チゴハヤブサ♀
災難に遭ってしまう鳥はカラスばかりではない。カラスの古巣を利用し繁殖をする猛禽「チゴハヤブサ」もその対象となる。チゴハヤブサはハト大の大きさで繁殖のために渡って来る鳥である。翼は長く止まっている時に尾羽から風切羽が飛び出している。これが識別ポイントにもなるだろう。鳴き声は「キィーキィーキィー」と甲高い。人によっては聞き取れない場合があるらしい。
私は毎年カラスの巣立ちが終わるとチゴハヤブサを探しに行く時がある。毎年ほぼ同じ場所へやって来てカラスの古巣に営巣する。自分で造巣はしない。カラスの古巣がなければ繁殖が困難になってしまう。時には営巣中のカラスを放り出してしまう事もあると聞いている。私はその瞬間を見た事がない。
ある日いつもならとっくに来ていてもおかしくないチゴハヤブサの飛来が遅く気になっていたのだが、ある日抱卵しているところを見つける事が出来た。喜び勇んでチゴハヤブサを研究している知り合いへ連絡をした。場所から見て人の介入もなさそうだったので一安心していた。
しかしそれから一週間も経たないうちに「チゴの巣がなくなっていて、チゴの姿も見掛けない」と連絡がきた。「何故?どうして?抱卵していたじゃない???」と頭の中で疑問が交差する。
巣を撤去したに違いないのである。しかし誰が撤去したのかは全く分からなかった。市民が善意で巣の撤去を行った可能性が高い。古巣があるとまたすぐにカラスが営巣してしまうのでは?と思ったのか、巣に出入りしていたチゴハヤブサをカラスと見間違えたのか?と想像ではあるが、この2つが理由として挙げられるのではないだろうか?
カラスの古巣
このチゴハヤブサはその後ブトの古巣に再営巣したのだが、時期が遅かったのか結局放棄してしまいその姿さえ消えてしまったのである。私も残念で仕方がなかった。また来年来てくれる事を祈るしかないだろう。
カラスの古巣に依存しているチゴハヤブサは一度気に入った巣があると壊れるまで使う事もある。カラスはほぼ毎年新しい巣を造るので古巣は増える事になる。つまり「チゴハヤブサはカラスの縄張りに依存している」事にもなる。しかしここで巣を撤去されてしまったらどうなるかはもうお分かりだと思う。
自分で造巣しない彼らにとってカラスの巣の撤去は相当の痛手となる。もしもそこに使えそうな巣が一つしかなかった場合、彼らは路頭に迷う事になる。彼らの縄張りは数キロに亘る為、古巣を適当に見繕って使う事も出来ない。近くにトビやオオタカなどが生息していても具合が悪いだろう。安易なカラスの巣の撤去がチゴハヤブサにとって、思いがけない悲劇を生み出す結果となってしまう事を忘れないで欲しい。
僕はインドネシアで暮らしています。
こちらでも、人間が動物の運命を無自覚に悲惨なものへと変えています。
自然がいっぱいで、珍しい生き物が生息している所が多い分、人間が自分たちの勝手な都合で売ったり買ったり、かわいがったり苦しめたりしているのを始終目にします。
また、こちらから日本の動物に関するニュースも見るにつけ心が痛むことも多いです。
ペットブームなんていうものがあって動物に服を着せたりしてかわいがっている一方で
害虫、害獣、駆除、処分、ウイルス病原菌等々勝手な言葉で人間のしている愚かな行動を正当化している。
個々の動物が本来あるべき環境で自然に生きられる環境を奪ってきたのが人間だと言う自覚があまりにもないようです。
色々な事件は、人間はただ自分の蒔いた種を自分たちで刈り取らざるを得なくなったに過ぎないことに気がついている人がどのくらいいるんだろう。
自分の中にある動物たちへの愛情とエゴを量りにかけると、
結局ブトボソさんや僕らのようにただただ自分の存在の影響が及ばない範囲で観察したり、
形にならない愛情を送り祈り、
彼らをただ淡々と見守ることしかないのだろうか。
彼らの生態を知ることをまた何かにつなげていければいいですね。
僕は主に猿を通して色々なことを学んでいます。
http://seedfolksjawa.com/jalan07-2.html
カラスと同じように、猿が人を噛むのもまた理由があります。
その理由を学ぶためには根気よく観察し、その種その種のコミュニケーションを学ぶ必要がありますね。
人間が持つ彼らへの敵意や恐怖心は、僕らが思っているよりも
ずっと彼らに的確に伝わっているものです。
またエゴを含まない純粋な愛情もちゃんと伝わっていると信じます。
長くなってすみません。
これからもカラスの記事楽しみにしています。
インドネシアにお住まいとの事。野生動物がたくさんいる国という印象を持っています。でも日本と同じで生き物に対する認識不足によって被害に遭っている生き物がいるのですね。この現象は万国共通なのでしょうか?
