良い子の歴史博物館

訪れたことのある博物館、歴史上の人物、交通機関についての感想、小論など。

オートバイ

2006年02月16日 | 交通機関
台北市内の道路では、各種オートバイが非常に多く走っている。

圧倒的にスクーターが多い。
しかも2人乗りが普通で、3人乗り、4人乗り(夫婦と子供2人が1台のバイクに)まであった。

運転は乱暴で、子供を抱っこしながら横断していたら、
いきなり前後を十数台のオートバイが走り抜けていく。
(ほんとに怖かったよぅ)

規制ばかり多い日本とは異なる「バイタリティ」を感じる。

東南アジアを初めとする多くの発展途上国では、オートバイは貴重な交通機関だ。
値段は手ごろで、省スペース、燃費も良い。

台北で感じたのだが、省スペースというのも、バイク利用の重要な要素だと思う。
バスや電車の窓から見た限りで、日本で見かける木造一軒家に相当するものを見かけなかった。
圧倒的に集合住宅住まいが多いのだろう。
それぞれの集合住宅の建物の入り口に管理人(警備員?)が常駐していたりする。
人口密度が高く、当然、自家用車を置く駐車場のスペースが足りないと思われる。
建物横の道路際にはバイクがびっしりと停まっていることが多い。

経済的に豊かになるにつれ、台北でも自家用車も増えるだろう。
しかし地球環境を考えれば、自動車よりバイクを選択することは正しい。

バイクが庶民の足として定着できたのは、本田技研を初めとする、
日本メーカーの成果と言える。
今では、現地メーカーも成長しているだろうが、
日本メーカーの努力があってこその、バイク隆盛なのだ。

スペースシャトル

2005年10月04日 | 交通機関
スペースシャトルと国際宇宙ステーション(ISS)建設についてNASAのグリフィン長官が「誤りだった」と表明したそうだ。

ことに過去30年にわたって米国宇宙開発の中心であったスペースシャトルを「失敗」と断じたわけだ。
グリフィン長官は議会でも同様の発言をしたことがある。

スペースシャトルに見習い、旧ソ連でブランを開発しようとした。
これからの宇宙への乗り物は、有翼の往復可能な宇宙船になるに違いないと思わせた。

だが、様々な構造的欠陥から、スペースシャトル計画は順調には進まなかった。
「NASA有人月探査復帰に対して」と題するブログによれば、
「再利用型有翼宇宙船は、宇宙を飛ぶ飛行体として無駄が多い」そうだ。

NASAは新たなシャトルも計画しているとの報道もあるので、断定はできないが、
かなりの軌道修正を進めようとしているのだろう。

一度、イメージされた新技術デザインから抜け出すことの難しさがある。
優れた世界最高の技術者集団で成るNASAですら、固定概念から抜け出し、
軌道修正するのに時間がかかったのかもね。

残念 テクノスーパーライナー

2005年07月25日 | 交通機関
駄目だったみたいね。

小笠原航路の世界最高速客船、燃料高騰で就航断念

そもそも、お役所が音頭を取って推進する技術プロジェクトって、大抵コケる気がします。
結局、莫大な予算をつぎ込んだだけで、消えていったものとか、
あれはどうなったのかしらん?と続報を聞かないものとか。

第五世代コンピュータとか、シグマOSの話とか、サンシャイン計画とか、
私が知らないだけかもしれませんが。

コンテナ

2005年06月15日 | 交通機関
現代の物流を支える最大の発明はコンテナだと思う。
規格が合えば、船、鉄道、トラック、航空機の別なく、輸送できる。
輸送手段を選ばないので、戸口から戸口へ輸送可能となる。
頑丈な箱で運ぶので、荷物の痛みを最小限に減らせる。
冷蔵冷凍などの設備付きのコンテナもある。

コンテナ船の場合、従来型貨物船に比べて、港での停泊時間が大幅に減った。
そのおかげで船員たちの港での色恋話が消滅した。
近年では20フィートコンテナ6千個積載の全長300メートルを超える超大型コンテナ船が
登場し、単位積載量あたりのコストを大きく下げている。

鉄道の場合、貨車連結組み換えのためのヤード方式の広大な操作場が不要になった。
北米大陸では、海上コンテナを2段積みにした車両を100両程度引っ張る貨物列車が大平原を走り抜ける。
そのおかげで、自動車大国の米国でも、陸上輸送における鉄道利用の割合は極めて大きい。
日本の鉄道の場合は、線路幅が狭く、米国のような大規模コンテナ列車は不可能だが、
JR貨物の車扱い貨物が年々減少する中で、コンテナ貨物は少しづつ増えている。
トラックに頼っていた陸上長距離輸送では、
長距離部分を鉄道や船舶に任せるモーダルシフトが実現可能となる。

