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Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

『Xi AVANT』に出てくるPHマークの謎

2011年04月24日 | アニメ
神山健治監督の新作短編『Xi AVANT』に出てくる、謎のマーク。

ここでは仮に「PISTOL HEAD」を略して「PHマーク」としておきますが、
どうやらその本当の“答え”、わかってしまったかもしれません。

・・・というか、前回書いた考察の中で、ほとんど正解の手前まで行ってたのに
あと一歩のところで気づかなかったというか。

もし私の読みが間違ってなければ、あそこから神山ファンが到達する結論は
絶対に一つしかないはずです。
そしてこのPHマークこそ、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』から
『東のエデン』を経由して『Xi AVANT』に受け継がれた、神山監督にとって
特に大切なシンボルだと思います。

神山監督自身もインタビューでは答えをぼかしてますから、これ以上のヒントはなし。
まあいままでの情報でも、かなり核心に近いところまで書いちゃってますが。

ちなみに周囲を囲む“Winners never quit. Quitters never win.”は
神山監督が作った言葉ではなく、西洋の格言から採られたもの。
一部ではアメフトのグリーンベイ・パッカーズでヘッドコーチを務めていた
ヴィンス・ロンバルディの名言としている説もありますが、ロンバルディの
公式サイトに出ている本人の名言集には出てこないので、ここはやっぱり
作者不明とするのが正しいみたいですね。
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『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』全国拡大上映が決定

2011年04月20日 | アニメ
公式HPからの情報によると『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』の
上映劇場がGW明けから一気に増えて、全国規模へと拡大するそうです。

5月7日(土)から、以下の25劇場にて公開されるとのこと。

新宿バルト9(続映) / 横浜ブルク13(続映) / T・ジョイ京都(続映) /
T・ジョイ長岡 / シネプレックスつくば / MOVIX 宇都宮 / MOVIX 伊勢崎 /
MOVIX 三郷 / T・ジョイ大泉 / T・ジョイ蘇我 / アイシティシネマ /
富山シアター大都会 / ユナイテッドシネマ金沢 / MOVIX 清水 /
大垣コロナシネマワールド / 福井コロナシネマワールド / MOVIX 橿原 / MOVIX 倉敷 / T・ジョイ出雲 / T・ジョイ東広島 / MOVIX 周南 /
アイシネマ今治 / T・ジョイ リバーウォーク北九州 / T・ジョイ久留米 /
T・ジョイ パークプレイス大分 / ユナイテッドシネマ長崎 /
シネプレックス熊本 / 鹿児島ミッテ10

残念ながらMOVIX仙台での上映は未だ目処が立たないようですが、
神山監督も舞台挨拶で一刻も早く上映したいとコメントしてましたから、
現地の方はいま少しご辛抱ください。

それにしても、ユナイテッドシネマ系列の劇場が加わったにもかかわらず、
神山監督ファンの心の聖地・ユナイテッドシネマ豊洲が入ってないのは
一体なぜだろう?と思いましたが、調べてみるとあそこの上映システムは
XpanDではなく、Real3D方式なのでした。

『攻殻SSS 3D』の映像はXpanDに最適化されているそうなので、Real3Dでは
やはり不都合があるのでしょうか?
もし見比べられれば、ぜひとも比較してみたいものですが・・・。
(まあそれ以前に、配給元の関係とかもいろいろ絡んでるのでしょうけど。)

しかしこれだけ上映劇場が増えると、もはやミニシアターランキングの
連続1位で満足しているわけにもいきませんね。
ここからどれだけ観客動員と満足度をアップできるかが、もしかすると
攻殻SACシリーズの“未来”を左右することになるのかも・・・。
ということで、お近くにお住まいの攻殻SACファンはこぞって見に行くべし!

