良い子の歴史博物館

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経済資源管理機関(財府)

2009年06月23日 | 七権分立論
七権分立論の続きを書く。

通貨とは不思議なシステムだ。
実際には紙切れなのに(場合によっては、ただの電気信号)、それに価値を与え、取引される。
実にバーチャルな代物だ。
人は、この仮想的価値を求めて、働き、知恵を出し、
犯罪すら犯すこともある。

人的資源や天然資源とは異なり、仮想的存在の経済資源を管理する部署を考えた。

古代では、国家権力維持の主な源泉として、人的資源の比率が一番高い。
古代中国の律令制での、租庸調制とか府兵制は、人頭税の性格が強い。
自給自足に近い社会であればあるほど、どうしても人頭税が国家収入の中心となるわけだ。
ノルト案では民府を人的資源管理の所管とした。

人類の歴史はやがて、農業の発達と共に、土地が権力基盤の中心となる。
土地支配権を報酬とする封建制とか、中国の両税法とかは、土地資源が中心となったことを示す。
ノルト案では土地などの天然資源を地府の所管としてある。

さらに時代が進むと、貨幣経済の発達と共に、仮想的価値としての通貨の流通が国家収入に結びつく。
中国では、農民が作物を販売して得た銀を納入するようになった。
今日では、所得税や消費税などの通貨価値の移動に伴う課税が国家収入の中心だ。
(みんなが自給自足していたら、通貨価値移動しないので、国家収入がなくなる。)

さらに、貨幣経済の発達に付随して、信用を取引材料とする金融資源が大きくなる。
ただでさえ仮想的な通貨ですら存在しなくても、巨額の取引が行われるわけだ。
経済規模の拡大で、人々が豊かになっていった。

通貨や信用取引といった仮想的資源を管理する政府を財府(経済資源管理機関)とする。
予算、収税(所得税や消費税)、通貨、金融、生産、流通、消費、技術、資本、貿易などが所管になろう。
財務省+金融庁+経済産業省とでも言おうか。

ちなみに国家収入であるが、労役や兵役、人頭税(年金もその一形態)は民府の所管である。
但し、人頭税のように通貨価値で徴収したものは、民府から財府へ送られるだろう。
財府は納入された通貨価値に全てに対し、予算決算財政を実行する。

同様に土地や固定資産、地下資源採掘権、魚釣りへの課税なんかは、地府に属するが、
地府は徴収した通貨価値を財府へ送ることになる。

資本主義経済の下では、財府が最重要機関になる。
財府が巨大官庁となることへの批判があるかもしれない。
しかし財府は三権分立での行政府の中の一部局ではない。
財府自体が七権分立上の一政府なのだ。