良い子の歴史博物館

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七権分立論のまとめ

2009年06月23日 | 七権分立論
過去の七権分立論をYahooのホームページサービスにまとめました。
七権分立論


吏府(人事、監察、俸禄、組織、評価、情報、企画、調整)
民府(人的資源管理、戸籍、教育、警察、衛生、徴兵、庸役、労働、福祉、刑務)
地府(天然資源管理、土地、農地、山林、河川、海洋、環境、鉱物、気象、土木)
財府(経済資源管理、予算、収税、通貨、金融、生産、流通、消費、技術、資本)
法府(訴訟、法理論)
衛府(軍事、警備)
上府(外交、朝貢、儀式、藩部、認証、国家試験、)

人的資源管理機関(民府)

2009年06月23日 | 七権分立論
七権分立論の続きを書く。
古代日本での律令中央官制で「民部省」というのがある。
これに倣って、人的資源管理機関の漢字名を「民府」にしてみた。

歴史的にみると、戸籍を作成し、人民を把握する主な目的は人頭税徴収にあった。
これを踏まえて、人民一人一人を管理する機能を1つにまとめる。
すなわち人が誕生してから墓場までの全てを記録し、この人材を活用するための機関である。

戸籍、教育、警察、防災、衛生、徴兵、庸役、労働、福祉、刑務、娯楽、文化、宗教といったものの部門が含まれるだろう。

戸籍部門で全ての人を記録する。
衛生部門で健康な人材を育成する。
教育部門で人材の付加価値を高める。
警察、防災部門で人材の安全を図る。
刑務部門で不適切な人材を矯正するか、破棄する。
福祉部門で弱体化した人材を補強する。
現代では労働税はないが、貨幣経済が未発達な場合、庸役部門で徴用したり、
徴兵での兵力確保という形で人材を強制活用することも、民府の役割範疇になる。
常に労働部門での人的資源活用を図る機関でもある。
各種娯楽の提供は良質の人的資源を生み出しうる。

人的資源を管理するということだけで、巨大な機関となる。
これらの機能を有する民府を独立政府機関と考えた。

財政赤字

2009年06月23日 | 七権分立論
人類の歴史を通じて、普遍的法則がある。
「どの政府も赤字で苦しむ」

歳入が歳出を上回り、黒字財政になる現象は極めて稀だ。
王朝の繁栄絶頂期のほんの一瞬ぐらいだろう。
財政は基本的に赤字となるのが通常の状態である。

赤字が続いたゆえに、崩壊したり弱体化した帝国は数多い。
ローマ帝国、歴代の中国王朝、スペインなどの絶対王政のヨーロッパ各国、江戸幕府や諸藩、・・・。

議会制による民主主義政治体制でも赤字の問題が付きまとう。
議員たちは国民各層の要望を実現したいので、必然的に政府支出が増大する。
しかも増税反対かつ減税推進が基本政策になりやすい。
その結果、膨大な財政赤字をもたらす。

結局のところ、どんな政治体制を考案しても、財政赤字の回避策はない。
ノルトの七権分立案でもね。
政治体制ではいかんともしがたく、
為政者の姿勢や能力といったものに頼るしかないのだろうね?

「議会=立法機関」??

2009年06月23日 | 七権分立論
七権分立論の続きを書く。

三権分立理論では、議会の役割として、立法機能がある。
だが実のところ、本当の意味で立法機能を果たす議会が存在するだろうか?
大半の法案は行政府が提出する。
法案が妥当かどうかは内閣/議院法制局が審査する。
議会が行うのは形式的な討論と議決という「儀式」ではなかろうか?

一応、議員立法という仕組みがあって、立法機関としての格好をつけている。
だが、ノルトが思うに、選挙で選ばれる議員に法律を作らせるのは無謀だ。
なぜなら法律というのは極めて膨大な知識を持った専門家集団でなければ、
まともに扱うことはできないからだ。

議会の果たす実際上の機能は、法案への最終認証だと思う。
つまり国民代表者が法案を受け入れる旨を表明する儀式が議会の役割になっていると思う。
従って、「議会=立法機関」とする理論は既に変容されるべきと考えるが、どうだろうか?

