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子育て最前線の育児論byはやし浩司 10年 5月 17日
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メルマガ(6万3000誌)の中で、2008年度、メルマガ・オブ・ザ・イヤーに
選ばれました!
【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【教育のダイナミズム】
●教育の自由化論byはやし浩司
++++++++++++++++++
読売新聞の調査結果が、韓国の東亜B報に
掲載された。
(日本)→(韓国)→(日本)と迂回した
ことになる。
興味深い調査結果だったので、ここに
収録させてもらう。
++++++++++++++++++
●居眠りする高校生
++++++++++++++以下、東亜N報より++++++++++++++
「韓国人生徒は居眠りし、日本人生徒はぼうっと座っていて、米国人生徒は食べたり、私
語がやまない…」
日本の文部科学省傘下の教育機関が、韓国や米国、中国、日本の4カ国の高校生を対象に、
授業に臨む態度について調査した結果、国ごとにこのような傾向を見せたと、読売新聞が
8日付で報じた。今回の調査は、4ヵ国の高校生6200人を対象に、昨年夏から秋にか
けて実施された。
この調査の結果によると、韓国人生徒らの32.3%が授業時間に居眠りするのを、「普
通の行動」、または「たびたびおこなっている行動」だと答え、日本(45.1%)に次
き2位だった。一方、米国や中国人生徒らはそれぞれ20.8%と4.7%に止まった。
韓国人生徒らはまた、「授業内容をノートにこまめに書いている」と回答した比率は68.
1%と、日本(93.1%)や中国(90.1%)、米国(89.1%)より低かった。
「授業時間に積極的に発表する」という回答も、韓国人生徒らは16.3%に止まり、米
国(51.5%)や中国(46.2%)より一段と低かった。
一方、日本人生徒らは、「(授業時間に)ぼうっと座っている」という回答が45.8%
と、米国(59.4%)と同様高い割合を示した。また、米国人生徒らは、「隣の友人と
私語をする」や、「授業中におやつを食べる」という回答もそれぞれ64.2%と46.
9%と、4カ国の生徒のうちもっとも高かった。また、「メールを送ったり、授業内容と
は関係のない本を読む」という生徒も、38.9%ともっとも多かった。
一方、中国人生徒らは、授業への参加度が高く、授業態度も全般的に良好であり、韓米日
の生徒らとは対照的な姿を見せた。
++++++++++++++以上、東亜N報より++++++++++++++
●データの整理
(授業中、居眠りをしている)
居眠りについて、「普通の行動」、または「たびたびおこなっている行動」
日本人 45.1%
韓国人 32.3%
アメリカ 20.8%
中国 4.7%
(授業内容をノートにこまめに書いている)
日本人 93.1%
中国 90.1%
アメリカ 89.1%
韓国人 68.1%
(授業時間に積極的に発表する)
アメリカ 51.5%
中国 46.2%
韓国 16.3%
(授業時間に、ぼうっと座っている)
アメリカ 59.4%
日本 45.8%
結論として、「中国人生徒らは、授業への参加度が高く、授業態度も全般的に良好であ
り、韓米日の生徒らとは対照的な姿を見せた」とのこと。
●「必須科目」という幻想
この数字を見ただけで、日本の子どもたちが今、学校でどのような様子なのか、よくわ
かる。
参観日に見せる様子を、(すべて)と思ってはいけない。
あれはあくまでも、「ショー」。
ショーということは、あなた自身が、いちばんよく知っているはず。
では、どうすればよいのか?
私はいまだに「必須科目」という科目の意味がよくわからない。
たとえば私は毎年暮れに発売になる、「IMIDAS」という総合用語辞典がある。
私は毎年、その本を買っている。
で、一度、「必須科目」と言われる科目に相当する部分が、どの程度の分野なのか、こまめ
に調べたことがある。
そのとき、私は、「学校で習う分野(内容ではなく、分野)は、20分の1から、30分の
1であることを知った。
(たったの20分の1だぞ!)