一部で実現しているが、コンテナ毎にICカードをつけて、運送状況を把握管理することも可能だ。
出発地点から到着地点までの最適区間や手段を自動で決定し、配送するシステムを
世界レベルのネットワークで構築することだって考えられる。
さらに集配拠点施設の自動化、ロボット化も進めるべきだ。
宅配便の集配と同じレベルのシステム化をコンテナ輸送で構築して欲しい。
トラックが港で自分の荷物が降ろされるのを待つロスを完全になくして欲しい。

また、狭軌鉄道や、山岳用ナローゲージ、軽自動車向けの
小さなコンテナの規格もあっていいと思う。

アルコール燃料自動車

2005年04月19日 | 交通機関
原油高騰が続いている。
中国やインドなどで石油の需要が大きくなっているのと、
イラクなどの世界情勢の不安定、さらに投機筋の思惑が原因だ。
長期的には石油の枯渇が心配される。

そこで、人々は石油の代替となるものを模索してきた。
その中で、自動車燃料にアルコールを使うというアイディアがある。
植物からエタノールを作れる。バイオマス燃料というわけだ。
天然ガス、石炭等からメタノールを作れる。

そういえば、小学校の頃、理科の実験でアルコール燃焼で物質を暖めたりしていた。
きれいな火で燃えたよなぁ。
アルコールを使えば、排気ガスもクリーンな気がしてくる。

実際には、アルコールの酸化物として、アルデヒド類が出てくる。
最終的にはCO2と水になるわけだが、
中間物としてアルデヒド基(-CHO)をもつ化合物が出る。
エタノールの場合は、アセトアルデヒドで、酒酔いの原因とも言われる。
メタノールの酸化物は、さらに悪質なホルムアルデヒドで、発ガン性がある。

自動車エンジンにアルコール燃料を使用すると、
排気ガス中にこれらのアルデヒド類が含まれてしまう。
またアルコール燃料には、エンジン部品を腐食させる欠点がある。

ブラジルでは古くからアルコール燃料を自動車用に使ってきた。
爆発温度が高く、加速性はいいらしい。
アルコール燃料用にエンジンが改良されている。
腐食の問題を回避するためだ。

当初はガソリンに10%程度のエタノールを加えたものだったが、
今は100%エタノールで動く車も走っているそうだ。

但し、排気ガスのアルデヒド類はいかんともしがたい。
特有の臭いが町を覆っているという話を聞いたことがある。

ただ、研究しだいでは、クリーン燃焼も可能なはずだ。

またサトウキビを原料とする場合、
アルコールの生産1リットルにつき、
12リットルの有害な廃棄物が出るという。
廃棄物に処理を加えると、良質の肥料に変わるそうだが、
悪徳業者が河川に不法投棄すれば、魚が死ぬ。

ある研究報告によれば、エタノールを生産するのに使用するエネルギーが
エタノールのエネルギーを上回っている。
本当なら効率面で疑問が残る。

さらにブラジルの広大な森林がサトウキビ畑に変わってしまい、
伝統農法では収穫期に畑を焼くので、空が灰色になり、呼吸器障害を起こす。

ブラジルでエタノールの価格が安く、
ガソリンに対抗できる要因に低賃金労働者層の存在がある。

要するに、田舎の環境を破壊し、
貧しい暮らしを民衆に押し付ければ、
アルコール燃料がガソリン代わりになる。

日本で「ガイアックス」というアルコール系燃料が宣伝されたことがある。
アルコールなので、クリーンで環境に良い。
しかもガソリンとは違うので、税金がかからず安い。

幾つものTV番組でも取り上げられ、画期的な燃料として、
いい事尽くめとして、宣伝された。

実のところ、ガソリンが50%、アルコールが30%、
MTBE(Methyl tertiary-butyl ether)が20%の代物である。

MTBEは、米国で使用禁止で、日本では使用量を規制している。
ガイアックスは、この規制値の3倍ものMTBEを使用している。
“ガソリン”じゃないので、規制にひっかからない。

こんなものが広まったら、
みんな発ガン性のホルムアルデヒドで汚染された空気を吸う羽目になる。
環境省の実験では窒素酸化物は規制値を超過し
ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒドなども検出している。
環境に良いという話は真っ赤な嘘であった。

