ブルックリン横丁

ブルックリン在住17年の音楽ライター/歌詞対訳者=渡辺深雪の駄ブログ。 そろそろきちんと再開しますよ。

029:「お土地柄とは」

2004-09-27 | ブルックリン横丁
最近、「土地柄」とは、と考える機会が何度かあったので適当に殴り書きしてみようかと思う。まず先日行ってきたLAで痛切に感じたのだが、待ち行くヒトの顔がなんだかユルいのだ。つーか観光客しかいないようなところでフラついていただけなのでそう断言するのも乱暴極まりないのだが、ビーチ近くをそぞろ歩くバム(ホームレスですな)からして呑気な感じ。切羽詰まってないっちゅうか、「なーんかああいう生活もいいかも?」なんて自分探ししてる学生とかが幻想を抱いてしまいそうな雰囲気濃厚。もっとゲトーなエリアに行ってりゃそんなコトも無いに決まってるのだが、基本的に気候が良けりゃ労働意欲を失うのであるな、という偏見をさらに強固にしてNYに戻って来た次第。ありきたりすぎるオチですまんね。

それから週末、10/28に発売のBLOW用にストリート・スナップ撮影を敢行。いつもは家からも近いし~、ってことでブルックリンの若人が集うフルトン・モール近辺を選ぶのであるが、何度もやってるとこっちの顔も割れてくるモノで、「こないだ撮った写真はどうなった?」と突っ込まれること多数でこっちの身が危ないのでしばらくBK撮影はやめよう、ってことになりハーレムは125丁目へ。オールド・スクール愛好家ならきっと覚えているであろうBDP「Bridge Is Over」の中のフレーズ、「Manhattan keeps on makin it, Brooklyn keeps on taking it, Bronx keeps creatin it and Queens keeps on faking it(マンハッタン=ハーレムはカネもうけ、ブルックリンはふんだくり、ブロンクスはクリエイトしてるけどクィーンズはそれらしいフリしてるだけ)」ちゅうのがありましたが、まあこの曲は例のブロンクスvsクィーンズのボロー(地区のことね)対決まっ最中にドロップされたってことを加味すると多少クィーンズに対し辛口ではあるのだが、それとは関係ないところで言及されているこの「マンハッタン=カネもうけ」という見方はヒップホップ・カルチャーには根強く浸透している。最近のガキはもう言わないかもしれんが、NYCの地区をヒップホップ的愛称で言うとハーレムは「Money Makin Manhattan」である。ちなみに残り4つは「Boogie Down Bronx」「Crooklyn(Brooklyn)」「Strong Island(Long Island)」「Shaolin(Staten Island)」。レペゼンBKとしてさらに細かく言えば、ブルックリンを「Brooknam」(フォクシーとかシャインがリリックで言ってますね。ブルックリンのゴタゴタ感を戦渦のベトナムに掛け合わせたカンジ。飛躍し過ぎててちょいと理解不能なカップリング。)と呼ぶスラングもある。

で一体ワシが山のような締め切りをブッちぎってまでここで何をウダウダ書いているのかと言うと、つまりハーレムの人々はブルックリンの住人に比べてマネー・メイキン(=商人)ちっくなキャラがしっかり定着していると実感したのである!それは以前ディプロマッツにインタビューした時にも明らかだったのだが、とにかくハーレマイト(ハーレムの住民のことよ)は商売上手で派手好き、見栄っ張り、そして結構フレンドリーなのである。いつもはブルックリンの路上でサグ共にスナップ撮影のモデルを打診しこっぱ微塵に玉砕してることが多いワケであるが、ハーレムの皆様はとても協力的。頼んでもいないのに札束を口にくわえてポーズしてくれたりとか、サービス精神も旺盛なご様子。NGの時もブルックリンの野郎共のようにド無視とかじゃなく、ちゃんと納得のいく理由を提示して丁重にお断りして下さるという細やかな心配りも忘れない。俄然気に入っちゃいました。

しかし取材が終わり、地下鉄に揺られてBKに差し掛かった頃にちょうどワシのiPodではBlack Moon「Buck Em Down」やMOP「Ante Up」、Smooth Da Hustler「Broken Language」等がランダムに流れ始めた。すっかり暗くなった夜空の中それらの曲を聴きながら歩いていると自然と物腰がイカつくなる。足取りも微妙にギャングスタ・リーン(←馬鹿丸出し)。うーむ、これはやっぱりハーレムとかLAとかで聴いててもしっくりこねぇやな、と妙に納得。何なんでしょうねぇ。土地柄って。殴り書きだけにオチ無し。これは今後の研究課題っつーことで。