ブルックリン横丁

ブルックリン在住17年の音楽ライター/歌詞対訳者=渡辺深雪の駄ブログ。 そろそろきちんと再開しますよ。

NAS says...(その2)

2007-01-24 | ブルックリン横丁
またまた見つけてしまいました。ナズの今作はワシの心の琴線に触れまくりであります!
ということで以下、「Can't Forget About You」のサビ:

These street’s hold my deepest days
This hood’s taught me golden ways
Oh I’m that history
I’m that block
I’m that lifestyle
I’m that spot
I’m that kid by the numbers spot
That’s my past that made me hot
Here’s my lifelong anthem
Can’t forget about you


「一番思い入れのある日々をストリートで過ごした
フッドは俺にかけがえのないことを教えてくれた
俺こそがあの歴史であり
あのブロックであり
あのライフスタイル
そしてあの場所
ナンバーズのくじを売るあの店の近くでたむろするガキは俺そのもので
あの過去が俺をホットにしてくれたんだ
これは俺の人生をかけたアンセム
お前のことを忘れることなんか出来ないよ」

うーむ。10代20代を全速力で駆抜け、30代に入り家庭を持ちひとまず落ち着いたオヤジがふと過去を振り返りつつポツリ、ってな感じかいな。やべーシンクロしまくり。自分だったらさしずめ「一番思い入れのある日々を荻窪(もしくは池袋)で過ごした」「ラーメンセットの糸車前(もしくはピザ食べ放題のシェイキーズ前)でたむろするギャルはワシそのもので」ってところか。果たしてあの過去がワシをホットにしてくれたかどうかは微妙なところだ。

NAS says...

2007-01-24 | ブルックリン横丁
対訳ラストスパート中!
今回はオヤジの小言ちっくな教訓めいた発言がいつになく多いナズですが、今日はこんなん見つけました。まるで朝礼の校長先生みたいです。

Make your own path, be a legend in your skin
Make your own cash don’t stress what I’m flossin
Don’t expect more when you put in less work than all them

              -from 「Hold Down The Block」


(自分自身の道を行け、お前自身がレジェンドとなれ
俺が何をひけらかそうと気にするな、自分のカネを手に入れろ
他のヤツらよりも努力せずにより多くのものを期待するな) 

また気になるラインがあったらアップします。つーか仕事しろ、って感じだが。

musiq取材

2007-01-23 | ブルックリン横丁
産後の対面取材復帰第一弾はミュージックでしたー。何げにワーナーに移籍してたのねこの人。ということで行って参りましたよリスニング&インタビュー。程よく時代に目配せしつつコアなファンのことも忘れちゃいない、まさに「気配りの人」的微妙なバランス感覚。何てったって今日のお召し物は日の丸付きI LOVE TOKYOジャケット。ジーンズはエヴィス。スニーカーも日の丸仕様。これを気配りと呼ばんでどうする!?

musiqとは1stの取材以来なのだが、あの時は取材中の日本食ランチの寿司とか枝豆とかを恐る恐る食べてて、ちょいと「フィリーから出て来たばっかの兄ちゃん」感丸出しで微笑ましかった彼ですが、その話になったら「オーイェー!エダマ~メ~!!」とか言ってバカ受けしてました。曰くあの後アホみたいに日本食好きになり、今や「ウナ~ギ~」は大好物だとか。なにげに日本にも4回くらい行ってたみたいで。「あの時は俺に無理矢理枝豆食わせてくれてありがとう!」とハグまでされる始末。

んなワケで取材も楽しく盛り上がり、ところどころ言葉の選び方や考え方なんかがインディア・アリーの発言を彷彿とさせるモーメンツなんかもありつつ(勿論きっちり突っ込ませて頂きました)、一応1stと2ndを対訳した身としては彼のステキな詩世界をかなりうっとり濃密に堪能させて頂いているワケで、ぼんやりと生きていたら普通は気づかないであろう心の機微を、小難しくない普遍的な言葉やメロディーにのせてサラリと歌ってのけるアンタの技量はちょっとハンパないんじゃない!?ハァハァ!と本人目の前に誉め殺しておきました。するとまさにそれは彼がスティーヴィーを聴く度にハァハァ興奮しながら抱く感想と合致していたということで、そこからしばらくは彼のスティーヴィー誉め殺しタイムが続いたのでした。そしてワシと言えばよく喋る彼の喉を見ながら「この喉からあの『LOOOOOOOOOOOOOOVE!!!』のファルセットが…」とかまたひとり小さくハァハァしてたワケです。