・・・まあこれだけの記事では、さすがに公式HPの後追いでしかないので
最後にちょっとした小ネタも追加しておきます。

『攻殻SSS 3D』と同時上映される3D短編『Xi AVANT』。
この作品について、神山監督が語った製作裏話が公開されていますが、
作中で登場する謎のマークについて、神山監督からこんな言葉が。

「『Xi AVANT』をくまなく観れば、もしかしたらマークの意味も分かるかも」


と言われて『Xi AVANT』を思い出すと、マークの意味についてはさておき
これと全く同じ“あるもの”が劇中に出ていることに気づきました。

真ん中の絵はスズメバチ。黄色いスズメバチとくれば・・・そう、アレですね。
ちなみに登場シーンはバルセロナですが、同じラテン系でもこのスズメバチは
どうやらイタリア生まれだと思われます(笑)。

そしてアラン・ムーアのファンとして妙に気になるのは、このマークが
どこか『ウォッチメン』の“スマイル・マーク”に似ているということ。
マークの右斜め上、ちょうどハチの背中のあたりに切れ込み(たぶん羽)が
ありますが、この位置はスマイル・バッチについた血痕とほぼ対称なのです。

比較用として、映画化の際に配布していた壁紙データの写真を再掲してみます。

細部は大きく違いますが、色や形だけ見れば共通する点も多いような?

そういえば、前に『東のエデン』ナビゲートブックか何かで神山監督の
インタビュー記事を読んだとき、「最近見て面白かった映画」として、
『ウォッチメン』を挙げていたことを思い出しました。
これを読んだ時、もしや亜東タクシーの元ネタはプロメシアン・タクシーかと
勝手に推測したものですが、あるいは今回もそっち繋がりのネタなのかも。

果たして神山監督は、本当にアラン・ムーアのファンなのでしょうか?
それとも、カモメ捕りが好きなムーアファンの単なる妄想なのでしょうか?

どちらも好きな私としては非常に興味深いところですが・・・真相は如何に?
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『Xi AVANT(クロッシィ・アバン)』3D版初公開&バルト9舞台挨拶

2011年04月10日 | アニメ
3月26日から全国9館で上映をスタートしたの「攻殻SAC SSS 3D」ですが、
めでたく大ヒットということで、4月9日に新宿バルト9で舞台挨拶が行われました。
公開初日はバルト9のチケットが取れずに横浜で舞台挨拶を見ましたが、今回はギリで
端っこのほうのチケット確保に成功。

劇場に行ってみると、映画の公開前から置かれていた螺旋階段のディスプレイ以外にも、
各所が攻殻SAC仕様に変身していました。

9回の売店上にあるモニターでは、攻殻カフェの案内をリピート中。


そして10階カフェの入り口には、攻殻SSS 3Dの透明なステッカーが貼られていました。

中ではSSS 3Dの予告編を流すなど、完全に攻殻カフェへと様変わりしています。

2月25日にバルト9で開催された先行試写イベント用のポスターは、売価1,000円。

この写真では右下に神山監督の直筆サインが入ってますが、これは展示用の特別仕様。
ちなみにバルト9仕様のパンフレットについては、残念ながら既に完売しています。

初日には売っていなかった大震災支援のTシャツも、劇場で販売していました。

写真は上映開始前に撮ったものですが、上映後に見に行くと既に半分くらい売り切れ。
小さいサイズから無くなっていたのは、女性ファンの多さを示しているのかも。
なお、劇場内には以前にユニクロから発売された公安9課のTシャツを着たファンの姿もありました。

この日は東日本大震災の影響で完成が延びてしまった、待望の新作短編アニメ「Xi AVANT」が
世界初公開されることもあり、場内は満員。
まずは石井朋彦Pが登場して挨拶をしたあと、すぐに「Xi AVANT」の上映がスタートしました。
(以下、写真については公式サイトのストリームからの引用。)


2D版のストリーム公開と詳細な設定は「STUDIO Xi」に出ているので省略しますが、
まさに物語が始まった瞬間に終了という終わり方に、場内は「えっ?」という雰囲気。
とはいえ、3分30秒という尺に神山作品のエッセンスをぐいぐい詰め込んで、それを
3Dという新たな表現で見せるというスタイルは、なかなか楽しめるものでした。

2D版と異なるのは3D表現なので、ここではその点についての感想をまとめてみます。

・冒頭のCGロゴについては、立体視による飛び出し感が非常に強い。
・「攻殻SSS 3D」よりも、奥行きや広がりを強調する画面設計が施されているように感じた。
・特に見上げたり見下ろすシーンが多く、ここで3Dならではの奥行きが大きく活かされている。
・サグラダ・ファミリアの塔に登ったときの“高さ”を感じさせる表現は、かなり秀逸。
・この世界では立体映像の技術が一般化しているという設定のためか、タスクの立体CG以外の
 端末映像についても、画面に立体感が感じられた。
 (ただしタスクのように画面からポンと飛び出すわけではなく、立体視処理が施されている程度)

