カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

巣立ち4:追記

2006-06-29 05:45:02 | 繁殖

 先日の記事『巣立ち4』であるスーパーの駐車場で雛を捕獲されてしまったブトのその後をお話ししたいと思う。あれ以来毎日このブト一家の様子が気になり、通りすがりにさり気なく見ていた。現在残りの兄弟が成長している。堂々と見れば良いのだろが、私の見ている方向を見てブトの雛がいる事が分かったら、通報する人がいないとも言い切れない。用心したに越した事はないだろう。

 雛は電柱の上に止まり辺りを見回していた。先日とは違い行動にも余裕が出て来たようである。時折、羽を広げたり伸びをしたりとカラスらしい行動になってきた。

 暫くして雛は近くの電線へ力強く飛び移った。この位飛べたらたとえ地面に下りてしまったとしても大丈夫だろう。先日のような悲劇には繋がらないと思う。雛は電線を止めているテープになるのだろうか?とても執着していた。遊び心と好奇心が出て来た証拠だ。一生懸命突いて、最後に少し引きちぎり落としてしまった。電線は大丈夫だろうか?羽の色艶も良さそうなので、親の給餌も上手く行われているようだった。良かった!良かった!

 親はどうしているのかというと、ご覧の通りちゃんと見張っている。この前のような悲劇にならないようにじっと声も出さずにひたすら見張っていたのである。このブトの場合は雛が捕獲された1羽だけではなかったのでまた救われたのだろう。たった1羽しかいない雛を捕獲されてしまった場合は暫く番でボーッとしている事が多い。この雛にはちゃんと成長してもらい立派なブトになり、独り立ちしてもらいたいと思う。私もその経過を見続けて行きたいと思うのである。

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経過2

2006-06-27 19:01:30 | 繁殖

 私の調査地の一つに都心部がある。この辺り繁殖しているカラスの巣はいつ落とされても仕方がない状況にある。このブトが営巣地として選んだのは都心のビジネス街の街路樹だ。公園とは違いビジネス街は常に人が行き交い、お昼時ともなれば更に人は溢れ出す。そんな中このブトは賢明に子育てをしていた。見に行く私も「まだ巣はあるだろうか?」と思いつつ見に行っていたのである。

 4月のある日、このブトが造巣しているところを発見した。街路樹というとても低い木で、樹種は「プラタナス」だった。この木の幹は迷彩模様になり見た目も面白い。ただし葉は大きく秋になり落葉すると落ち葉の掃除が大変な木でもある。今年はプラタナスの成長が悪く葉の茂りも遅かったので、巣は丸見えだった。

 そして抱卵を開始して20日余りが経った頃、雛が誕生していた。しかし未だに葉の茂りが悪く巣は丸見えだった。私は「今度来た時、巣は残っているだろうか?」と不安になってしまった。

 ♂は向かいにあるビルの屋上から見張りを欠かさなかった。ビルの屋上といえば日差しをもろに受けてしまい、体温を放出する為に口を開けている時もあった。♂は体力勝負である。

 ♀が巣から離れる際に、♂はこうして巣の側に立ち見守っていた。実にけな気である。巣には成長した雛がいる。さぞかし優しい眼差しで見ていたに違いないだろう。

 雛が成長すると食べ物の調達も忙しくなる。額に汗を流しながら一生懸命食べ物を探してくる。♂♀共に口一杯に詰め込んで雛へ口移しで与える。この時、親ガラスはとても優しい声で雛に語り掛けているようであった。

 そろそろ雛が巣立っている頃だろうと思い様子を見に行って見ると、巣に到着する前に既に通行人へ威嚇してるカラスが目に飛び込んできた。なんとあのブトではないか!!事もあろうに巣立った雛はビルの植栽に下りてしまったらしい。行き交う人は雛の存在に気が付いていないようである。しかし親は気が気でないのだ。通行人に威鳴きと低空飛行を繰り返していた。このブトのターゲットも男性のようで、女性にはほとんど反応していなかった。雛はもう1羽いて、この雛はちゃんと枝に止まっていた。この雛の下を通る際には親の威嚇行動は見られなかった。

 雛は不安げな表情で上に止まっている親を見上げていた。「カァー」と弱々しい鳴き声が聞こえている。巣立って間もない雛には枝へ飛び移る飛行力はない。私は「どうしようか?」と悩んだ。しかしどうすることも出来ない。逆に私が何か行動する事によって、気が付いていない人にまで雛の存在を教えてしまい大騒ぎになる可能性もあった。悩み考えた末に市の担当者に「この雛が悲しい事にならないようにして欲しい」とお願いをした。お願いをするしかなかったのだ。後は親の攻撃が激しくならない事を祈るしかなかった。

 このブトのように都心部での子育てにはリスクが高いといえるだろう。巣落としという悲劇も多いだろう。更に巣立ち後の雛の行き場が極めて少ない。何処にいても人との接触は避けられない状況にある。しかしこの場を縄張りとして保持し、巣を構えたのはブト自身である。ブトが言葉を理解する事が出来たなら「どうしてここを縄張りに選んだの?もう少し離れたら木がたくさんある場所もあるのに・・・・・」と問い掛けているに違いないだろう。

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巣立ち4

2006-06-25 05:46:15 | 繁殖

 カラスの巣立ちのピークを迎えている今日この頃であるが、巣の撤去や雛の捕獲も目立ってきた。先日自宅近くのブトに悲劇が起こってしまった。知り合いから「カラスの雛が駐車場にいて親が人を威嚇している。どうしたら良い?」と連絡が入った。公園のカラスの事もあり、すぐには見に行けなかったのが様子を見て現場に向かった。