というわけで今日はいつになく楽しい取材だった。あらヤダ、ワタシ久しぶりだからつい興奮しちゃって…(照)

NAS対訳中その3

2007-01-13 | ブルックリン横丁
作業中のつぶやきコーナーと化してしまった我がブログ。
あまりいないと思うが一度でも対訳したことのある人なら、いかにこの作業が地味で暗いものかはご存知であろう。画面のリリックと耳から入ってくるライムにのみ集中する状態が続くため、ある意味おまじない的心理効果というかイタコ化現象というか、要するにそのアーティストの世界観にずっぽりハマっちゃってもう大変death!

しょーもないことばっか言ってるヤツとか、いかにもゴーストライター/ライマーが書いたっぽいような借り物チックな言葉ならおまじない効果も薄いのだが、これがやはり優れたリリシストだったりするとハマり度が高い。過去2パックの対訳をしてから2週間くらいは言動がギャングスタで参ったことがある。あれもパックの言霊がイタコの私に取り憑いてたのかもね。

てなわけで現在の私は言動が30+のラップおやじ(しかもNY生まれな)そのものです。道理で旦那とめっちゃ話が合うわけだ。今私がQBに行ったりしたらもう帰ってこれないかもしれない。

これが終わったら待望のmusiq soulchildの新作の対訳が待っている。その時はまたラップおやじから一転して繊細ネオソウルな私に豹変する予定。出没エリアもフッドからフォートグリーン辺りに変更。ジャンクフードは禁物、もちろんベジタリアンな私は水を沢山飲み、野菜とフルーツを沢山食べ、友人は皆ポエトリー・リーディングや楽器をたしなむカルチュアルなヒトばかり。部屋には観葉植物と棚いっぱいのヴィンテージ・ソウル、7インチのコレクションだってかなりのもの。そうそう忘れちゃいけないインセンス。フフフ…暗いなー、俺。

iPhone!!

2007-01-10 | ブルックリン横丁
これはシャバいぞ!!今日は朝からマックのサイトでスティーブ・ジョブズの基調講演にかぶりつき。クリスマスに旦那の計らいで携帯もiPodも新調しちまったのだがその寿命も6月までか…。短いおつきあいでした。赤のiPod nanoは可愛いので使い続けるけど。携帯会社もちょうどcingularに乗り換えたばかりだしこれまた好都合。

とはいえ半隠遁生活中の身にとってはこんなマルチプレイヤーな機器をゲトったところでただの「大人のオモチャ」となるばかり。ガジェットは持つだけじゃなくて使いこなして生活を便利にすることに意義がある(んだよねきっと?)!!

iPhoneのフル機能をばりばり駆使して忙しぶって、子供を小脇に抱えてファミリー・ライフをエンジョイしながらも社会に貢献する、有用でイカしたコスモポリタン・ウーマンとなるためにはまず、このガジェットを用いてバリバリとこなしていくための課題/仕事が必要じゃん!

てなわけでコレが発売になる6月までにはもう猫の手も借りたい程に忙しい生活が再開している予定。あははー。

でもひとつだけ質問っていうか謎なんだけど、機能として電話と音楽プレイヤーと電子アルバム(あとメールとインターネット)はわかるけど、そんなに手持ちのハンドセットで映像なんか見たいモノ?いくら画像がクリアだとしてもせめて家のTVくらいの大きさで見たくないか?iPodにビデオ機能が盛り込まれたあたりからの疑問なんですが。それとも私、何か決定的なものを見逃してるのかなー。別に家の外でまでyoutubeとか見れなくてもいーし。

NAS対訳中その2

2007-01-05 | ブルックリン横丁
一休み中。

何かナズの「HipHop Is Dead」ってメッセージを誤解したサウスのラッパー達が「NYラップが落ち目でサウスが盛り上がってるこの時代にそんなことを言うとは失礼な!」とナズとジェイをディスってるって話ですが(そういやリュダクリスが何かのアワードで「HipHop Lives in the South」Tシャツ着てたのはそういう含みもあったのか)。