さらにエンジンの不調で、故障や火災の原因ともなってきたらしい。
はっきりいって、ガイアックスはトンデモいんちき業者に過ぎない。
宣伝文句に踊らされてはならない。

一方、別の方面から、メタノールが注目される。
燃料電池の燃料としてだ。
理論的にはエネルギー効率が高いとされる。
メタノール(CH3OH)を改質し、水素を取り出し、それを酸化する過程で電気を取り出す。
炭素が無駄となるが、それでも効率が高いらしい。(本当か??)
水素燃料をそのまま使用するのは、
燃料の貯蔵や輸送、燃料タンクの重量化などで問題がある。
それよりはメタノールを水素を貯蔵する媒体として使用するというわけだ。

小型のメタノール電池ではノートパソコンが長時間動くという。
自動車用としては、まだ価格が高く、性能的にも課題が残る。
しかし騒音がないし、クリーンではある。
課題を克服すれば、有望かもしれない。

燃料電池自動車が使い物になるかどうか、しばらく様子を伺いたい。

モノレール

2005年03月28日 | 交通機関
子供の頃に見た絵本の中に未来の乗り物として、モノレールが描かれていた。
あの頃は、鉄道が廃れて、みんなモノレールになるものと思っていた。

大都市空間の空中を縫うように高架レールが張り巡らされ、
音も静かに、スマートに行き交う乗り物のイメージがあった。

年月は過ぎ、今になってみると、モノレールは、それほど発展していない。

一応、日本は世界有数のモノレール大国である。
おそらく営業キロ数は世界最長を誇るのではないか?

意外なことにモノレールの歴史は古く、19世紀初めには発明されていた。
1888年にはアイルランドで蒸気機関車使用の旅客貨物両用の営業が行われている。
ドイツでは20世紀初めに営業開始した電気式のものが、現在も動いているそうだ。

モノレールの安全性は高く、本格営業開始から百年近く死傷者0を誇る。
残念ながら、数年前にドイツで、死亡事故が発生してしまい、安全神話が崩壊した。
それでもモノレールの構造上、脱線、転覆はありえないし、
極めて安全性の高い乗り物であることは変わりないと思う。

営業的に最も成功を収めたのが日本である。
空港アクセス用として東京や大阪で活躍中なものは、モノレールとしては、
世界で長距離路線として知られる。

大船・江ノ島間の湘南モノレールの評判は高く、世界のモノレール愛好家に知られる。
豪快なスピード感、上り下りや曲線が多く、トンネルもくぐる。
単なる観光用ではなく、地元の住民の足として定着していることも
他のモノレールとは一味違う。
最新のものは、安全を重視するためか、加減速がのんびりで、イライラするが、
湘南モノレールは爽快だ。

世界のモノレールについてはThe MONORAIL society(英文)が詳しい。

モノレールの構造を大きく分けると、跨座 (こざ) 式,懸垂式があるとされる。
跨座式は上からレールをまたいで挟む形式で、懸垂式はレールからつるされる形のものだ。
考案されているものは他にもいろいろある。
System21 1/4モデルは、
横にレールがあって、1本のレールで上下線を構成できるものらしい。
何型と言えばいいのだろう?

モノレールの利点はたくさんある。
・安全性
・比較的省スペース
・タイヤを使う場合、静粛性
  (以前、向ヶ丘遊園地に向かう路線があったが、
   あれは鉄レールを使用し、うるさかったなぁ)
・勾配に強い
・悪天候に強い
・眺望抜群
・地下鉄に比べれば、建設費が安い
・専有高架レールが前提なので、踏切がない。

モノレールは見た目のかっこよさで、子供たちをひきつける。
私もその一人だった。

しかし、実際のところ普及の程度は低いままだ。
廃線になってしまったところも多い。
ひどいのは、大船のドリームランド線だ。
営業開始後1年で、設計ミスが発覚し、運行中止、そのまま廃線になってしまう。

モノレールの欠点として、
・輸送力が小さい
・その割にはコストが高い
ことに尽きる。

東京モノレールは、京浜急行との競争に負け、JR東日本に身売りした。
モノレール以外にも、日本では各種の新交通システムがもてはやされた。

結局のところ、モノレールもその他の新交通システムも、中途半端な存在だ。
輸送力では通常の鉄道に劣り、コストではバスに劣る。

林業や傾斜地農業、山岳地帯の工事や貨物用として、
小型のモノレールは使われるだろう。

テーマパーク用、観光用に特化した場合を除いて、
都市交通としては、モノレールには限界がありそうだ。

【 System21参考】
  System21System21 プラットフォーム
  高架路線の影の違い
  ポイント切り替え

【日本のモノレールについての参考】
  日本モノレール協会

リニアモーターカー

2005年03月26日 | 交通機関
日本における磁気浮上式高速鉄道の本格的な研究開発は1960年代から始まる。
旧国鉄、そして鉄道総合研究所(JR総研)が中心となっている。
既に40年以上の研究が続いているわけだ。
残念ながら、実用化に至ってない。

