世界的なサンゴ分類の権威であるVeron博士の、3巻組の大著であるCorals of the World(2000)で新種記載された Montipora cryptusとMontipora hemisphericaの生態写真と、それらを最記載したVeron (2002)に示されているタイプ標本の写真がそれぞれ整合せず、この現象解明に取り組んでいたら謎が解けた。
Veron(2002)でタイプを指定する際に両者の標本を取り違えたのだ。両者の標本は共にエジプトシナイ半島産。同じ箱にでも入れてあったため混同したのであろうが、これは単なる間違いでは済まされない。というのも、分類学ではタイプ標本にのみ真実が従属するからである。やってくれるぜVeronさん。これまで数々の誤りを目にしてきたが、ここまで酷いのは少ない。分類学者として致命的だ。なんで、取り違いに気づかなかったのであろう。
と、ため息をついていたら、ある事を思い出した。Corals of the World(2000)では分類命名規約に則らずに新種記載が行われたため、その不備を補うために再記載とホロタイプ指定のためVeron(2002)が出版された。しかしながら、ホロタイプ指定は原記載のみでしか行えないので、Veron(2002)でのタイプ指定行為は無効とされる。
つまり、両種共に未だにタイプ標本は存在しない状態にあり、学名だけで実体が存在しない幽霊種となっているのだ。これを解消するためには、ちゃんとした論文でレクトタイプ指定する必要があり、その際に標本を整合させればよい。誰かが。。。

Montipora cryptusの原記載(Corals of the World, 2000, 126)。3枚の生態写真全て種が異なっている。著者が疑問に思わなかった事が悲しい。

Montipora hemisphericaの原記載(Corals of the World, 2000, 147)。

Veron(2002, 14)におけるMontipora cryptusのホロタイプ標本。この標本は、M. hemisphericaの原記載の写真の種に合致する。

Veron(2002, 22)におけるMontipora hemisphericaのホロタイプ標本。この標本は、M. cryptusの原記載の写真1の種に合致する。
Veron(2002)でタイプを指定する際に両者の標本を取り違えたのだ。両者の標本は共にエジプトシナイ半島産。同じ箱にでも入れてあったため混同したのであろうが、これは単なる間違いでは済まされない。というのも、分類学ではタイプ標本にのみ真実が従属するからである。やってくれるぜVeronさん。これまで数々の誤りを目にしてきたが、ここまで酷いのは少ない。分類学者として致命的だ。なんで、取り違いに気づかなかったのであろう。
と、ため息をついていたら、ある事を思い出した。Corals of the World(2000)では分類命名規約に則らずに新種記載が行われたため、その不備を補うために再記載とホロタイプ指定のためVeron(2002)が出版された。しかしながら、ホロタイプ指定は原記載のみでしか行えないので、Veron(2002)でのタイプ指定行為は無効とされる。
つまり、両種共に未だにタイプ標本は存在しない状態にあり、学名だけで実体が存在しない幽霊種となっているのだ。これを解消するためには、ちゃんとした論文でレクトタイプ指定する必要があり、その際に標本を整合させればよい。誰かが。。。

Montipora cryptusの原記載(Corals of the World, 2000, 126)。3枚の生態写真全て種が異なっている。著者が疑問に思わなかった事が悲しい。

Montipora hemisphericaの原記載(Corals of the World, 2000, 147)。

Veron(2002, 14)におけるMontipora cryptusのホロタイプ標本。この標本は、M. hemisphericaの原記載の写真の種に合致する。

Veron(2002, 22)におけるMontipora hemisphericaのホロタイプ標本。この標本は、M. cryptusの原記載の写真1の種に合致する。