三権分立

2009年06月23日 | 七権分立論
学校の社会科授業で三権分立の原理を教わる。

権力を一箇所に集中すると恣意的な権力乱用に繋がるので、
互いをけん制できる3つの機関に分割するというアイディアだ。
ジョン・ロックやモンテスキューなどによって唱えられたアイディアで、
司法、立法、行政の3つを頂点とする三角形の図式で示される。

一方、江戸時代以前の日本史には、こんなアイディアは生まれない。
江戸時代には、支配とは裁判を行うことが主な仕事と考えられたふしがある。
明治になって、司法権を裁判所が受け持つようになった当初、
各県の行政担当者は、大いに不満だったらしい。
裁判しないで、どうやって人民を指導できるのか? と。

町奉行所も代官所も、徴税と裁判と警察業務を全部兼ねていた。
江戸町奉行所の資料を見ると、裁判案件の長期化が課題になっていたらしい。
時代劇のようにスパッと判決がでたわけではないらしい。
民事訴訟は当事者間で解決しろという「相対済し令」が出るぐらいだから、
訴訟案件が多すぎて、処理できず、長期化を招いていたわけだ。

権力の分散アイディアそのものは、アジア諸国でも生まれていた。
王朝時代の中国では、地方へ派遣する官吏を民政と軍事と監察の3つに分けることがあった。
江戸幕府の職制では交代制が多い。
老中とか町奉行は定員が複数で、月番で通常業務をこなす。
これらは、権力の分割というより、官僚の暴走を防ぐためのものだろう。

近代になって西洋から三権分立の原理を学んで、これは良いと考えられ、
ほとんどの国で、導入される。
(少なくとも形式上は)

ところで、本当に三権分立って、最善の権力構造なのだろうか?

行政の肥大化ということが、よく言われる。
行政部門の担当する業務が圧倒的に拡大しているわけだ。
行政組織内部も、結構、首相や知事の命令なしで動く独立部門が存在したりする。
仮に行政の長が不在でも、組織は動いたりする。

それに権力作用として立法/司法/行政を完全に区別できるのかどうかも疑問に感じる。

では、どんな権力構造がありえるか?
ノルトはときどき思案することがある。
解答は出ていないが・・。

経済資源管理機関(財府)

2009年06月23日 | 七権分立論
七権分立論の続きを書く。

通貨とは不思議なシステムだ。
実際には紙切れなのに(場合によっては、ただの電気信号)、それに価値を与え、取引される。
実にバーチャルな代物だ。
人は、この仮想的価値を求めて、働き、知恵を出し、
犯罪すら犯すこともある。

人的資源や天然資源とは異なり、仮想的存在の経済資源を管理する部署を考えた。

古代では、国家権力維持の主な源泉として、人的資源の比率が一番高い。
古代中国の律令制での、租庸調制とか府兵制は、人頭税の性格が強い。
自給自足に近い社会であればあるほど、どうしても人頭税が国家収入の中心となるわけだ。
ノルト案では民府を人的資源管理の所管とした。

人類の歴史はやがて、農業の発達と共に、土地が権力基盤の中心となる。
土地支配権を報酬とする封建制とか、中国の両税法とかは、土地資源が中心となったことを示す。
ノルト案では土地などの天然資源を地府の所管としてある。

さらに時代が進むと、貨幣経済の発達と共に、仮想的価値としての通貨の流通が国家収入に結びつく。
中国では、農民が作物を販売して得た銀を納入するようになった。
今日では、所得税や消費税などの通貨価値の移動に伴う課税が国家収入の中心だ。
(みんなが自給自足していたら、通貨価値移動しないので、国家収入がなくなる。)

さらに、貨幣経済の発達に付随して、信用を取引材料とする金融資源が大きくなる。
ただでさえ仮想的な通貨ですら存在しなくても、巨額の取引が行われるわけだ。
経済規模の拡大で、人々が豊かになっていった。

通貨や信用取引といった仮想的資源を管理する政府を財府(経済資源管理機関)とする。
予算、収税(所得税や消費税)、通貨、金融、生産、流通、消費、技術、資本、貿易などが所管になろう。
財務省+金融庁+経済産業省とでも言おうか。

ちなみに国家収入であるが、労役や兵役、人頭税(年金もその一形態)は民府の所管である。
但し、人頭税のように通貨価値で徴収したものは、民府から財府へ送られるだろう。
財府は納入された通貨価値に全てに対し、予算決算財政を実行する。

同様に土地や固定資産、地下資源採掘権、魚釣りへの課税なんかは、地府に属するが、
地府は徴収した通貨価値を財府へ送ることになる。

資本主義経済の下では、財府が最重要機関になる。
財府が巨大官庁となることへの批判があるかもしれない。
しかし財府は三権分立での行政府の中の一部局ではない。
財府自体が七権分立上の一政府なのだ。

