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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

M

2017-10-12 | photogenic


村田らむ
『廃村 昭和の残響』★★

パラレルワールドへ。
先日のリアルな自由研究を拝見したからか、キレイに見える。
お天気も相成って木々の緑と陽の光のコントラストが暖かい。
むっとする匂いが漂ってくる。

「人がいてはじめて村は村でありえる。だから僕が廃村に着くと、ほんの少しだけ村は生き返る。」


田舎の廃村は何度か見かけたことがあるけど、
あの崩れ落ち加減とそこに息づく何かが神経を刺激するのか鳥肌が立つ。
自然の力に敵うはずがなく。




























山に行って、海に行って遊ぶ。
今この歳になってからの方が運動したい欲求
体力が落ちている実感と鏡に映る身体の変化にあがいてる?
人間ドックを予約した。
どうしも体重に固執してしまう→目標:54Kに戻す!
やっぱり胃カメラを飲む勇気がない・・



すっかり忘れてた・・ ホント何やっても続かない・・

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2017-10-11 | photogenic


『朝のそら』★★★★

ピーピーエス通信社
PPS通信社(登記名:株式会社ピーピーエス通信社、英語名:Pacific Press Service、略称:PPS)
日本のストックフォトライブラリー。1965年に東京で設立されて以来、主に出版・放送・広告業界などへ写真の使用権のライセンスを行ってきた。
2001年に検索ウェブサイト「PPS■画像検索システム」でオンラインでの提供を始めた。

今朝は高原のような朝靄が漂って、住宅街が幻想的だった。
そろそろ空気が澄んで富士山が見える季節になる。
一年なんてあっと言う間!


色々な山本(やまぼん)を眺めていて、
とりあえず直近では飯能の天覧山~多峯主山
11月になったら岩殿山か高川山、陣馬山
念願の月山、本当は行く予定だった安達太良山、直近で気になる武甲山
八ヶ岳も行ってみたい。
リベリベ西沢渓谷・・
































いつかこの人の一言に傷つけられるかもしれない。
そういう勘って当たっても当たらなくても信じてしまう。
ほらね・・ってなる前に切り捨てる余裕がある。

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H

2017-10-11 | 山と渓谷社、関連本



羽根田治
『ドキュメント 道迷い遭難』★★★★


本格登山はしないけど(富士山に登る気もさらさらないけど)
2000M弱登山はしているので参考として ね☆

この筆者は遭難のエキスパートらしい。

ヤマケイ文庫
(山と渓谷社)
ラインナップを見るとほぼ山関係
題名を見ただけでも読みたくなる本がたくさん。



もぅお勉強する気は全くなし(来週試験・・)



---



*南アルプス・荒山三山

「遭難して助かった皆さんは、もう一度、その場所に行ってみたいとおっしゃいませんか?」
その問いに対し、私は「人によります」と答えた。

窮地に陥ったときの人間の心理とは、えてしてそんなものなのだろう。自分ではよく考えてベストの選択をしたと思っているかもしれない。しかし、のっぴきならぬ状況のなかで、自覚しないまま平常心は失われ、いつしか冷静な判断ができなくなっている。それが道迷い遭難のいちばん怖いところだと思う。




*北アルプス・常念岳

重度の凍傷

「やばい……。これが遭難なのか」
嫌な思いが頭をよぎった。
 
「このままでは死んでしまう。なんとかしなければ……」

「道に迷ったら沢に下るな。尾根に上がれ」という鉄則
冬山を知る者ならば、絶対に沢を下ったりしない。

行けども行けども、雪、雪、雪だった。

「指はあきらめなければならないな」と、

「あまりにも自分勝手だったなあというのは自覚しました。いろんな人に迷惑をかけてしまい、やっぱり自分ひとりだけで生きているんじゃないってことを強く感じましたね」



*南アルプス・北岳

体力不足 思い込み 山の経験

今だったら「このとき引き返すべきだった」と言うことはできる。

「なんとかなるさ」と不安を打ち消し、自分を勇気づけた。

選択肢は、「さらに沢を下る」「引き返す」「左岸の尾根を登っていく」「右岸の尾根を登っていく」の四つ。
「どれを選べば生還できるのか。“神様、教えてください”という心境でした」