その20分の1のことのために、それを「人格形成に必要不可欠な知識、教養」と思い
こまされ、日夜学校でしごかれている子どもが、あわれ。
ちなみにオーストラリアでは、「キャンピング」という科目が、必須科目(コンパルサリ
ィ)になっている。
理由を聞くと、「荒れ地で独りになっても、生きていかれるように」と。
また語学にしても、フランス語、ドイツ語に並んで、中国語、日本語、インドネシア語か
ら選択できる(中1レベル)。
インドネシア語が選択できるのは、「隣国だから」と。
以前書いたエッセーを、ここに紹介する。
日付は、2007年の9月になっている。
++++++以下、2007年9月、発表のエッセーより++++++++
●実用的なことを教える
++++++++++++++
この日本では、実用的なことを
教えるのは、邪道であるというふうに
考えている教師は多い。
統計的な数字があるわけではないが、
そういう風潮は、たしかにある。
このことは、アメリカの中学校で
使う教科書と比較してみると、
よくわかる。
アメリカの中学校では、「中古車の
買い方」(代数)というテーマから
数学の学習に入る(プレンティス版、
「代数」)。
金利計算(=小数の計算)、さらには
小切手の切り方などまで、その(流れ)
の中で教えている。
どうして教育が実用的であっては
いけないのか。アカデミックな部分も
必要かもしれないが、みながみな、
その道の学者になるわけではない。
+++++++++++++++
「勉強は役に立たない」と考えている子どもは、多い。このほどベネッセが発表した「学
習基本調査」によると、「役に立つ」と答えた小学生の割合は、東京、ソウル、北京、ロン
ドン、ワシントンDC、ヘルシンキの中で、最低だったという。
希望の進学段階も、北京の小学生の65・2%が、「大学院まで」と答えているが、東京
の小学生は、「高校まで」という回答が、相対的に多かったという。
さらに学習時間数についても、東京では1時間以下が、49・3%いる一方で、3時間
半以上が、18・1%いるそうだ。
全体の平均も、
東京 ……101・1分
ソウル……145・8分
北京 ……131・6分、とか。
(以上、「学習基本調査の国際比較」、ベネッセ、東京、ソウル、北京、ロンドン、ワシン
トン、ヘルシンキの、小学5年生(10~11歳、公立校)で調査。06年6月~07年
1月、産経新聞より)
私が住むこのあたりでも、「高校は部活動を一生懸命やって、推薦で高校へ入る」という
中学生が多い。北区にある、ある中学校の校長は、「そういう子どもが、全体の60%はい
る」と話してくれたのを覚えている。
最近の子どもたちは、勉強をしなくなった。……というより、勉強する子どもと、しな
い子どもの二極化が、ますます進んでいる。その一方で、進学を目的とした受験競争は、
はげしくなっている。それが「東京では1時間以下が、49・3%いる一方で、3時間半
以上が、18・1%」という数字になって、表れている。
なぜ学校の勉強はおもしろくないか? それについては、今まで繰りかえし書いてきた。
+++++++++++
【日本の教育が遅れるとき】
●英語教育はムダ?
D氏(65歳・私立小学校理事長)はこう言った。「まだ日本語もよくわからない子ども
に、英語を教える必要はない」と。つまり小学校での英語教育は、ムダ、と。
しかしこの論法がまかり通るなら、こうも言える。「日本もまだよく旅行していないのに、
外国旅行をするのはムダ」「地球のこともよくわかっていないのに、火星に探査機を送るの
はムダ」と。私がそう言うと、D氏は、「国語の時間をさいてまで英語を教える必要はない。
しっかりとした日本語が身についてから、英語の勉強をしても遅くはない」と。
●多様な未来に順応できるようにするのが教育
これについて議論をする前に、こんな事実がある。アメリカの中南部の各州の小学校で
は、公立小学校ですら、カリキュラムを教師と親が相談しながら決めている(※1)。
たとえばルイサ・E・ペリット公立小学校(アーカンソー州・アーカデルフィア)では、
4歳児から子どもを預かり、コンピュータの授業をしている。近くのヘンダーソン州立大
学で講師をしている知人にそのことについて聞くと、こう教えてくれた。
「アメリカでは、多様な社会にフレキシブル(柔軟)に対応できる子どもを育てるのが、
教育の目標だ」と。
事情はイギリスも同じで、在日イギリス大使館のS・ジャック氏も次のように述べている。
「(教育の目的は)多様な未来に対応できる子どもたちを育てること(※2)」(長野県経営
者協会会合の席)と。オーストラリアのほか、ドイツやカナダでも、学外クラブが発達し
ていて、子どもたちは学校が終わると、中国語クラブや日本語クラブへ通っている。こう
いう時代に、「英語を教える必要はない」とは!