JRとは別に、日本航空が独自に開発をしたのが、HSSTと呼ばれるシステムで、
こちらは愛・地球博の交通機関として、本格的な営業運転を開始している。

JRの方が超伝導で磁気反発式、HSSTの方が常伝導の磁気吸引式という違いがある。
HSSTは都市交通向け、JRマグレブは本格的高速幹線向けという位置づけになる。

数年前にアメリカの技術者の論文を読んだことがある。
それには磁気浮上式高速鉄道が発展する見込みはないという結論が出ていた。
せいぜいテーマパークの呼び物程度の利用でとどまるであろうと予言していた。
そして磁気浮上式高速鉄道の持つ重大な欠点が列挙されていた。
記憶があいまいで、英文だったので、
今ここで、その具体的な内容を正確に列挙できないのが残念だ。

それまで読んだことのある日本語資料は
リニアモーターカーの優位性を強調するものばかりだった。
多くは
・鉄輪での摩擦力の限界がないので、時速500キロを超えることができる。
・静粛性
・省エネ性
・安全性
などを歌い上げている。

この中の省エネ性に関して、大きな疑問が書いてあったように思う。
あるいはコスト面での問題だったのかもしれない。
ともかく、重大な欠点をズバズバと挙げていたのが新鮮に感じたことを覚えている。
(内容を忘れても、感じたことは覚えているものだなぁ)

リニアモーターカーの実情はどうなのだろうか?

上海のリニアに関しては、様々な問題が発生していることが報じられている。
そのためか、中国高速鉄道の建設計画では、リニアではなく鉄輪方式が採用されそうだ。
新技術のための初期不良という側面もあるだろう。
今後改善されていくのかどうかは、わからない。

日本のマグレブに関しては、中央新幹線計画が凍結状態になったままだ。
実用化からは、程遠い。
もし、すぐにでも実用化できるものなら、中国高速鉄道への売り込みは、
従来型新幹線ではなく、リニアで売り込んだはずだ。
長年の研究のおかげで、幾つもの技術的問題は解決済みという話も聞くが、
実際のところ、どうなのだろう?

HSSTに関しては、愛・地球博の乗客をさばくだけの輸送力が
確保できていないことが明るみになっている。

鉄道の利点は、大量輸送力にある。
だが、リニアモーターカーはHSSTもマグレブにしろ、輸送力に疑問符が付く。
中央新幹線計画でも、この点を指摘する鉄道ライターの本を読んだことがある。

そもそも、時速500キロを超える物体を地上で走らせるのは
“暴力的”な気がしてきた。
何しろ、1気圧の空間の中を叩き割ってぶっ飛ばすわけだ。
飛行機なら、気圧の低い高空を飛ぶ。
もしかして、磁気浮上式高速鉄道って、飛行機よりもエネルギーを食うんじゃない?

もし、あのアメリカ人技術者の論文が見込み違いなら、
既にあちこちにリニアモーターカーが走っていて、
鉄輪鉄道が消滅しても良いはずなのに。

あの不吉な予言が当たるかどうか?
私の子供の頃から、リニアモーターカーの夢が語られていたが、
現在も幻、ようやく、博覧会の玩具程度になった程度なんだよねぇ。

話は変わるが、浮上しないものの、
リニアモーターで推進する鉄道は営業運転されている。
東京の都営大江戸線、大阪の地下鉄長堀鶴見緑地線、
神戸市営地下鉄海岸線、福岡市営地下鉄七隈線などだ。

どうも、こちらのリニアも省エネ性では劣るらしい。

従来型モーターが長年研究され、進歩したのに比べて、
リニアモーターは発展途上だ。
プレートとリニアモーターとの間隙が最適位置に一定でないと、
効率が悪くなるわけだが、
車体は揺れるもので、一定になりえない。

リニアモーターという言葉で、夢の技術だから薔薇色だと錯覚してはいけない。

セスナ

2005年03月04日 | 交通機関
セスナ社は軽飛行機の代名詞になるまでに
ポピュラーな小型飛行機を生産している。
特にセスナ172スカイホークは、最も売れ、世界中で飛んでいる。