 場所は公園から5分ほどのとあるスーパーだ。到着するまでもなくブトの低空飛行が見えていた。急ぎ足で駐車場の方へ行くと、既に警察官がいて通行人を誘導していた。「また、これか・・・・・」と半分呆れ顔で見ていた私の目に警察官が手にしていたある物がクローズアップされた。それはカラスが入るくらいのダンボール箱であった。

 私は警察官が雛を捕獲するつもりなのだろうと思いつつ、ちゃんと確かめる事にした。警察官を呼び止めて「雛を捕獲するつもりですか?捕獲許可は取りましたか?たとえ警察でも捕獲許可がないと違法になりますよ!!」と言ってみた。すると警察官は「いいえ、我々は捕獲に来た訳ではありません。カラスが暴れていると通報があり駆けつけたのです。このダンボールは頭を守る為です」といって大柄な警察官は自分の頭をガードしていた。はっきり言ってこの光景は笑えるのである。警察官は「スーパーの方で市に連絡をして撤去業者が来ます」と言っていた。雛は捕獲されてしまうのである。

 私は車の屋根に止まり不安そうにしている雛とそれを心配している親の気持ちを考えると可愛そうで仕方がなかった。親は威嚇といっても低空飛行をしているに過ぎなかった。雛は運悪く駐車場の車の屋根に止まってしまっただけだろう。買い物客は低空飛行してくるカラスに向かい優しさの欠片もない表情で手を挙げて追い払おうとしていた。「何故いつもこうなんだろうか?」と心底呆れてしまったのである。

 警察官の誘導もあり、通行人が避けて通って行ったので親は少し落ち着いていた。雛の側へ行こうとしていたその時、一台の車に向かって猛ダッシュを掛けた。その車は向かいにあるコンビニへ止まった。何の変哲もない乗用車だった。しかし親は2羽で激しく威嚇鳴きをしていた。間もなく中から人降りてきた。その手には巨大な虫取り網と箱がしっかりと握られていた。この人の顔を見ると最近良く遭遇する機会の多いいつもの撤去業者のお兄さんだった。私はこの雛の行き先を確認した。お兄さんはすぐに雛の捕獲に取り掛かった。雛は呆気なく網に入れられてしまい、箱に入れようとした瞬間に逃げ出したのだが、まだ余り飛行力がなかった為地面の降り立ってしまい、再び網に入れられてしまった。

 しかしこの時の雛の悲鳴に近い鳴き声と親の必死の抵抗が頭から離れない。本来なら巣のある木へ止まらせてあげると良かったのだろう。しかし巣のある場所も私有地だったので手出しは出来なかった。本当に可愛そうな事になってしまった。しかし雛はこの1羽だけではない。まだ巣の横には巣立った雛がじっとしている。兄弟もこの恐ろしい光景をしっかりと記憶したに違いない。

 親の興奮は15分ほどで落ち着き、残りの雛の見張りに入った。意外と気持ちの切り替えが早くて少し驚いてしまった。このブトの巣は公園へ向かう途中にあり巣造りの様子から見ていた。公園のカラスのようにじっくりと見る事じは出来ないのだが、自宅からもはっきりと見えていた。このブトはスーパーが出来る前にあった倉庫の時代から営巣している。当時は倉庫という事と木ももう少しあり、巣立った雛も安心して止まる事が出来ていた。人とのトラブルもほとんどなかったのである。

 しかしスーパーが出来てからは、巣を近くの会社の木に造るようになった。この会社の人達も巣を撤去する事はなかった。しかし雛が安心して止まっていられる場所がなく、いつも歩道に下りてしまい人とのトラブルが絶えなかった。私も最後まで様子を見る事が出来なかったので、雛がどうなっていたのかは全く把握出来ていなかった。しかし今日の反応を見ていると、確実に業者の人を記憶していた事になる。過去にも経験があるのかも知れないし、前回の記事のように「連鎖反応」なのかも知れない。

 今回のような悲劇は頻繁に起こっているのだろう。この雛は運が悪すぎたのと、人の理解不足が原因で親から離されてしまったのだ。人のほんの少しの気持ちの余裕と優しささえあれば、このような悲劇は起こらなかったのだろう。実に悲しい事である。その後親は残りの雛を地面に下ろす事なく電線で給餌をしている。人が下にいても鳴き声すら出さない。凄い事である。通常ならこの距離だったら威嚇鳴きくらいは行っていた。雛の捕獲という悲しい経験がそうさせているのだろうか?こうして記事を書いている時も親の見張っている姿がちゃんと見えている。悲しみに打ち勝ち、残りの雛を無事に独り立ちさせて欲しいと願うばかりである。

この一家のその後の暮らしぶりは『巣立ち4:追記』をご覧下さい。

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連鎖反応

2006-06-23 06:09:09 | 行動

 「連鎖反応」という言葉がある。言葉の意味は「何かが きっかけとなって、次々とその影響が他へ及ぶこと」とある。英語で表示すると「Chain Reaction」になる。この方がイメージとして解かり易いかも知れない。

 ここ数年私が力を入れて行っている「カラスの対人反応と行動」なのだが、毎年様々な行動を見せてくれるカラス達に感謝したいと思う。番や個体によって行動が全くといって良い程違いがあるのだ!!

