パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「詭弁社会」を読んであれこれ思うこと

2024年03月08日 09時40分05秒 | 

どこかの国の国会中継(だと思うが)ニュースで印象に残るものがあった
ある人物が質問に答えていた
よくあるように抽象的な話になっていた時、議長は
「わかりやすくイエスかノーで答えてください」と指示した
それでも答える人物は長々と本質に繋がらない話を続けた
すると議長は今度は
「わかりました、答えたくないということですね!」

これを見てとてもスッキリした気分になれた
議長はこうして生産的な議論ができるように仕切るべきだ
それに比べて日本は、、、

議長が政権与党の自民党員がなっているので、自分たちに都合の悪い話は
どうしても避けがちな仕切りになってしまうのだろう

話は変わって、アメリカでは人気ミュージシャンのテイラー・スウィフト氏が
大統領選で誰を応援するかが注目されている
彼女の選択は選挙に大きな影響を与えるからだが
アメリカではこうして芸能人が政治的な発言をすることは
ごく自然のこととされているようだ
ところが日本では、政治的な発言をしないことが暗黙のうちになされている
以前は小泉今日子さんが何か発言をしたら、それに対して多くの苦情がきたそうだ
(政治的な発言でも、政権寄りの発言はそれほど問題視されない?)
日本は少し変だと思う

日本ではまことしやかに「ヘイトスピーチをする表現の自由はあるはずだ」
このような詭弁をする人がいる
だが外国では(確かフランスだったと思うが)
「そんな自由はありません」の一言でヘイトスピーチは禁止されてしまう

日本国内の人は日本は民主主義国家として成り立って
自由に溢れている国として認識しているかもしれないが
日本の姿を別の指標で比べると日本は「批判的思考」という概念とか教育が
十分になされていないようだ

文部科学省の公式サイトでは学校で「児童生徒の批判的思考を促す」教育を
しているかという問いについて、「非常によくできている」「かなりできている」
「いくらかできている」「全くできていない」の4択のうち
最初の2つと答えた教員の割合は、この調査をした世界の48カ国では平均で
82・8%だが、日本の中学では24.5%、小学校では22.8%という数字
となっている
また生徒に「批判的に考える必要がある課題を与える」という問いへの肯定的な回答は
48カ国平均は61.0%だが、日本は中学で12.6%、小学校では11.6%
つまりは、他の民主主義国家と比べると情けない数字になっている

ここで言葉の説明をすると「批判的思考」とは物事を鵜呑みにせず
与えられた説明や解釈が妥当であるか否か、自分の頭を使って
様々な角度から検証する思考能力のこと
なんだか当たり前に必要なことと思えるが、これらは現実的には
教育の過程を経ないと身につかないようだ

この批判的思考の欠如とか、抽象的なやり取りだけで進められていく国会の議論とか
表現の自由の勝手な使い方とか、それらは現在の日本がもしかしたら危機的状況に
あることの証明なのかもしれないとも思う

そんなことを考えさせられのがこの本「詭弁社会」山崎雅弘著


この本では、テレビなど報道された具体的な詭弁の例を挙げている
「お答えを差し控えさせていただく」
「丁寧に説明する」
「〇〇の意図はなかった」
「記憶にない」
「それは当たらない」
これらはある時から急に増えてきた言葉だそうだ
そしてそうなっているのは、現在の議員さんたちの人間性の劣化と同時に
マスメディアの劣化が拍車をかけているとしている

この本の著者の山崎雅弘氏は「天皇機関説事件」を図書館で借りて以後
個人的に注目している人物で、問題意識をもって丁寧に説いて行く方で
池上さんよりもっとわかりやすい気さえする

この本はメディア関係の人は読むべきだと思うし
少し面倒だが多くの人が読んで欲しいと思う


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