この駄コラムのコンテンツとはおよそかけ離れてはいるが、自分的にはちょっとしたショックだったので書くことにした。っていうか所詮これは私のブログじゃ。
息子が寝る時にはなるべく一緒に横になって本を読むようにしているのだが、今日は奴が自分で勝手に読む(読めないけど)というので枕元に積んである未読の本を何気なく手にとった。中野考次の「麦熟るる日に」(河出文庫)である。
一般的には彼の著書では「清貧の思想」が一番よく知られているのかもしれないが、中野考次という文学者にはどういう訳か特別な思い入れがあった。私がまだ高校1年生の頃、某私大の付属高校に通っていた2才年上の兄が内部進学の課題としていくつか大学側が選んだ図書の中から一つ選びその読書感想文を書かなければいけないことになった。しかしその時兄はラグビー高校日本代表選手として海外遠征試合に出向くことになり、提出期限に間に合わないので「3千円やるからお前がやれ」と言い残して行ってしまった。今思えばそんなものを提出せんでもどうにかなっていたのだと思う。がしかしこちとら真面目な女子高生。読書は嫌いじゃないし、文章を書くのも割と苦にならないタチである。それで何となく選んだのが中野考次の「自分らしく生きる」という本だった。それを読んでどう思い何を書いたのかはさっぱり思い出せない。しかし結構な規定文字数の原稿用紙が恐ろしいスピードで埋まっていった奇跡のような時間だけはよく覚えている。後に無事内部進学した兄に「あの感想文を教授から返してもらってくれ」と何度かせっついたのだが、何百というアホ私立高校生の書いたテキトーな感想文などをマトモに保管しておく教授なんている訳ないし、多分その課題を出した教授だか入試課だか知らんが、いちいち読んでいるとは到底思えない。しかし自分の中ではとても大事な文章だったのだ。せめてコンビ二とかでコピーくらいしときゃよかったのに、と言われればそれまでなのだが。
それから折に触れ、本屋や新聞などで中野考次の名前を見たりする度に「またいつかあの本を読み直そう」とは思っていた。もしかしたら今読んでも当時のような感動とかセンティメントなんてものは得られないのかもしれない。でもどこかで必ず自分の原点とか根幹に響くものがあるはず、という確信じみた予感はある。今夜冒頭の数章を読んだだけであるが「麦熟るる日に」もきっとそういう本だと思う。
子供が寝た後、この際彼の著書を全て揃えてしまおうと思いつき(オトナ買い、ってヤツですな)ネット検索して知ったのだが、今年の夏に中野考次は他界していた。享年80才。残された著書をこの先ゆっくり読んでいこうと思う。
息子が寝る時にはなるべく一緒に横になって本を読むようにしているのだが、今日は奴が自分で勝手に読む(読めないけど)というので枕元に積んである未読の本を何気なく手にとった。中野考次の「麦熟るる日に」(河出文庫)である。
一般的には彼の著書では「清貧の思想」が一番よく知られているのかもしれないが、中野考次という文学者にはどういう訳か特別な思い入れがあった。私がまだ高校1年生の頃、某私大の付属高校に通っていた2才年上の兄が内部進学の課題としていくつか大学側が選んだ図書の中から一つ選びその読書感想文を書かなければいけないことになった。しかしその時兄はラグビー高校日本代表選手として海外遠征試合に出向くことになり、提出期限に間に合わないので「3千円やるからお前がやれ」と言い残して行ってしまった。今思えばそんなものを提出せんでもどうにかなっていたのだと思う。がしかしこちとら真面目な女子高生。読書は嫌いじゃないし、文章を書くのも割と苦にならないタチである。それで何となく選んだのが中野考次の「自分らしく生きる」という本だった。それを読んでどう思い何を書いたのかはさっぱり思い出せない。しかし結構な規定文字数の原稿用紙が恐ろしいスピードで埋まっていった奇跡のような時間だけはよく覚えている。後に無事内部進学した兄に「あの感想文を教授から返してもらってくれ」と何度かせっついたのだが、何百というアホ私立高校生の書いたテキトーな感想文などをマトモに保管しておく教授なんている訳ないし、多分その課題を出した教授だか入試課だか知らんが、いちいち読んでいるとは到底思えない。しかし自分の中ではとても大事な文章だったのだ。せめてコンビ二とかでコピーくらいしときゃよかったのに、と言われればそれまでなのだが。
それから折に触れ、本屋や新聞などで中野考次の名前を見たりする度に「またいつかあの本を読み直そう」とは思っていた。もしかしたら今読んでも当時のような感動とかセンティメントなんてものは得られないのかもしれない。でもどこかで必ず自分の原点とか根幹に響くものがあるはず、という確信じみた予感はある。今夜冒頭の数章を読んだだけであるが「麦熟るる日に」もきっとそういう本だと思う。
子供が寝た後、この際彼の著書を全て揃えてしまおうと思いつき(オトナ買い、ってヤツですな)ネット検索して知ったのだが、今年の夏に中野考次は他界していた。享年80才。残された著書をこの先ゆっくり読んでいこうと思う。