2014年 10月 2日 23:54 JST ロイター
[ナポリ(イタリア) 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は2日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。
据え置きは市場の予想通りだった。
上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。
理事会後に開かれた会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。
<ECBの実績>
ECBはまず、金利を下限であるゼロ近辺に引き下げ、どの主要中銀も実施していないマイナスの中銀預金金利も導入した。
次に異例の規模の流動性をシステムに注入し、さらなる一連の措置を承認したばかりだ。
2012年にはシステム規模で危機対策を実施し、その結果、金利を広範に引き下げた。
ECBを悪者とする見方は修正されるべきだ。
<政策の「駆け引き」はない>
駆け引きが大々的に行われているということはない。他の政策の存在でわれわれの措置がより効果的になる、あるいは、時には他の政策によって初めてわれわれの措置の効果が出るということを承知している。それぞれの役者が演じる役割がある。
<ユーロ懐疑論>
物事がうまくいかず、違った方向に進んでいるためユーロ懐疑的になるのは非常に理解できる。この地域では失業がまん延し、経済活動は非常に低調となっており、一部の諸国はリセッション脱却が不可能かのように見える。このため、人々が前向きになると期待するのは難しい。欧州の別の地域の人々は、他の人たちの代金を支払っていると感じているため同様の懐疑論がある。
<TLTRO>
「的を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)」は、銀行がECBから借りた資金を確実に融資に回すよう設計したものだ。融資を行わなければ、すべてを返済する必要が生じる。
<ギリシャのABS>
(ギリシャが資産担保証券(ABS)の購入対象となるには)プログラムが必要だ。プログラムが無ければ、買い入れも無い。
<バランスシート規模の重要性>
すべてにおいて非常に正確な数字を求める気持ちは理解できる。その方が楽だからだ。ただ、バランスシートは非常に重要だが、手段に過ぎない。規模そのものを強調しようと思わない。
われわれが守る必要のある究極、唯一の責務とは、インフレ率を2%未満で近辺の水準まで戻すことだ。これが、現在、さらに将来講じる可能性のある措置が成功したかを判断する究極の基準だ。
<為替レート>
為替レートは政策目標ではないが、物価安定および成長の双方にとって重要だ。
<ABS買い入れ>
資産担保証券(ABS)買い入れについては、慎重さを伴いながらもできるだけ包括的であることが望ましいことから、ギリシャ、キプロスなど格付けが「BBBマイナス」以下の国々も買い入れ対象とすることを決定した。留意点は2点ある。
1点目は、当該資産の買い入れ場所が異なってもリスクは同等であるよう、特定の買い入れを行う際のリスク軽減措置を複数用意しているということ。2点目は、慎重な対応に関することで、基本的に(買い入れ)対象国は欧州連合(EU)との継続中のプログラムを保持すべきということだ。
<構造改革の加速>
複数の諸国では構造改革の立法と実行が加速される必要が明らかにある。これは製品および労働市場とともに、企業にとっての事業環境改善に向けた措置を含む。
<財政政策>
財政政策に関しては、ユーロ圏諸国はこれまでの進展を後戻りさせてはならず、安定成長協定のルールに沿って前進するべきだ。これは、各国政府が現在公表している2015年予算案に反映される必要がある。
<非伝統的手段用いる用意>
ECBによるすべての措置が経済に波及し、インフレ率の目標水準への回帰に寄与するだろう。
低インフレの期間が過度に長引くリスクにさらに対処する必要が生じた場合、理事会は責務の範囲内で追加的な非伝統的手段を講じるという決意で一致している。
<物価リスクを注視>
EU基準の消費者物価指数(HICP)の年率の伸び率は向こう数カ月にわたり低水準にとどまり、その後2015年と2016年に緩やかに加速する見通しだ。理事会は中期的な価格動向の見通しに対するリスクを引き続き注視する。
<景気回復への逆風>
高水準の失業率や能力の著しい未活用、引き続き民間への融資の伸びがマイナスであることや官民で必要なバランスシートの調整などが今後も景気回復を阻害する公算が大きい。
<下向きの景気リスク>
ユーロ圏の景気見通しに対するリスクは引き続き下向きとなっている。特にユーロ圏成長の勢いがこのところ弱含み、地政学リスクも高まっていることは、信頼感に加え、とりわけ民間投資を圧迫する恐れがある。
<緩やかな回復>
ユーロ圏の緩やかな回復見通しに変更はない。ただ、この見通しの基礎となっている主な要因や前提は注視する必要がある。
<緩和スタンス>
われわれの資産買い入れは金融政策の緩和スタンスをより広範に強めることになる。また、主要政策金利についてのフォワードガイダンスを強化し、主要先進国間の金融政策サイクルの違いが著しく、さらに拡大しているという事実を明らかにしている。
<ABS・カバードボンドがバランスシートに及ぼす影響>
一連の「的を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)」が2016年6月まで行われるが、それとともに(資産担保証券=ABSとカバードボンドの)買い入れに伴い、われわれのバランスシートに大きな影響が及ぶことになる。
