追悼とは「死者の生前をしのび、その死をいたみ悲しむ事」とある。つまり既に他界してしまった事を意味する。このブログでも何度かカラスの死にまつわる記事を書いた事があるが、今回またこうして書かなくてはいけないなんて・・・・・。
私がカラスを観察して数年が経過している。同じ公園で同じカラスを毎日観察しているといろいろな出来事に遭遇する。それは自然界では当たり前の事や、予期せぬ人為的行為だったりと様々である。
いつもこのブログやテレビなどで活躍してくれる水飲みボソ。今年は第2婦人と3羽で過ごしていた。毎年繁殖を試みてはいるのだが、失敗してしまう事が多くもう5年間も雛を見ていない。更に今年は水飲みボソ♀が一切巣造りに参加しなかったという事だ。巣は水飲みボソ1羽で完成させた。第2婦人も1羽で巣を造ったのだが抱卵には至らなかった。
7月下旬のある日の事である。水飲みボソと第2婦人の姿しかなく、♀の姿を見掛けなかった。たまたま何処かに出掛けているのだろうと思いそんなに気にしていなかった。しかし数日が経過しても♀の姿はなかった。水飲みと第2婦人だけが縄張りにいて、何事もないかのように地面採食している。私は♀の姿を探したのだが、一向に見付かる気配がなかった。
9月のある日の事である。縄張りとは離れた別の場所で地面採食している水飲みボソ♀の姿があった。しかし様子が少しおかしい。翼を傷めているのか全く飛ぼうとしないではないか。私は無事を確かめる為にわざとに近寄ってみた。すると水平には飛べるのだがすぐに下りてしまい、高く飛び上がろうとはしなかった・・・・・いや、恐らく出来なかったのだろう。確かに翼は下がっていた。
数日が経過していくうちに段々と飛べるようになった。一先ずは安心した。しかし変化はこれだけではなかった。一向に自分の縄張りに戻ろうとはしないのである。♀がいるのは誰の縄張りでもない場所と違うボソの縄張りの間くらいだった。別なボソは♀が入って来ても別段追い出そうとはしていなかった。
ある日の事である。出掛けていた水飲みボソと第2婦人が帰って来て鳴き交わしを始めた。♀は耳を傾けて明らかに誰の鳴き声なのか分かっていたようである。しかし♀から鳴き声を出す事もなく、縄張りに行く事もなかった。この行動から推察して番関係は解消されたと思って間違いなさそうである。
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ある日の朝の事である。ボソの亡骸を発見して幼鳥なのかどうなのかという事を調べていたら、水飲みボソ♀にそっくりだった。特徴のある白斑や翼の色具合、足の擦れ具合などなど・・・・・ぴったりと一致している。私はとてもショックだった。世の中に似ているカラスがいてもおかしくはないのだが、ここまで容姿が一致するなんて考えられない。
私はこの亡骸が違うカラスであって欲しいと願っていた。毎日公園などでボソを見掛けると「水飲みボソ♀では?」と思ってしまう。しかし明らかに違っていた。どうか間違いであって欲しいと今でも思っている。
私が最後に♀を見たのはなんと縄張り内であった。「やっと縄張りに戻って来たのだね」と話し掛けてしまった。しかしその数日後に亡骸になってしまったのである。最後の最後に思い出がたくさん詰まった縄張りに戻って来たのだろうか? 彼女にとってこの公園は最高の生息地だったの違いない。何度も人から攻撃を受けても決してこの公園を捨てる事がなかった水飲みボソ♀。
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いつも♂におねだりをして可愛い姿を見せてくれた。繁殖は余り上手く行っていなかったけどいつも頑張っていたよね? 私の姿を見つけると近くに寄って来て「飼っているのですか?」と聞かれた事も多かった。そんな思い出が頭の中を駆け巡る。本当に長い間お疲れ様でした。私にたくさんの思い出を与えてくれてありがとうね、水飲みボソ♀。君の事は一生忘れる事はないからね。
番で水を飲んでいるシーンが動画でアップされています。こちらも是非ご覧下さい。
「シバラボTheater」 シバラボさん、ありがとうございました。良い思い出になりました。
「You Tube」 こちらもご覧下さい。