季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

人間バンザイ!

2012-11-23 18:48:07 | 暮らし Daily life
ずっと本当は何回も行こうと思っていたのにもう会期が残り少なくなってあわてて今日行って来た。
万博公園内の民族博物館の特別展示「世界の織機と織物」展。

入口前に巨大な円筒形の織物が

       

中を通れるらしい。たぶんビニールのひもで出来てる。光を通してきれいです。

       

この前はさっと全体を撫でるように見ただけだったから、今回はじっくりと観るつもりで取り組む。
もう入ってすぐの所で10分以上かかる。

「からだ機(はた)」「手機」「足機」ここら辺がものすごく興味深い。
人がなんとしてもどうやっても布を織り上げようと言う気迫に満ちている。何がなくてもあるもので出来る事で。その意気込みと知恵と工夫と頑張りに心を動かされる。

「腰機」になってくるとまた興味が現実味を帯びる。ここら辺を実際にやってみたい。前から準備出来てるのに延び延びになってる。
感心するのはどんなに原始的な機であってもそこから生まれる布はとても繊細でち密で美しいと言う事。
模様や布の滑らかさなど息を飲むようだ。そのギャップに開いた口がふさがらないまま。じっといつまでも見入る。

だんだん見ていくと機が進化してきてくるんだけど、とにかく「経糸を張って横糸を通す」と言う原理を守っていれば、なんだってどんなにだって工夫してやり遂げている。杭を打って糸を張ったり上から吊るして石で重しにしたり。

あとは素材の所も感動する。
ほんとに昔から人は身の回りにあるものをなんだっていつだって工夫して使って織って来たのだ。
私が毛刈りした羊の毛を洗って梳いて紡いで形にしていくのを「器用だ」と言う人がいるけれど、これを見たら昔の人たちのいかに器用で賢く我慢強かったかがわかる。
植物動物なんだって繊維が採れるものならなんでも使っている。

そう。次々現れるいろんな仕組みの機や布を見て鼻血がでそうになりながら、口が開いたまま塞がらないまま、何を考えてたかと言うと。
「この人たちすごい賢い!」って事だ。賢いにもほどがある。こんなに細い繊維を準備して染め分けて滑らかな美しい布を織ってきれいな模様を作って…。想像できないくらい難しそう。
きっとこの人たちは三角関数も微分積分も元素記号も知らないだろうけど、だからって言って賢くないわけじゃない。この人たちの賢さに脱帽だと思った。私は学問を習ったけどこんなこと思いついて出来るかって言われたら難しいと思う。一人がいっぺんに思いついたものではないにしても何百万何億って人たちの知恵の結晶だったとしてもそれはすごい事だと思う。
これが本当に価値があって素晴らしい人間の能力だと言う事を今まで正当に認められて来ただろうか?
織子ってつらくてみじめな印象じゃないのか?
昔の人たち、文明と遠い所にいた人たち、そこで地道にこういう作業を毎日淡々として少しずつ技術を進めてきた人たちのすばらしさを私は観ながらずっと感じていた。
人間ってすごいな!素晴らしいな!

ここで見れるのは織りの素晴らしさだけじゃなくて人がどんなに物を作る能力をもっているかの素晴らしさもだと思った。

2階にある展示もまた一段と面白く、驚いたのは「異形の織物と織機」の所で、ロープの周りに丸く円筒形に折って行く織機があってすごい仕組みだと思っていたらそれは「ランプの芯」を作る織機だった。
燃えて消えるものをこんなに手間をかけて織る事のすごさに圧倒される。

極めつけは越後上布の作業工程。これはもう気の遠くなるような仕事の連続だ。こんなに儚い糸を紡ぎ、織って行くそのすごさ。
前に竹富島で同じような糸を作っているのを観たことがあるけど、本当に感心する。スピンドルがしんどいとか言ってる場合じゃない。全部手と唾で細い細い繊維を繋いで糸にしているのだから。それに糊を付けて経糸にしたり染め分けて織ったり。頭が下がる。

文明って本当に進化したのか?人は成長しているのか?なんだか賢くなったようでじつは愚かにもなっている気さえするほど、昔の人たち世界中の人たちの叡智に感心しました。

はたと今の人の暮らしを見てみて、いろいろなそう言う機会を機械に預けてしまって自分の能力を使ったり進めたりする機会が無くなって来ていることに気付く。
ここでやっぱり私たちは手で物を作ることを昔の人や専門家のようにできなくても不器用でもすこしずつ取り戻していく事がやっぱり大事なのではないかと、手仕事の講師として実感した。
私はやっぱりこの道で人と関わって人の本来持つ力を取り戻す作業をやって行きたいと思った。
その大切さに改めて気付いた。

そんなこんなの興奮冷めやらぬうちに、気付くとお腹がとっても空いていて民博のレストランに向かった。ここはエスニックなメニューが豊富なので有名です。大体季節や特別展に合わせてメニューが組まれています。
今回は織りの特別展なのでその関係のはないようです。

私はタイのマッサマンカレー。ゴロゴロ大きな鶏肉がたっぷり入っていて、野菜は素揚げされていて香ばしくて美味しい(特にこの上に乗ってるキノコのフライが美味しかった)!ボリュームもたっぷりです。サラダのドレッシングもちゃんとタイ風。ベトナム風のコーヒーゼリーは私は少しの味見だったけど(コーヒーを飲めないので)本格的でした。

       

夫はガパオランチ。スパイシーなひき肉と野菜炒めとご飯に目玉焼き。

       

頭も心もお腹もいっぱいになって、常設展まで手が回らない。いつものパターンで万博を後にした。
行って良かった。人間の素晴らしさを実感できた今回の特別展。企画運営して下さった方たちに本当に心から賛辞を贈りたいです。

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