設定やキャスティングに関する謎解きは、神山作品を知る人のためのお楽しみ要素ですが
神山監督いわく「手塚作品におけるスター・システムみたいなものと考えてください。」
ということで、他の作品と時代や世界観における完全な繋がりはないのかもしれません。

「完全新作」と謳われると、いかにもこれが次回作への序章というようにも思えますが、
むしろこの「Xi AVANT」は、今までの熱心なファンに対する神山監督からのサービスであり、
また「攻殻SAC」と「東のエデン」のテーマ的な結びつきを明確にするための総括であると
考えておいたほうが、今のところは無難だと思います。

とは言っても、すでに神山監督は次回作の脚本打ち合わせに入っているとのこと。
この日も早朝まで打ち合わせ会議をして、仮眠を取ってから舞台挨拶に臨んだとの話です。
「Xi AVANT」の最後に出てくる「PISTOL HEAD」という謎の言葉の意味も不明なままなので、
もしかすると・・・という可能性もありえますけどね。
神山健治監督作品の公式Twitterアカウント「PH9」も、たぶん「PISTOL HEAD(No.) 9」の略だろうし・・・。

それはともかく、篁が見ていた滝沢首相の写真は、どことなく白洲次郎氏を思わせます。

「東のエデン」を見ていた頃、滝沢朗に白洲氏のイメージを重ねていた自分としては、
このカットに思わずニヤリとしちゃいました。
・・・といっても、「Xi AVANT」の滝沢首相が彼と同一人物というわけではないでしょうけど、
これを「もしも滝沢朗が首相になっていたら?」という「東のエデン」ファンの仮定に対する、
神山監督からのひとつの回答と見なしても、さほど間違いではないと思います。

「Xi AVANT」の上映後に拍手が湧いた後、いよいよ神山監督が登場。
攻殻3Dへの大ヒット報告とそれに対するお礼の言葉、そして新作についての説明がありました。

「Xi AVANT」はドコモの次世代高速通信サービス「Xi(クロッシィ)」が普及した時代を舞台にしており、
作中で登場する技術は君山監督が既存の技術とXiの組み合わせによって「できたらいいな」あるいは
「できるだろう」と考えているものだそうです。
この作品を作るためにスペインにも取材旅行に行っており、サグラダ・ファミリアの大きさはTVなどで
見た感じよりも、ずっと大きいとのこと。
(そういった感覚は、「Xi AVANT」での3D映像でもうまく再現されていたと思います。)

なお、今回の攻殻3Dは夏にBDとして発売予定。ちなみに神山監督がつけたタイトルは
「攻殻S.A.C. SSS 3D ANOTHER DIMENTION」だそうです。
監督いわく「他で使ってないタイトルつけてって頼まれるんだけど、大体どこかで使われちゃってるんですよね。」
なのでこのタイトルも、きっとどこかで使われてるんじゃないかな・・・と、笑いながら話してました。
なお、こちらにはSACでおなじみ「タチコマな日々」の新作映像が、これも完全3Dで収録されるとのこと。
この「タチコマな日々 3D版」については、可能ならば今後劇場での公開も検討したいとの話でした。

これとは別に、これまで製作された「タチコマな日々」を完全収録したBDソフトも、やはり夏ごろに
発売される予定だそうです。
ただしこちらには3D版の新作は入らないそうなので、その点はご注意ください。

あと、プロダクションI.G.の広報担当で「SSS 3D」のパンフレット製作担当だった井上さんが
「twitterで袋とじの中身があまり話題になっていない!」と落胆しているらしく、試しに監督が来場者に
「パンフレットの袋とじを開けた人!」と尋ねたところ、開封者はほとんど皆無という結果でした。
記事には製作担当がかなり力を入れていて、仕上がりも映画「セブン」の犯人が作っていたファイルっぽく
編集してあるので、ぜひ袋とじの内容も読んでもらって、twitterなどで話題にして欲しいとのことです。
監督いわく「袋とじにはミシン目も入っていて、雑誌のグラビアみたいにみっともないことにはなりません。」