セスナ社はクライド・セスナという人が創設した。

クライドは1911年に自作の飛行機を飛ばしたパイロットでもある。
曲技飛行に影響されて自ら単葉機を作って、地方巡回飛行をしたらしい。
1927年に会社を創設した。
クライドはファミリー向け飛行機にこだわったらしい。
だが、たちまち大恐慌に見舞われ、倒産寸前で一時解散する。
後に甥のドゥエイン・ウォレスが会社を再建する。

複座の120型単発機(85馬力)は2000機販売し、ヒットする。
140型機はエンジン出力を90馬力に増やして約5,000機売れた。
150型機は77年までの20年間で約2万4,000機も売れる。

4人乗り軽飛行機として、1948年に170型機(145馬力)の生産を開始した。
これも8年間で5,000機余りが製造される。
172型スカイホークは160馬力にエンジン性能を上げたものだ。
78年末までに3万機以上が生産された。

セスナ社は、人々に軽飛行機の楽しさと、簡便さをメディアを活用して、宣伝する。
飛行機の操縦は車を運転するのと、ほとんど変わらないとアピールしたのだ。

さらにパイロットスクールを開いて、比較的簡単に操縦技術を学べるようにした。

戦後、日本に輸入された軽飛行機は圧倒的にセスナ機が多かった。
このため、他のメーカーの軽飛行機まで“セスナ機”と呼ぶこともある。

“本家”セスナ機は、胴体の上部に主翼がある。
他社の軽飛行機の大部分は胴体の下部に主翼があるので、区別しやすい。

私自身は乗ったことがないので、よくわからないが、
主翼の位置によって、景色の見やすさが違うのではないか?
航空写真を撮るには、下側に翼がない方が良い気がする。

順調に売上を伸ばしたセスナ機だが、
1980年代は事故や欠陥のために訴訟問題が発生する。
とうとう、ついに生産中止になってしまった。
製造が再開されるまで、10年かかった。

現在は、ビジネスジェットがセスナ社の主力商品になっているらしい。

それでも確かな技術と優れたコンセプトのために、技術面で古くても、
セスナの軽飛行機は幾多の障害を乗り越え、今でも売れ続ける。

ロバ

2005年03月02日 | 交通機関
家畜としてのロバは日本ではなじみが薄い。
動物園では、野生の野ロバが中心だ。

ホームページを検索したら、
奈良のロバ君清瀬ろば倶楽部ロバの部屋 などがヒットした。
日本は極端にロバの少ない国なのだろう。

だが、中東、ヨーロッパ、中国に至るまでの広い地域で、
歴史を通じて、陸上輸送の多くを担ってきたのが、ロバ君である。

性質はいたって、おとなしく、女子供でも扱える。
小さい学童が数頭のロバを連れて行くことだってできる。
わずかの干し草、少量の水で、耐えることができる。
体重の割には重い荷物を運ぶ。
悪路を歩くことができるので、山岳地帯で重宝された。

面白いのは野生のロバは決して人間になつかない。
野ロバを飼いならすことは不可能と考えられる。

ロバは馬鹿という、とんでもない誤解がある。
知能的には馬より賢いと考えられている。
一度通った道順を忘れない。
荷車に乗った乗り手は居眠りをしても、ロバが目的地に運んでくれる。
小学校に通う児童は荷車の中で宿題をしている間に、ロバが学校まで引っ張ってくれた。
これほど安全な乗り物があるだろうか?

ロバは頑固という誤解もある。
気に入らないことがあると、全く動かなくなるからだ。
背中の荷物がずれているとか、歩くのに何らかの問題があると、動こうとしなくなる。
頑固といえば頑固である。
しかし、ちゃんと理由があっての頑固さなのだ。
理由を理解して、問題を除いてやると、再び従順になる。
安全装置の感度が極めて鋭敏なので、それだけ安全性が高いのではないか?

古くから、飼育されており、聖書には頻繁に登場する。
馬は軍事用だが、ロバは平和の象徴とされていた。
イスラエルの王は即位時にロバに乗るとされる。
ソロモンもロバに乗った。
これに倣い、キリストもロバに乗ってエルサレムに入城したことで有名である。
中東地域では、どんな貧乏な家庭でも、ロバだけは所有できたと思われる。

実際には、古代ペルシャのように、軍事物資輸送用として、ロバ部隊が存在することがあった。
中国では近年まで重要な役割を果たし(今でも地方では重要だ)、
毛沢東に率いられた長征もロバがいたから成功したのだ。
しかし、のんびりした歩き方、温和な性格は平和そのものと言えるだろう。

