カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

生きるという事6

2010-05-24 17:40:10 | 行動

カラスが生きて行くという事は人間が思っている以上に過酷な場合がある。
特に体が不自由な個体だったら尚の事である。
今回紹介するブトもその一人?である。
頑張って生きている姿を見てほしい。



このブト君と出会ったのはまだ肌寒い春先の事である。



池で水を飲んでいるカラスを発見。
別段珍しい事ではない。



後ろ姿を見るとちょっと首の辺りが白っぽいような・・・・・。



そして正面から見ると・・・・・何と胸の辺りの羽が抜けていて地肌が透けて見えている。
時々このような個体を見る事があるのだが原因は不明。
考えられるのは栄養の偏りかストレスだろう。



この公園は餌付けのメッカなので食べ物には困る事はなさそうだ。



どうやらこのブト君、翼もボロボロなので余り飛ぶ事が出来ないようである。



こうして枝伝いに高い所へ移動する事になる。



翼が機能していなくても足がしっかりとしていれば高い所への移動は意外と容易である。



こうしてテクテクと移動して下りる時は何とか羽ばたいて下りているようだ。

可愛い顔をしている余り飛べないブト君。
特にいじめられているという感じはない。
ハンディがあるカラスが生き抜いて行く事はとても大変である。
今までもたくさんこのようなカラス達を見て来た。
ハンディに負けないで逞しく生きて欲しいと願うばかりである。

コメント (10)
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2010・繁殖3

2010-05-08 06:56:55 | 繁殖



今回登場するブト君は昨年から私のMFに入って来たいわゆる「新人君」である。
昨年は記事にしていなかったのだが、このブト君は災難続きだった。
昨年の繁殖期、雛に巣立ちまであと10日と迫っていたある日の事。巣から雛の悲鳴が聞こえて来た。
巣には何物かがいるようで動くのが見えた。
何と巣の中で雛に襲いかかっていたのは違うブトだった。
間もなく親が戻って来て殺さんばかりの勢いでブトを追い払った。
雛の1羽は数日後には死んでしまった。
残っていた雛にも災難が降りかかっていた。
巣立ち予定を大幅に過ぎても巣立つ様子はなく巣の上に立つのみだった。
私は悪い予感がしていたのだが・・・・・。結局約1っヵ月後には親が巣に出入りする事も「なくなり雛の姿も見えなくなった。
そして雪が舞い落ちる季節になった頃、巣の下に紙のように軽くなってしまった雛の死骸が落ちていた。
雛の足にはナイロンの紐が絡んでいた。紐が絡んでいたので動けなくて巣立てなかったのである。
そのまま死に絶えてしまった雛・・・・・。しかし親は最後の最後まで見捨てる事はなかったのである。



新人ブト君の事を「災難ブト君」と呼ぶ事にした。
こんな嫌な事があった公園を捨ててしなうのではないかと思っていたのだがそんな事はなかった。
災難ブト君はどのブトよりも縄張りから離れる事がなかった。
どうやらこの公園が気に入ったらしい。
変な人間が多い事をまだ余り知らないのだろうね~。



こちらは秋の換羽の時の顔。
ちょっと笑えるね。



いつも仲の良い夫婦。
2羽ともとても立派なブトでしょ?



そして冬が終わり春がやって来る頃になると巣材集めを始めた。



冬囲いに使うシュロなどは巣材として最高だね。



嘴と足を使って細かく裁断する。



巣が完成して♀が抱卵に入った。
♂は♀への給餌に忙しくなった。



食べ物を口いっぱいに詰め込んで水も調達する。



そして♀に食事の合図を送る。
その後♂は巣へ行き給餌を済ませる。



ちょっと見難いかもしれないが貯食しておいたドッグフード。



これを水と一緒に口の中に入れる。



ちゃんと水も飲ませてあげるのだ。
なんて優しいのだろう。

そろそろ雛が孵化している頃である。
雛が孵化すると♂はねじり鉢巻きで食べ物探しに没頭する毎日である。
更に縄張りパトロールも欠かさない。
昨年は雛を巣立たせる事が出来なかったから今年は無事に巣立つ事を祈らずにはいられない。

コメント (18)
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