょうもない従属国と批判されつつ、最低限の追随で済ませてもらって何とかなっている。だが米国は、ドイツなど欧州に対してもっと細かく意地悪で、欧州を困窮させている。プーチンは今回、こういう状況に便乗してロシアや非米側の対米自立や覇権拡大を実行しようとしている。欧州が今回のことに懲りて対米従属をやめていけるのかどうか。かなり怪しい。
ロシア政府は、いずれロシアが輸出するすべての産品をルーブル建てで決済したいと希望している。いずれ日本が輸入するLNGもルーブル払いになるかもしれない。そのころには世界的に、ルーブル払いに対する抵抗がなくなっていると予測される。もしくは日露関係が改善して円払いできるようになっているかもしれない。

 
「米国の覇権低下が続く中、いずれ米軍は日本から出ていき、日本は対米従属だけで生きていけなくなり、ロシアや中国との敵対を解消していかざるを得なくなる」と、「日本政府は、こうした国際情勢の先行きを知っている」とは考えられないし、国内の日本会議を中心とした反露・反中・反韓派の支持を失えば今の自民党は瓦解するかもしれないが、それはかなり先の話であろう。 
 
それより先に、世界の基軸通貨であるドルという米国覇権を失ったり弱体化させれば、米国バイデン大統領の支持率は大幅に下落し、2024年の次期大統領選挙にはトランプの復活という最悪のシナリオになる可能性もあるのではないだろうか、とオジサンは思う。
 

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