たゆたふこころ

こころのゆらめき 記憶のかけら 日々に織りなす タピスリー

年配の女性

2011-05-19 08:19:31 | 日記

朝の満員電車で年配の女性が、押しこまれるようにして私の隣に乗り込んできた。

生成り色の帽子を被り、大き目のリュックを背負っている。

前に座っていた女子高生に大接近する形の前屈みで、手には杖。

いや、杖だと一瞬思ったそれは、三脚のようだ。

三脚?

いでたちといい、野山にでも写真撮影に出かけるのだろうか?

参考書を読んでいたその女子高生は、近づく気配に『うざいな』とでも言うように顔を上げた。

そして、その年配の女性に気づいた。

すると、すばやく立ち上がり、席を譲った。

しかし、その年配の女性は降りる駅名をあげ、近いのでと辞退した。

だが、その女子高生もそこで降りるのでと譲らない。

私は目の前で繰り広げられる展開を見守った。

どうなるかと思ったが、年配の女性が女子高生の好意を素直に受け入れ、座る形で収拾した。

女子高生がなんともきりりと賢く見える。

実際、賢いのだろう。

やがて、その「降りる駅」。

降りようとする女子高生に年配の女性は、お礼の言葉を掛けていた。

ところが、座ったままの年配の女性は、一向に立とうとしない。

それどころか、とうとう降りなかった。

はたして。。。

気が変わったのか、初めから親切を無駄にしないための方便としてのうそだったのか。

だいたい、三脚を持っているような人だから、しっかりしているのだろう。

しかし、前傾姿勢のあの見た目では、誤解を招いても仕方がない。

外見上は、紛れもなく「老女」だったのだ。

その後、その「老女」は、4つ先の駅で立ち上がった。

そして、出入口を占領していた学生たちに「通れない、通れない」と注意しながら、降りていった。

頼もしい。。。

朝の出来事、その1。

あ、その2はおそらく、日の目を見ないと思う。。。

 

 

 

 

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