弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

P-navi info: ガザ・ボーダーの壁崩壊その後

2008年01月25日 | パレスチナ/イスラエル
 著名なイスラエルのピアニスト、ダニエル・バレンボイムがパレスチナ名誉市民権を得るというニュースに続いて、今月二度目のパレスチナからの良い知らせが23日にあった。イスラエルによる封鎖でオープン・エア・プリズンと化していたガザから届いた、南端の町ラファのエジプトとの国境の壁を、パレスチナのレジスタンスのグループが爆破・開通させたという、わお!なニュースである。
 写真:伊紙la Repubblicaのサイトより 
 P-navi infoでは早速このニュースを取上げ、23日、および24日に続報を報じていた。ところが、その書きかけの24日エントリーの後、サーバに不具合が生じ、新たな原稿をアップできない状態になってしまった。そこで、いつもP-naviにお世話になっている僕を含めて、数人の有志のブロガーが続きの原稿を自分のところで代理投稿する運びになった(僕のブックマークに入っている中では、壊れる前に・・・のうにさんも手伝っておられる)。
 マジで困ってらっしゃるビーさんを尻目に言うのも何だけど、こういうお手伝いができるのもブロガー冥利に尽きると思われ。
 現在のガザの状況から、しばらく緊急性のあるアピールを続ける必要があるかも知れないので、P-naviが復旧するまで協力するつもりです。各位ご了承を。



「ガザ・ボーダーの壁崩壊その後」 P-navi info 1月24日


「壁が倒れるときにはいつも自由の感覚がある」
とガザのエジプト国境の壁が倒されたことをすぐさま評したのは、欧州議会副議長、ルイーザ・モルガンティーニ氏。

EUとしてのプレスリリースとして受け取っていいのかどうかわからないが、23日ブリュッセル発で同氏によるステートメントが出されている。そこには
「ここ数時間の間に何千人ものパレスチナ人がラファのボーダーを通過し、壁の裂け目を通って、イスラエルがガザ市民たちに対して行った封鎖を破っていったのは、すべて抵抗の真の行いであり、人々の自由の肯定である」
とあり、ハマスの元ハニヤ首相の言葉ととても似ているので、驚いてしまった。

昨日23日にエジプトへ出かけたガザの人は、20万~30万人(ガザの総人口150万人)と言われ、とてつもない数のガザの人々が生活に必要な食糧や医薬品やガソリンなどを求め、また、離ればなれになっている親戚に会いに行っているが、混乱などが起きているという様子はない。

イスラエルはエジプトに対処するように要求を出しているが、封鎖された中にいるガザの人々への同情はアラブ社会では強く、強硬な手段に出ることはできないようだ。今日 24日、エジプト軍と警察は、壁の大部分を閉めてしまったが、パレスチナ人の出入りは許されている。エジプトのムバラク大統領は、「パレスチナ人をエジプトに通すことを許すようにと軍隊に命令を出した。なぜなら、パレスチナ人は飢えているからだ。エジプト軍は武器を持っていない限り、必需品を買ったパレスチナ人をガザに戻すようにするだろう」と語っている。エジプトの外務省報道官もガザで人道的な危機が続く限り、ラファのボーダーを開けておくと語っている。

イタリアのレプブリカ紙の特派員は、警備にあたるエジプトの将校に話を聞いたところ、「すべて上手く行くように願っている。ここで繰り広げられている光景を見て幸せだ」と答えたことを伝えている。このような人々の思いが、エジプトにボーダー閉鎖をできなくさせている力となっている。

ここで大いに不満になっているのは、当然イスラエル。オルメルト首相は「封鎖と攻撃をガザに続ける」としており、わずかな量の人道物資と石油だけをガザに入れると語った。イスラエル軍の参謀などは、イスラエルメディアに対し、「ガザはエジプトに開かれていて、イスラエルは必要な物資の供給に責任を負わないのだから、水も電力も食糧も石油もすべて供給を止めるべきだ」と話したという(ガザは水もイスラエルにすべてコントロールされている)。

米国も23日、国連安保理の緊急部会でイスラエルによる封鎖を批判する決議に反対して採択を阻止したばかりで、今回の封鎖突破を快く思っていない。ガザの武装勢力に武器が渡る恐れを指摘し、エジプトにプレッシャーをかけている。今後、暗にこのボーダー問題に介入してくる可能性もある。

