ブルックリン横丁

ブルックリン在住17年の音楽ライター/歌詞対訳者=渡辺深雪の駄ブログ。 そろそろきちんと再開しますよ。

190:「インディア・アリーとヘア談義」

2006-04-27 | ブルックリン横丁
ヘアって書くと何か卑猥だな。そろそろ3作目が発売になるインディア・アリーに取材しますた。っていうかデビューしてからまだ2枚しかアルバム出てなかったのか。10枚くらい出てても違和感ないくらいの貫禄と安定感。それを本人に言ったら「よく言われる」だって。さてアルバムからの先行シングルはDJナオミもお気に入りの「I Am Not My Hair」。オリジナルとAkonをフィーチャーしたリミックスと(さらにプロデューサー違いであと2バージョンくらいあるけど)がありますが、オリジナルの冒頭ではゴシップ系の会話的な設定で「何で彼女は髪を切ったのか?」みたいなことをチキンヘッズがあーだーこーだ喋ってる下りが録音されている。ここのブログでも前にチラリと触れたが最近ドレッド散髪率高くない?とか思ってましたがそういやインディア・アリーもそうだったねぇ。

この曲で彼女は、「髪の毛(を始めとする見かけ)がそのヒトを定義づけるものじゃない、そのヒトをそのヒトたらしめるものはそのヒトの持つ魂(ソウル)だけ。私はアナタの期待通りの人間なんかじゃない(I am not your expectation)」と繰り返し言っているワケですが。

アフリカン・アメリカンの頭髪に対する思い入れ、というか、その髪型や髪質に対するこだわり&固定観念には凄まじいものを感じるワケである。傍目から見ると「たかが髪型じゃんか」とか思うのだが、彼らの多くにとっては髪型はライフスタイルやポリシー等を表す表現ツールの一つ、なのだ。…とここまではまぁ多くのオタク黒人文化論者が好きそうなありがちなネタなんだけどさ、まぁそれは置いといて確かに彼らは「本人がそう思っているよりも周りが髪型にその人の人となりをつなげてあーだこーだゴシップするのが好きな人種」、ではあるね。やれ縮れ毛を矯正してさらさらのストレートにすると「セルアウト!お前は白人になりたいのか!」と言われ、ドレッドを切り落とせば「それほどまでに簡単に捨てられるようなポリシーだったのかお前のドレッドは!」と糾弾され、人工付け毛をなびかせりゃ「アンチ自然派!彼女は自分に嘘をついている」とやいのやいの…。とかいって私も婦女子のつけ毛や縮毛矯正はどうでもいいと思うが、洒落っ気だけのバニティ・ドレッドは苦手です。個人的に。しかもさらに細かく言えば「そこに思想がある」と思わせぶりな身振り素振りの自称アーティーなドレッド野郎共…ブツブツ…(以下長くなるので省略。別に特に過去にそういうタイプに苦労させられたとかいうワケではありません。先入観のみ。)ちなみに男子の縮毛矯正orジェリーカールは大歓迎。多分全くワタシの生活範疇とクロスすることは無いと予想されるウェッサイなピンプ・カルチャー発、ということで。見てる分にはオモロいじゃん。