大型の馬に比べると、積載量は高くないし、スピードも遅い。
食用や毛皮としての利用は、あまり聞かない。
乳は栄養があると言われ、ロバの乳を入れて入浴すると美容に良いとされるが、
実際に利用することは、あまりなかった。
運搬用としてのみの価値で飼われたのだろう。
しかし、経済的で、頑丈で、安全で、しかも可愛い。

近所の入場料無料の小さな動物園にロバが2頭ほどいる。
柵越しに背中をなでろと言わんばかりに近寄ってくる。
耳が長くて、つぶらな瞳で、本当に可愛い。
家畜のロバは人間が大好きだ。

残念ながら、日本では定着しなかった。
本当に残念だ。

地面効果飛行機

2005年02月19日 | 交通機関
飛行機が地表近くを飛行する場合に揚力が大きくなる現象を
「地面効果」あるいは「表面効果」という。

この現象を利用した乗り物を開発しようという動きは以前からあったらしい。
実際に旧ソ連などでは、実験機が作られ、カスピ海で運行試験が行われた。

こうした低空しか飛ばない飛行機をWIGとかラムウィングとか呼ぶ。
水面飛行機と呼ぶ人もいる。

飛行機なのだが、同じ原理で「船」や「列車」を考えている人もいる。
表面効果翼船の模型「ラム」表面効果翼船の原理などは船、
小濱研究室エアロトレインは列車に属する。

地面効果とは違うが、エアークッション利用の船で、
国土交通省が推進しているのがスーパーテクノライナーだ。
ホバークラフトみたいに船体の下に空気を送り込み、少し浮上して、
海水に接する部分を少なくして高速で推進する船が既に走っている。
「飛翔」の技術は未来型の船として宣伝された。

だが、どれも広く普及することはないだろう。
理由はどれも燃料を食いすぎるのである。

旧ソ連での実験は燃料消費量が多くて、実用にならなかった。
国土交通省が音頭を取った「飛翔」も燃料を食うので、
商業ベースでの運行は難しい。
高速性を生かした救急船とか、
空港のない離島との高速接続、
あるいは新しい乗り物好きの観光客向け
といった特殊な利用しか見込めない。

なぜ燃料を食うのか?

地面効果は上に働く揚力だ。
だから、少ないエネルギーで物体を上に持ち上げることができる。

しかし、前に進む推進力が無ければ、乗り物は成立しない。
水面飛行機なら時速2百キロ以上、船でも百キロ前後か、
エアロトレインは5百キロ程度を目指す。
当然、空気抵抗を受ける。
空気抵抗があるから、地面効果もよく働く。
しかし前に高速に進むには、空気抵抗は邪魔だ。

気圧の低い高空なら、前に高速に進んでも、空気抵抗によるエネルギー浪費は少ない。
従って、地面効果利用の乗り物は、高空を飛ぶ飛行機より燃費が悪いのだ。

私の予測では(外れても責任は持てないが)、
今後もこの種の新奇な技術がもてはやされることがあっても、
日の目を見ることはないだろう。

ジャンボ・ジェット

2005年02月18日 | 交通機関
ボーイング社ボーイング747、通称ジャンボ。象のジャンボにちなんだ名前だという。
民間航空機の歴史に輝く名機だろう。

1903年にライト兄弟が飛行機を飛ばしてから102年目になる。
その発達はめざましく、超大型旅客機ジャンボが1969年に登場した。

ところがそれから30年の間、形状の上で、大きな変化はない。
500人前後の乗客数、太めの胴体、時速9百数十キロメートルというスペックを保ったままだ。
コンコルドが登場したときは、いよいよ音速飛行機が主流になるかと思われたが、
結局、消滅する。

ジャンボまたは、外見上は良く似たエアバス機が主流のままだ。
『鳥と飛行機どこがちがうか―飛行の科学入門』によると、
ジャンボ機サイズで、時速900キロ強の速度というのが、
航空力学上、もっとも効率が良いらしい。

羽の面積、機体の大きさ、速度といったスペックを変えると、
一気に効率が下がる。

元々、空を飛ぶというのは多くのエネルギーを要する。
しかし昆虫から、鳥、ジャンボ機は皆、最適なスペックで設計されており、
比較的少ないエネルギーで空を飛ぶことができる。