ていうかまぁナズやジェイや、ひいては"NY state of mind"を持ったMC(ちなみにGAMEがアルバム内のコラボ曲のなかでそう自称してるよ)ってのはとかくエリート意識旺盛というか、NY(=東海岸)が全ての中心、っていうモノの見方をしがちではあるけど。今まではまだそんな考え方も許容されてた感じだったけどねぇ。そう思ってたのはNY周辺だけだったのかもしれんが。ま、時代が変わってそういう「東高everything else低」的、オースクなヒップホップ的価値観が糾弾され始めた、ってことなのかね。どんどん30+の肩身が狭くなってくんなぁ。インタビューなんかだと表向きにはNY以外のエリアのラッパーは大抵がオリジネイター達にはプロップスをおくってるけどなぁ。

ナズが「死んだ!」と言ってるものは「ヒップホップがかつてそうであったモノ」である訳で、懐古主義と言われればそれまでであるかもしれんが、どの世界でもそうであるように、やはりオリジナルに忠実な頑固オヤジってのは必要な存在な訳ですよ。根があるからこそ広がれるのが木、だからねぇ。

最近のラッパーの自己演出の仕方って何か安くて軽いっていうか、とかく「目立つ」もしくは「禁忌を破る」ことにのみ終始してる気がするんだよね。それまでのヒップホップ的価値観においては「ナシでしょー!」って思われていた色を着るとかさ。ま、それをトレンドセッターと呼ぶのかもしれないけどね。昨今のディス合戦乱立に至ってもとにかく「軽い」!大物に噛み付く行為って割とガッツとスキルがなきゃ出来ない真似だったはずなのに、今じゃ単なるパブリシティ・スタントだし。(注:そのヘンの仕組みを全て理解した上で、パブリシティ・スタントと自ら言い切りつつ大物ディスの効用を利用して知名度を上げたスキルフルなミックステープ出身MC=サイゴン、という例外もあり)

そのうち「ラキム=神」っていう定番価値観にチャレンジしていきなり彼をディスる新人MCとかが出て来てももうワシは驚かないね。

たとえ今、この瞬間のレコードの売り上げ枚数やチャート状況が他の大物を凌駕していようと、それまでの「実績」なんかも加味して先人を立てる、というのがオースク的マナーだったはずだが、何やらそのヘンが崩壊しつつある予感…。実績とか伝統みたいな「重たい」モノを無視した刹那主義っつうの??軽い軽い!

その「イマ風の軽さの頂点」を極めた存在と言っても過言ではないディップセット(嫌いじゃないけど)からジム・ジョーンズが一気にナズとジェイを相手どってビーフ、ってのもまた「らしい」、いや「らしすぎる」展開で。

でもこの「軽さ」「安さ」って、ヒップホップだけじゃなく現代そのものじゃん?何にしてもお手軽世代っていうかさ。時代の流れってヤツですね。結論としてはまぁ、時代に目配せしつつも根っこを張った生き様がちょうど良いのかしら、と32歳二児の母はそう思います。

一休みどころか道草がなげーよ!(今年初のセルフ突っ込み)

NAS対訳中

2007-01-04 | ブルックリン横丁
賀正!今年もよろしくお願いします。

とはいえこっちは昨日から旦那も息子も通常営業モードに戻ってしまったのでここらで私も本腰入れてNASの対訳に力入れてます。

いつもながらthought provokingというか、ヒトの思考に揺さぶりをかけてくるねナズのリリックは。対訳しながらもこのコーフンを解ってくれる誰か(30+希望)に「ちょっとちょっと!」と語りかけたくなってくるっつーか。

そんな中素朴な疑問が。例のジェイZとの「Black Republican」なんだけど、自分をBlack Republicanと呼んでるのはジェイだけじゃん?この曲でのナズは自称Black Militantだから。なのにタイトルはジェイの自称を採用…。どうなのコレ?


(誰も気にしてないと思うが面倒くさいのでタイトルに通し番号つけるのやめました。だから何だと言われれば何でもないが意外と細かいんで私…)