●文法学者が作った体系
ただ英語教育と言っても、問題がないわけではない。日本の英語教育は、将来英語の文
法学者になるには、すぐれた体系をもっている。数学も国語もそうだ。将来その道の学者
になるには、すぐれた体系をもっている。理由は簡単。もともとその道の学者が作った体
系だからだ。だからおもしろくない。だから役に立たない。
こういう教育を「教育」と思い込まされている日本人はかわいそうだ。子どもたちはもっ
とかわいそうだ。
たとえば英語という科目にしても、大切なことは、文字や言葉を使って、いかにして自分
の意思を相手に正確に伝えるか、だ。それを動詞だの、3人称単数だの、そんなことばか
りにこだわっているから、子どもたちはますます英語嫌いになる。ちなみに中学1年の入
学時には、ほとんどの子どもが「英語、好き」と答える。が、1年の終わりには、ほとん
どの子どもが、「英語、嫌い」と答える。
●数学だって、無罪ではない
数学だって、無罪ではない。あの一次方程式や二次方程式にしても、それほど大切なも
のなのか。さらに進んで、三角形の合同、さらには二次関数や円の性質が、それほど大切
なものなのか。仮に大切なものだとしても、そういうものが、実生活でどれほど役に立つ
というのか。
こうした教育を正当化する人は、「基礎学力」という言葉を使って、弁護する。「社会生活
を営む上で必要な基礎学力だ」と。
もしそうならそうで、一度子どもたちに、「それがどう必要なのか」、それを説明してほし
い。「なぜ中学一年で一次方程式を学び、三年で二次方程式を学ぶのか。また学ばねばなら
ないのか」と、それを説明してほしい。その説明がないまま、問答無用式に上から押しつ
けても、子どもたちは納得しないだろう。
現に今、中学生の56・5%が、この数学も含めて、「どうしてこんなことを勉強しなけれ
ばいけないのかと思う」と、疑問に感じているというではないか(ベネッセコーポレーシ
ョン・「第三回学習基本調査」2001年)。
●教育を自由化せよ
さて冒頭の話。英語教育がムダとか、ムダでないという議論そのものが、意味がない。
こういう議論そのものが、学校万能主義、学校絶対主義の上にのっている。早くから英語
を教えたい親がいる。早くから教えたくない親もいる。早くから英語を学びたい子どもが
いる。早くから学びたくない子どももいる。早くから英語を教えるべきだという人がいる。
早くから教える必要はないという人もいる。
要は、それぞれの自由にすればよい。そのためにはオーストラリアやドイツ、カナダのよ
うにクラブ制にすればよい。またそれができる環境をつくればよい。「はじめに学校ありき」
ではなく、「はじめに子どもありき」という発想で考える。それがこれからの教育のあるべ
き姿ではないのか。それでほとんどの問題は解決する。
※1……州政府は学習内容を六つの領域に分け、一応のガイダンスを各学校に提示してい
るが、「それはたいへんゆるやかなもの」(同小学校、オクーイン校長)とのこと。各学校
はそのガイダンスの範囲内で、自由にカリキュラムを編成することができる。
※2……ブレア首相は、教育改革を最優先事項として、選挙に当選した。それについて在
日イギリス大使館のS・ジャック公使は、次のように述べている。「イギリスでは、一九九
〇年代半ば、教育水準がほかの国の水準に達しておらず、その結果、国家の誇りが失われ
た認識があった。このことが教育改革への挑戦の原動力となった」「さらに、現代社会はI
T(情報技術)革命、産業再編成、地球的規模の相互関連性の促進、社会的価値の変化に
直面しているが、これも教育改革への挑戦的動機の一つとなった。つまり子どもたちが急
激に変化する世界で生活し、仕事に取り組むうえで求められる要求に対応できる教育制度
が必要と考えたからである」(長野県経営者協会会合の席で)と。そして「当初は教師や教
職員組合の抵抗にあったが、国民からの支持を得て、少しずつ理解を得ることができた」
とも。イギリスでの教育改革は、サッチャー首相の時代から、もう丸4年になろうとして
いる(2001年11月)。
Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司
【実用的な教育】
● すべての国民は、国の教育機関で、平等な教育を受ける権利がある。……ということで、
