ブルックリン横丁

ブルックリン在住17年の音楽ライター/歌詞対訳者=渡辺深雪の駄ブログ。 そろそろきちんと再開しますよ。

024:「ベッドスタイの夜」

2004-09-12 | ブルックリン横丁
最近諸事情あってよくベッドスタイに通っている。ベッドスタイと言えばビギーやジェイZを生んだNYヒップホップのメッカである。ジェイZのライムにも出てくるマーシー・プロジェクトとか、今じゃどういう訳かそこに住んでる=ヒップホップ・エリート、みたいな選民意識があったりして。ものすごい勘違いでもあるが。ま、クリスマスになれば故郷に錦を飾る、ってことでジェイZやメンフィス・ブリークがマーシーの子供達にクリスマス・プレゼントを贈った、みたいな「ええ話やね~」っていうニュースがローカル局で流れたりしてるし、当然あの一帯で、クルマやラジカセからガンガンに流れているのはロカフェラ勢。ロカウェア着用率も心なしか高いような気がする。で本題。毎年9/11に夜空に向けて照らし出されるツイン・タワー跡地からのハイ・ビームを背にして一路ベッドスタイへドライブ。いやーしかしビックリしちゃいましたよ。既に夜の23時とかだったのに、まだよちよち歩きのガキんちょ共がペロペロキャンディとかくわえてフラフラ夜道を歩いてるし、乳飲み児を抱えたヤンママが「貸したカネ返せ!」とどっかのサグに向かって騒いでるし(ちなみによーく聞いてみると貸した金額はどうやら$5らしい)、1ブロック1ブロックそれぞれに賑やかしい。別にとりたてて何してる、って訳でもないのに意味もなく路上に徘徊してるヤング(死語)が多すぎ。始め見た時はマジで「火事か?」って位の人だかりだったんだけど、よく見たら単にフライドチキン屋に群がるゲトー・ピーポーだったりして。そもそもそんな時間にそんなモン食ってること自体ダメだと思う。信号待ちで止まったりすると、横に並ぶクルマの全てのスピーカーから「これでもか!」って程のヴォリュームでHOT97が聞こえてきて大迫力のサラウンド・システム状態。(ちなみに最近はシエラの「Goodies」がかかりまくってます)学生時代の自分だったらきっと「ほほぅ、これがゲトーというものですな」とか言ってクルマを降りてみたり、一緒になって徘徊してみたりとか、素っ頓狂な行動に出ていたことと思われるが、今はねぇ。年ですかねぇ。ハンドルを握る旦那曰く、今我々が住んでいるブロックも10年前くらいまではあんなカンジだったそうな。だがNYの地価は過去40年間上がりっ放し。マンハッタンに近いエリアや実はブルックリンにもある古くからのブルジョア居住地に比較的近い区域はどんどん整備され、街並はそのままに、住む人間がガラリと様変わりしている。多分、今日見かけたゲトー・ピープルもあと5~10年もすればきれいサッパリどこか他のエリアへ立ち退かざるを得ない状況になるのだろう。3ヶ月前までは廃虚が立ち並んでいたベッドスタイのあるブロックでも、さっき通り過ぎたらしっかりとコンドミニアムの建設が始まっていたし。どうなることやら。

023:「9/11メモリアル」

2004-09-12 | ブルックリン横丁
遅めの朝食を採りながら9/11のメモリアル式典のTV放映を見ている。遺族代表が順番になって犠牲者の名前を読み上げるというスタイル。画面下部にはそれぞれの顔写真と当時の年齢が。日本人も数人いる。ほとんどが30代~40代の働き盛り。名前を読み上げているのは殆どがNYFDで殉職した隊員の親。しかしTVをよく見ると、花束を持って式典に参加している人達の中には子供を沢山連れたメキシコ系とおぼしき家族も沢山いる。なのに彼らが失った人達の名前が呼ばれることはまずない。ここでただ一つだけ平等なのは、誰もが愛する誰かを失ったという死の事実。