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クチヒゲノムラガニの生態

退職し晴耕雨読的研究生活に入った元水族館屋の雑感ブログ

中辺路紀行⑫ 中辺路町近露周辺

2022-05-23 | 雑感

田辺市熊野ツーリズムビューローの古道地図を引用


 暑くなってきたので、古道散策も今月中が限界だろうと思い、今週も続けて実施。訪れたのは中辺路町近露周辺にある大坂本王子、近露王子、比曽原王子の3カ所。一度に3王子も回るのは、昨年から始めた中辺路散策の中で初めてかも知れない。ただし、大坂本王子と近露王子は見残しのカバーである。
 今回も牛馬童子口道の駅に車を駐め、大坂本王子を往復し、車で近露にある再開準備中のテーマパーク前に駐車し、近露王子と見て、比曽原王子を往復した。いろいろ寄り道して総歩数16000歩、距離にして10km弱。やや暑くて、そこそこ疲れたが、我々初老夫婦にはちょうどよい距離であった。
 前回は道の駅が大いに賑わっていたにも関わらず、古道で出会う人が誰もいない事態を嘆いたが、今回は牛馬童子~近露王子歩きのツアー1団体、近露王子~比曽原王子間で5人と、そこそこ遭遇した。しかし、全体を通じて古道歩きの人の少なさには寂寞さを感じる。ブームを当てにした店や行政整備には劣化度が大きい。ブームの衰退やコロナ禍だけでなく、やはりこういう観光は日本人には向いてないのかもしれない。


①大坂本王子
 前々回は十丈王子を見て高原に引き返したため、この王子が残ったままになっていた。牛馬童子口からは傾斜が少ないためとても歩きやすく、かつ沢沿いのため気持ちが良い林道であった。今は面影はないが、石垣の名残りがちらほら見られることから、かつては集落があったように思われる。




②古道歩きの里ちかつゆ
 再開準備中の古道テーマパーク。近日オープンとある。盛況を祈る。


③近露大橋
 ここには悪い河童がいた伝説があり、欄干は河童のオブジェで作られている。


④近露王子
 町中にあるのでそれなりに整備されている。


⑤近露街道沿いの店々
 街道は寂れたため哀愁感がある。中でもレトロ感満載の古道具屋である山形屋は別格。閉鎖まで秒読みの雰囲気で、次来た時にあるか心配。






⑥大畑地区周辺
 ここからの眺望は素晴らしい。右側には乙女の寝顔に似た山が、左側には古の時代に狼が集団で遠吠えしていたと伝わる狼乢山が見渡せる。明治に最後のニホンオオカミが確認されたのも紀伊山地である。かつてはここを普通に狼が走り回っていたなどとは想像もつかないが、今でも熊は出る。狼の二の舞だけはならないで欲しい。






⑦比曽原王子
わずかに王子の痕跡だけは残っている。


⑧宝泉寺の大銀杏
 帰りがけにいくつか寄り道した。1つは近露から田辺方面に少し戻った中辺路町福定にある樹齢400年を越える大銀杏。枝が複雑に分岐し、普通の銀杏の形とは異なる。田辺市天然記念物。落葉時にまた訪れたい。


⑨カフェ・ド・リッカ
 福定から田辺方面に少し戻った中辺路町栗栖川にあるレストラン。ただのレストランではない。ご主人は陶芸家で、庭園を含む壮大な敷地の中に使われている大小の陶器、壁画、レンガ、タイルは全て自作である。敷地一面のタイル貼りに10年、さらに装飾に10年かけいまだ途中。まるでサクラダファミリア教会である。次回来た時の変化が楽しみである。





中辺路紀行⑪ 牛馬童子

2022-05-16 | 雑感
 
田辺市熊野ツーリズムビューローの古道地図を引用



 昨日、半年ぶりに熊野古道(中辺路)散策を再開した。今回は中辺路のシンボル的存在の牛馬童子が主役。牛馬童子口の道の駅に車を止め、牛馬童子を見て、見晴らしの良い所で持参のおにぎりを食べ、近露王子やその周辺を散策して車に戻る予定であった。ところが、地図を忘れ、かつ、なかへち美術館に気を取られたため古道を見失い、近露王子は見られず仕舞い。次回は再度近露を歩く予定。スローペースになっているが、のんびり歩くのは楽しい。
 しかしながら、驚いたというか、あきれたことがあった。日曜の昼ということもあり、牛馬童子口の道の駅には観光バスが3台も停まり、車やバイクも多くて大盛況であったが、中辺路の1つのクライマックスである牛馬童子散策の道中では古道歩きの人とまったくすれ違わなかった。つまり、道の駅にいる人々は古道歩きが目的ではないのである。愚かな事よ。


①牛馬童子口の道の駅
この混雑はコロナ禍前に戻った感がある。普段は静かなのであろうが。



②牛馬童子口から入ってすぐの所にあるモミジの階段。
この新緑が実に美しい。



③牛馬童子
もっと大きなものを想像していたが実物はコンパクトである。ただし、小さいながらたいへん趣がある。この童子像は首を折られて持ち去られたり、修復後に首がポトリと落ちたりと曰くが多いが、現在はきれいに修復されている。その名のとおり、牛と馬にまたがった象で、熊野詣でされた花山法皇の旅姿とも伝えられている。その隣にある石仏は修験道の開祖として名高い役行者である。




④昼食を取った休憩所。
牛馬童子象から少し下った山の中腹にあり、近露集落を一望することができる。





⑤日置川
最初は富田川とばかり思っていたが、牛馬童子のあるわずかな尾根を越えると富田川水系から日置川水系へと変わる。




⑥なかへち美術館
古道とは不釣り合いなモダンな建物であるが、水墨画の特別展が開催されていた。



⑦熊野博記念公園に咲き乱れたニガナ



⑧旧国道
帰りは旧国道を歩いて戻った。昭和の昔にこの道を何度かバイクで駆け抜けた。今はほとんど利用されていない。