学校教育は発達した。しかしそれが達成されたあとは、「教育」そのものに対する考え方は
変わってくる。変わって当然である。それはちょうど、食事に似ている。貧しい時代には、
腹がふくれれば、それでよかった。しかし人々の意識が、ある一定のレベルを超えると、
それは必要なことかもしれないが、それでは足りない。料理が発達し、人々が食生活に楽
しみを求めるようになったのと同じように、親や子どもたちは、教育に、「中身」を求める
ようになった。
+++++++++++++++
●何のための歴史教育
生きた歴史教育は、「今」という時点で考えて、はじめて可能である。それはたとえて言
うなら、料理の教育に似ている。料理にしても、自分で作ってみて、はじめてそれがわか
る。
昨夜も高校受験をひかえた中学生と話しあってみた。彼はこのあたりでも一番と呼ばれ
る進学校を受験することになっている。たまたまアヘン戦争の話をしたが、こう言った。
「道光帝が、林則徐を広州に派遣した。で、アヘンを没収し、イギリス貿易を中止したん
だ。それで一八四〇年に、イギリス議会が、清に対して宣戦を布告した……」と。
そんな彼でも、私が「では、どうして今の北朝鮮が日本を目の仇(かたき)にしている
のか」と聞いても、「知らない」「わからない」と言う。「あんな国は、あっという間にやっ
つけてやる」とも言う。「しかし向こうは、100万人の兵隊をもっているよ。日本は20
万人だよ」と、私が言うと、「アメリカが、核兵器で始末してくれるさ」と。
●実用的でないのが教育?
こうした例は、英語にも、国語にもある。恩師のT教授も、理科もそうだという。(私に
は理科教育はよくわからないが……。)日本の教育は、伝統的に、どこかおかしい? 本当
におかしい? 教えるべきことを教えないで、教えなくてもよいようなことばかり、教え
ている? 何かしら役にたたないようなことを教えるのが教育と、誤解しているような面
すらある。反対に、実用的なことは教えてはいけないというような風潮すら、ある。
アメリカでは、中学校での上級数学(Advance Math)では、中古車の買い方から教え始
め、小切手の切り方まで教える。高校で車の運転のし方を教えるところも多い。もちろん
免許も学校で取れる(地方の高校など)。
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【教育のダイナミズム】
●教育の自由化論byはやし浩司
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読売新聞の調査結果が、韓国の東亜B報に
掲載された。
(日本)→(韓国)→(日本)と迂回した
ことになる。
興味深い調査結果だったので、ここに
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●居眠りする高校生
++++++++++++++以下、東亜N報より++++++++++++++
「韓国人生徒は居眠りし、日本人生徒はぼうっと座っていて、米国人生徒は食べたり、私
語がやまない…」
日本の文部科学省傘下の教育機関が、韓国や米国、中国、日本の4カ国の高校生を対象に、
授業に臨む態度について調査した結果、国ごとにこのような傾向を見せたと、読売新聞が
8日付で報じた。今回の調査は、4ヵ国の高校生6200人を対象に、昨年夏から秋にか
けて実施された。
この調査の結果によると、韓国人生徒らの32.3%が授業時間に居眠りするのを、「普
通の行動」、または「たびたびおこなっている行動」だと答え、日本(45.1%)に次
き2位だった。一方、米国や中国人生徒らはそれぞれ20.8%と4.7%に止まった。
韓国人生徒らはまた、「授業内容をノートにこまめに書いている」と回答した比率は68.
1%と、日本(93.1%)や中国(90.1%)、米国(89.1%)より低かった。
「授業時間に積極的に発表する」という回答も、韓国人生徒らは16.3%に止まり、米
国(51.5%)や中国(46.2%)より一段と低かった。
一方、日本人生徒らは、「(授業時間に)ぼうっと座っている」という回答が45.8%
と、米国(59.4%)と同様高い割合を示した。また、米国人生徒らは、「隣の友人と
私語をする」や、「授業中におやつを食べる」という回答もそれぞれ64.2%と46.
