今年の冬はいつもと違い何だかおかしい。北海道の今時期といえば毎日氷点下が当たり前で、雨なんて想像も出来ないのである。数日前は大雪で一気に平年を上回る積雪になった。しかし今日は雨が降っていた。気温も高く降り積もった雪は一気に融け出した。溶け出した雪は行き場がなく、歩道は池と化している。木の下などは土が丸見えで、一見すると3月下旬の光景である。暖冬という話であるが、可哀想なのは「雪祭り」だろう。せっかく作っている雪像もこれでは融けてしまうに違いない。
北海道は雪が積もる事により、昆虫や植物が越冬出来る環境になる。雪が土を覆う事により、温度がある程度一定に保たれ、表面を覗いては凍りつく事はない。しかし今年のように土が丸見えになってしまうと宜しくないのである。暖かいとはいえ、最低気温は氷点下になり土は凍り付いてしまうのである。
私は毎年必ず同じ場所に越冬しているある昆虫の事が気になっていた。秋になるとこの昆虫は集合し集団で越冬態勢に入る。この昆虫とは「シロジュウゴホシテントウ」である。名前の通り「星が15個あるテントウムシ」である。一般的にテントウムシは肉食性が多いのだが、同じ肉食でも彼らは「菌」食べるのである。園芸をやっている人なら一度はお目にかかった事があると思うのだが「うどん粉病」の菌を食べるのである。
しかし今年は彼らが越冬に入ってから何度かプラス気温になり、越冬している場所の雪が融けてしまっていた。秋に丸まった落ち葉や木の幹の間で越冬していた彼らは、なんと目覚めて動き出しているではないか!!これはいけない。再び気温が下がると彼らは動けなくなるだろう。その時に上手く越冬出来そうな場所にいれば良いのだが、中にはとんでもない場所に移動してしまっているかもしれない。そうなるとそのままそこで越冬ではなく息絶えてしまうのではないか?再び雪が降り気温も下がった時、彼らがどうなっているのかとても心配だった。全部を確認する事は無理だったが、ある程度の数は幹の中で越冬していた。このまま無事に越冬して欲しいと願うのである。
異常気象という言葉を頻繁に耳にするようになったのはここ数年の事だろう。確かに昨年の夏の少雨といいこの冬暖冬といい、異常気象と言わざるを得ない状況だろう。「そのうち地球は砂漠化してしまう」という話も聞いている。このまま気温の上昇に歯止めが掛からなければ南極の氷は融け出して小さな島は海の底へ沈んでしまう事だろう。海水の温度が上昇すれば、そこに生息しているプランクトンや魚が絶滅し、それらを食べ物にしている鳥類や哺乳類がダメージを受けるに違いない。食べる物がなければ繁殖も出来ない・・・・・つまりやがては近親交配になり種は絶滅してしまうだろう。
オゾン層の破壊もそうだが、人間がこの世に誕生した時点から地球環境破壊が始まったのかもしれない。そう考えたらこれから地球環境が改善される見込みはなく、悪化の一途を辿るしかないのだろうか?毎秒毎に破壊は進んでいるのだろうが、今ある自然の中で強かに生き抜いている生き物達をしっかりと見据えて行きたいと思うのである。