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永遠のシュール/井上陽水

2012年04月27日 | Life
今夜は「井上陽水ライブ2012 Hello,Goodbye」を聴きにオリックス劇場へ行く。
会場には若い人もちらほらいるが、ほとんど年輩の人ばかりで(わたしもその一人だが)さすがに40年のキャリアを思わせる雰囲気がある。
ちなみに陽水さんは現在63歳。日本のポップスの神的存在です。



ライブはほぼ定刻どおりはじまる。1曲目はテンポよく?「東へ西へ」から。
さらに「Power Down」「Make-up Shadow」「俺の事務所はCAMP」と連続で歌ったあと、やっとMCが入る。
「みなさんこんばんは、井上陽水です。大変な時代を迎えているきょうこの頃ですが、みなさんお元気ですか?」
あの軽妙で人を食ったようなトークは健在で、ふつうにあいさつしてるだけなのに、なぜかおかしい。

さらに曲はつづく。
だが新しい曲も新しいアレンジもなく、陽水は職人のようにただ淡々と歌う。高音の伸びがやや衰えているのは仕方のないことか。
今年のライブツアーのタイトルは「Hello,Goodbye」。ビートルズの曲にもあるタイトルだ。
 「キミがイエスといえば、ぼくはノー」
 「どうしてキミはグッバイなんていうんだい」
この曲は当時のポールがジョン(あるいはジョージやリンゴも)に問うているという解釈が主流だが、いま陽水がこのタイトルを付ける意味はなにか。
彼がこのツアーにこめる思いやメッセージとはなにか。
そんなことを考えながら曲を聴く。

陽水がビートルズから受けた影響は音楽的な部分ではなく、音楽をつくっていく姿勢そのものであった。
いつも前作をくつがえし、常に新しいことに挑戦する。アーティストとしてのそういうスタンスこそが影響を受けた部分だったと思う。
またインタビュアーをはぐらかしたり、皮肉っぽい物言いもビートルズの影響だろう。
だが陽水も歳をとり、そういうアーティスト臭のない、ただの歌手になってしまった。
もはやこのライブでは彼から受けとれるメッセージはない。

ところが!
ライブ終盤で「最後のニュース」を歌ったとき、3コーラス目のサビのまえで突然、陽水がシャウトした。
 「世界中の国の人と愛と金が 入り乱れていつか混ざりあえるの」
わずか4小節ほどの長さだったけど、主旋律の5度上のラインを絶叫するように陽水が歌ったとき、わたしの全身に電気が走り鳥肌が立った。
 「今あなたにGood-Night ただあなたにGood-bye」
ああ、彼がこのツアーにこめたメッセージはこれなのか。
淡々と歌ってきたのは、これを際立たせるための伏線だったのか。
でも陽水はMCではなにもいわない。どうぞ歌から自由に感じとってください、といわんばかりに。
彼の放ったメッセージをあえてかき消すように、つぎの曲「My House」ではまた歌手職人・井上陽水にもどっていた。

アンコールも含め全24曲、たっぷり2時間のライブはおわった。

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