9%と、4カ国の生徒のうちもっとも高かった。また、「メールを送ったり、授業内容と
は関係のない本を読む」という生徒も、38.9%ともっとも多かった。
一方、中国人生徒らは、授業への参加度が高く、授業態度も全般的に良好であり、韓米日
の生徒らとは対照的な姿を見せた。
++++++++++++++以上、東亜N報より++++++++++++++
●データの整理
(授業中、居眠りをしている)
居眠りについて、「普通の行動」、または「たびたびおこなっている行動」
日本人 45.1%
韓国人 32.3%
アメリカ 20.8%
中国 4.7%
(授業内容をノートにこまめに書いている)
日本人 93.1%
中国 90.1%
アメリカ 89.1%
韓国人 68.1%
(授業時間に積極的に発表する)
アメリカ 51.5%
中国 46.2%
韓国 16.3%
(授業時間に、ぼうっと座っている)
アメリカ 59.4%
日本 45.8%
結論として、「中国人生徒らは、授業への参加度が高く、授業態度も全般的に良好であ
り、韓米日の生徒らとは対照的な姿を見せた」とのこと。
●「必須科目」という幻想
この数字を見ただけで、日本の子どもたちが今、学校でどのような様子なのか、よくわ
かる。
参観日に見せる様子を、(すべて)と思ってはいけない。
あれはあくまでも、「ショー」。
ショーということは、あなた自身が、いちばんよく知っているはず。
では、どうすればよいのか?
私はいまだに「必須科目」という科目の意味がよくわからない。
たとえば私は毎年暮れに発売になる、「IMIDAS」という総合用語辞典がある。
私は毎年、その本を買っている。
で、一度、「必須科目」と言われる科目に相当する部分が、どの程度の分野なのか、こまめ
に調べたことがある。
そのとき、私は、「学校で習う分野(内容ではなく、分野)は、20分の1から、30分の
1であることを知った。
(たったの20分の1だぞ!)
その20分の1のことのために、それを「人格形成に必要不可欠な知識、教養」と思い
こまされ、日夜学校でしごかれている子どもが、あわれ。
ちなみにオーストラリアでは、「キャンピング」という科目が、必須科目(コンパルサリ
ィ)になっている。
理由を聞くと、「荒れ地で独りになっても、生きていかれるように」と。
また語学にしても、フランス語、ドイツ語に並んで、中国語、日本語、インドネシア語か
ら選択できる(中1レベル)。
インドネシア語が選択できるのは、「隣国だから」と。
以前書いたエッセーを、ここに紹介する。
日付は、2007年の9月になっている。
++++++以下、2007年9月、発表のエッセーより++++++++
●実用的なことを教える
++++++++++++++
この日本では、実用的なことを
教えるのは、邪道であるというふうに
考えている教師は多い。
統計的な数字があるわけではないが、
そういう風潮は、たしかにある。
このことは、アメリカの中学校で
使う教科書と比較してみると、
よくわかる。
アメリカの中学校では、「中古車の
買い方」(代数)というテーマから
数学の学習に入る(プレンティス版、
「代数」)。
金利計算(=小数の計算)、さらには
小切手の切り方などまで、その(流れ)
の中で教えている。
どうして教育が実用的であっては
いけないのか。アカデミックな部分も
必要かもしれないが、みながみな、
その道の学者になるわけではない。
+++++++++++++++
「勉強は役に立たない」と考えている子どもは、多い。このほどベネッセが発表した「学
習基本調査」によると、「役に立つ」と答えた小学生の割合は、東京、ソウル、北京、ロン
ドン、ワシントンDC、ヘルシンキの中で、最低だったという。
希望の進学段階も、北京の小学生の65・2%が、「大学院まで」と答えているが、東京
の小学生は、「高校まで」という回答が、相対的に多かったという。
さらに学習時間数についても、東京では1時間以下が、49・3%いる一方で、3時間
半以上が、18・1%いるそうだ。
全体の平均も、
東京 ……101・1分
ソウル……145・8分
北京 ……131・6分、とか。
(以上、「学習基本調査の国際比較」、ベネッセ、東京、ソウル、北京、ロンドン、ワシン
トン、ヘルシンキの、小学5年生(10~11歳、公立校)で調査。06年6月~07年
1月、産経新聞より)
私が住むこのあたりでも、「高校は部活動を一生懸命やって、推薦で高校へ入る」という
中学生が多い。北区にある、ある中学校の校長は、「そういう子どもが、全体の60%はい
る」と話してくれたのを覚えている。
最近の子どもたちは、勉強をしなくなった。……というより、勉強する子どもと、しな
い子どもの二極化が、ますます進んでいる。その一方で、進学を目的とした受験競争は、
はげしくなっている。それが「東京では1時間以下が、49・3%いる一方で、3時間半
以上が、18・1%」という数字になって、表れている。
なぜ学校の勉強はおもしろくないか? それについては、今まで繰りかえし書いてきた。
+++++++++++
【日本の教育が遅れるとき】
●英語教育はムダ?