とはいえ彼らの中には、そういう髪型と本人の人間性を重ねて考えるという極めてプリミティブな思考回路を持ちがちである同胞を笑い飛ばしつつ自虐ネタとして楽しんでいるフシもあると思うのだが(セドリック・ジ・エンターテイナーとかスティーヴ・ハーヴェイみたいなコメディアンの持ちネタにありがち)、私の直毛と旦那の緩めの縮れ毛が相まって、電話コードのように(コードレス世代の人々には通じないネタだったりして!ドキッ!)クルクルしている太陽の髪の毛を見た友人(黒人の妻を持つプエルトリカン)はいきなり声色とアクセントを南部っぽくレイジーな感じに切り替えて「オー、お前の息子は”グッドヘア”(良い髪質、直訳ですが)でよかったのぅ」と一言。もちろん「イマドキそんな保守的でステレオティピカルでイグノラントな発言をしちゃったりしてるオレ」、みたいな風刺ネタなワケなのだが。”グッドヘア”といえば、タリブ・クウェリ&モスデフ=ブラックスターの「Brown Skin Lady」の冒頭のスキットで、「ライトスキンでグッドヘアを好む」風潮について揶揄してましたな。このスキット、割と知的な物腰の男性二人の会話なのだが、「オレはグッドヘアで肌の色の薄いオンナが好みだ」と主張する男が、「我れ先にダシキ(アフリカの民族衣装=アフロセントリックな人々にはお約束。つのだ★ひろも愛用)を着るお前が低能なことを言いやがる」と呆れる相手への弁解として「過去400年間(つまり奴隷としてアメリカに連れて来られてから今までの間)の(白人優位主義的価値観の)刷り込み、洗脳の結果さ」とこともなげに言ってのけてみせるというモノなのだが。

ああ、話が全然違うところに飛んじゃったよ。無理矢理本題に戻すと、まぁつまり「ブラウンスキン万歳!」「ナッピーヘアですが、何か?」系最右翼のインディア・アリーとの濃密な25分の間に主にシングル「I Am Not My Hair」を中心に色々と興味深いアフリカン・アメリカンの頭髪に関する見解及び今後の展望と課題について、じっくりと話が聞けたので興味深かったよーん、ということでした。ヘアと言えば一時期彼女も度々比較されてきたエリカ・バドゥの偽ドレッド発覚事件の衝撃を振り返って検証、ということでしっかりその辺も突っ込んでみました。あ、ちゃんと音楽の話も聞けてますんでご安心ください(→DJMさん宛)。そのうちタワレコのbounceにて記事になるので興味のある方はぜし。

189:「春のNY観光&スリー6マフィア取材とか」

2006-04-21 | ブルックリン横丁
しばらくNYは気持ちの良いスカ天が続いていたのでついつい遊んでました。今週いっぱい太陽が春休みだったので、朝から晩までNYの春を堪能してますた。それにしてもイースターの週末と公立学校の春休み、それから慢性的なNYクラウドが相まって、マンハッタンはどこ行っても芋洗い状態。MoMAとかセントラルパークとかさ、ちっとはお約束な観光コースってのもたまにはイイんじゃないの?とか思っていそいそ出かけてみたんだけどダメね。BKの幅広でゆったりした生活空間に慣れ親しんでるワシにはもう忙し過ぎ。地下鉄に乗ったのさえ久々だ。家に帰ってきて最近ぐんぐん育ってる庭の草花を愛でながら一息。

帰りがけ、尿意をもよおした太陽を連れてへンリベンデルのお姫様トイレに立ち寄りつつ、「そろそろ母の日でっせ!」と何故か関西弁の天使が耳元で囁いたのでそのまま5thアヴェニューをブラ見。グッチではいかにもギョーカイかぶれ風のBボーイ夫婦&ベイビーがキャッシュでお買い上げ。品物は不明。取り巻きをいっぱい連れて、大騒ぎしながら20ドル札を何度も何度も確かめながらショーケースの上に重ね置き。ゲトーの王道っすね。街角のボデガ前でサイコロ賭博に1ドル札詰んでるスタイルと何ら変わりません。それにしても前にDJナオミと来た時に即買いしたバッグ、「シーズン限定、今を逃したらもう手に入んないよ」と薦められたからゲットしたっちゅうのにいきなり新色が出ていてムカっ。店員に訊いたら「好評につき定番入りしました」だって。やられてもうた。確かにもうバッタもんも出てるしな…。ヴィトンの新作デニムバッグにも新色が加わっていたが、これまたいかにもあと数週間でカナル・ストリートに並びそうな予感。手を出さない方が無難かもねー。

さて話は観光ネタに戻りますがそんな中やっぱりBKはコニーアイランドでしょってことで、2006年初ビーチ。さすがBK、いい感じにひなびております。子供達は砂浜で蟹の足やらエイの死骸を見つけたり大騒ぎ。こんなトコにもちゃんと自然は生きているのだ、としばし感動。あの辺にいっぱい住んでるロシア老人達は痛々しい程のピンク色になりながらもせっせと紫外線摂取。ってか昼間っからやっぱウォッカ飲んでるし。アレは寒い国で飲むからこそのハードリカーなんじゃなかったのか!