なお、スマートフォンと映画の連動に関しては、神山監督から「携帯を使いながら見る映画の上映会を
初めてやった身としては、そのうち“映画を見ながら画面にスマートフォンをかざすと、情報が出てくる”
というように、観客自身が“自分だけの映画”を完成できるような作品を、いつか作りたいと思います。」
とのコメントも出ていました。

さらに4月11日からはT・ジョイ博多にて、Androidアプリによるスマートフォンを使った攻殻SACの
AR体験企画も始まります。
「攻殻SSS 3D」公式サイトにもデモ映像がアップされましたので、詳細はそちらを見てください。

ざっとまとめたので細部は漏れてますが、舞台挨拶の内容については「究極映像研究所 東京分室」こと
shamonさんの「ひねもすのたりの日々」等でも書かれているので、そちらも参照してみてください。

映画を見た後に渋谷に行ったとき見かけた「Xi」サービスの看板。

FOMAの10倍ですか・・・しかし鉄人もいいけど、どうせなら「Xi AVANT」を使った広告も出して欲しい。

「攻殻SAC SSS 3D」の感想等は分量も多いので、日を改めて掲載したいと思います。
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『攻殻機動隊 S.A.C. SSS 3D』明日公開!特集本には貴重なインタビューも収録!

2011年03月25日 | アニメ
東北太平洋沖地震の発生から2週間。
依然として終息しない福島第一原発の問題に加え、買いだめや放射性物質の降下などの新たな事件も
発生しましたが、被災地以外では少しずつ落ち着きも見え始めてきたところです。

そんな中で、製作発表時から期待を集めてきた神山健治監督の『攻殻機動隊S.A.C. SSS 3D』が
明日26日、予定どおりに公開初日を迎えることとなりました。

時節柄、映画を見るのもためらわれるという方もいると思いますが、攻殻S.A.C.という作品が一貫して
「近未来における日本の姿、そして日本人のあり方」を追い続けてきたことを考えれば、いまこの作品が
再びスクリーンに登場するのは、ひょっとして時代の要請なのかもしれません。

そして、そんな社会的性格の濃いアニメ作品をおよそ10年にわたって撮り続けて来た神山監督なら、
いま日本が置かれている国難とも言える事態に対しても、必ずや思うところがあるはずです。
いつになるかはわかりませんが、きっとその思いを強く込めた作品を世に問うてくれるのではないか・・・?
そんな未来の作品への先行投資という意味も含め、私はこの「攻殻SSS 3D」の成功に期待しています。

さて、「攻殻SSS 3D」の公開にあわせた特集本「攻殻機動隊 S.A.C. ぴあ」も発売されました。



横の線画は、ぴあの通販で購入するとついてくる特典クリアファイル・・・のはずでしたが、劇場販売分にも
ついてくるそうで、ちょっとフクザツな気分です。

掲載記事の多くはキャラやTVシリーズのストーリー紹介(各話見開き2ページ)ですが、
一番の目玉はなんといっても、2本のロングインタビューでしょう。

前半には神山監督への単独インタビューとして、攻殻SACの企画当初から現在に至るまでの過程と
それにまつわる背後事情、そしてその時々の神山監督の心情などが赤裸々に綴られています。
攻殻SACへという作品とキャラクターへの思い、師匠である押井監督と劇場版『攻殻機動隊』を巡る
様々な経緯、コミック原作への配慮、そして攻殻SACの「これから」についてなど、攻殻SACの
“ほぼ10年”の歴史を総括する記事として、非常に価値の高いものになっていると思います。
さらには作中でははっきり語られなかった、いくつかの疑問についての答えが隠されているかも・・・?

そして後半部に収録された、神山監督と羽海野チカ氏の対談形式によるインタビュー。
クリエイター同士による会話には斬新な着眼点がいくつも含まれており、これを読んでから作品を見ると
また新たな発見がありそうな感じです。
なお、『東のエデン』についても言及されているので、そちらのファンにもぜひ読んで欲しいものです。

さらに巻末には、表紙の描きおろし素子のイラストを使用した、四つ折の横長ポスターがついてきます。
絵柄はすばらしいのですが、できれば折り目の無いのが欲しかったなぁとか思ったりして。

明日の初日に間に合うかはわかりませんが、劇場とネット上では「震災復興支援シャツ」の販売も
予定されているとのこと。
さらに公開の収益についても、一部を被災地への義援金にあてるとの発表がされています。

神山監督と公安9課、そして被災地と日本のエンターテインメントのため、私も劇場に足を運んで
グッズも買って、わずかでも力になりたいと思います。
たとえ自己満足だとしても、何もしないよりずっとましなはずだから。

Pray for Japan! We are SECTION 9!
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傑作アニメ「ヒックとドラゴン」を見逃すな!

