良い子の歴史博物館

訪れたことのある博物館、歴史上の人物、交通機関についての感想、小論など。

モノレール

2005年03月28日 | 交通機関
子供の頃に見た絵本の中に未来の乗り物として、モノレールが描かれていた。
あの頃は、鉄道が廃れて、みんなモノレールになるものと思っていた。

大都市空間の空中を縫うように高架レールが張り巡らされ、
音も静かに、スマートに行き交う乗り物のイメージがあった。

年月は過ぎ、今になってみると、モノレールは、それほど発展していない。

一応、日本は世界有数のモノレール大国である。
おそらく営業キロ数は世界最長を誇るのではないか?

意外なことにモノレールの歴史は古く、19世紀初めには発明されていた。
1888年にはアイルランドで蒸気機関車使用の旅客貨物両用の営業が行われている。
ドイツでは20世紀初めに営業開始した電気式のものが、現在も動いているそうだ。

モノレールの安全性は高く、本格営業開始から百年近く死傷者0を誇る。
残念ながら、数年前にドイツで、死亡事故が発生してしまい、安全神話が崩壊した。
それでもモノレールの構造上、脱線、転覆はありえないし、
極めて安全性の高い乗り物であることは変わりないと思う。

営業的に最も成功を収めたのが日本である。
空港アクセス用として東京や大阪で活躍中なものは、モノレールとしては、
世界で長距離路線として知られる。

大船・江ノ島間の湘南モノレールの評判は高く、世界のモノレール愛好家に知られる。
豪快なスピード感、上り下りや曲線が多く、トンネルもくぐる。
単なる観光用ではなく、地元の住民の足として定着していることも
他のモノレールとは一味違う。
最新のものは、安全を重視するためか、加減速がのんびりで、イライラするが、
湘南モノレールは爽快だ。

世界のモノレールについてはThe MONORAIL society(英文)が詳しい。

モノレールの構造を大きく分けると、跨座 (こざ) 式,懸垂式があるとされる。
跨座式は上からレールをまたいで挟む形式で、懸垂式はレールからつるされる形のものだ。
考案されているものは他にもいろいろある。
System21 1/4モデルは、
横にレールがあって、1本のレールで上下線を構成できるものらしい。
何型と言えばいいのだろう?

モノレールの利点はたくさんある。
・安全性
・比較的省スペース
・タイヤを使う場合、静粛性
  (以前、向ヶ丘遊園地に向かう路線があったが、
   あれは鉄レールを使用し、うるさかったなぁ)
・勾配に強い
・悪天候に強い
・眺望抜群
・地下鉄に比べれば、建設費が安い
・専有高架レールが前提なので、踏切がない。

モノレールは見た目のかっこよさで、子供たちをひきつける。
私もその一人だった。

しかし、実際のところ普及の程度は低いままだ。
廃線になってしまったところも多い。
ひどいのは、大船のドリームランド線だ。
営業開始後1年で、設計ミスが発覚し、運行中止、そのまま廃線になってしまう。

モノレールの欠点として、
・輸送力が小さい
・その割にはコストが高い
ことに尽きる。

東京モノレールは、京浜急行との競争に負け、JR東日本に身売りした。
モノレール以外にも、日本では各種の新交通システムがもてはやされた。

結局のところ、モノレールもその他の新交通システムも、中途半端な存在だ。
輸送力では通常の鉄道に劣り、コストではバスに劣る。

林業や傾斜地農業、山岳地帯の工事や貨物用として、
小型のモノレールは使われるだろう。

テーマパーク用、観光用に特化した場合を除いて、
都市交通としては、モノレールには限界がありそうだ。

【 System21参考】
  System21System21 プラットフォーム
  高架路線の影の違い
  ポイント切り替え

【日本のモノレールについての参考】
  日本モノレール協会