
田辺市熊野ツーリズムビューローの古道地図を引用
18000歩、約10km、その内の熊野古道はほんの1km 20221106
先週に続き、中辺路町内の王子を巡った。今回は、中辺路町辺境の道湯川にある湯川王子を往復した。本来の古道は仲人茶屋跡から岩神王子・蛇形地蔵を経由して湯川王子に至るのであるが、2011年の紀伊半島大水害により古道が崩壊したため、以降は迂回路から蛇形地蔵に回るようにルートが変更されており、往路はこのルートを用いて湯川王子を詣でた。復路は同じ道を戻るのはつまらないので、廃棄された古道に隣接して整備された林道(蛇形地蔵参道)を用いて大回りに歩き、車を駐めた仲人茶屋跡近くに戻った。
車に戻る途中、岩神王子近くでは古道と林道が交差し、昔の古道標識が残っていた。この標識から岩神王子までは200mと記され、しかも道は残っていたので、通行止めの標識はあったものの、自己責任で岩神王子まで恐る恐る足を伸ばした。幸いにもこの区間では崩落箇所は無く、草が生い茂っていたものの岩神王子に到達することができ、中辺路の完全王子制覇を逃さずに済んだ。ただし、この王子は、やがて道が消失し、再び時の中に埋もれてしまうのかもしれない。
今回の散策は、残念ながら本来の古道を歩くことができなかったが、迂回路はよく整備されてたいへん歩きやすく、また、国道から離れているためバイクの轟音を耳にすることも無く、とても満喫することができた。やはり、景色のみならず、音の静謐さも、古道巡りには重要な要素である。これから最終地点である本宮までは国道からは離れている。安らかに古道歩きが楽しめそうだ。なお、次回からのアクセスは熊野川へと移るが、再開は年明けになる。

岩神王子方面通行止めの標識

迂回路表示

迂回路表示と入り口。整備されていて分かりやすい。

迂回路も整備されたいへん歩きやすい

所々に獣除けのネットが張られており、ここをくぐって通過する

蛇形地蔵。この恐ろしい名前は、付近に産出した蛇型の海藻化石に因むが、化石が見たかった。この地蔵は付近に出没した悪い妖怪「ダル」から住民を守るために造られたとのこと。確かに付近は薄暗く、雰囲気はある。

その雰囲気はこの地蔵の横に群生するシダからも出ている。なんと色が青く、いかにも妖しげである。

シダの和名はコンテリクラマゴケ。この場所にぴったりであるが、外来種とのこと。

蛇形地蔵と湯川王子の中間付近にある標識。岩神王子からの古道はここに出た。

湯川王子手前にある道湯川集落跡。かつては参詣客の宿場として栄えた。




集落跡に群生するトウゲシバ。古道は苔やシダの宝庫でもある。

湯川王子。素晴らしい社が設けられており格式がある。皇太子殿下(現天皇)も行啓された。


この林道は過剰に整備され過ぎている気がしたが、皇太子殿下が行啓されるために造られたためであろう。

林道に残る古道の旧案内表示。今は通行止めになっている。ここから岩神王子まではわずかに200m。

途中の道はご覧のとおり。ただしまだ崩落はしていない。

静かに佇む岩神王子跡の石碑。

古道標識を過ぎトンネルを通ると林道は舗装道路へと変わる。