2010年09月13日 | アニメ
新宿ピカデリーで『ヒックとドラゴン』3D(日本語吹替版)を見てきました。

この写真は、海外版サントラCDのジャケットです。
作品のイメージにピッタリなので、使わせてもらいました。

主にTwitter方面で絶賛を聞いて「じゃあ見てみるかな」と足を運んでみたわけですが、
すごく面白かったですよ!
「あっ!」と言わせるほど革新的な驚きはありませんが、レベル自体は非常に高い。
お金と人手を十分にかけて、きっちりと作られているのがよくわかります。

そしてアバター以上にジブリ的な映像表現の数々と、わかりやすいながらも深みのある物語。
大人でもたっぷり満足できる作品になっていたと思います。
多種多様なドラゴンたちと、彼らと渡り合うバイキングの生き生きした存在感もすばらしい。
ドラゴンを扱った映像作品の秀作として、長く記憶される作品になりそうです。

主人公のヒックは体つきこそ貧弱ですが、頭がよく回って手先が器用。
名前と家族関係からも、「小さなバイキング ビッケ」のビッケを思い出させるところがあります。
逆境にめげないバイキング魂をきちんと持っているから、決してヘタレに見えないのがいいところ。
このキャラ造型のうまさが、物語の展開を無理のないものにすることに大きく貢献しています。

そして敵同士の立場から一転してヒックとの絆を深めてゆく、幻の黒竜・トゥースのかわいらしさ!
竜というより黒ネコじゃん!と思ってしまう場面もありますが、それが逆に「未知の生き物」の違和感を
だんだん薄めていくことにもつながっているのですね。
ということで、動物好き、特にネコ好きは「ヒックとドラゴン」を見るべきです(笑)。

そしてSF者としては、トゥースの黒猫っぽさについつい「宇宙船ビーグル号」に出てきた
クァールの姿を重ね合わせてしまいました。
私にとっては、これはこれで馴染み深いものがあるなぁと思ったりして。
そういえば“黒い破壊者”というクァールの異名は、トゥースにもピッタリ当てはまります。

映像表現で目立ったのは、最初に書いたように「ジブリっぽさ」を随所に感じるところ。
竜の飛翔シーンや雲海の描写などは、特に強い影響が感じられます。
あと、竜を操作するときにあぶみを細かく踏み込む演出があるのですが、そのあたりにも
「ナウシカ」等で見られたペダリングの表現が見られました。
といっても、絵づらを丸パクしてるわけではなく、3D表現としての作り変えもされているので、
別にイヤな印象はなく、むしろジブリへのまっとうなオマージュとして見られるのがいいですね。

一方で物語全体の組み立てについては、実に典型的なハリウッドスタイルです。
それも悪い意味ではなく、長年にわたって少年もの、動物ものの秀作映画を撮り続けてきた
伝統が感じられる、メリハリがありつつ安定感のある筋立てになってました。

そして、こういういい意味での「伝統性」こそ、エキセントリックさと内輪ウケが増えてきた
最近の日本アニメにおいて不足気味な成分なのかもしれません。

ややネタバレにはなりますが、最後は大団円の中にちょっと苦いものが残ります。
勝利を得るためには失うものもある、という意味あいに加えて、ヒックとトゥースの関係が
単なる主人とペットではなく、互いを支えあうパートナーとして対等になったことを感じさせて
自分としては大いに感心させられた演出でした。

それにしても、このレベルで作らないと全米でロードショー公開できないのだとすれば、
アメリカでのアニメに対する要求は、相当に高いものがあると思います。
これに比べると、日本の劇場アニメはかなりハードルが低いと言えるかもしれません。
そして広い観客層に受け入れられる作品が作れるのは、アメリカのアニメが文化産業として、
十分成熟している事を示すものだとも思います。

逆に言うと、日本のアニメ技術がいくら高くても、業界全体の成熟度が追いつかない限りは、
本当の大舞台でなかなか太刀打ちできないかも・・・という危惧も感じられるところ。
世界で評価されている今こそ、日本のアニメ業界も本気で危機感を持つべきではないでしょうか。