想定外の状況に追い込まれパニックに陥り、冷静な判断がでいなくなっていたことは明らかであろう。

<この蟻地獄から、もはや出られないのではないかという絶望感>

生と死の境

「なんで引き返さなかったのかって盛んに言われたけど、そのときになるとやっぱりできないですね。引き返すポイントはいくつもあったんですよ。だけど、だいぶ下ってから上を見たら、『あんなところまでもどらなきゃいけないのか』と思ってしまい、だったらとにかく下ろうと。結局、体力がなかったから、それを実践できなかったんだと思います。同じところを行ったり来たりして、『どうしようか、下に行こうか上に行こうか』と、それだけですよ。そのうちに足がいうことをきかなくなる、沢の水量も増えてくる、クマにも遭う。三日目、四日目あたりはもうパニックでした。とにかく決断できませんでした。」

地図とコンパス

山に登る者は、誰もがそのリスクを抱えていると自覚したほうがいいだろう。



*群馬・上州武尊山

道迷いの自覚

下山途中で道に迷った。だが、迷ったことに気づいたときは、コースを外れてまだそれほど時間が経っていなかった。「あ、これ違う」と思ったときにすぐ引き返せば、正しいルートにもどれたはずである。

「すごくきれいな川があったんです。新緑と川の流れが美しく、ほんと天国みたいなところでした。そこがまた遊歩道のようになっていて、しばらく歩いていけちゃうんですよ。ええ、道を間違えてることはわかっていました。自分でも『あ、これ、はまってるはまってる』って思っていましたから。でも、引き返せなかったんです」

立ち止まると気が狂いそうになるので、がむしゃらに前へ前へと突き進んだ。

一般ルートを見落とし、稜線を越えて反対の斜面に迷い込んでいて、主稜線を越していないかもしれないが、本人がどこをどう歩いたのかわからない以上、そのことを確認する術はない。

幻覚

遺書

「このときはちょっとだけ『死んでもいいかな』と思いました」

登山地図 ライターと発炎筒とツエルト
迷いそうなところにはテープ



*北信・高沢山

「それが運命の分かれ道になってしまったわけです」

「ヤバイ、これで死ぬんじゃないか」

朦朧とした意識が幻覚を生んだ
「やっぱり幻覚だったのか」

幻覚だけではない。幻聴にもまた悩まされた。木の葉が擦れ合う音が人の声や車のエンジン音に聞こえ、そのたびあたりを見回した。

『助かったんだ』という安堵と『生きているんだ』という充実感

軽い低体温症と脱水症状

山で遭難して死ぬか生還するかほんとうに紙一重の差

「たかがハイキング、されどハイキングですよね。山を舐めちゃいけないってことですよね」

山の中で見られる赤いリボンやテープは、一般的に登山ルートを示すものだと思われているが、それは絶対ではない。
リボンやテープの過信は禁物



*房総・麻綿原高原

中高年登山者の大量遭難

重なった判断ミス



*奥秩父・和名倉山

自力下山

「ほんとうに踏み跡だらけなんですよ。もうぐちゃぐちゃでした。誰かが歩いているんだから、どこかにたどり着くはずだってふつうは思うじゃないですか、でも、どこもぶつ切り状態なんです。あの山で、どれだけたくさんの人が迷ったのかと思ってしまいました」



---



山岳保険への加入



歳をとるほど遭難しやすくなる



「~過去の体力 過去のもの~」



もともと人間は楽観的にできており、物事を悲観的ではなく楽観的にとらえる傾向にある。



人は誰もが「自分は安全だ」「自分は守られている」と思いだがるものだという。それは山に行ったときでも同様で、多くの登山者が「遭難事故は他人事」「自分は遭難しない」と思っている。
だが、現実は思っているほど安全ではない。



