パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「楽園にて」と「アニュス・デイ」

2024年03月10日 09時10分30秒 | 音楽

妹が一生忘れることのない「優情純深大姉」の戒名を授かったときから
少し時間が経過して、ようやく日常の感情を取り戻しつつある
当初は音楽を聴くことさえ、何か違うと思えて仕方なかった

最近、ようやく聴く気になれた音楽がフォーレの「レクイエム」だった
静謐で心に染み入るこの音楽は、何年か前にラ・フォル・ジュルネで実演を聴いた
最後の穏やかな曲「楽園にて」を聴いているとき
気がついたら熱いものがにじみ出ていた
すごく感動したというのではなく、知らず知らずに慰められていた
そんな感じがしたものだった

妹の棺に収められたのは「平和な世界」と書かれた孫たちの習字
妹のいる世界が「楽園であってほしい」と思って聴く気になったのだろうか

フォーレ:レクイエム op.48より Ⅶ.楽園にて

もう一つ久しぶりに聴いたのがベートーヴェンのミサ・ソレムニスから「アニュス・デイ」
木管の暗いトーンで始まるこの曲は、バス、アルト、ソプラノ、テノールの4つの声が
徐々に絡み合って、その音楽はベートーヴェンが死を意識しだしてたどり着いた
境地を現していて、その切実さはフォーレのときとは違う心への関わり方だ
(初めて聴いたときは、ヴァイオリンの奏する経過句部分に泣けて泣けて仕方なかった)

「アニュス・デイ」に続いて曲は「パッセム」(平和)という歌詞が出てきて
それがキーワードとなって曲が進んで行く
それは妹の棺に収められた「平和な世界」の習字そのもののように思えて
今こそ聴くタイミングそのものだ!と確信したのだった

Missa solemnis, Op. 123: Agnus Dei

音楽はいつ体験するか!によって感じ方違う
適切な時期に適切な聴き方をすると、それは単なる音楽体験以上のものを
得ることができると思う

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