さて、26日に緊急支援物資をガザに持ち込み、封鎖に抗議をしようというイスラエルの平和団体グループは
「力の政策は失敗した、檻は破られた! 封鎖の完全な解除を」
と盛り上がっている。
「150 万人もの人々を巨大な監獄に閉じ込めておくことは不可能だ。そうしようとするとガザのエジプトボーダーで起こったように、爆発が自分に跳ね返ってくる。ガザの住民たちは、イスラエルや世界の他の人々と同じように、自分たちと物資のために外部に自由にアクセスできる基本的な権利を持っている」
と言うイスラエルの平和団体連合は、イスラエル各地より「封鎖を解除せよ」と書いたコンボイを送り、連帯の援助物資を渡すと同時にガザ内と連動してデモを行い、封鎖や攻撃ではない第三の道を示していくとしている。(グッシュ・シャローム、平和のための女性連合、ほかの呼びかけメールより)

この26日は世界の各地で連動して、封鎖に対する抗議行動が行われる。わかっているだけで、ローマ、モデナ、ボローニャ、ナポリ、ミラノ、パリ、ポワチエ、トゥールーズ、ストラスブルグ、ボルドー、ナント、オルレアン、クリーブランド、ボストン、フィラデルフィア、サンフランシスコ、ロンドン、モントリオール、ケープタウンなど(イタリアとフランスが非常に多い)。

話は冒頭の欧州議会副議長モルガンティーニ氏のステートメントに戻る。EUはイスラエルの封鎖政策を支持してきたはずなのだが、このステートメントでははっきりとそのことに対する批判が盛り込まれている。
「壁が倒れるときにはいつも自由の感覚がある。生きて行くのに不可欠な食糧や医薬品などを買うためにエジプトになだれこんだ男性たち、女性たちのガザ南部から届く映像はほかのどこにも見ることができない。4日間の完全な封鎖と停電、イスラエルによる非人間的な包囲の自然な結果として、その姿があるからだ。アッバス大統領が正しく公言したように、責任はイスラエルの政策にある。閉じ込められ、完全に人間性と国際法を無視して集団的に罰された檻から人々が完全に消耗しながらもボーダーを超えたのはイスラエルの政策ゆえなのだ」
モルガンティーニ氏は、ラファのボーダーを通じて物資と人々の通過に責任を持つはずのEUとエジプト(そして、中東和平のカルテット)が、その責任を果たしてこなかったと書く。
「私は心の底からラファのエジプトへのボーダーが即刻開き、イスラエルによる故意の封鎖(とその一時的な解除)ではなく、人々と物資の法的に自由な移動が確立されるのを願う。武器の密輸は爆撃や住民全体を野外監獄に閉じ込めることなしに止めることができる。

私はオルメルト政権がこのメッセージを受け取ることを願っている:ガザの封鎖を終わらせ、襲撃や軍事作戦を終わらせることだけが、双方の人々に安全を保障し、和平を達成することを尊重するのに必要な調和をもたらすのだ」
このような声がどんどん高まっているのを、イスラエル政府や米国政府はまたも無視して、突っ走ろうとするのだろうか。



☆イスラエル政府にたいして、声を届けてください。
日本政府や米国政府にイスラエルの封鎖、攻撃を止めるように伝えてください。

イスラエル政府には「End the siege on Gaza!」、「Don't Kill the Palestinians」、「Ceasefire now!」などの一言でも。

届け先一覧:http://palestine-heiwa.org/misc/kougi.html

P-navi info http://0000000000.net/p-navi/info/

Gazans continue to flow into Egypt, Israel says siege continues, Egypt sends roops
EU Press release on breach of the WAll in RafahWashington hampers UN decision against the Israeli siege of GazaUS stymies Security Council action on Gazaより)

追記:
これをアップして翌朝、P-naviの方が復旧したとビーさんから連絡が。大事じゃなくて何よりです。
で、向こうにもすでに同じ完成版が上がっているけれど、一人でも多くの人に読んでもらいたい記事なので、こちらにも残します。続報はP-naviにてどうぞ。

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