パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「知と愛」 再読

2014年12月19日 19時48分11秒 | 

そんな話だったんだ
途中若干の休みをはさみながらの
ヘッセの「知と愛」を再読して真っ先に覚えた感情
おおまかなストーリー展開は覚えていたが
こんなに地の文章が多い小説だったとは思わなかった

初めて読んだ時のから自分も歳を重ねて
批判的に読むことを覚えてしまったために
言わんとすることは分からないではないが
多少作り物適ぎる展開に少し違和感を感じないでもなかったが
それでもヘッセのひたむきさ、ずっと彼が追い求めていたものは
やはり心を打つ

生活する、感情と共に生きる、そうしたことは
いわばどこか人工的な、しかし尊敬されそうな精神の生活と
同様に価値があるもの
そしてそれは母へと向かう道

放蕩息子のようなゴルトムントの生き様は
前作(?)のシッダールタでも堕落するシーンで見られる
しかしひたむきに生きたものは、
シャボン玉の詩にあるように様々な行為に優劣の差はなく
全て尊い 

「知と愛」は東洋的な(ロマンティックな)到達点ではなくて
西洋的な一見理詰めの結論に至る
しかしゲーテやヴァーグナーの女性的なものによる救済と
通じるやはり理想、憧憬的な結論
それはドイツ人が持っている内省的なロマン的な
性格によるものなのかもしれない 

そして何よりも感じたことは
自分が随分ヘッセに影響を受けている点
話は忘れていても 感じ方の基本的なところは
読書していてもすんなり入っていった

来年は4月にヘッセの誕生の地カルフ(CALW)に行く予定
多少余裕があるのでこの「知と愛」の舞台マウルブロン修道院もいいかな
と思っているが、少し辺鄙なところなので訪問は今のところ未定 

この間名古屋の書店のドイツ文学のコーナーにはゲーテと並んで
ヘッセが割合大きなスペースを占めていた
同時代のやはりノーベル文学賞受賞のトーマス・マンはほんの数冊
日本でのヘッセの人気ぶりが分かる
と言うより、ヘッセのひたむきさ、真摯さが心をうつからなのだろうか

ヘッセの作品群は政治家さんに読んでもらいたいが
読まないだろうな、、、 


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