実際、ジャンボ機の登場と共に、航空運賃が劇的に低下した。
飛行機の旅が大衆のものとなったのだ。

貨物ですら、飛行機で運ぶ時代になった。
さすがに石油や鉄鉱石は、船で運んだ方が効率的だが、
軽めの貨物なら、飛行機でも十分採算が取れる。

ジャンボやエアバスの中身はコンピュータ制御の発達などで、
30年の間に大きく変わっている。
燃費はジャンボ初代機に比べると半分になっているそうだ。
しかし外見は、そんなに変わることはない。

ボーイング社は当初、軍用大型貨物機として設計を始めた。
しかし受注競争に負けてしまう。
やむを得ず、旅客機として、売り出すことになった。
社内では慎重論も多かったらしい。
しかし、売り出してみると大ヒットとなる。
世界の空に革命が起きたのだった。

後にエアバスが競争相手として登場するが、
ジャンボが名機であることに変わりはない。

まもなく、一回り大きなエアバス380が登場するという。
夢の世界が実現するのだろうか?

今のところ、日本の航空会社でA380を採用する予定はない。
既に成田空港などはA380対応に準備しているようだ。

巨大飛行機が登場するのはいいが、
乗降時の混雑、混乱、空港での混雑と行列を何とかして欲しいなぁ。

【参考】
747の歴史(ボーイング社公式ページ 英文)

グリーンムーバー

2005年02月14日 | 交通機関
連休中は広島方面に家族旅行をしていました。
広島で広島電鉄が誇る新型路面電車グリーンムーバーに、ほんの少し乗ってまいりました。
広島駅から、原爆ドームまでです。

JR広島駅を降りると、すぐにグリーンムーバーの威容を目にすることができました。
かっこいいですね。
さすがです。

初めて訪れる場所で迷うのは、料金の支払い方です。
場所によって、乗車時なのか降車時なのか、小銭ONLYなのか、要切符なのか?
きょろきょろしながら、みんなが乗車するのに合わせて、乗り込みました。
乗ってから、市内が150円で降車時支払ということがわかりました。

プラットフォームからは完全ノンステップです。
これはらくちんですね。
ドアが広いですが、椅子が少ないのが欠点かな。
乗客数が多いので、車内での移動が難しいことがあります。

交差点で曲がるとき、対向路線から別のグリーンムーバーと交差したのですが、
相手側が曲がりきるまで、ずいぶんと慎重にのろのろと、ガックンガックンと、
止まりながら、曲がっていきました。
内輪差が大きいためなのでしょうか?
軌道の設計に余裕が無いためなのでしょうか?

原爆ドームで降りるとき、運転手側のドアまで進んで、料金を払いました。
降りる人が多いので、間に合いましたが、
車内での移動は、子供をおんぶしているときは、なかなか難しいです。
料金支払の時間もかかっているようです。
料金支払い方法と、乗降時のスムーズ化が課題かな?
LRTと呼ぶためには。

電停は、道路より少し高くなっています。
ノンステップです。
降りると、道路中央なので、信号待ちが必要でした。
電停に人がいっぱいであふれそうなのですが、左右に車がびゅんびゅん走っています。
ちょっと怖い気がしました。

日本の路面電車はほとんどが、道路中央なのですが、
軌道位置を道路両端にできないものでしょうか?

電停で待ってると、電車が近づいたとの知らせが表示されます。
これは、最近のバス停にもある仕組みです。
しかし電停に行こうとしても、信号が青にならないと、道路中央に行けないですね。
反対車線なら諦めがつきますが、
そうでないと、間に合わないときに悔しいかも。

もっとも、頻繁に運行されているので、
待ち時間はほとんどないみたいですね。

どの電停も乗降客が多いです。
それだけ需要が多いのでしょう。

宮島口へは別のときにJRで行きました。
JRの車窓から並行して走るグリームーバーを見ることができます。
きれいですね。

宮島口付近の道路は大渋滞していました。
渋滞した車を横目に颯爽と走るグリ-ンムーバー、いい景色です。

“社会主義的”発想をするならば、所得再配分の考え方と同じ事を
交通機関にも当てはめられないでしょうか?

自動車からは税金等をたくさんかけて経済的ハンデを負わせ、
それを道路財源とするのではなく、
公共交通への投資や補助に当てると、いうものです。
公共交通を活性化するには、財源を公的補助としないと無理だと思うのですが、
どうなんでしょう?