地方制度

2009年06月23日 | 七権分立論
引き続き七権分立論の続きを書く。

地方政府の構成をどうするかノルトはあまり考えていなかった。

いろいろな地方制度が考えられるだろうが、
大きく中央集権的であるか、地方分権的であるかに分かれるだろう。

中央集権的であれば能率や効率、指導力や実行力、画一性や迅速性の面で有利だが、
地方の特色や実情を無視する傾向がある。

一方、地方分権的なら地方の特色に合わせたきめ細かい政策を実施可能かもしれないが、
地域格差が生じたり、国家分裂の危険すらある。
地方政府によって、コンピュータシステムが違っているため、
データ互換ができなかったり、
同じようなシステムをそれぞれの地方政府が重複して開発していたり、
さらには消防車のホースの仕様が違っているため、
大規模火災が発生したときの応援がスムーズにできなかったり、
といった弊害も生じる。

そして七権分立の仕組みからすると、中央集権的にならざるを得ない。
各中央機関7つのそれぞれが直接、各地方の末端まで所轄事項を掌握する必要があるからだ。
民府が各都市の区役所の戸籍窓口や年金保険窓口や保健所や学校なんかを支配する。
地府が固定資産税を受け付けるだろうし、道路工事も実施するだろう。
財府が証紙販売窓口になる。
それぞれの機関が所管業務を行うために、各機関が地方役所に出向く必要がある。
つまり、中央から末端に至るまで、完全な縦割りの組織構造となってしまうわけだ。

現在の日本の地方行政では、地方自治体業務のうち中央機関が行うべきものを
地方自治体事務が行っているものが多い。
こんなものは、縦割りで十分だと思う。

だが、さすがに、これでおしまいにするのは乱暴だろう。
地方独自の政府も機能した方が良いだろう。
中央七機関(七府)の業務以外の部分で、
地方政府が果たすことのできる分野があると思う。

中央機関と地方政府との関係をどうあるべきか?
なかなか難しいので、ノルトは結論を出せないでいる。

長年、日本では税収の7割が国、3割を地方自治体が受け取り、
支出の7割を地方自治体、3割を国が使う。
国が地方自治体へ交付金を付与することで、
国への依存度を高め、過疎地への手厚い分配が行われてきた。

これを税収の8割を中央機関、2割を地方政府が受け取る一方、
同じ割合で、支出の8割を中央機関、2割を地方政府が使うようにするのが、
ノルト流「七権分立構造改革」になるんではないかな?

やたら「地方」の地位を高めたい方にとっては、
ノルトは危険な中央集権論者に写るかもしれないが。

司法立法機関(法府)

2009年06月23日 | 七権分立論
引き続き七権分立論の続きを書く。

先日の記事『「議会=立法機関」??』でも書いたが、
現在の三権分立での議会の立法機能は既に形骸化している。
官僚組織の助け無しに法案を作成することは不可能だからだ。
法の整合性を確認するだけでも、優秀なスタッフを有する法制局がOKをださないといけない。
議会は、せいぜい法案の承認の儀式を行う機能を果たすに過ぎない。

しかも新たな法の多くは、仔細項目の決まりを運用行政機関の決定に委任していたりする。
行政府が法の運用だけでなく、法の細目の条文を決定できるようにしているわけだ。

それに、そもそもモンテスキューが司法と立法とを分けたことに無理があるのではないか?
法学部で「憲法」を学んだことのある方だと、
ノルトはとんでもないことを言い出すと批判するかもしれない。

しかし、少し考えてみて欲しい。
世の中で生じる様々な出来事を成文法だけで網羅することは不可能で、
実際の訴訟案件で新たな判断が示されることも多いのではないか?
つまり司法が「判例」という形で、事実上の立法行為に及んでいるわけだ。

実際のところ、三権分立の理論は単なる理論に過ぎず、実際には、そのように動いてはいない。
それなのに理論に合わせようとすることに無理がある気がする。
理論に合わないものを、不適切として批判することも間違いではないか?