---



下手なホラーを読むよりリアルな現実話は 本当に 怖い。


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T

2017-10-10 | 詩集

谷川俊太郎
写真:吉村和敏
『あさ/朝』『ゆう/夕』★★★★

好きな詩集
いつかプレゼントするならコレって決めてる。
何より写真がキレイ・・







***



「朝のリレー」

カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る

寝る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ








***




























今朝の人身事故・・
途中から運よく座れたからよかったものの・・
「今、ヤフー開いたらたまたま、トップニュース!昨日大洗で、クルマ6台盗まれてるらしい」
!!!
午後2時~4時にかけてのことらしく、
そうちょうど波乗り終えて、SAZAコーヒーにいた頃になる。
少し遅かったら物色されてたかも。














昨日は色々あったからこのニュースを聞いても驚かない・・

「まあ、そんな日もあるよ」








お天気もよかったから、駐車場でみんな結構まったりしてて、
日向ぼっこよろしく平和な昼下がりな雰囲気だったんだけど・・
地元も近いってことで私的に和む大洗

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H

2017-10-08 | 作家別諸々(は行)



蜂巣敦
写真:山本真人
『殺人現場を歩く』★★


結構なインパクト
誰もが知っている表紙の家

ちくま文庫
後ろ帯を見てドキッとしてしまった。
株式会社筑摩書房
蔵前にあるらしい(2008年発行時)


解説が角田光代でそれも興味を惹かれた。

作者がとりあげた事件のすべては、私たちがふつうに暮らしているその日常のなかで起きた。私たちが時代の空気を(好むと好まざるとにかかわらず)吸って生きているのと同様に、それぞれの事件も、その同じ空気を吸って生じたできごとだ。ひとつの事件が報道され、新たな事件が起きればその報道は過去になるが、消えるわけでも解決をみるわけでもない。私たちとともに事件もまた年齢を重ねていく。本書で切り取られた場所が、裂け目を抱えたまま、そこに在り続けるように。








パースペクティブ


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ハイビスカス

2017-10-07 | ガーデニング+家庭菜園


秋なのに咲いているハイビスカス





































先日の日和田山縦走の際、下山の物見山で山椒の実を拾ってきた。
手のひらに葉を乗せてぱんぱんたたくとよい香りがした。



歩いていて奥多摩とのちがいを感じたのは、
埼玉県民(なのかどうかは不明だけど)みんな気さくで温かい。
すれ違う人の挨拶もそうだけど色々と情報を教えてくれる。
「山小屋でアイスごちそうするよ」これは一種のナンパ?(笑)







未だ秋の切り花シリーズ買いに行けてない・・

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F

2017-10-06 | photogenic




藤井春日
『草枕』★★


近々行く予定の足尾銅山 どきどき
それを調べている内に久々に廃墟熱復活・・(笑)
元はと言えば端島を見て衝撃を受け、
(その端島(軍艦島)11月に誘われたけどお仕事のため行けない(泣))
今回辿りついたのは自由研究
http://www.jiyukenkyu.ne.jp/entry/2017/09/17/200813
消灯のお昼休みにどきどきしながら見入ってしまった。

その後にこの写真集を見たからかその一つ一つの靄がかかった風景が、
過去の 綺麗な 夢物語のよう。

夢・・先日みた夢があまりにもリアルでどきどきした。
その上司と廊下ですれ違う。もちろん何事もなく。
内心あってもよいんだけどな・・
噂をすれば影★





























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S

2017-10-06 | 司馬遼太郎


司馬遼太郎
【ワイド版】
『街道をゆく 31 愛蘭土紀行Ⅱ』★★

http://publications.asahi.com/kaidou/31/index.shtml

上陸後半戦

---



百敗と不滅

アイルランド人は、客観的には百敗の民である。
が、主観的には不敗だとおもっている。
教科書がかれらにそう教えるのではなく、ごく自然に、しかも個々にそうおもっていて、たれが何といおうとも、自分あるいは自民族の敗北を認めることがない。
こういう主題が、精神医学にはないものだろうか、というのはむろん冗談で、そういう学問がないにせよ、あるとすれば精神美学に属するにちがいない。
このことには、アイルランド人以外には持つことがなさそうな“幻想”という特異な能力が介在していることはたしかである。それと、自己に対するしたたかな崇拝心というべきものも、アイルランド的性格の一要素であるに相違ない。