で、程よく背中がヒリヒリしてるところでオスカー受賞者=スリー6マフィアの電話取材が急遽決定。やはり受賞後は世界じゅうのメディアから取材攻勢に遭っているらしく、かなり土壇場なスケジュールだったのだが「旬なものは旬のうちに」ということで応戦。メンフィスの某酒場にて集結中のメンバーがほろ酔いで登場。ただでさえ何言ってんだかわかんねーっつうのに酔いが回ってずーーーーっと歌を唄ってるメンバーもいたよ。サウスの気のイイあんちゃん達、ということで路線はデム・フランチャイズ・ボーイズとかとかなり似てますが。bmrでそのうち掲載されますのでお楽しみにー。その前にモブ・ディープのインタビューと祝・復活!のダ・ドッグ・パウンドのインタビューもがっつり出ますぜ。DPGはコラプトはもちろんダズにもきっちり喋ってもらった貴重な発言集っすよ!!日本の雑誌だからこそ言える、シュグ・ナイトへの恨み節まできっちり収録。ウォーレンGは日本の雑誌が相手とはいえ、シュグ・ナイトのシュの字も語ってくれなかったが、大丈夫なのかDPG??お見逃しなく~。

さて、明日からの雨模様に備えてこれから芝生の種まきにかかります。ホースの水よりもやっぱり雨水の方が芝生も嬉しそう。面白いモンで、植え付けてから3、4年経った株は春先のちょっとした陽光にも敏感に反応して初春からすくすく大きく育つのね。はじめの1、2年は割とシャイっていうか、かなり夏めいた天気にならないと育ち始めなかったり花をつけなかったりするんだけど。人間も同じで、毎年毎年日焼けが続くとそのうち赤くもならずにいきなりドス黒く、皮も剥けやしない日焼け体質が出来上がるワケですね。美白って何?SPFって何のこと?お陰で今日のワタシは4月にしてインドネシア人みたいな浅黒さ。せっかくキレイに下地が出来たので来月あたりどっか行ってこようかなー。バハマ、バミューダ辺りで沖釣りとかいいねぇ。


速報:D12のプルーフが撃たれて死亡。(追記あり)

2006-04-11 | ブルックリン横丁
たった今allhiphop.comの速報が入ったのだが今朝デトロイトの8マイルにあるクラブにてD12のプルーフが何者かに頭を撃たれて死亡したとのこと。何か追加情報が入り次第またアップします。とりいそぎは http://www.allhiphop.com/hiphopnews/?ID=5552 にて。

オビー・トライスも最近撃たれてなかったっけ?エミネムはまた離婚だし、シェイディー関連穏やかじゃないなぁ…

(追記)
発砲の原因はプルーフとクラブのバウンサーとの間の喧嘩だそう。プルーフが銃を持ってバウンサーの上に立っている姿が目撃されている。発砲したのは別のバウンサー。発砲されて負傷したもう一人の被害者は当初の噂ではビザールの可能性もある、と言われていたがどうやら別人のようだ。

188:「珍道中クルー参上&取材2連発」

2006-04-07 | ブルックリン横丁
何と実家から両親&爺ちゃんがNY上陸してました。爺ちゃんなんて95歳っすよ。東海岸周遊ツアーのついでにNYにお立ち寄り、という5泊6日の強行スケジュール。あり得ない。ともあれBK案内なんかをしつつ、メインの両家御対面会食では95歳の我が爺ちゃんが81歳の義父の右手をやにわ掴んで「へのへのもへじ」を描かせちゃったりしてカワイク盛り上がりました。