 そんな中最近特に目を引く行動がある。それが「連鎖反応」である。一体どんな時に連鎖反応が見られるのかと言うと「巣落とし」や「攻撃」である。巣落としの現場に立ち会っていると巣を落とされる番と、周りに集まる「野次馬カラス」達の行動に興味が沸いて来る。先日の巣落としの時にも周りには数組のカラスが集まり、興奮しながら様子を見ていた。

 ある日ブトに向かって石を投げ付けている男性がいた。このブトには巣立って間もない雛がいる。雛を守ろうと親は必死である。しかし男性は向きになり石を投げ付けていた。その光景を見ていたのは私だけではなく、周りにいるブトやボソの番である。集団になって襲い掛かる事はないのだが、石を投げ付けられている光景をしっかりと見ていたのである。

 一先ずこの騒ぎが終了し、カラス達はそれぞれの縄張りへと消えて行く。注目すべき行動はその後である。この男性がボソの縄張り内へ入った瞬間に攻撃もされていないのに威鳴きを始めたのである。追跡しながら鳴いていた。

 この男性は今回は何もせずにその場を通過したのだが、次に入ったのはブトの縄張りだった。ブトはこの男性を見た途端に低空飛行を開始したのだった。男性自身驚いている様子だった。自分が通る度に何故かカラスが騒ぎ出すからだろう。

 この行動を分析してみると「カラスは他の番に何かが起こり警戒声を発していると様子を見に行き、攻撃をしている人間の顔をしっかりと記憶している」のだと考えられる。だからこそ対象人物が自分の縄張り内に侵入してきた際、咄嗟に反応するのだろう。

 巣の撤去業者の人が「自分がこの制服を着てただ歩いているだけでもカラスが騒ぎ出し、時には蹴られる時もある」と話していた。この話から推察しても巣の撤去時に野次馬として来ているカラス達はしっかりと撤去業者の人を記憶している事になる。全てのカラスが巣を撤去されている訳ではないので、普通で考えると撤去経験のないカラスは業者の人が分かる筈がないのである。

 つまり攻撃は「連鎖反応」している可能性が高いという事になる。撤去経験のないと思われるカラスや通常人に攻撃を加える事のないボソまでが反応しているという事を踏まえると連鎖していると思って間違いないだろう。カラスが必ずと言ってよい程反応する相手は「老人」である。私の観察ではカラスに攻撃を加える人の中で一番多いのが老人である。老人が攻撃を加えているところを他のカラスがしっかりと記憶していて「老人=危険」というレッテルが貼られているではないだろうか?カラスの記憶力の凄さに驚かされる行動だと思う。心無い人の行動がカラス全体に悪影響を与えている事にもなる。プライドや傲慢という人間ならではの行動のもと、カラスに攻撃を加えるのは止めて頂きたいと思うのである。

画像:ハシボソガラス雛

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刷り込み

2006-06-21 05:38:30 | その他

 「刷り込み」という言葉を皆さんも一度は耳にした事があると思う。生き物の世界=特に水鳥の世界ではこの刷り込みが激しいと聞いている。刷り込みの意味は「生まれた動物の仔が自分と接した最初の動物を親と見なし、それに甘え、依存した行動をとること」とある。つまり孵化した時に人が側にいた場合人の事を親と思い、行動や習性を真似してしまう事になる。

 公園に毎日いると本当にいろいろな人とお話しをする事になる。中には「こんな人来てもらっては迷惑だよ」と思う人もいる。何年も来ている人達は私からカラスの話をいいだけ聞かされているので、ちゃんと理解してくれている。実に有り難い事である。

 いつもお孫さんを連れて来る女性がいる。この女性自身は幼少期、自然の中で育ち今でも山へ散策に行っているという人だ。それ故にカラスやクマ、昆虫との適正な付き合い方や習性を熟知している。数少ない理想的な人かも知れない。数日前この女性から大変興味深いお話を聞く事が出来た。

 3世代全員で山菜採りに出掛けた時の話だった。この女性自体は山菜を採る事はしないそうである。山菜にもよるが、フキやタケノコといえばダニとの戦いでもある。当然ながら採ってきた山菜にもダニが付着している事だろう。帰りの車の中で、このダニがお孫さんの顔に付いていたらしい。この光景を見て母親がスプラッタ映画さながらの悲鳴を上げて騒いでしまったそうである。

 女性は「そんなに騒ぐ事でもないでしょう、ダニなんて取ってしまえばそれで済む事。大げさ過ぎるよ」と言ってダニを取ったそうである。ここまでの話なら特に特記する事でもなく、当たり前の事のように思えてしまう。

 問題はその後のお孫さんの反応だった。母親が自分の顔に付いていたダニを見て絶叫した記憶が鮮明に刷り込まさってしまったのだろう。それ以来お孫さんは昆虫を見ると悲鳴を上げるようになってしまったという。今まで、お孫さんはどんな昆虫を見ても平気だったらしい。実際私と話しをしている時も、アリを見て悲鳴を上げていた。

 女性は母親に「あんたが悲鳴を上げてしまったから、この子におかしな事を刷り込んでしまったのだよ。これは一生直らないかも知れない。どうする気?」と聞いたそうである。しかし母親はそんな事は全く気にしていない様子だったらしい。

 親から子への刷る込みは確かに存在する事だと思う。幼少期に親のやっている事を真似てそのまま今でも同じ事をやっている事てないだろうか?子供ならだれでも親にいう事や行動が間違っているなんて思いもしないだろう。大人になり、親の行動が間違っていたと感じる事が出来るなら良いのだろうが、間違いに気が付く事なく自分も親になり、また子供に刷り込みをしてしまう事になる。もちろん親子で考えや行動が全く違う事もあるので決め付けは出来ない。

 カラスへの反応はまさにこの親からの刷り込みが大部分を占めるのではなかろうか?現実に親子の行動を見ていると実感してしま事がある。親がカラスを見て「あっ、カラスさん、何しているのかな?」と子供に問い掛けていると、その子供は「カラスさん、何しているの?」と問い掛けてている。カラスへの恐怖心は微塵にも感じられない。

 逆に親がカラスを見た瞬間に子供を抱きかかえたり、その場で凍ってしまった場合はやはり子供も同じ行動をしているのである。子供はカラスに向かって「あっち行け!!」などと罵声を浴びせている。親も子供の行動に対して何の拒否反応も示す事はない。

 幼少期に刷り込まれた事というのはなかなか変える事が出来ないらしい。そうなるとカラスや生き物を好きになるか、嫌いになるかはこの幼少期における親からの刷り込みが大きく影響していると思うのである。これは大変な事だ!!