そんな心配をしたくなるほどデキのいい『ヒックとドラゴン』も、そろそろ上映終了みたいです。
アニメと特撮を栄養にして育ってきた人、そしてSFとファンタジーを愛する人たちならば、
絶対に損することはありませんので、未見の方はこの傑作を見逃さないように!
特にクライマックスの迫力は、映画館で見ないともったいないですよ~!
早くも続編の製作も決まってるそうなので、良質のシリーズとなるのを期待したいものです。

ちなみに映画のアートブックがまたすばらしそうなので、これの邦訳版も出して欲しいですね。
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原恵一監督「カラフル」感想

2010年09月07日 | アニメ
新宿バルト9で、原恵一監督の新作アニメ映画「カラフル」を見てきました。

日曜の午後、場内は9割ほどの入りだったかな?

作品の感想ですが、まず特筆したいのは、前半でずっと続く「気まずさのリアリズム」の徹底ぶり。

一度死んだ人間が生き返ったんだから、普通ならもっと明るいお話を期待するところですが、
実は死ぬまでのいきさつがいろいろあって、すんなり喜べるという状況ではないわけですな。
しかもそのへんをなんとなく探っていくうちに、現実のイヤな側面を見ることになってしまって
逆に居たたまれなくなってしまう・・・というジレンマがなんともキツく、そして生々しい。

しかしこの息詰まるような「居たたまれなさ」をじっくりと見せることが、後半で結ばれていく
人と人のつながりと、その距離がじわじわ狭まっていく過程を「体感として」受け止めることへと
つながっているように思うのです。
前半の閉塞感は半端じゃないですが、それが解きほぐされていくまでの過程もまた丹念に
組み立てられており、これがクライマックスでの「静かな、しかし胸の奥から湧きあがるような」
感動を生むのだと思います。

そしてもうひとつ注目したいのは、「家族」という集団の中に見え隠れするギスギスした空気を、
丹念に拾い上げていること。
ちょっとしたことでイラッとくる感じとか、家族ならでは無神経さがやたらとカンに触るところなど、
見ている自分にも思い当たるような場面がいくつも出てきます。

実のところ、家族というのは客観的に見るとケンカばかりしているか、お互いに対してかなり
よそよそしい態度をとっていることが多いのではないでしょうか。

ほとんどはささいなことなので、長いスパンで見れば忘れてしまいがちだし、その結果として
「普通の家族」はおおむね温かいものだという幻想が維持されてきたわけですが、そんな中で
この「カラフル」という作品は、家族という微温的な領域の中にあるエゴや弱さを容赦なく抉り出し、
「普通の家族」という暗黙の了解をえげつないほどに突き崩していきます。

特に、自分も家族崩壊の一因でありながら、なお必死で「普通の家族」を維持し続けようとする
母親の態度はあまりに痛ましく、またそれゆえに最も深く傷ついていくのがはっきりわかります。

あまりのイタさに、一部の感想で「岸辺のアルバム」と比較されているというのもうなずけるところ。
私はというと、食事のシーンで「家族ゲーム」を思い出してしまいました。

しかし、家族という集団の抱える欺瞞を厳しく指摘した上で、それでも気後れすることなく
「人間はみんな誰かの支えであり、また誰かに支えられている」
というあたり前のことを再確認していく筋立てには、すごく納得させられるものがありました。
やや甘いと思われる結論であっても、そこまでの手順をしっかり踏んでいくことによって
きちんとした説得力を持たせることができるという好例ではないかと思います。
これこそ「映画の作り方」の基本にしてお手本と言えるかも。

ところでこの作品に対し「アニメでなくてもいいのでは」という声があるそうですが、実際に見て
ネガティブな意味ではなく「ああ、そう思っちゃう人もいるだろうな」とは思いました。

たぶん不満を感じる人の多くは、いわゆる「アニメでしか表現できない映像」を見たいのでしょう。
それが色彩なのか風景なのか動きなのか、あるいは現世にありえない美形キャラなのかは
ちょっとわかりかねますが、とかくアニメとは“そういうものであるべき”と認識している人たちが
かなりの数に上るのは確かだと思います。

