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クチヒゲノムラガニの生態

退職し晴耕雨読的研究生活に入った元水族館屋の雑感ブログ

上高地に行く ①白川郷を見て高山泊

2025-05-17 | 雑感


旅行は終活の一環である。

数年前から体に自信が持てなくなってしまった。そのため、「体がまだ動く内に”やりたいこと”をやっておかないと」、という強迫観念を持つようになった。

旅行は”やりたいこと”の1つである。特に行っておきたい目的地は国内では2つある。1つは幼少期を過ごした北海道千歳市付近の変貌ぶりを見とどけること。三つ子の魂ではないが、当地では幼稚園と小学校低学年時代を過ごし、その大地に今へと続く私の基本的な自然観というものが醸成されたように思う。そして、当地を離れたて以来、もう60年近く再訪していない。あのどこまでも続く地平線と、印象的なフランスベッドのポツンとした看板はどうなったであろうか。

他の1つは、国内では自然景観が最も美しいとされる上高地である。1度は自分の目で見ておきたい。という次第で数日前に彼の地を訪れた。

しかしながら上高地は遠い。家がある本州最果て・最南端の地から500km、車で7時間かかる。たぶん2度と行かないであろうから、ついでに憧れの白川郷も訪問地に含めた。日程は2泊3日、初日が白川郷、2日目は西穂ミニ登山、3日目は上高地散策をそれぞれ各日のメインに据えた、なかなかの欲張り強行軍。当初、車のルートは距離が短い名古屋経由を予定していたが、新名神と湾岸が工事で渋滞が予想されたため、行きは大阪経由を選んだ。

日程
○1日目(2025年5月13日) 快晴
(自宅-白川郷:520km、6時間40分、燃費20.6km。散策歩数19000)
03:42 自宅出発、05:28 紀ノ川SA、07:42 多賀SA、10:25 白川郷、13:28 高山到着・散策、15:00 KAjette入宿、晩食は麺屋真菜で高山ラーメン


白川郷。凝縮された映像で見ていたほどではないが、それなりに良い。


高山市内。上段は飛騨地方のお守りであるさるぼぼ。お団子が名物とのことで、昼はみたらし団子、五平餅、高山牛饅を食べ歩いた。当地の観光は、それ用に整備された観光店街を歩くことになるが、興をそそられない。それよりも、川を挟んだ反対の通りが静かで、祭り関係の店や家屋が並び趣がある。下段の画像はそんな中にあった床屋。強い昭和感を放っていた。


愛車となった新型ギア。よく走り、かつとても運転しやすい。この車を買わなければ、飛騨・信州旅行は思いつかなかった。今回は1000kmを走り、平均燃費は22km/ℓもあった。

紀伊路紀行③ 印南町内 20250505

2025-05-08 | 雑感

紀伊路印南町内の地図(赤線が古道:和歌山県提供の紀伊路マップから引用)


1年も間隔が空いたが、紀伊路歩きの3回目は印南町内の切目中山王子、切目王子、斑鳩王子を詣でた。行程は岩代駅(駐車:10時頃)-岩代王子(通過)-有馬皇子結び松の記念碑-徳本上人名号碑-榎木峠-切目中山王子-切目駅(昼食:12:30頃)-切目王子-コンビニ(休憩)-斑鳩王子-平和橋(旧街道を川沿いを上る)-切目駅(15:30頃)。総歩数は約2万歩、距離は約10km。



有馬皇子結び松の記念碑:国道沿いにあり貧弱な松が植えられているが、もう50年もすれば名所になろう。悲しい歴史が偲ばれる。中段は江戸時代後期に描かれたもの(紀伊国名所図会より)。


榎木峠:距離は長く舗装路ではあるが、傾斜の緩やかな静かな農道。


切目中山王子:この横からの印南の町の眺望が素晴らしい。



切目駅:駅舎内には松下太紀さんの蛙アートが展示されている。あちこちの標識にも蛙マークがあり、さすが蛙大橋の町である。なお、切目王子にはこの先にある切目川を渡るが、地図に載っている切目橋は建て替え中であるため、国道を利用する。


切目王子:格式の高い五体王子の1つであり、紀伊国名所図会にも描かれている。


斑鳩王子


印南街道:斑鳩王子を下るとやっと蛙大橋が見えてくる。印南川沿いは旧街道が走り、当時の繁栄の痕跡を示すが、今は悲しいかな廃屋ばかりが並ぶ。この街道は同じ川沿いにある古座街道に似ている。