画像:ハシボソガラス親子

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巣立ち3

2006-06-20 19:23:09 | 繁殖

 カラスの巣立ちも残すところ後2番となった。早いところでは威嚇行動も治まりつつある。実に平和なひと時を過ごしている家族もいる。ボソの中で公園一神経質な番がいる。この番は雛数こそ少ないのだが、先日兄弟が死んでしまったボソと同じで毎年確実に雛を残している。今年は無事に2羽の雛を巣立たせた。地面に下りる事もなく、順調に育っているようである。雛のおねだりの声が日に日に大きくなってきた。ボソの雛のおねだりの声はとても可愛い。

 今日まで巣立ったカラスの中で一番忙しいのはいじめられっ子の親である。今年は頑張って3羽の雛を育てている。巣立っているのは2羽だ。残りの1羽は未だ巣の中にいる。先日最初に巣立った2羽のうち1羽に成長の遅れがあるのか全く飛ぶ事が出来なかった。雛が地面に下りてしまい、親が通行人を次々と攻撃してしまった。しかし「私に何とかしてくれ」と言われても、実は出来る事は殆どなく通行人を誘導する事くらいだった。

 ある日この雛は地面を放浪して歩道に出てしまい、最終的に隣接する某署の敷地に迷い込んでしまったらしい。私が帰った後の事だった。親が通行人を攻撃していたらしく困った職員の人が雛を捕まえて公園へ戻してくれたのだ。実はこの人「カーコのお父さん」だった。

 しかし先日いじめられっ子の親に不幸が起こってしまった。この雛が食べられてしまっていた。オオタカかネコにやられたのだろう。死骸は綺麗に食べ尽くされており、首は見付からなかった。人が行った行為なら許せないのだが、切り口から判断してもそれはなさそうだった。取り合えず雛の死骸は無駄になる事がなかった事になる。羽と足だけになってしまった雛を埋葬してあげた。親の様子が気になったのだが、雛がまだ残っているので大丈夫そうに見えた。それどころか給餌や威嚇に忙しく、悲しんでいる余裕がないのかも知れない。

 最初の雛が巣立って一週間を過ぎた。まだ雛はホッピングしか出来ない状態である。毎年思うのだが巣立ちした雛がウォーキング出来るようになるのに何日要するのだろう?これを確認するには雛に毎日地面を歩いてもらうしかないのだが、地面に下りてしまうと人との接触が多くなる。物事は上手く行かないものである。

 しかし問題なのは未だ巣に残っている最後の雛だ。通常雛の巣立ちに多少の差があっても何ら不思議はない。それにしても一週間経っても巣立てないというのは何かおかしいと思っている。いじめられっ子の親は遺伝なのかあまり健康状態の良い雛を育てる事が出来ないらしい。

 巣にいる雛の状態を見ていると立ち上がる姿を見た事がないのだ。給餌の際にも雛は伸び上がりはするものの、しっかりと足で立ち上がる事がないのである。もしかしたら、この雛は足に何か障害があるのかも知れない。私は毎日巣に雛がいなくなっている事を祈りながら巣を見るのだが、期待は裏切られ雛は巣にいるのである。

 もしこの雛が巣から落ちてしまったら一体どんな事になるのだろうか?と想像してしまう。きっと親は大パニックになり、そんな時に限って人が多く接触してしまうのである。雛がただ単に成長が遅れているだけなら問題はないのだが・・・・・。

画像:いじめられっ子親

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癒し13

2006-06-19 05:32:05 | 癒し

 ほとんどの人が雨が降ると憂鬱になったり、体調を崩したりと気分が優れない事だろう。しかし人によっては雨の日を今か今かと待ち遠しく感じている場合がある。公園という場所は晴れた日には溢れんばかりの人が押し寄せ、人のいない場所はないのでは?と思える程だ。そうなるとカラスの巣立ち雛と人との接触が増加してしまい、思わぬ事件へと発展してしまう事がある。

 しかし先日恵みの雨が降り、人の姿もほとんどなく実に平穏な日であった。そんな日でなければ巣立ちの時期に私が何処かへ出掛ける事なんて出来ないのである。しかし外は雨「何処へ出掛けようか?そうだ、久しぶりに子猫達に癒されに行こう!!」と思い立ち先を急ぐ。

 想像はしていたのだが、子猫達はすっかり立派になり見た目は母猫と変わらなくなっていた。体重も3キロ近くになり、生まれた時の3倍以上なっていた。しかし幼猫の時の面影はしっかりと残っている。母猫と変わりない大きさにも関わらず、出る筈のないオッパイを吸って満足している。母猫もそれを拒む事なく優しく受け入れる。子猫はそのまま眠りに就き幸せそうな寝顔を見せてくれていた。天使の寝顔そのものであった。恵みの雨と子猫達・・・・・久しぶりに癒されたのである。

