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クチヒゲノムラガニの生態

退職し晴耕雨読的研究生活に入った元水族館屋の雑感ブログ

中辺路紀行⑬ 中辺路町湯川王子

2022-11-07 | 雑感

田辺市熊野ツーリズムビューローの古道地図を引用


18000歩、約10km、その内の熊野古道はほんの1km 20221106

 先週に続き、中辺路町内の王子を巡った。今回は、中辺路町辺境の道湯川にある湯川王子を往復した。本来の古道は仲人茶屋跡から岩神王子・蛇形地蔵を経由して湯川王子に至るのであるが、2011年の紀伊半島大水害により古道が崩壊したため、以降は迂回路から蛇形地蔵に回るようにルートが変更されており、往路はこのルートを用いて湯川王子を詣でた。復路は同じ道を戻るのはつまらないので、廃棄された古道に隣接して整備された林道(蛇形地蔵参道)を用いて大回りに歩き、車を駐めた仲人茶屋跡近くに戻った。
 車に戻る途中、岩神王子近くでは古道と林道が交差し、昔の古道標識が残っていた。この標識から岩神王子までは200mと記され、しかも道は残っていたので、通行止めの標識はあったものの、自己責任で岩神王子まで恐る恐る足を伸ばした。幸いにもこの区間では崩落箇所は無く、草が生い茂っていたものの岩神王子に到達することができ、中辺路の完全王子制覇を逃さずに済んだ。ただし、この王子は、やがて道が消失し、再び時の中に埋もれてしまうのかもしれない。
 今回の散策は、残念ながら本来の古道を歩くことができなかったが、迂回路はよく整備されてたいへん歩きやすく、また、国道から離れているためバイクの轟音を耳にすることも無く、とても満喫することができた。やはり、景色のみならず、音の静謐さも、古道巡りには重要な要素である。これから最終地点である本宮までは国道からは離れている。安らかに古道歩きが楽しめそうだ。なお、次回からのアクセスは熊野川へと移るが、再開は年明けになる。


岩神王子方面通行止めの標識


迂回路表示


迂回路表示と入り口。整備されていて分かりやすい。


迂回路も整備されたいへん歩きやすい


所々に獣除けのネットが張られており、ここをくぐって通過する


蛇形地蔵。この恐ろしい名前は、付近に産出した蛇型の海藻化石に因むが、化石が見たかった。この地蔵は付近に出没した悪い妖怪「ダル」から住民を守るために造られたとのこと。確かに付近は薄暗く、雰囲気はある。


その雰囲気はこの地蔵の横に群生するシダからも出ている。なんと色が青く、いかにも妖しげである。


シダの和名はコンテリクラマゴケ。この場所にぴったりであるが、外来種とのこと。


蛇形地蔵と湯川王子の中間付近にある標識。岩神王子からの古道はここに出た。


湯川王子手前にある道湯川集落跡。かつては参詣客の宿場として栄えた。


集落跡に群生するトウゲシバ。古道は苔やシダの宝庫でもある。


湯川王子。素晴らしい社が設けられており格式がある。皇太子殿下(現天皇)も行啓された。


この林道は過剰に整備され過ぎている気がしたが、皇太子殿下が行啓されるために造られたためであろう。


林道に残る古道の旧案内表示。今は通行止めになっている。ここから岩神王子まではわずかに200m。


途中の道はご覧のとおり。ただしまだ崩落はしていない。


静かに佇む岩神王子跡の石碑。


古道標識を過ぎトンネルを通ると林道は舗装道路へと変わる。

「画家まつお」さんの新作

2022-11-04 | 雑感


 和歌山の女流画家である「画家まつお」さんが、串本海中公園水族館内において20日間もの長期にわたってライブペインティングを行い、10月28日にその大作を完成させました。

 テーマは「串本海中公園の水族館と海の生物」。毎日水族館の生物を観察し、時々スノーケリングで海を泳ぎ、その時のイメージを即興で絵の中に散りばめつつ、彼女ならではの生態系をキャンバスに再現しました。

 今回はポップな表現を強調され、「画家まつお」さん贔屓の私としては、いよいよ田中一村もしくはゴーガンに近づきつつあると評価しています。

 絵は27日にほぼ完成し、28日は「海中で感動したキビナゴの大群」を1日かけて描いたそうです。この絵を含めた「画家まつお」さんの作品は、来年の正月まで、串本海中公園水族館内で展示されています。




中辺路紀行⑫ 中辺路町継桜王子~熊瀬川王子

2022-11-02 | 雑感


田辺市熊野ツーリズムビューローの古道地図を引用



「中辺路はトンビにご用心」 20221030


 暑さも遠のき古道散策には最適な季節になったので5ヶ月ぶりに再開した。今回は中辺路町野中にある継桜王子、中川王子、小広王子、熊瀬川王子の4つの王子を巡った。このコースはほぼ舗装道路(旧国道)上にあり、継桜王子を除いてどの王子も江戸時代以降の石碑が置かれている程度で、歴史探索としての風情は少なかった。道すがら廃屋ばかりが目につき、寂れた限界集落の姿に、不謹慎ながら古道よりも風情を感じた。それには、古道ブームが去り、往来が無くなった現状も拍車をかけているように思われた。

 継桜王子近くの駐車場に車を駐め、熊瀬川王子をのんびり往復して約15000歩、3時間の行程、急な上り下りもなく快晴の中の気持ちの良い散策であった。

 帰りは近露に再オープンした 「古道歩きの里ちかつゆ」に立ち寄った。そこにある「KEY BAKERY」で焼きたてのクロワッサンを買い、中辺路美術館の外のベンチで川や里の風景を見ながら遅い昼食を楽しんだのであるが、パンを食べ終わった時に風圧と共に左手に痛みを感じた。手の甲に穴が2カ所空き、血が滲んでいる。だんだんと痛みが増すが、太い血管を避けられてよかった。その瞬間は何が起きたのか分からなかったが、ドジなトビがパンと間違えて手をつかんだのだと理解した。上を見ると件のトビがまだ旋回している。若鳥なのだろうが、その未熟さは危険である。被害者が他に出るやも知れないと思い、美術館の人に状況だけ伝えておいた。

 さて、中辺路はこれから国道を逸れ、本宮へと続く佳境に差しかかる。富田川からのアクセスは次回で最後、次回以降は熊野川からとなる。終わりが見えてきて少し寂しい。




継桜王子
この王子だけは社があり、華やかな記録や伝承が残っている。名称は檜の土台に山桜が継木された奇跡の桜が生えていたことに因む。また、南方熊楠が守った杉の巨木群(野中の一本杉)も残っている。


継桜(秀衡桜)
何代目かの継桜の枯木、この横に令和の苗木が植えられている


近くにある素敵な民宿

継桜王子近くのトイレ、グッドデザイン!


この看板はよく出没する。今回は鈴を鳴らして歩いた。


桜が咲いていました


歩いたのは旧国道


プチ紅葉


下には現国道が走り、バイクの爆音が趣を削ぐ


新高尾トンネル。日置川に至る1kmもある長いトンネル。次回はここを車で通りたいと思うが、いつも通れる分けではないようである。


中川王子


小広王子


熊瀬川王子


旧国道から熊瀬川王子に続く林道。木漏れ日が美しい。


目に止まった廃屋群。真新しいのもある。最後の2枚は古道ブームを期待したのでしょうが。。。

トビに「鷲掴み」にされた手。けっこう深い穴が空いたが数日で修復しました。