クリチバ

2005年02月10日 | 交通機関
ブラジルのクリチバ市に興味深いバスが走っている。
クリチバのバスシステムに関しては、都市交通や街づくりの専門家たちの間では有名だ。

バス自体は連接バスで、日本でも幕張で走っているのと、大きく変わらない。
但し、3連接というのもあるらしい。

一番の特徴はチューブ型のバス停だろう。
運賃はチューブの入り口で支払う。
バスに乗り込むときに払うことは無いので、
乗客の運賃支払でバスが止まったままになることはない。
バスの全てのドアを開けて、一度に大勢の乗客を乗降させることが可能だ。
チューブの床はバスの床面と同じ高さにして、
乗降時はノンステップのバリアフリーとなる。
乗客は風雨を避けることもできる。
バス停というより、駅のプラットフォームの感覚だ。

道路もバス専用レーンを走る。
大量輸送向けのシステムである。
発想は昨日紹介したLRTと同じで、乗り物が電車ではなく、バスというわけだ。

当初、クリチバ市は市内交通機関として、幾つかの計画を持っていた。
建設コストが安く、大量輸送に対応でき、路線の自由度が高いものとして、
連接バスとチューブ型バス停、専用レーンの組み合わせによるバスシステムを採用したらしい。

LRTは省エネ性と無公害という利点があるが、
軌道を建設し、維持する費用、
電気設備を建設、維持する費用がかかる。

バスなら、チューブ駅の設置費用だけで、
道路は一般道路と同じ補修だけで済む。
ディーゼルエンジンなら燃料費は安いが、排気ガスの問題がある。
天然ガスエンジン+ハイブリッドなら、クリーン排気で、省エネとなろう。

なかなかのアイディアだと感心する。
どうして日本でも採用しないのだろう?

路面電車

2005年02月09日 | 交通機関
路面電車は昔の日本の各地で多く見られた。
ガタゴトと鉄輪がうるさく、チンチンと鐘を鳴らして走るので、チンチン電車などと呼ばれた。
スピードは40キロ以下で遅い。
道路中央に電気架線がぶらさがり、景観を損なう。
自動車の普及が進むと、道路渋滞の元凶とされ、邪魔者扱いされた。
こうして、しだいに多くの路面電車が廃止されていく。

ところが欧米各国で、路面電車が見直され始めた。
LRTのある風景のギャラリーを見ると、都市景観に溶け込んで実に美しい電車が走っている。
かつてのチンチン電車とは大違いだ。

多くの都市では自動車が増えるにつれて、自動車中心社会の弊害が目立つようになった。
自動車は都市領域を覆いつくし、
都市部の陸地面積の半分以上を、道路や駐車場で潰す。
どんなに道路を拡張しても減らない渋滞、
新たな道路を建設すれば、さらに多くの自動車を呼び込み、渋滞を増やす矛盾、
都市中心商業地の空洞化、
事故の多発、
大気汚染、
石油消費量の拡大、等々。

打開策として登場したのが、LRTだ。
従来型路面電車と違い、改善点がいくつかある。
・ハード面の技術の進歩により、高速性や静粛性、省エネを確保。
・軌道への自動車の乗り入れを横断以外は禁じる。
・優先信号の仕組みにより、表定速度をアップ。
・連結車両により、輸送力向上。
・運賃体系を簡素化するとともに、運賃の支払をセルフサービス化する。
 これにより運賃の支払時間をなくし、さらに表定速度をアップ。
 (日本の路線バスの遅さは乗降時の運賃支払時間が大きいよね)
・電車のデザインを美しいものにし、ノンステップで人に優しい。
・商業地中心部をトランジットモールにして、自動車を完全追放。
・電停や電線柱のデザインを美しいものにする。
・経営に関しては、運賃だけで賄うのは無理として、公的補助金を出すことで、低運賃を実現。
・建設費が地下鉄や高架軌道中心の新交通に比べて、格段に低い。
・既存鉄道との相互乗り入れが可能で、郊外では道路ではなく、普通の鉄道で高速。
等々。

日本の国土交通省内でも検討されており、
民間の市民グループによる熱心な推進運動もある。
しかし、日本では、実現が難しい。
難しい理由は、
・運賃補助を出すことへの市民の合意が難しい。
・今までの政治家や自治体が、都市交通として、
 地下鉄や新交通などの多くの土木建設を要するものにばかり、
 注目していた。
・軌道に関係する法律は昔の路面電車を想定したもので時代遅れ。
・運賃支払をセルフサービスするだけの公共道徳の高さを期待できない。
・国民の多くが自動車中心社会に満足しており、
 自動車の使用を制限することへの抵抗感が強い。
・首都圏など、極端に人口が多いと、LRTでは間に合わないし、
 その意味で民間私鉄が既にLRTみたいなものだ。
等々があるだろう。

自動車より鉄道大好きな私としては、
本格的なLRTを日本で見たいものだ。