アニメが提供してくれるものが「ここではないどこか」であると期待する人が「カラフル」を見たら、
やっぱり厳しい、苦しい、そしてつまらないと思ってしまいそうですね。
だってここにあるのは、まぎれもない現実そのものでしかないわけですから。
また逆に実写映画を好む人の一部にも、アニメ絵への抜きがたい抵抗があるわけでして・・・。

そしてこういう気持ちを持つ人たちから「実際にあるものなら、アニメで見せなくてもいい」
「どうせ声をあててるのだって本物の役者だし、だったらそのまま実写でやればいいだろう」
というような声がでてくることも、まあありそうな話だとは思います。

しかし「カラフル」の中には、やっぱり絵でしか、アニメでしか描けない表現があるのです。

たとえば小さな表情の変化や手のしぐさ、体のゆすり方といったひとつひとつにまで
狙って意味を与えることができるのは、アニメーションならではの演出だと思います。
そして「カラフル」には、そういう細部へのこだわりが随所に見られるのです。
小さな行動やささいな表情の蓄積が、やがて起きる感情の爆発に向けてマグマのように
じわじわと溜まっていく、その過程の見せ方、演出の効かせ方が実に丁寧なのですよ。

アニメでリアルな日常を描く事は、空想の光景を描く以上に世界観の強度を求められるわけですが、
観客からの「実写でもいいじゃないか」という声は、実写に近いリアリティを獲得できたことへの
ある種の賛辞ととらえてもいいんじゃないかな、とも思いました。
逆に言えば、これでアニメの表現領域がさらに広がった、と考えることもできそうですし。

また、最近のアニメに顕著な「滑らかでリズミカル、かつダイナミックで目を引く動き」を
常に期待するファンにとって、「カラフル」に見られる地味で堅い感じの動きへの不満は
かなり大きいように思います。
例えば主人公がひろかの手を引いて町を駆け抜ける場面など、やや動きがぎこちないですし、
終盤の重要場面ではカット飛びらしきものも見られました。
作画面が気になるファンが増えた中で、こういう点はこれまで以上にネガティブに映りがちです。

しかしその一方で、「カラフル」に出てくるキャラクターには、最近になって多くのアニメが
自覚的に取り入れてきた「アニメとしての媚び」を感じさせる動きがありません。
その媚びのなさに、キャラクターの「自然な佇まい」を感じられたのは、非常によかったと思います。

現に今年劇場公開された某アニメでは、キャラの動きにあからさまな媚びの要素が感じられて
作品の真剣さにやや水を差すといった感じを受けたものですが、「カラフル」に関しては
作品が求めるリアルな人間像に見合う、落ち着いた動きがつけられていたと思います。

また作中に張られた各種の伏線が、後で効いてくるのもうまいところです。
特に秀逸と思ったのは、ひろかに関する描写。
常に駄菓子を持ち歩いているのが、彼女の心理的な幼さと肉体的な成熟とのアンバランスさを
うまく象徴していたように感じました。
この前ふりのおかげで、後段での独白場面もすんなりと受けとめられましたね。

あと宮崎あおいの演じる唱子、顔はジムシィ系(!)だけど、妙なかわいらしさもあったりして。
絵の動かし方もよかったけど、やはり中の人の好演が一番大きかったと思います。

そして彼女たち、そして早乙女くんの存在は、「学校で浮かない」ということが大切なのではなく、
「どんな形でもいいから居場所と仲間を見つけて、なんとか毎日を生き抜くこと」のほうが
よっぽど大切なんだ、ということを教えてくれました。
いま学校でいろいろ無理して悩んでる子たちにも、これはぜひ知っておいて欲しいと思います。

音楽については、残念ながら一部でやや音量が過大と感じられたところも。
特に「手紙」の合唱は意図があまりに明快なので、音の大きさが押し付けがましさに思えます。
あそこは背景音楽で小さく歌わせ続けてもよかったんじゃないだろうか。

謎解きの部分で基本的にアンフェアと思える点があること(真相へのヒントは途中で示される)、
そして作中で多くの重荷を母親ひとりに背負わせてしまった感じがするのはややひっかかりますが、
「カラフル」は非常に手をかけて作られた秀作であり、また現在の日本アニメの到達点の高さを示す
ひとつのショーケースでもあると言えるでしょう。

