コモンサンゴ類の記載では主観的な表現が多い。「大きい・小さい、多い・少ない、長い・短い、粗い・細かい」等々。具体的な数値が明記されていないと客観的な種間比較ができない。そこで、本格的な記載を始める前に、このような抽象的な表現は全て数値化することを試みた。今回はその1つである共骨の肌理の話。
コモンサンゴ類の共骨は多孔質(スポンジ状)構造をなし、そのため網目状共骨とも呼ばれる。その表面の肌理、すなわち孔の大きさ(目合い)は種によって様々であり、分類形質として用いられることがあるが、肌理ついては従来から「粗い・細かい」という抽象的な表現が使われていた。というのも、目合いは0.01mm単位の世界であり、計測がたいへん面倒であったためである。私も今までこれに倣っていた。
しかしながら、「粗い」って具体的に何?、「細かい」って何?、といったモヤモヤのストレスが溜まるに至り、この形質を計測してみた。
幸いにも顕微鏡にUSBカメラを導入したため、このサイズの計測は大きな手間ではない。方法は1つの標本の中で全体を代表している部分を選び、顕微鏡で50倍程度に拡大し、視野の中の計測可能な孔の幅(短内径)を全て(だいたい20個程度)計測し、その平均値で標本の肌理を代表させた。とりあえず、疣状突起を持つイボコモンサンゴ種群の標本全ての計測が終わったので、以下のように評価した。
コモンサンゴ類の共骨は多孔質(スポンジ状)構造をなし、そのため網目状共骨とも呼ばれる。その表面の肌理、すなわち孔の大きさ(目合い)は種によって様々であり、分類形質として用いられることがあるが、肌理ついては従来から「粗い・細かい」という抽象的な表現が使われていた。というのも、目合いは0.01mm単位の世界であり、計測がたいへん面倒であったためである。私も今までこれに倣っていた。
しかしながら、「粗い」って具体的に何?、「細かい」って何?、といったモヤモヤのストレスが溜まるに至り、この形質を計測してみた。
幸いにも顕微鏡にUSBカメラを導入したため、このサイズの計測は大きな手間ではない。方法は1つの標本の中で全体を代表している部分を選び、顕微鏡で50倍程度に拡大し、視野の中の計測可能な孔の幅(短内径)を全て(だいたい20個程度)計測し、その平均値で標本の肌理を代表させた。とりあえず、疣状突起を持つイボコモンサンゴ種群の標本全ての計測が終わったので、以下のように評価した。

計測した標本はコモンサンゴ類全体のほんの一部であるため、今後、多少の基準の変更は生じると思われるが、一応、モヤモヤの1つは解消した。


イボコモンサンゴ種群の中で最も共骨の肌理が細かいコイボコモンサンゴ Montipora conferta:全標本における目合い平均値は0.09mm。



肌理が細かいイボコモンサンゴ Montipora verrucosa:全標本における目合い平均値は0.14mm。



肌理がやや粗いデーナイボコモンサンゴ Montipora cebuensis:全標本における目合い平均値は0.18mm。



イボコモンサンゴ種群の中で最も共骨の肌理が粗いアラメイボコモンサンゴ Montipora sp. ARAME:全標本における目合い平均値は0.29mm。