さて昨日今日と取材つづき。昨日はにゃんと5年ぶりに和解&リユニオンアルバムをリリースするDPGことDa Dogg Pound、ダズとコラプトのインタビュー。スヌープが取り持った和解の経緯やらシュグ・ナイトに対する恨みつらみなど、これまた「そんなことまで言っちゃってイイんですか!?」的白熱インタビューになりましたので乞うご期待。bmr独占。掲載は次の次の号という話だよ。

そして今日は知る人ぞ知るハシディック・レゲエな異端児=マティスヤフの対面取材inクラウンハイツ。ニュースとかでイスラエルの「嘆きの壁」で嘆いている光景が日本ではお馴染み、黒い山高帽&ヒゲもじゃもじゃのユダヤ教超正統派、それがハシディック。クラウンハイツやウィリアムズバーグ辺りに一大コミュニティを築いて暮らしているのだがマティスヤフもその一人。宗教色の薄い郊外の裕福なユダヤ家庭に育った彼が様々な自分探しの結果辿り着いた末がここ。厳格なユダヤの教えを守り、母親と妻以外の女性との接触は厳禁。もちろん握手もNG。日本のオフィシャル取材として、これまたホント久々にエガイツさんの質問状を通訳。かつてワシがジャングル・ブラザーズの日本盤のディレクターをしていた時に深ーくお世話になって以来だったのだが、音楽文化とその担い手に対するアツいリスペクトと真摯な姿勢は相変わらず。そのさすが!ってな質問状のおかげで素晴らしい取材になった。今年の夏はサマソニにも出演するらしい!去年の今頃ミッシーの取材でジャマイカに行った時、彼のビデオが地元のTVでヘビーローテされていたのだが、ホンっと一度聴いたら/観たら度肝を抜かされること請け合い。ギミック?とか思わないで黙って聴くべしマティスヤフ。

187:「春到来」

2006-04-01 | ブルックリン横丁
春です。庭掃除に余念がありません。そろそろ窓際のプランターに植える春の花を買い出しに行かねばのう。むふふ。太陽も日本語学校ではピカピカの1年生。1ねん1くみ。こともあろうに私はクラス委員。いいのか?

スリー6マフィアとレミー・マーの対訳を無事終わらせ一息ついてるところ。そんな中飛び込んできた(っていうか自分で見つけたんですけど)耳寄りニュースフロムYahoo!ジャパン!

「河南省の少林寺、リアリティー番組で新スター発掘へ」

 3月30日、中国河南省の少林寺、カンフースター発掘を目指したリアリティー番組を共同制作すると発表。写真は記者会見で技を披露する少林寺の僧侶(2006年 ロイター/China Daily)

きゃーーーーーーーー!!見たい見たい見たい!優勝者にはハリウッド・デビューもあるとかないとか。共同制作ってどこと共同すんだよ?アメリカでは見られるのか?ツメが甘いなヤフージャパン。誰か情報入手したら教えてください。そうだミクシーって少林寺とかカンフー好きのコミュニティとかあんのかな。後でチェックしてみよう。

それにしてもジャッキー・チェンとかジェット・リーはハリウッドでも人気者になったワケだが何故ゴードン・リューはカンフー映画止まりだったんだろう。「キルビル」には出たけどアレはタランティーノがカンフーマニアだったからなワケで。今度好きなタイプの男性は、と訊かれたら「ゴードン・リュー!」と即答しようと思っているのにやさぐれた人妻にそんな質問してくるヤツなんざいねーわな。ちぇっ。ブランド・ヌビアンのロード・ジャマー(短髪でもイケる)よさようなら。ワシの今後の「好きなタイプの男性第一位」はシャオリン・マスター・キラーakaゴードン・リューに決めましたので。ちなみに3位はゴーストフェイス。

はっ。落ち葉掻きしなきゃ!