印南駅から見た蛙大橋と旧印南驛の大橋(紀伊国名所図会より)。両者は同じ場所ではないが、そう離れてもいまい。


蛙大橋:実は今回のメインはこれでした。見られて満足。

サンゴに生じる虫瘤の謎~受動的か能動的か

2025-05-08 | 雑感
これまで多数のコモンサンゴ類標本を採集してきたが、その中で異常な数の虫瘤が生じたものに出会ったことがある。虫瘤とは正確には虫瘤状粒状突起とでも表現され、個体を取り巻く個体壁が個体と共に突出し、さらに個体壁が膨張してドーム状に変形した奇形個体を指す。虫瘤の直径は約2mm、内部は空洞で、他生物が居住した痕跡は認められない(標本は漂白してあるので軟体質は残らない)。さて、この標本の場合、個体のほとんどが虫瘤状に変形し、正常な個体はほとんど認められなかった。当初はこれを珍種と判断してMontipora sp. MUSHIKOBU ムシコブコモンサンゴと暫定的な名前を与えて区別していたが、後にMontipora nodosa イワトゲコモンサンゴが何らかの寄生生物の影響を受けた奇形標本であると判断された。それは、この種の他の標本のいくつかにおいても虫瘤が散見されたためである。


Montipora nodosa イワトゲコモンサンゴに生じた異常な数の虫瘤:標本は慶良間諸島産、目盛り及びバーのサイズは1mm。


この標本の発見以降、しばらくは虫瘤を生じた標本は見かけなかったのであるが、宮古諸島で採集した、イワトゲコモンサンゴとは系統が大きく異なるMontipora fungiformis(仮にコモンサンゴAと呼ぶ)からも多数の虫瘤が発見された。虫瘤の形はイワトゲコモンサンゴと変わりないが、コモンサンゴAでは採集された4標本全てにおいて多数の虫瘤が確認された。これらの標本では、正常な個体は虫瘤よりも優占し、かつ同一の虫瘤形成パターンを有した。すなわち、
①個体壁の一部が肥厚しながら個体と共に突出
②個体壁が膨らみドーム状に変形
③最終的に個体壁は頂部に空いていた莢開口部を閉じる

これらの標本の観察から、虫瘤は本種に普遍的に備った形質のようにも見受けられる。そうであれば、虫瘤は本種にとって何らかの適応的意味があるはずである。しかしながら、虫瘤形成によって個体の機能を失う事により得られる利益が何であるか想像が及ばない。

もしかしたら、虫瘤は何らかの生物の寄生によって作らされた寄生生物の住居かもしれない。これが正しければ、寄生生物が宿主を巧みにコントロールし、住居を作らせていることになる。このたいへん興味深い発見は「Nature」級の論文となること間違いないが、話が出来すぎていてかえって信憑性に欠ける。

そのため、こうも考えられる。「虫瘤は寄生生物に対抗するためのサンゴ側の防除反応かもしれない」。この説が一番自然か。ただし真実は未だ藪の中。



Montipora fungiformis コモンサンゴAに生じた多数の虫瘤:標本は宮古島諸島、目盛り及びバーのサイズは1mm。

ハナイカの繁殖~昔の仕事

2025-05-07 | 雑感

ハナイカ:興奮時(上)と隠蔽時(下)


先日、若い研究者から報文の別刷り請求があった。

研究者間では別刷り請求があったら無償で応じなければならないという暗黙の了解があり、私も先達の研究者からたくさんの別刷りを分けていただいた。

しかしながら、関心を持たれない生物達を研究してきたため、自分に別刷り請求が来ることはほとんどなかった。新種記載論文を出しても請求がくるのはほんの数件程度といった次第、張り合いはなく、まったく自己満足の世界である。

さて、今回、久しぶりに別刷り請求があったのは、40年以上も前の大昔に、水族館業務の一環で手がけたハナイカの4世代累代飼育に関するものである。愛着のあった生物であったが、寿命が1年しかないはかない命がとてもやるせなかった。昔の仕事の話。


求愛行動




卵内の発育段階


孵化直前


孵化脱出


孵化直後の稚仔

大雲取越のさわりを歩く-亡き友人の声は聞こえたか

2025-05-07 | 雑感

大雲取越の行路(田辺市熊野ツーリズムビューローの古道地図を引用)


もう20年前の話。知人の紀伊民報記社さんの設定で、古老ガイドによる熊野古道大辺路は富田坂を歩いた事があった。この時のガイドさんは、当地にあったとされる「姥捨て山」探索をライフワークに手がけていたり、霊感はあったりと、とてもユニークな人であったのであるが、この人からとても興味深い話を聞かされた。熊野古道の中でも難所の一つとされる「大雲取越」を夜中に一人で歩いていた時に、ザッザッと音を立てた落ち武者の行進に出会ったそうである。同行した友人はその話にたいそう関心を示し、その後、しきりに夜中の「大雲取越」敢行を所望されていたのであるが、残念ながら彼が存命中にはその実現は叶わなかった。

数日前、帰省中の娘がどこか歩きたいというので、「大雲取越」のさわりをコースに選んだ。「大雲取越」は熊野本宮大社から熊野那智大社を結ぶ山深い参詣道で、「小雲取越」を含めると30kmにも及ぶ熊野古道屈指の難関である。ここを一度に完歩するのは体力的に無理であるので、那智大社寄り1/10に当たる高原公園-色川辻(約3km)往復をコースとし、帰りは車道を歩いた。ただし、ただ歩いただけではない。上述した古老ガイドが落ち武者の亡霊に出会ったと思われる地点「亡者の出会い」をコース内に含めた。