[ナポリ(イタリア) 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は2日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。
据え置きは市場の予想通りだった。
上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。
理事会後に開かれた会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。
<ECBの実績>
ECBはまず、金利を下限であるゼロ近辺に引き下げ、どの主要中銀も実施していないマイナスの中銀預金金利も導入した。
次に異例の規模の流動性をシステムに注入し、さらなる一連の措置を承認したばかりだ。
2012年にはシステム規模で危機対策を実施し、その結果、金利を広範に引き下げた。
ECBを悪者とする見方は修正されるべきだ。
<政策の「駆け引き」はない>
駆け引きが大々的に行われているということはない。他の政策の存在でわれわれの措置がより効果的になる、あるいは、時には他の政策によって初めてわれわれの措置の効果が出るということを承知している。それぞれの役者が演じる役割がある。
<ユーロ懐疑論>
物事がうまくいかず、違った方向に進んでいるためユーロ懐疑的になるのは非常に理解できる。この地域では失業がまん延し、経済活動は非常に低調となっており、一部の諸国はリセッション脱却が不可能かのように見える。このため、人々が前向きになると期待するのは難しい。欧州の別の地域の人々は、他の人たちの代金を支払っていると感じているため同様の懐疑論がある。
<TLTRO>
「的を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)」は、銀行がECBから借りた資金を確実に融資に回すよう設計したものだ。融資を行わなければ、すべてを返済する必要が生じる。
<ギリシャのABS>
(ギリシャが資産担保証券(ABS)の購入対象となるには)プログラムが必要だ。プログラムが無ければ、買い入れも無い。
<バランスシート規模の重要性>
すべてにおいて非常に正確な数字を求める気持ちは理解できる。その方が楽だからだ。ただ、バランスシートは非常に重要だが、手段に過ぎない。規模そのものを強調しようと思わない。
われわれが守る必要のある究極、唯一の責務とは、インフレ率を2%未満で近辺の水準まで戻すことだ。これが、現在、さらに将来講じる可能性のある措置が成功したかを判断する究極の基準だ。
<為替レート>
為替レートは政策目標ではないが、物価安定および成長の双方にとって重要だ。
<ABS買い入れ>
資産担保証券(ABS)買い入れについては、慎重さを伴いながらもできるだけ包括的であることが望ましいことから、ギリシャ、キプロスなど格付けが「BBBマイナス」以下の国々も買い入れ対象とすることを決定した。留意点は2点ある。
1点目は、当該資産の買い入れ場所が異なってもリスクは同等であるよう、特定の買い入れを行う際のリスク軽減措置を複数用意しているということ。2点目は、慎重な対応に関することで、基本的に(買い入れ)対象国は欧州連合(EU)との継続中のプログラムを保持すべきということだ。
<構造改革の加速>
複数の諸国では構造改革の立法と実行が加速される必要が明らかにある。これは製品および労働市場とともに、企業にとっての事業環境改善に向けた措置を含む。
<財政政策>
財政政策に関しては、ユーロ圏諸国はこれまでの進展を後戻りさせてはならず、安定成長協定のルールに沿って前進するべきだ。これは、各国政府が現在公表している2015年予算案に反映される必要がある。
<非伝統的手段用いる用意>
ECBによるすべての措置が経済に波及し、インフレ率の目標水準への回帰に寄与するだろう。
低インフレの期間が過度に長引くリスクにさらに対処する必要が生じた場合、理事会は責務の範囲内で追加的な非伝統的手段を講じるという決意で一致している。
<物価リスクを注視>
EU基準の消費者物価指数(HICP)の年率の伸び率は向こう数カ月にわたり低水準にとどまり、その後2015年と2016年に緩やかに加速する見通しだ。理事会は中期的な価格動向の見通しに対するリスクを引き続き注視する。
<景気回復への逆風>
高水準の失業率や能力の著しい未活用、引き続き民間への融資の伸びがマイナスであることや官民で必要なバランスシートの調整などが今後も景気回復を阻害する公算が大きい。
<下向きの景気リスク>
ユーロ圏の景気見通しに対するリスクは引き続き下向きとなっている。特にユーロ圏成長の勢いがこのところ弱含み、地政学リスクも高まっていることは、信頼感に加え、とりわけ民間投資を圧迫する恐れがある。
<緩やかな回復>
ユーロ圏の緩やかな回復見通しに変更はない。ただ、この見通しの基礎となっている主な要因や前提は注視する必要がある。
<緩和スタンス>
われわれの資産買い入れは金融政策の緩和スタンスをより広範に強めることになる。また、主要政策金利についてのフォワードガイダンスを強化し、主要先進国間の金融政策サイクルの違いが著しく、さらに拡大しているという事実を明らかにしている。
<ABS・カバードボンドがバランスシートに及ぼす影響>
一連の「的を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)」が2016年6月まで行われるが、それとともに(資産担保証券=ABSとカバードボンドの)買い入れに伴い、われわれのバランスシートに大きな影響が及ぶことになる。