最近増えたイチゴのお家です。代わる代わる出入りしているようですが、ご覧の通り「クロ」ちゃんが一番気に入っているようです。 

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経過

2006-06-17 20:29:52 | 繁殖

 先日心ない人によって巣を撤去されてしまったブトの巣造りから撤去までの経過をお話ししたいと思う。このブトは以前にもお話ししたのだが、数年前に「雛を叩き殺される」「雛を捕獲される」などと人による被害をたくさん受けている。きっと心に奥深く傷が残っているに違いない。数年間の巣撤去の廃止に伴い、攻撃性は穏やかになりつつあった。昨年は巣を途中まで造り、理由は分らないのだがそのまま放棄してしまい雛の誕生はなかった。今年は巣造りから順調に進み雛の元気な声が巣から聞こえるのが楽しみな毎日だった。そんな彼らに突然訪れた悲劇・・・・・彼らも私も想像すらしていなかった。

 彼らは不思議と私を見つけると飛んで来て近くの枝に止まる。特に何をする訳でもなくただ止まっているのである。私はいつも「おはよう!今日も仲良くて良いね!!」などと話しかけていた。

 4月のある日彼らは巣造りを開始した。最初は隣のボソの造巣中の巣を乗っ取ったのだが、ブトの巣にしては位置が低すぎたのだろう。結局止めて定番の木へ作り始めた。枝を集めては番で話し合いでもしているかのように子声で囁きあっていた。次から次へとハンガーや枝を集め、最後に一番大切な部分である「産座」造りを始めた。産座の為に集めた巣材は「犬の毛」「コケ」「シュロ縄」などだった。番の性格の違いが一番分るのはこの産座集めの時である。このブトの場合♀の方が意外と大雑把で、♂の方が神経がとても細やかだった。シュロ縄などを細かくする際も♂は糸のように細かくしていた。その光景を見て♀は「ねぇ~まだ?もう行こうよ~」と言わんばかりに巣材をくわえて♂の方を見ていた。私はこの光景を見るのが毎年楽しみだった。

 そして巣が完成!!りっぱな巣である。

 巣が完成して♀は抱卵に入り♂は近くのMSの屋上から見張りを開始した。時々♂と♀の鳴き交わしが聞こえていた。「お~い、何かおかしな事はないか?」「うん、大丈夫だよ!!」とでも話していたのだろうか?

 ♀が抱卵に入っている間、♂は食事を運ばなければいけない。ご馳走が手に入った時には急ぎ足で♀の元へ飛んで行く。そして給餌の声が聞こえる。間もなく♂は巣から飛び出して再び見張りという任務を遂行する。

 雛が誕生し、親はネコの手も借りたい程忙しくなって来た。雛が小さいうちは♂が中心になり食べ物を運ぶのだが、大きくなって来ると♀も巣から出て食べ物を探しに行く。雛の旺盛な食欲を満たす為には貯食も欠かせない。

 そして親の愛情がたっぷりと注がれた育雛により元気な雛が巣立った。しかしこれからが最も親にとっては神経を尖らせないといけない時期になる。雛は危険や恐さも全く解からない状態なので、親が必死になり守らなくてはいけない。親にとって一番危険な者は「人間」なのである。

 雛の側に人が近寄ると威嚇を始める。この威嚇が人とのトラブルに繋がってしまうのである。カラスの親のみならず、自分の子供を守るという行為は親ならば当前であり、それを行わない方がどうにかしているのではないだろうか?当たり前の行為をしているだけなのに、人の理解不足と傲慢によりこのブトの巣は撤去される事になってしまった。

 撤去の朝、最初に巣立った雛が捕食されてしまっていた。このブトは今年厄年なのかも知れない。撤去の時、親は巣立って誰もいなくなった巣だというのにかなり興奮していた。撤去業者の人に向かって猛ダッシュを始める。見ていた私は彼らの普通ではない興奮度合いに驚かされてしまった。しかし巣立った後という事もあり、想像していた程の激しい攻撃は見られなかった。

 何日も掛けて汗水流しながら造った巣はほんの数分で粉々になり、産座だけが地面にそのままの形で落ちてきた。巣はすっかりなくなってしまった。

 次の日、様子が気になっていたのだが雛への給餌に忙しそうで、悲しみは何処かへ飛んでいったのだろう。元気な姿を見られてなによりであった。来年はこんな悲劇が起こらないようにと願うばかりである。詳細は『情けない・・・・・』『撤去』を読んで欲しい。

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烏物11

2006-06-15 16:45:59 | 烏物

 烏物第11段です。京都の熊野神社の烏物です。

 「やたがらす交通安全ステッカー」です。マグネットになっています。

 「サッカー守り」です。色は青と白があります。私は白を買いました。他の神社のお守りと同じだと思っていたらデザインが違うようです。青も買えば良かったと思います。

 「加楽寿守り」です。色は白と青があります。ちっと小ぶりなお守りです。

クリックしてね

 左から「神札」・「熊野牛王符」・「火の用心札」です。神札は大・小とあります。神札が包まれている和紙を剥がすと中にやたがらすが描かれています。下の方に透けて見えると思いますが、厳しいでしょうか?

 「熊野牛王宝印」です。こちらはカラスが48羽描かれています。

 「熊野牛王宝印絵馬」です。この絵馬は通常の絵馬より一回り大きいです。とても豪華な絵馬だと思います。上の牛王宝印と全く同じ絵柄になっています。このカラスは可愛いと思います。

詳細は熊野神社へどうぞ!!電話かFAXになります。

『熊野神社』

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巣立ち2

2006-06-14 20:25:23 | 繁殖

 カラスの巣立ちが始まってからというものの、時間が許す限り観察をしている。カラスを観察すると共に人行動も観察する事になる。これが結構面白くもあり、時には腹立たしく感じる事がある。

 今日は久しぶりに6月らしい陽気で、こうなると人の出足も早くいつもの静けさは消え去りお祭り会場のような賑わいになる。これが巣立ちをした雛との接触の要因にもなってしまう。今日はいじめられっ子親の様子を集中的に観察する事にした。実は今の所一番攻撃が激しいのはいじめられっ子親なのである。

 今年はいつもの営巣場所から少し離れた駐車場の所に営巣してしまった。更にすぐ横が歩道という最悪の場所ともいえるだろう。想像はしていたのだが、人との接触が頻繁に起こり、親が必死になり雛を守ろうとしていた。心無い人がいて枝に上がっていた雛に向かって枝を投げ付けてしまった。雛は驚いてしまい、地面に下りてしまったではないか!!