ねえ君、君はアイルランド気質ってものを理解していないね。われわれアイルランド人は、絶対に負けはしないんだという観念にしがみついているんだ。



---





そして妖精たちの中へ・・
---



アイルランドには資源はないが、妖精(フェアリー)だけはいっぱいいる。
これほど妖精大国は、EC諸国のなかにはないのではないか。
ゴールウェイを去って南へくだる途中、妖精たちが頭のなかに入りこんだように、そのことでいっぱいになった。



イェイツにかぎらず、アイルランド人は、妖精とオバケ、幽霊という、非キリスト教的な存在が好きなようである(キリスト教では霊(ソウル)をもつ存在は人間だけで、キツネやネコやイヌなどはそれをもたない)



アイルランド人小泉八雲(1850~1904)も、イェイツと同様、幽霊、妖怪、妖精が、地上の現実よりもすきであった。イェイツはその“好き”を古ケルトの精神にむすびつけて、大きくアイルランドの民族精神に役立たせようとしたが、日本にやってきた八雲の場合、その”好き”は八百万(やおよろず)の妖精の棲む日本に帰化するまでに徹底していた。



---





美しい小川のほとりに出た。
このあたりには冬も枯れることのない芝生がひろがっていて、川岸には、芽ぶきはじめの冬枯木がガラス絵の中の景色のように天に突きあげている。
ながめていると、心臓が病んでくるほどに、可愛く美しすぎる景色である。小川は四車線の道路ほどの幅で、水深は深く、水底はなめらかではない岩盤でできているらしく、このため瀬を早めて流れる川波が陽のなかでこまかくきらめいている。



---



そしてここでも「プロテスタント野郎」・・・
---



――プロテスタント野郎。
と、庶民(カトリック)がむかしもいまもののしりつづけてきているあの連中のことだった。
その連中については、
「古き英国人(オールド・イングリッシュ)」
というよび方もある。



---



”レプラコーン クロージング”

辞書では、レプラコーン(leprechaun)は、アイルランドのみに存在する。小妖精(スプラト)として小人(ピグミー)である。さらに鬼(ゴブリン)であるという。

妖精については、その通りみちを邪魔してはいけない。



LEPRECHAUN CROSSING



---

御一行様が、5回そのあたりを通って1回しか見なかったという看板






























昨夜速報で「カズオ・イシグロノーベル文学賞受賞!」
我がベッドサイドにて・・
お隣にお正月読書用に並んでいる春樹



早川書房大繁盛だね。

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M

2017-10-02 | 村上春樹




村上春樹
『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』★★


夏休み読書途中挫折・・
そして今回実家に持参して最初から読み直し。
誰にも邪魔されることなく読みたいがため。

しかし・・最後の最後に失速・・
勢いがあったのに最後の方になり畳み掛けるかのような文語体
このまま第3部があってもおかしくない感じだけど、どうなのかな?

ハードボイルドワンダーランド
お正月読書はまずそれに決まり☆

あと今読みたいと思っているのは最近色々と目にする漱石
『吾輩は猫である』☆にゃんにゃん



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どうあがいても、人はもって生まれたものに大きく左右される。でもそんなことを言い出したら、話の収拾がつかなくなる。



