智徳の轍 wisdom and mercy

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◎かの岸とは異なる“陸”

2006-01-01 | ☆【経典や聖者の言葉】


【質問】
 大きい恐怖ある氾濫が生じ、湖に似たものの真ん中でとどまっている、老いによる死の神に打ちひしがれた人たちの陸を語ってください。そして、引き続いて、これがあることがないように、あなたはわたしに陸を言明してください。

【回答】
 道徳的汚点がなく、愛執がないこと、これが陸に別のものではなく、老いによる死の神の完全な破壊である煩悩破壊である。これを認識し、記憶修習し、この世界で完全覚醒した人たち、彼らは欲望満足で破滅天の後に続くことはなく、彼らは破滅天に喜んで仕えることはない。

【解説】
 これは、老いにより苦しんでいる人が、道徳的汚点がなく、愛執がない――つまり、例えばこの現世に対してとらわれがない、いっさいの心の働きに対してとらわれがないという状態になること、この状態こそが“陸”であると言っていらっしゃるのである。
 この“陸”とは何かというと、一時的に安らがせる場所、しかし、まだそこは“かの岸”ではないことを表わしている。また、「この世界で完全覚醒した人たち」とは、ようやく愛欲界から解放されたということを意味している。

◎神賢の要素

2006-01-01 | ☆【経典や聖者の言葉】


【質問】
 彼は要素の蓄積の影響を受けないのでしょうか。それとも、望みがあるのでしょうか。彼は著しく精通を有する者なのでしょうか。それとも、智慧を有することを得ようとしているのでしょうか。それだから、わたしは神賢を識別したいのです。わたしにそれを数え上げてください。

【回答】
 彼は要素の蓄積の影響を受けず、そして、彼は望みがあることはない。彼は著しく精通を有する者であり、智慧を有することを得ようとしているのではない。このように同様に、神賢を識別しなさい。道徳的汚点がなく、愛欲による生存において、愛着のきずなで結びついていない。

【解説】
 ここでは、神賢とは何であるか、つまりムニとは何であるか、そのムニの要素について項目を数え上げてください、つまり、分類してくださいというふうに質問してるのである。
 それに対して、サキャ神賢の答えは、「彼は要素の蓄積の影響を受けず、そして、彼は望みがあることはない。彼は著しく精通を有する者であり、智慧を有することを得ようとしているのではない。道徳的汚点がなく、愛欲による生存において、愛着のきずなで結びついていない」と数え上げているのである。

◎離解脱の三つの要素

2006-01-01 | ☆【経典や聖者の言葉】

【質問】
 種々の感覚の喜びの対象が住むことなく、渇愛が存在せず、そして、どのようにと問うことを渡った人、彼の離解脱はどのようなものですか。

【回答】
 種々の感覚の喜びの対象が住むことなく、渇愛が存在せず、そして、どのようにと問うことを渡った人、彼の離解脱は別ではない。

【解説】
 これは、種々の感覚の喜びが存在しない。そして二番目に渇愛が生じない。三番目に疑念がない。この三つの要素を有した人は、どのような状態の人であるかという質問をサキャ神賢になしているのである。
 これに対して、サキャ神賢は、その人こそ離解脱した人と変わりはない、つまり離解脱した人であると言っているのである。