パンセ(みたいなものを目指して)

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「あんた、一人でつらかったやろなあ」

2020年10月15日 08時49分48秒 | あれこれ考えること

「あんた、一人でつらかったやろなあ」
この一言で、彼女は弁護士の変更を決意したのだそうだ

知人から借りたこの本は森友学園騒動の中、公文書改ざんを命じられ、
自ら死を選んでしまった赤木俊夫さんの奥さん赤木雅子さんの心の変化、行動変化を
時系列にそってジャーナリスト相澤冬樹氏の筆で紹介されている

週刊文春のスクープ記事にするタイミングの選択やら、その時のジャーナリストの功を焦る
気持ちみたいなものが人間的でリアリティがある
誰でも理解できる感情的・人間的な面では冒頭の「「あんた、一人でつらかったやろなあ」
の言葉が一番印象に残った

赤木雅子さんは裁判を起こす覚悟をした
その時の弁護士は現在の弁護士さんとは違う
前の弁護士さんは穏便に処理しようとする作戦を選んだ
その方法もあり得たが、セカンド・オピニオンとして別の弁護士の話を聞いた時に
その弁護士からでたのがこの「「あんた、一人でつらかったやろなあ」という言葉

人の心を動かすとか納得するというのは、実は感情の力だと実感する
理性で理詰めで説得されても反論できないほど完璧であっても
人にはどうしても、もやもや感は残る

「カラマーゾフの兄弟」ではイワンの凄まじい大審問官のエピソードでは
キリストを想像される人は黙って大審問官に口づけをする
そしてアリョーシャもイワンに口づけをする
理屈の上の議論・討論は新たな諍いを生むだけ、、
まるでそう語っているかのよう

「あんた、一人でつらかったやろなあ」は、おそらく弁護士の感情的な理解ではない
彼女の話をしっかり聞いたうちで、人としての専門家としての弁護士の判断で
つい出てしまった言葉だと思われる

確かに、この本には当事者しか知りえない驚くべきこと
(それは大手メディアでは報道されていないこと)が記されている
赤木さんのパソコンには改ざんの支持の明細(内容・時系列)のファイルが残されていて
それを見ればどのように改ざんが行われたか一目瞭然で理解できるようになっている
この資料は検察の手に渡っている
しかし、何故か検察は改ざんについて刑事的な佐川さん等の起訴を断念した
(この時の検察のお偉いさんが黒川さん)

心配性な小市民のおっさんは、現在のこの国が知らないうちにとても危ない方向に
舵を切っているような気がしてならない
問題は「知らないうちに」ということ
知らないというのは「知らされていない」のか「知る気がないのか」の両面がありそうだが
この部分の検証をしっかりしていかないとまた痛い目にあいそう

人は左脳による理解には時間がかかるが、感情による(あるいは視覚・第六感による)理解は
一瞬で行われるようだ
それは危機に対して時間をおかずに対応するための、生き物として本能のようなものらしい
早い判断、熟考の判断、、これは以前読んだ「ファスト&ロー」にも書かれているが
政府のどこか他人語のような説明よりも「あんた、一人でつらかったやろなあ」
のたった一言のほうが、ひとの心に響く
でも、現在はこうした叫びすら心に響かなくなっている世の中になっているのではないか
との不安も頭をよぎる

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