---



「目に見えるものが好きなの。目に見えないものと同じくらい」

「ずいぶんと不思議な意見ね」
「なんだか謎かけみたい」

少しあとに彼女が顔を上げたときその目からはもう特別な光が消えていた。それは一瞬のことだったのだ。



---



「メロディーは思い出せない。でも歌詞は覚えている。川の向こう側には広い緑の野原が広がっていて、そちらにはそっくりきれいに日が照っていて、でもこちら側にはずっと長く雨が降っていて・・・・・・というような歌だった。ねえ、先生はそんな歌って耳にしたことがある?」
「聴いたことはないと思うな」
「これまでいろんな人に尋ねてみたんだけど、誰もそんな歌は聴いたことがない。
それはわたしが頭の中でかってにつくった歌なのかしら?」
「それともお母さんがその場でこしらえた歌なのかもしれないよ。君のために」
「そんなふうに考えたことはなかったけど、でももしそうだとしたら、それってなんだか素敵よね」
彼女が微笑みを浮かべるのを目にしたのは、たぶんそのときが初めてだった。まるで厚い雲が割れて、一筋の陽光がそこからこぼれ、土地の選ばれた特別な区画を鮮やかに照らし出すような、そんな微笑みだった。

「その場所にもう一度行ったら、ここだって君は思い出せるかな?その山の上の
展望台みたいなところに行ったら?



---



「時間が奪っていくものもあれば、時間が与えてくれるものもある。時間を味方につけることが大事な仕事になる」
彼女は何も言わず、ただ私の目を見ていた。窓ガラスに顔をつけて、家の中をのぞき込むみたいに。時間の意味について考えているのだ。



---



ジャガーとプリウスとでは、ドアの閉まる音がまったく違うことに私はあらためて感銘を受けた。音ひとつとっても世界には実に多くの差異がある。



--------挫折







--------再読



33 目に見えないものと同じくらい、目に見えるものが好きだ


「練習だよ。練習しているうちにだんだんうまくなっていく」
「でもどれだけ練習してもうまくならない人もたくさんいると思う」

どうあがいても、人はもって生まれたものに大きく左右される。でもそんなことを言い出したら、話の収拾がつかなくなる。



---



「実を言うと、私のはジンクスみたいなのがあるんです」、彼女はにっこり笑って栞をはさみ、本を閉じた。「読んでいる本の題名を誰かに教えると、なぜかその本を最後まで読み切ることができないんです。だいたいいつも思いもかけない
何かが起こって、途中で読めなくなってしまう。不思議だけど、本当にそうなんです。だから読んでいる本の題名は誰にも教えないことに決めてます。読み終えたら、そのときは喜んで教えて差し上げますけど」
「もちろん読み終えてからでけっこうです。とても熱心に読んでらっしゃるので、何の本だろうと興味を惹かれただけです」



---



ジャガーとプリウスとでは、ドアの閉まる音がまったく違うことに私はあらためて感銘を受けた。音ひとつとっても世界には実に多くの差異がある。



---



目が覚めると、窓の外には雨が降っていた。来るべき冬の到来を予告するような冷ややかな雨だった。静かで、そして執拗な雨だ。



---

















---



「ねえ、これをゲームだとして考えてみて。純粋なゲームではないにせよ、ある種のゲームみたいなものだと。そう考えないことにはうまく話の筋が通らないから」
「考えてみる」
「で、ゲームにはルールが必要よね?」
「必要だと思う」
「野球にもサッカーにも、分厚いルールブックがあって、いろんな細かい規則がそこにいちいち文章化されていて、審判や選手たちはそれを覚え込まなくちゃならない。そうしないことには試合は成立しない。そうよね?」
「そのとおりだ」



---



「ぼくのいったい何がうらやましいのでしょう?」
「あなたはきっと、誰かのことをうらやましいと思ったりしないのでしょうね?」

少し間を置いて考えてから私は言った。「たしかにこれまで、誰かのことをうらやましいと思ったことはないかもしれない」
「私が言いたいのはそういうことです」



---



「おまえはきっと知らないだろうが、ゴルフっていうのはとことん奇妙なゲームなんだ。あんなに変てこなスポーツってまずないね。他のどんなスポーツにもぜんぜん似てない。というかスポーツと呼ぶことさえ、かなり無理があるんじゃないかとおれは考えてる。しかし不思議なことに、いったんその奇妙さに馴れちまうと、もう帰り道が見えなくなる」