日本は「密輸大国」と言われています。南米や東南アジアから密輸されてくる生き物は数知れず・・・・・。お金を出せば命の売り買いも平気でやってしまうのです。現地の方々は生活が掛かっている訳ですから、いけないと分かっていても密輸してしまうのでしょうね。欲しがる日本人が悪いのだと思います。
雲山さんのWebも拝見させて頂きました。サルを通して生き物との関わりを考えているのですね。カラスもそうですが、言葉を交わせない分、人の心を見透かしているような気がしています。人間と違って生き物達は無駄な事はしません。するだけエネルギーの無駄になりますからね。
ペットとして輸入されて国内繁殖で流通し、最後に飽きられて捨てられていくペットが後を経ちません。生活が豊かになり珍しい生き物が簡単に手に入る時代になりました。その結果捨てられた彼らは生きようと必死になり、人家に近寄り「危険」「生態系に支障を来たす」という理由で殺処分されています。その根源は「人間に身勝手」にあると思うのですが、現在の対策を見ているとその自覚が薄いと思います。何でも殺処分すれば問題が解決すると思うのは間違っていますよね。
インドネシアにはどんなカラスが住んでいるのですか?人との摩擦はあるのでしょうか?以前他の方のWeb掲示板でアメリカ西海岸にお住まいの方の書き込みの中で「カラスの巣を撤去したら顰蹙をかってしまう」とありました。カラスの巣の撤去は日本オリジナルなのかな?と思います。
また見に来て下さい。これからもよろしくお願い致します。
雪山さんはじめまして。インドネシア。私の大好きなツバメさんの越冬先ですね。天災が続いて加えて森林伐採も深刻ですね。そちらの野鳥達の様子もぜひ知りたいです。
チゴハヤブサは本州以北に繁殖の為に渡ってきます。北海道は比較的多いとされていますが、多いと基準が良く分かりません。1000羽単位だというのなら理解できますが、チゴハヤブサは数十羽単位です。私は少ないと感じています。
カラスの古巣に完全依存している訳ですから、安易な巣の撤去は本当に困ります。私はカラスの為とこのチゴハヤブサの為にも安易な巣の撤去は止めて欲しいと思っています。しかし残念ながらこのチゴハヤブサという鳥の事はあまり知られていません。また来年来てくれる事を祈りたいですね。
夏子さんはじめまして。
インドネシアは経済的に苦しい層が多いため
お金になることをすることが大義名分になってしまうので動物を売り買いしたり殺したりすることに罪悪感を感じる人はあまりいないようです。あまりにも動物の生態を理解していない無知もあって、かなり悲惨な状態も目にします。買う方売る方両方の意識を変るのはたいへんなことですね。
個々の生態を知ることも大切ですが、チゴハヤブサとカラスの関係のように、森羅万象はすべて関係しあって生きている、そしてさらには人間も本来そのサイクルの中でバランスをとって共存していく責任があるということを自覚する必要があります。
動物や植物の姿を本当に理解するための物理的、精神的ゆとりを失いつつある世の中になっているのかもしれません。
こちらには動物鳥市場(!)なるものがあるのですが、
カラスはそこでしか見たことがありません。
そんなところで売られている現状はともかく、
一般的にはあまり見かけない鳥で、迷惑をかけられたとか、駆除みたいな話は聞いたことがありません。
一部のマニアのあいだで羽の美しさや頭のよさを気に入って飼われているのかと想像しますが、定かではありません。これからはもっと気にしてみようと思います。画像も撮ってみます。
ツバメは朝夕とうちの周りをぐるぐる飛び回って、陽気で無邪気な印象があります。ツバメが飛ぶのを見続けていると、僕の体ギリギリをかすめて飛んだりして、からかわれてしまうことがあります。まさかはるばる越冬してきているとは知りませんでした。すごいですねー。
なんか本題をそれてたくさん書いてしまいすみません。
掲示板のほうがいいでしょうか。
これからもよろしくお願いします。
カラスも売られているのですね。以前「動物市場」という物をテレビで見た事があります。檻に入れられた動物達の悲しい瞳が焼きついています。ペットとして飼われるのなら良いのですが、目的が違っていたようでした。
人間はお金になると思ったらどんな残酷な事もやってしまいます。やはり罪悪感がないのでしょうか?
コメントの内容は全く決まっておりませんので気になさらないで下さいね。掲示板にも遊びに来て下さい。
ツバメやコムクドリ・ムシクイ類・ツグミ類ヒタキ類などなど・・・・・東南アジアからの渡り鳥はたくさんいますよ。何時頃そちらに到着するのか気になるところです。渡り鳥が多くなってきたら教えて欲しいです。分かる範囲で構いませんので・・・・・。
チゴハヤブサのとカラスの関係は余り知られていないのが現状です。役所側も分かっていても市民のからの苦情があるとカラスの巣を撤去してしまいます。柴田さんの仰る通り、アピールが必要ですね。