例えば、古代中国や古代日本で採用された律令制度は、しだいに現実に合わなくなっていった。
官制の中では令外官が多くなり、令の仕組みが形骸化していった。
それなのに律令制を堅持しようとする政府指導者もいただろう。
ノルトの考えでは、そういう彼らは時代遅れの愚か者だ。

そう、理論に合わないものを理論に合わせようとしてはならない。
そして司法と立法は同じ機関に担当させて良いと考える。

ノルトの考える法律制定の仕組みは、こうだ。
1、各所轄機関が法案を策定し、法府に提出する。
2、法府は法案を精査し、OKならば、
  通常はそのまま法律制定とする。
3、但し、国家の行く末が決まるような“重要法案”の場合、
  権威認証機関(たぶん、議会にあたるもの)の承認を得る必要がある。
  重要度の判定は法府が行う。

では議会が果たすことは何か?
重要法案の承認の儀式である。

法府は、さらに既存の法律の中で、実情に合わなくなったり、
整合性が取れなくなったもにについての精査を常に行う。

米国や日本などでは、該当する訴訟案件がないと、
司法の憲法審査権を発動することが無い。
ドイツなどでは憲法裁判所があって、訴訟案件がなくても、憲法審査が実施されるらしい。

整合性チェックは、制定済みの法律に対しても、法府が実施するものとする。

このような司法立法機関(法府)を独立政府機関としてみたが、どんなものだろうか?

軍事機関(衛府)

2009年06月23日 | 七権分立論
引き続き七権分立論の続きを書く。

古代日本の軍制で、六衛府があった。
左右近衛府、左右衛門府、左右兵衛府の6つの衛府があったわけだ。
衛府の名称は、ここから名づけた。

時代や場所を選ばず、軍事組織は国家権力の重要な部分を占める。
そして動員する兵力を募兵、徴兵、傭兵などの方法で調達してきた。

ノルト案では、政府組織のほとんどをアウトソーシングしたいので、
当然、軍事会社への発注により、兵力確保を行いたい。
つまり傭兵が主となるだろう。

中には国家のために働きたいという志願者がいるかもしれない。
軍事会社だけでなく、こういう志願兵をも受け付けたい。
但し、他の傭兵と差を付けない為、志願兵受け入れ用の会社も用意する。
現場での軍事行為は受注した軍事会社が実行するのが基本だ。

軍隊には
・外国からの防衛
・国内治安維持
・外国遠征
・情報収集
4つの機能がある。

これら、全てを衛府が管理監督する。
衛府は統合された指揮命令系統を維持する。
衛府の長官が、最高司令官となる。

衛府は他の機関からの要請で動くことがある。
また吏府の監察を受ける立場でもある。
衛府長官とスタッフは吏府の任免となる。

組織管理機関(吏府)

2009年06月23日 | 七権分立論
七権分立論の続きを書く。

ノルトが思うに、行政サービスの大半は民営化可能ではないだろうか?

市町村が行う窓口業務はコンビニでも行えるものがあるだろうし、
許認可審査業務だって、法律に沿って行われる機械的なものならば、
有資格企業へのアウトソーシングが考えられる。

軍事や警察のような権力機能ですら、かなりの部分が外注可能ではなかろうか?
現に各種警備会社が存在するし、世界には軍事会社が存在する。

歴史的は、徴税を収税請負人が請け負ったケースがあるし、
犯罪者追捕を請け負う賞金稼ぎも存在した。

ノルト案では極力、官を減らし、民間業者を使用したい。
民間業者採用では競争入札を行う。

組織管理機関(吏府)の主な業務は外注管理である。
国家組織を運営するに当たって、どの業者に委託するか、
委託した業者を評価し、報酬額を決定する。
各レベルでの監察も外注を使用しつつ、2重3重に行う。

さらに、これを延長した形で、各政府機関(府)の構成員を任免できる。
例えば、経済資源管理機関(財府)のトップを誰にするかを決定するが、
その際に発注を「政策会社」に行う。
組織管理機関(吏府)から受注した政策会社は、多数のスタッフ要員を抱えているべきである。
シンクタンクを有する特殊会社となろう。
どの政策会社(政党みたいなものか?)が良いかを競争入札で決定する。
政治家を選ぶのではなく、政策会社を選ぶわけだ。
さらに、仕事の評価を行い、報酬を決定できる。
引き続き同じ政策会社に担当させるかどうかも決定できる。

各政府機関(府)の間の調整は、組織管理機関(吏府)とする。

組織管理機関(吏府)は、国家組織としては最上位に属することになる。
従って、組織管理機関(吏府)が最高権力機関となる。
ここを議会とするか、国王とするか、貴族会議とか評議会とするかは、
国情に合わせることになろう。

中国の中央管制である六部に「吏部」というのがあるので、
これに倣い、漢字名を「吏府」とした。