 しかしこの雛は何とか飛ぶ事が出来るので暫くして枝に上がり親の興奮も治まった。良かった、良かった!!暫く経って雛は寝てしまったのだろう。親は並んで甘えた声を出しながらお互いに羽繕いをしていた。ほんの少しの時間ではあるが、夫婦水入らずになっていた。

 その後特に事件もなく、親も枝に止まり休み出した。私もここの所の寝不足がたたり、ウトウトしかかっていたその時、挙動不審の年配女性が現れた。この女性、辺りを気にしながら腰を低くして何かやっているようだ。双眼鏡を使い見てみると、何と駐車場の脇にパン屑を撒いているではないか!!こんな事をされたら親につられて雛も下りてきてしまう可能性がある。私はすぐさまホウキと塵取りを貸してもらいパン屑を掃き取った。本当に困った人である。もしかしたら掃き取っている姿を近くで見ていたかも知れない。

 雛が目覚めて移動を始めた。地面に下りて来ないで欲しいという願いが通じたのか雛は上手に枝伝いで移動してくれた。しかし今度は位置が低かった。案の定、下を通る通行人を威嚇し始めた。普段なら決して人が立ち止まる事のない場所に何故か人中年男性が立っていた。世の中偶然という事もあるのだが、何故こんな所に立っているのだろう?この男性、自分の真上に雛がいる事なんて夢にも思っていないだろう。更にカラスに威嚇されているなんて思ってもいない事だろう。

 男性は威嚇鳴きをされても全く気が付いていなようだった。親の威嚇は低空飛行へとレベルを上げていた。しかしそれでもこの男性は気が付いていないようである。低空飛行を7回連続でやられて初めてカラスの存在に気が付いたようである。その途端男性は走り出してしまった。親はここぞとばかりに追いかけて行った。男性の走り去る姿は滑稽だった。男性もまさか私が見ていたなんて思ってもいなかっただろう。

 巣にいる雛も数日中には巣立つだろうし、そうなると親はもっと忙しくなるだろう。私もどんな雛が巣立つのかとても楽しみである。

画像:いじめられっ子親(求愛給餌)

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撤去

2006-06-12 20:04:20 | 繁殖

 今日は朝から憂鬱だった。何故かというと、ブトの巣が撤去されるからだった。想像しただけで可愛そうという気持ちと何の罪もないカラスが人の理解不足によって犠牲になるからだ。

 今朝公園へ行くとこのブトは至って落ち着いていた。昨日までの興奮は何処へ行ったのやら?という感じで、このままだったら落とす必要は全くないと感じてしまった。巣に残っている雛の事が気掛かりで、巣の撤去の際に雛を殺さないでそのまま巣立たせてはもらえないだろうか?と考えていた。

 そう思い巣を見てみると、何と残りの雛が巣立っているではないか!!良かった、本当に良かった。ブトも何かを感じ取っていたのかも知れない。これで巣には雛がいない筈である。

 さて、昨日までいた雛は何処へ?と思い探していたら、雛の羽が落ちているではないか!!それも自然に抜けたものではなく、鋭い切り口でバラバラになっている羽が・・・・・。そう、このような事をやってのけるのはオオタカしかいない。可愛そうに・・・・・雛は多分オオタカに捕食されてしまったのだろう。毎年巣立ちの時期には何羽かの雛がオオタカに捕食される。これも自然の摂理である。

 巣の撤去業者が来て巣を落とせるかどうか確認していた。私は内心「この場所では撤去は無理ですね」という言葉を期待していたのだが「撤去出来ますね」と言われてしまった。ガックリ・・・・・。

 結局巣の撤去は夕方に行われる事になった。一日中巣の撤去で業者も忙しいという事だった。一日に一体幾つの巣を撤去しているのだろうか??

 再び業者の人が来て早速撤去に取り掛かった。梯子を掛けて登り始めた途端に番がやって来て威嚇を始めた。今回は木が込み合っていたので業者の人が直接蹴られる事はなかった。威嚇しながら番の行動に変化があった。それはお互いに嘴で突き合い鳴き叫んでいたのである。まるで交尾をする前の行動のようだった。違う点は尾羽プリプリがなかった事だった。興奮が激しくなるとこのような行動に出るのだろうか?

 幸い巣には雛がいなかった事もあり、思っていたよりは親の興奮も激しくなかったのがせめてもの救いだった。このブトの番が枝を集めて何日も掛けて完成させた巣も落とされるのに要した時間は僅か10分足らずであった。本当にあっけなく巣はものの見事になくなってしまった。跡形もなく・・・・・。

 今回このような事になってしまい本当に残念なのだが、悲しんでばかりはいられない。明日以降このブトの行動に変化があるのか?ないのか?をしっかりと観察していかなければならない。明日以降も雛がいる事に変わりはないので、威嚇行動はなくならないだろう。発端を作ってしまった人物に対してはこれからも威嚇が続く事だろう。今日もこの人物が来た時だけは威嚇をしていたのだから・・・・・。

画像:ハシブトガラス(今日巣を撤去されてしまいました)

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情けない・・・・・

2006-06-10 21:21:21 | ブトボソの呟き?

