釧路に着いたので、横濱さんと市場へ。
「勝手丼を食べようね。」
と話していた。
勝手丼とは、ごはん買って、市場ウロウロして、好きなの乗せてもらう大変に素晴らしい制度。
パラグア……パラダイス!!
花咲カニが今は美味しいんだよとおばちゃんに言われ、二人で笑ってしまった。
で、食べてたら取材されました。
「すみません、今日はどちらから?」
「モグモグ…仙台からでふ。」
「すみません、お食事中。すごい荷物ですね。日本一周でしょうか?」
「はい。」
「なるほど~。勝手丼のことはどなたかから聞いて、こうしていらっしゃった訳ですか?」
「えぇ、まぁ、はいそうです。」
「どうですか?勝手丼のお味の方は?」
「すごく、あの、美味しいです。楽しいですし。」
「楽しい。それは、色々と選べるからですね。お店の方との会話があったり。」
「そうですね。」
「お食事中に大変失礼致しました。残りの旅もお気をつけて。いやぁ羨ましい限りです。」
で、どっか行っちゃった(笑)
横濱さんがその間、寂しそうにムシャムシャ食べてたのが気の毒だったので、カニ汁(百円)を奢った。
「いいのに。」
「乗せてくれたから。飲みな。」
「君の周りには必ず何かが起きるね。」
そんなことを笑いながら言われた。
【日本一周中】
とマジックで布に書いたものをリュックサックにドンと貼った若者がいた。
「ああいう人は苦手だなぁ。」
と小声で言うから可笑しかった。
そして、その青年が隣に来て、
「ここいいですか?!」
と快活に聞いて来たから、横濱さんを見ると頷くので、
「どうぞ?」
と言うと、
「うわぁ、美味しそうだなぁ。すごいなぁ。いただきま~す!釧路まで来て良かった~!」
と、キャピキャピでかい独り言を言い出した。
(こいつ!)
と思ったが、話しかけて話しかけてのオーラがすごい為、望み通りに話しかけてやった。
「よう。日本一周中くん。黙って食えねぇのかな?こっちはさ、君と話すのではなく、二人で飯を食ってるんだ。ごめんな。」
「……。」
「よし、ありがと。どこから来て、どこまで行くの?」
「僕はバイクや車を使わずヒッチハイクとか電車でまわっています。」
「ふ~ん。」
「この人もだよ?」
と横濱さん。
余計なこと言うな!と目で合図を送ったが遅かったぁ!
「マジですか~?!すげ~!どこが良かったっすか?俺、まだ始まったばっかなんで!色々教えてください!」
「だから、うるせぇんだって!勝手に好きなところガンガン行きゃいいじゃん!俺は飛行機も使う。すごくない。」
「さっき取材を受けてたのは??」
「知らん。たまたま。君の方に行けば良かったのにな。」
サッサと市場を出て二人でタバコを吸う。
「これ、旅のお守りに」
と手作りミサンガみたいなものを貰ったが困ってると、
「僕が引き受けます。」
と横濱さん。
いよっ!エンジニア!!
「お会い出来て良かった。本当に。」
そう言ってもらえて良かった。
「今は携帯がありますからね。また会いましょう。どこかで。乗せて頂きまして、ありがとうございました。」
「ややややめてよ急に。」
「礼儀正しいんだよ、俺。ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました。」
「彼女が出来ますように。」
「こらこら。」
「あと髪の毛も……」
「拝むな!!」
いい人だった!
カニ汁奢ったけど、勝手丼奢らせたしね!
ねぇ、本当に寒いです!