良い子の歴史博物館

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地方制度

2009年06月23日 | 七権分立論
引き続き七権分立論の続きを書く。

地方政府の構成をどうするかノルトはあまり考えていなかった。

いろいろな地方制度が考えられるだろうが、
大きく中央集権的であるか、地方分権的であるかに分かれるだろう。

中央集権的であれば能率や効率、指導力や実行力、画一性や迅速性の面で有利だが、
地方の特色や実情を無視する傾向がある。

一方、地方分権的なら地方の特色に合わせたきめ細かい政策を実施可能かもしれないが、
地域格差が生じたり、国家分裂の危険すらある。
地方政府によって、コンピュータシステムが違っているため、
データ互換ができなかったり、
同じようなシステムをそれぞれの地方政府が重複して開発していたり、
さらには消防車のホースの仕様が違っているため、
大規模火災が発生したときの応援がスムーズにできなかったり、
といった弊害も生じる。

そして七権分立の仕組みからすると、中央集権的にならざるを得ない。
各中央機関7つのそれぞれが直接、各地方の末端まで所轄事項を掌握する必要があるからだ。
民府が各都市の区役所の戸籍窓口や年金保険窓口や保健所や学校なんかを支配する。
地府が固定資産税を受け付けるだろうし、道路工事も実施するだろう。
財府が証紙販売窓口になる。
それぞれの機関が所管業務を行うために、各機関が地方役所に出向く必要がある。
つまり、中央から末端に至るまで、完全な縦割りの組織構造となってしまうわけだ。

現在の日本の地方行政では、地方自治体業務のうち中央機関が行うべきものを
地方自治体事務が行っているものが多い。
こんなものは、縦割りで十分だと思う。

だが、さすがに、これでおしまいにするのは乱暴だろう。
地方独自の政府も機能した方が良いだろう。
中央七機関(七府)の業務以外の部分で、
地方政府が果たすことのできる分野があると思う。

中央機関と地方政府との関係をどうあるべきか?
なかなか難しいので、ノルトは結論を出せないでいる。

長年、日本では税収の7割が国、3割を地方自治体が受け取り、
支出の7割を地方自治体、3割を国が使う。
国が地方自治体へ交付金を付与することで、
国への依存度を高め、過疎地への手厚い分配が行われてきた。

これを税収の8割を中央機関、2割を地方政府が受け取る一方、
同じ割合で、支出の8割を中央機関、2割を地方政府が使うようにするのが、
ノルト流「七権分立構造改革」になるんではないかな?

やたら「地方」の地位を高めたい方にとっては、
ノルトは危険な中央集権論者に写るかもしれないが。