 今日ある心無い人物の攻撃によって興奮してしまったブトの巣の撤去が決まってしまった。巣にはまだ雛が残っている。このブトは過去に雛を捕獲されたり、叩き殺されたりしている。それ故に余計に巣立ちの頃になると神経質になってしまっているのだろう。

 市民権の乱用とも思える「カラスに怪我をさせられたら市の方でちゃんと責任を取ってくれるのか?」というセリフだ。歩道で転んで怪我をしたからといって「市に責任を取れ」という人がいるのだろうか?カラスの事だってこれに匹敵する程無謀な要求だと思うのだが・・・・・。

 「責任」という言葉を出されると立場が弱くなってしまうのがお役所の弱点なのかも知れない。残念という気持ちと私が何もしてあげられなかったという悔しさと情けなさと・・・・・。すっかり落ち込んでしまった・・・・・。 

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プライド

2006-06-09 21:36:31 | 行動

 誰にでも何かしらプライドというものを持ち合わせていると思う。しかしこのプライドが時には邪魔になる事があるだろう。プライドさえなければ事は容易に片付く場合もある。また、何気ない一言や行動がその人のプライドを傷付けてしまう事もあるだろう。プライドに傷を付けられた相手が人なら反論も出来るのだろうが、その相手がカラスだった場合には、どうにもならないのかも知れない。だってカラスはプライドを傷付けてやろうなんて思ってもいないのだから・・・・・。

 私が毎年カラスの巣立ちの時期に合わせて行っている「カラスの対人反応と行動」というものがあるのだが、これはカラスの行動を見ると同時に人の行動も見る事になる。言い換えれば「人間の対烏反応と行動」になるのだろうか?

 カラスの対人行動を見ていると個体差が手に取るように解かってくる。しかし全体に言える事として「カラスは男性=特に中高年以上の人に反応する」という事である。これはどういう事かというと、答えは簡単明白である。男性はカラスに攻撃を加える事が実に多いのである。しかし何故だろうか?それは多分「プライド」があるからだろう。男性は女性より遥かにプライドが高いのかも知れない。特にカラスに上から鳴かれたら、怖いとか思う以前に「馬鹿にされた」と思うらしい。女性の場合はプライドよりも「怖い」と思う方が多いのである。

 カラスにプライドを傷付けられたと思った男性は何が何でもカラスをやっつけてやりたいと思い、石を投げ付けたり枝を振り回したりするのである。しかし相手は翼のある鳥、しかも動きも敏しょうな上に人の行動を読み取っているかのように素早く交わされてしまう。そうなると余計に腹立たしくなり、止せば良いと思うのだが攻撃は一段と激しくなる、中にはマイクがいらないくらいの大声で怒鳴り散らしている人もいる。

 しかし大量のエネルギーを使いカラスを撃退したいと奮闘しても、残念ながら軍配はカラスに上がってしまうのである。プライドがある事により、カラスに攻撃を加えてしまう人間達を撃退するかの如くカラスの低空飛行は続く・・・・・。駄目押しで石を投げ付けながら不機嫌そうな顔付きでその場から退散する。お疲れ様と告げたい気持ちになってしまう。

 ここで少し余裕にある人なら周りを見渡すのだが、完全に切れてしまった人にそんな余裕は微塵もない。今までの行動の全てを見られていたなんて夢にも思ってもいない事だろう。少しだけ余裕のある人が、私の存在に気が付くと「カラスが攻撃して来るから危ない」という人もいる。しかし私が「カラスを攻撃すると顔を覚えられてしまうので、今度は何もしなくても攻撃される可能性がありますよ!!」と言われると残っていた余裕は無くなり、ヒートアップしてしまう。そして「カラスは駆除しなくてはダメだ、あれは危険だ!!」と捨てセリフを吐き出す。「そんな事はないと思いますよ。正しい接し方をすれば問題は解決出来ます。相手は野生の生き物ですから、人間の道理をいっても通じませんよ!」と言うと「あんな鳥に何か良い所があるのか?」と言いながら歩き出すのである。しかしこのような人がその後同じ場所に現れる事は極めて少ないのである。

 カラスにプライドを傷付けられたと思う人の場合、女性に何かを指摘されると受け付けようとしない傾向にあるのではなかろうか?それが明らかに自分より年下だと分っている場合は顕著に表れる。年齢を重ねれば重ねるほどその度合いは大きいのではないか?と感じてしまう。プライドというものが引き起こすほんの数分間の出来事だが、私はこの行動を決して見過ごす事は出来ない。このプライドによってカラスは攻撃をさせられてしまったのだから・・・・・。

画像:いじめられっ子親

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適応

2006-06-07 21:51:47 | 行動

 年間を通して同じルートを調査していると、季節の移り変わりや人の流れなどが面白い程よく解かるものである。先日調査に行った場所は市内中心部から数本離れた場所であるが、人の流れは中心部と差ほど変化は見られない。

 こんなところに野鳥なんているのか?と思うかも知れない。しかし都会の雑踏の中でも野鳥は人工物を利用して巧みに生き抜いているのである。一見自然とは掛け離れた環境ではあるが「住めば都」という事なのだろう。もちろんその中にはカラスも含まれるのだが、都心部のカラスは圧倒的に巣を撤去される確立が高い。「中心部=ビジネス街=人の往来が多い」という事が大きな理由になるだろう。

 調査を開始して最初に登場したのはドバトである。中心部ならではの歩道への撒き餌が彼らを呼び寄せているのだろう。電線を見上げると待機しているドバトが目白押しであし、気が付かないでその下にいると爆弾投下されてしまうので注意が必要になる。中心部とはそういう場所でもある。

 更に進んで行くと、今度は商店街に挟まれるようにして点在する民家がある。民家の庭木にはスズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、カワラヒワがたたずんでいる。スズメは縄張り争いをしているようでああう。スズメが忙しそうに飛び交っている先を見ると、電柱のパイプに作られた巣がある。スズメはこの電柱のパイプや街灯の傘の隙間を上手く利用して子育てに励んでいる。人によっては「スズメは昔のように軒下で営巣出来なくなったので減ったに違いない」と言っているのを耳にした事がある。しかし私はそうは思わない。電柱があればあるほどそのパイプにはスズメが陣取っている。そう考えると減ったとは思えないのである。民家から姿を消しただけで人工物が集中している場所に移動したに過ぎないのではなかろうか?