D氏(65歳・私立小学校理事長)はこう言った。「まだ日本語もよくわからない子ども
に、英語を教える必要はない」と。つまり小学校での英語教育は、ムダ、と。
しかしこの論法がまかり通るなら、こうも言える。「日本もまだよく旅行していないのに、
外国旅行をするのはムダ」「地球のこともよくわかっていないのに、火星に探査機を送るの
はムダ」と。私がそう言うと、D氏は、「国語の時間をさいてまで英語を教える必要はない。
しっかりとした日本語が身についてから、英語の勉強をしても遅くはない」と。
●多様な未来に順応できるようにするのが教育
これについて議論をする前に、こんな事実がある。アメリカの中南部の各州の小学校で
は、公立小学校ですら、カリキュラムを教師と親が相談しながら決めている(※1)。
たとえばルイサ・E・ペリット公立小学校(アーカンソー州・アーカデルフィア)では、
4歳児から子どもを預かり、コンピュータの授業をしている。近くのヘンダーソン州立大
学で講師をしている知人にそのことについて聞くと、こう教えてくれた。
「アメリカでは、多様な社会にフレキシブル(柔軟)に対応できる子どもを育てるのが、
教育の目標だ」と。
事情はイギリスも同じで、在日イギリス大使館のS・ジャック氏も次のように述べている。
「(教育の目的は)多様な未来に対応できる子どもたちを育てること(※2)」(長野県経営
者協会会合の席)と。オーストラリアのほか、ドイツやカナダでも、学外クラブが発達し
ていて、子どもたちは学校が終わると、中国語クラブや日本語クラブへ通っている。こう
いう時代に、「英語を教える必要はない」とは!
●文法学者が作った体系
ただ英語教育と言っても、問題がないわけではない。日本の英語教育は、将来英語の文
法学者になるには、すぐれた体系をもっている。数学も国語もそうだ。将来その道の学者
になるには、すぐれた体系をもっている。理由は簡単。もともとその道の学者が作った体
系だからだ。だからおもしろくない。だから役に立たない。
こういう教育を「教育」と思い込まされている日本人はかわいそうだ。子どもたちはもっ
とかわいそうだ。
たとえば英語という科目にしても、大切なことは、文字や言葉を使って、いかにして自分
の意思を相手に正確に伝えるか、だ。それを動詞だの、3人称単数だの、そんなことばか
りにこだわっているから、子どもたちはますます英語嫌いになる。ちなみに中学1年の入
学時には、ほとんどの子どもが「英語、好き」と答える。が、1年の終わりには、ほとん
どの子どもが、「英語、嫌い」と答える。
●数学だって、無罪ではない
数学だって、無罪ではない。あの一次方程式や二次方程式にしても、それほど大切なも
のなのか。さらに進んで、三角形の合同、さらには二次関数や円の性質が、それほど大切
なものなのか。仮に大切なものだとしても、そういうものが、実生活でどれほど役に立つ
というのか。
こうした教育を正当化する人は、「基礎学力」という言葉を使って、弁護する。「社会生活
を営む上で必要な基礎学力だ」と。
もしそうならそうで、一度子どもたちに、「それがどう必要なのか」、それを説明してほし
い。「なぜ中学一年で一次方程式を学び、三年で二次方程式を学ぶのか。また学ばねばなら
ないのか」と、それを説明してほしい。その説明がないまま、問答無用式に上から押しつ
けても、子どもたちは納得しないだろう。
現に今、中学生の56・5%が、この数学も含めて、「どうしてこんなことを勉強しなけれ
ばいけないのかと思う」と、疑問に感じているというではないか(ベネッセコーポレーシ
ョン・「第三回学習基本調査」2001年)。
●教育を自由化せよ
さて冒頭の話。英語教育がムダとか、ムダでないという議論そのものが、意味がない。
こういう議論そのものが、学校万能主義、学校絶対主義の上にのっている。早くから英語
を教えたい親がいる。早くから教えたくない親もいる。早くから英語を学びたい子どもが
いる。早くから学びたくない子どももいる。早くから英語を教えるべきだという人がいる。
早くから教える必要はないという人もいる。
要は、それぞれの自由にすればよい。そのためにはオーストラリアやドイツ、カナダのよ
