私はこの公園に住んで何年にもなるの。毎日毎日いろいろな人が公園にやって来る。私達の事をいつも見ている黒い服の女の人がいてね、私達の生態を誤解に満ちた人達に説明をしている事があるの。この間もそうだった・・・・・。
これ、ヤマガラさんが巣材を集めているところよ。これを見ていた年配の女性と黒い服の人が話しをしていたのを聞いちゃったの。
この年配女性が「この公園は鳥がたくさんいていいよね。みんな今は子育ての時期で、毎日楽しみにしているけど、カラスは要らないよね。カラスの巣は落としてもらわないと困る。小鳥の雛を食べるし、突いて来るし、カラスは要らない!!」と力強く言っていた。
この話しを聞いて黒い服の人は「カラスだって生態系の一員なんですよ。小鳥の雛を食べるのも自然界では当たり前の事で他の鳥だって小鳥や昆虫を食べます。そういった意味合いではみんな同じだと思いますよ」と言っていた。でもこの年配女性は「いや~カラスは要らない。いつも突かれるし、ゴミは散らかすし、いなくなっても困らない」と更に力を込めて言っていた。
私達だって巣材を集めて巣を造り子育てをしたいの。でも私達がこうして巣材を集めていると石を投げられたり、巣まで運ぶところをじっと見て巣の場所を見つけて「あそこにカラスの巣があるから落として欲しい」と連絡をするのよ。何故?
去年はこうしてて巣に座っている時に物を投げ付けられてパニックになった仲間もいるし、雛が巣から落ちて死んでしまった仲間もいるの・・・・。悲しいよね。
私達も小鳥さんと同じように見て欲しいなぁ~。だって私達は鳥なんだもの。危険物じゃあない!命があるの!毎日生きるために必死になっているだけなの!
僕もこの公園に住んで数年が経つ。この公園にはたくさんの仲間が暮らしている。狭いから時々喧嘩もするけど、みんなきちんとルールを守って暮らしているんだ。この間黒い服の人と年配女性が話していたのを聞いたんだ!!
この年配女性が「何時だったか自転車に乗っている時に、突然カラスに後ろから襲われてびっくりして転んで怪我をしたの。痛かったし、恥ずかしいし・・・・・。でも、きっと雛が側にいたんだと思うの。だから襲って来たんだと思うのね。カラスって雛を守るのに必死でしょう?気が付かなかった私が馬鹿だったのよね。襲われるのは嫌だけど、次はそこを通らなければ済む事だし、少しの間の事でしょう?」って言っていた。黒い服の人は「そうですね。年中襲って来る訳でもないし、繁殖期の限られた期間だけですからね。世の中の人がみんなあなたのように考える事が出来たらカラスと人の軋轢もなかった筈ですね。」と言っていた。
確かに僕たちハシブトガラスはハシボソガラス君と比べると気性が激しいしいから時には蹴ってしまう事もある。でもそれは人間が恐ろしい存在だからなんだ。人間の事が恐ろしくなかったら、僕たちは何にもしないよ。でも違うんだ!!都会では人間が見方でもあり、敵でもある。僕たちが幾ら抵抗しても武器を使って雛を連れて行かれる事もある。目の前で子供が連れて行かれるのって本当に辛いよ。悲しいよ。
昨年も雛を目の前で連れて行かれた仲間がいた。僕も近くで見ていたけど、悲しくて涙が出て来た。だって何ヶ月も掛けて育てた子供なんだよ。目の前で連れて行かれて平気な顔をしている親っていないと思う。人間だってそうでしょう?違うかな?