---



記憶は時間を温めることができる。



---



「試練はいつか必ず訪れます」
「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」
「負けて、心が挫けてしまわなければ」



---



「私には考えることがたくさんあります。読むべき本があり、聴くべき音楽があります。多くのデータを集め、それを分析し解析し、頭を働かせることが日々の習慣になっています。エクササイズもしますし、気分転換のためにピアノの練習もしています。もちろん家事もしなくてはならない。退屈している暇はありません」

「歳をとっていくのは怖くありませんか?一人ぼっちで歳をとっていくことが?」

「私は目にみたものしか信用しない人間です。ですから自分がこれから何を目にすることになるのか、それを待っています。とくに怖くはありません。それほどの期待もありませんが、いささかの興味はあります」

「あなたはいかがですか?歳をとるのは怖いですか?」



---



谷間の上の空は晴れ渡り、空気は冷ややかに澄み切っていた。冬を目前にした鳥たちの声が、鋭くその空気を刺し貫いた。



---



紙袋からシーヴァス・リーガルの瓶を取り出し、封を切って蓋を開けた。私はグラスを二つ持ってきて、冷蔵庫から氷を出した。瓶からグラスにウイスキーを注ぐときに、とても気持ちの良い音がした。親しい人が心を開くときのような音だ。
そして我々はウイスキーを飲みながら食事の支度をした。



---



「明日は明日だ。今日は今日しかない」
その言葉には不思議な説得力があった。



---



どんなに暗くて厚い雲も、その裏側は銀色に輝いてる。



---



血は流されなくてはならない。



---



外に広がる太平洋を眺めた。水平線がせり上がるように空に迫っていた。私はそのまっすぐな線を端から端まで目で辿った。それほど長く美しい直線は、どんな定規を使っても人間には引けない。そしてその線の下の空間には、無数の生命が躍動しているはずだ。この世界には無数の生命と、それと同じ数だけの死が満ちているのだ。


「そう、諸君らはここにふたりいりではあらない」



---



永遠というのはとても長い時間だ、と顔のない男は言った。



---



私の心はいったいどこにあるのだ?
「心は記憶の中にあって、イメージを滋養にして生きているのよ」
「記憶の中を探して」
「何か具体的なものを探して。手で触れられるものを」


「明かりを消して、風の音に耳を澄ませて」
私は懐中電灯のスイッチを切り、言われたように風の音に耳を澄ませた。でも何も聞こえなかった。辛うじて聞こえるのは、自分の心臓の鼓動だけだった。私の心臓は強風にあおられる網戸のように慌ただしい音を立てていた。
「風の音に耳を澄ませて」

私は息を殺し、神経を集中してもう一度耳を澄ませた。そして今度は心臓の鼓動の音に被さるように、懐かしい空気のうなりを聴き取ることができた。そのうなりは高くなったり低くなったりした。どこか遠くで風が吹いているらしかった。



---



まったく正しいこととか、まったく正しくないことなんて、果たしてこの世界に存在するものだろうか?我々の生きているこの世界では、雨は三十パーセント降ったり、七十パーセント降ったりする。たぶん真実だって同じようなものだろう。

その点カラスは楽でいい。カラスたちにとっては雨は降っているか降っていない
か、そのどちらかだ。パーセンテージなんてものが彼らの頭をよぎることはない。

---



どんなに恐ろしくても、恐怖に自分を支配させてはならない。無感覚になってはならない。考えを失ってはならない。だから彼女は目を見開き耳を澄ませる。

私はここにいない。私はここにいない。



---


我々はそれぞれに明かすことのできない秘密を抱えて生きているのだ。



---








傾向と対策・・的な










駆け込み柏屋で「ままどおる売り切れですか?」って聞いたら
「三万石です。サービスエリアに売ってますよ」・・・素でまちがえた。
親切ねってことで薄皮饅頭にしたけど、ままどおるってお土産で渡すとかならず喜ばれる。


最近ヒットな栗きんとん
http://midoriyarouho.com/
花かごのたまごボーロ食べたい。


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