うにクラブ制にすればよい。またそれができる環境をつくればよい。「はじめに学校ありき」
ではなく、「はじめに子どもありき」という発想で考える。それがこれからの教育のあるべ
き姿ではないのか。それでほとんどの問題は解決する。
※1……州政府は学習内容を六つの領域に分け、一応のガイダンスを各学校に提示してい
るが、「それはたいへんゆるやかなもの」(同小学校、オクーイン校長)とのこと。各学校
はそのガイダンスの範囲内で、自由にカリキュラムを編成することができる。
※2……ブレア首相は、教育改革を最優先事項として、選挙に当選した。それについて在
日イギリス大使館のS・ジャック公使は、次のように述べている。「イギリスでは、一九九
〇年代半ば、教育水準がほかの国の水準に達しておらず、その結果、国家の誇りが失われ
た認識があった。このことが教育改革への挑戦の原動力となった」「さらに、現代社会はI
T(情報技術)革命、産業再編成、地球的規模の相互関連性の促進、社会的価値の変化に
直面しているが、これも教育改革への挑戦的動機の一つとなった。つまり子どもたちが急
激に変化する世界で生活し、仕事に取り組むうえで求められる要求に対応できる教育制度
が必要と考えたからである」(長野県経営者協会会合の席で)と。そして「当初は教師や教
職員組合の抵抗にあったが、国民からの支持を得て、少しずつ理解を得ることができた」
とも。イギリスでの教育改革は、サッチャー首相の時代から、もう丸4年になろうとして
いる(2001年11月)。
Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司
【実用的な教育】
● すべての国民は、国の教育機関で、平等な教育を受ける権利がある。……ということで、
学校教育は発達した。しかしそれが達成されたあとは、「教育」そのものに対する考え方は
変わってくる。変わって当然である。それはちょうど、食事に似ている。貧しい時代には、
腹がふくれれば、それでよかった。しかし人々の意識が、ある一定のレベルを超えると、
それは必要なことかもしれないが、それでは足りない。料理が発達し、人々が食生活に楽
しみを求めるようになったのと同じように、親や子どもたちは、教育に、「中身」を求める
ようになった。
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●何のための歴史教育
生きた歴史教育は、「今」という時点で考えて、はじめて可能である。それはたとえて言
うなら、料理の教育に似ている。料理にしても、自分で作ってみて、はじめてそれがわか
る。
昨夜も高校受験をひかえた中学生と話しあってみた。彼はこのあたりでも一番と呼ばれ
る進学校を受験することになっている。たまたまアヘン戦争の話をしたが、こう言った。
「道光帝が、林則徐を広州に派遣した。で、アヘンを没収し、イギリス貿易を中止したん
だ。それで一八四〇年に、イギリス議会が、清に対して宣戦を布告した……」と。
そんな彼でも、私が「では、どうして今の北朝鮮が日本を目の仇(かたき)にしている
のか」と聞いても、「知らない」「わからない」と言う。「あんな国は、あっという間にやっ
つけてやる」とも言う。「しかし向こうは、100万人の兵隊をもっているよ。日本は20
万人だよ」と、私が言うと、「アメリカが、核兵器で始末してくれるさ」と。
●実用的でないのが教育?
こうした例は、英語にも、国語にもある。恩師のT教授も、理科もそうだという。(私に
は理科教育はよくわからないが……。)日本の教育は、伝統的に、どこかおかしい? 本当
におかしい? 教えるべきことを教えないで、教えなくてもよいようなことばかり、教え
ている? 何かしら役にたたないようなことを教えるのが教育と、誤解しているような面
すらある。反対に、実用的なことは教えてはいけないというような風潮すら、ある。
アメリカでは、中学校での上級数学(Advance Math)では、中古車の買い方から教え始
め、小切手の切り方まで教える。高校で車の運転のし方を教えるところも多い。もちろん
免許も学校で取れる(地方の高校など)。