 突然上空へ向かいカラスが飛び出した。向かった先は悠々と飛翔しているオオタカだった。オオタカはカラスを捕食するので最強の天敵になる訳で、オオタカも獲物になるドバトが多い中心部へ現れる事が増えて来た。オオタカを追い払う為に主にブトがその中心を担う事になる。ボソも立ち向かうのだがすぐに退散して、後は「ブト君、頼んだよ」と言っているように感じてしまう。

 その後繁華街の横を通り過ぎるのだが、このエリアは結構悲惨な事がある。特に週末になるとあらゆる落し物?がある。酔ってしまい具合が悪くなったのだろうか?嘔吐物もある。しかしこの嘔吐物はカラスが結構喜んで食べているのだ。酔った勢いで食べてしまい殆ど消化される事なく排出されるので、その物が何なのかはすぐに判別が出来る。実にカラス好みの物が多いのも事実だ。歩道に目をやると酔い潰れてそのまま眠っているのか、人が横たわっている。しかし側を通る人は何ら気にする事もなく行き交う。私もその一人になるのだが、人が倒れていても誰も気にしないのが繁華街の特徴なのかも知れない。

 中心部を分けるようにして実に人工的な公園に行き着く。ここはドバトが多く、ホームレスも多い。ホームレスは何処から調達して来るのかコンビに弁当を食べている。そして近寄って来るドバトやカラスへ与えているではないか!!彼らにとってホームレスは優しい人になるのだろうか?

 途中にブトが繁殖している街路樹がある。この街路樹自体、樹高も低く芽吹きも遅い。そのため巣は丸見えで雛へ給餌しているところも肉眼で確認出来る。それよりも巣と同じ高さの会社では営巣がリアルに見る事が出来るだろう。私にしてみたら実に羨ましい事である。

 調査が終わり、一休みする場所がある。それは先日の「顔馴染みブト」のいる所だ。私は必ずここで休憩をして帰る事にしている。もちろん顔馴染みブトがやって来る。調査が終わり疲れを癒してくれる存在である事は言うまでもない。私自身もここに来る事がとても楽しみなのである。

画像:ハシブトガラス抱卵 

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元の鞘

2006-06-05 21:25:35 | 行動

水飲みボソ♀

 養子が巣を放棄してその後どんな変化があったのかというと結局、元の鞘の収まったのである。つまり3羽で今まで通りの生活に戻ったという事だ。でも、水飲みボソは繁殖中なのでは?という疑問が湧いてこないだろうか?

 水飲みボソの様子が変わったのは、一週間程前の事だった。いつもは巣にいる♀がやたらと地面に下りて来て、ゆっくりと採食しているではないか!!雛が大きくなる頃には巣が雛で一杯になるので♀も出てくる事が多くなる。しかし水飲みボソ♀の場合はそうではなかった。巣に戻る気配もなく、本来なら雛の声が聞こえてきても不思議はない時期なのだが、雛の声は全く聞こえてこなかった。恐らく雛は駄目になってしまったのだろう。

 水飲みボソは毎年と言って良い程2回繁殖をする。しかし今年は順調に繁殖が出来ているように感じていた。いつもなら雛が孵化した頃だろう、と思っていると新たに造巣を始めていたのである。今回は雛は確実に孵化しており、頻繁に給餌もしていたのを何度も目撃している。

水飲みボソ求愛給餌

 しかし確定は出来ないと思いある日ほぼ一日中水飲みボソの行動を観察してみた。やはり一度も巣に入る事はなかった。♀は相変わらず甘えっ子で、水飲みにおねだりをしていた。しかしその様子を見て周りの人達は雛に給餌をしていると思い込み、逃げ出す人までいた。あまりにも馬鹿馬鹿しいので説明する気にさえならなかったのである。

 今までと同じ行動に戻り♀も養子を威嚇する事はなくなった。養子は相変わらず水飲みにベッタリである。養子は水飲みボソ♀がおねだりをする様子をじっと見ていた。そうして養子もおねだりを始めるのだが給餌される事はない。

 そう思っていたら今までと少し様子が違っている事に気が付いた。それは水飲みが養子と一緒にいる方が多かったのである。水飲みの方から養子に近寄って行く事もあった。まるで番のようである。その光景を見て♀はどうしているのかと思うと、何ら気にしていないようである。本当におかしな一家である。

 夕方になり公園のカラス達はそれぞれ寝る態勢に入り、静かになっていった。水飲み一家はどうするのだろう?思い見ていたら、♀だけが枝に止まっており、水飲みと養子の姿がなかった。♀は何度か鳴いていた。すると2羽で飛んで来て枝に止まったのである。水飲みはすぐに♀の隣へ行き、養子は数メートル離れた枝に止まっていた。いつも同じ場所に糞が落ちているのでここがこの時期の寝場所である事は間違いないだろう。

水飲みボソ一家

 結局今年も水飲みの雛を見る事は出来なかった。養子はこのまま一緒にいるのだろうか?今の様子を見ている限り養子が出て行く気配は全く見られない。きっと来年の繁殖期までこうして3羽で過ごす事になるのだろう。益々目が離せない水飲み一家である。

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