高原公園に車を止め、通常の参詣ルートとは逆向きにハイキングを開始、90分ほどかけて展望台のある舟見峠に到着、ここで昼食を取り、「亡者の出会い」を通過し、出発から150分で色川辻に到達した。

さて懸案の地点である「亡者の出会い」。解説付きの看板が立ててあったのでそれと分かったが、他とあまり変わりない尾根中にある。解説を読むと、当地は古より亡くなった親族や友人に出会う場所であるらしい。幸いにも亡き友人の姿や声は感じなかった。


石畳の道が続くよく整備された古道である





ちゃんと看板と解説があり、とてもうれしい。


途中に出会ったギンリョウソウ。幽霊のような花。


ウンゼンツツジ:小型で可憐なツツジ。今が最盛期。ウンゼンと名が付くものの、雲仙には分布しない。和歌山県ではウンゼンツツジとは呼ばず、コメツツジと呼ぶ。

晩春の花

2025-04-28 | 雑感
この時期は花に溢れ、毎日古道を散歩していて本当に楽しい。目に付いた派手なものを撮ってみた。

タツナミソウ


ジャケツイバラ


アブラギリ

モチツツジ


クロバイ



桜花の銀河

2025-04-09 | 雑感


続けて桜の話題。

2年前に本宮大社に至る熊野古道を歩いていたら、大斎原の対岸に一際もえ立つ桜の山が目に入った。気になって訪れたところ、散り桜にはなっていたが、道路に散り積もった桜花の洪水に感激を覚えた。満開の桜も良いが、散り桜こそ美しい。

後に調べたら、この場所は七越峯(ななこしのみね)という桜の名所で、しかも修験道の道として知られる大峰奧駈道(おおみねおくがけみち)の入り口でもあることが分かった。

さて、2年振りに七越峯に訪れた。もちろん散り桜目当てであり、来訪に際しては熊野本宮観光協会ホームページ・桜情報の「散り始め」との表示を参考にさせていただいた。

期待通り、今回も道路上の桜花の銀河を堪能させていただいた。毎年訪れたい。







「ヤマザクラ」と思っていたのはクマノザクラ

2025-03-25 | 雑感



ソメイヨシノよりも半月もしくはそれ以上早く、山に普通に咲く桜を、これまでヤマザクラだと思っていた。ところが、どうやら違うらしい。

今日、散歩の途中で一際美しい薄桃色で咲く「ヤマザクラ」の写真を撮り、調べて見たらそれはヤマザクラではなく、クマノザクラであることが分かった。

花に基づいたクマノザクラとヤマザクラの違いは以下のとおりである。
・クマノザクラの花の色は白色~薄薄桃であるのに対しヤマザクラは純白
・クマノザクラは1つの花芽につき2個の花を付けるのに対しヤマザクラは3~4個
・クマノザクラの花柄の長さはヤマザクラに比べて顕著に短い
・クマノザクラの開花時期は3月上旬~下旬であるのに対しヤマザクラは4月中旬~下旬

上記の相違点に基づけば、写真の種はクマノザクラに同定される。

クマノザクラ Cerasus kumanoensisは2018年新種として報告されたばかりの、熊野地方(紀伊半島南部)原産の日本固有種である。これまで私が誤認していた「ヤマザクラ」が本種であるとするならばうれしい限りであり、明日からは見る目が違ってくることであろう。

今が最盛期の「ヤマザクラ」ならぬクマノザクラ


クマノザクラの大木

飛行機雲はエンジンの数と同じ本数で現れる

2025-03-24 | 雑感


少し前になるが、旅客機がいつになく鮮烈な筋を引いていた。

上空に旅客機があると、つい、どこに向かっているのであろうかと想像を巡らしてしまう。

写真の機体は南東方向に向かっていた。たぶん東京行きであろうが、もしかしたらハワイ航路かもしれない。。。。。

ところで、旅客機は雲を作る時もあれば、全く作らない時もある。気になって調べてみた。

飛行機雲ができる条件は、「飛行機の高度が1万メートル付近であること、上空の気温が低いこと(-40度~-60度程度)、上空の湿度が高いこと」だそうである。

従って、写真を撮影した時は上空の湿度が異常に高かったことが窺える。また、飛行機雲ができない時は、この真逆なのであろう。

また、さらに面白いことが分かった。飛行機雲が顕著な時は天気は落ち、そうでない時は晴れが続く。これは常識なのであろうが知らなかった。

さらにトリビア:飛行機雲はエンジンの数と同じ本数で現れる。




ついに納車

2025-03-17 | 雑感


半年待ちと言われ到着を待ち望んでいた新車(新型スペーシアギアXZターボ2WD)が,予約から2ヶ月ほどであっけなく納車となった。本車に乗り始めてまだ2週間。過剰すぎる機能にはなかなか慣れず,いささかうんざりもしているが,運転しやすく総合的には満足している。

自宅の太陽光発電システムと連携できる理想の軽EVが発売されるまでの「つなぎ」として購入した次第であるが,長く乗りそうな予感はある。これからの活用が楽しみである。

新旧交代


名勝「一枚岩」で記念撮影