残酷さはないにしろ、厳しさと痛みから目を背けず、むしろそれに目を向けさせるような内容は
人によって好き嫌いがはっきり出ると思います。
いわゆる「泣ける作品」と感じるかについても、個人差がかなりあるのではないでしょうか。

それでもやっぱり、大人のアニメファンとして見ておきたい作品であるのは間違いありません。
原監督の果敢な挑戦の成果を、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
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劇場版『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』

2010年07月27日 | アニメ
渋谷のシネマアンジェリカで『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』を見てきました。

かつて高畑監督いわく、TVシリーズ『赤毛のアン』の劇場版について
「ダイジェスト版は作りたくないけど、1~6話までを劇場向けに再編集すれば面白くなると思った」
との考えで製作されたものの、諸事情からスクリーンでは上映されなかったという作品です。

まあTVシリーズと比べればボリュームが足りないのは確かですが、アンの到着から
翌々日の朝までという短い時間を100分で一気に語りきるテンポと凝縮感は、
連続モノを見るのとまた違った面白さがありました。

それに大きなスクリーンで見るアンの表情の豊かさ、そして風景の美しさは格別です。
最近のアニメを見慣れた人の目には、絵柄が古びていたり作画が安定しないように
見えるかもしれませんが、それを差し引いても十分以上に魅力的な映像だと思いました。

そしてアンの空想が始まったとたんに画面を埋めつくす、花吹雪や妖精の群れ。
心象風景を画面効果として大胆に取り入れるという発想は、いまやアニメでは
当たり前になりましたが、演出としてそれを確立した作品こそ『赤毛のアン』
ではないかとも思います。

まあぶっちゃけて言うと、見に行った動機に「劇場公開記念の小冊子が欲しい」
という下心があったのは確かですが、もちろんそれだけが理由ではありません。

実はいま自分の心をとらえて離さない『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督が、
Web上でマイマイ関連のお話を書かれていたときに、何度か『赤毛のアン』について
言及されているのを読んでおり、そこに劇場版の上映が重なったという次第。
だからこの機会に劇場でも『赤毛のアン』を見ておきたいという気持ちもあったのです。

そして画面に現れたのは饒舌にしゃべり、くるくると表情を変え、裸足で走りまわり、
「頭の中のこしらえごと」で世界を楽しむことを知る、髪の毛にコンプレックスのある少女。
やっぱりここには間違いなく、『マイマイ新子と千年の魔法』の原点がありました。

ジブリ的な作品と称されることの多い感じな『マイマイ新子と千年の魔法』ですが、
この『劇場版 赤毛のアン』を見ると、むしろその作風は「ジブリ以前」の(古きよき)
日アニ作品を起源として、その伝統をまっすぐに受け継ぐものだと思います。

言い換えれば、マイマイ新子は「ジブリが成し得なかった形での、日アニ作品の進化形」
ということになるのかもしれません。

片渕監督が日米合作アニメ『リトル・ニモ』について書かれた文章に、こんな一節があります。

“われわれとして、キャラクターの演技表現についてもう少し別な道を模索して
 ゆくべきではないか、と、近藤さんに提案してみたことがある。
 たとえ話としてその方がわかりやすかろうと、
 「たとえば、『赤毛のアン』でやってきたことを先に進めるような意味合いで」
 といったのが逆効果だったようだ。”
(WEBアニメスタイル「β運動の岸辺で 第28回 70ミリ・キャデラック映画」より抜粋)

『赤毛のアン』を見てから『マイマイ新子と千年の魔法』を見ると、かつて実現しなかった
「赤毛のアンを先に進めた作品」がようやく誕生したことを、目の当たりにできると思います。

これが公開記念の小冊子。中は文章だけですが、豪華執筆陣でなかなか読ませます。


劇場備え付けのスタンプを中表紙に押してきました。


パンフは800円。美術ボード風のカードの裏に高畑氏の解説文などが書かれてます。
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ハガレンFA、完結。

2010年07月06日 | アニメ
TVアニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』が終了しました。

放映スタート時は前作アニメと比べてしまったせいもあり、ややもっさりした感じの絵柄や
あっさり目のアクション、さらにマンガを丸写しした演出に否定的な感じを持ちましたが、
回を重ねるごとにスタッフもノってきたらしく、終盤に向けた盛り上がりはお見事でした。

まあその多くは原作のデキのよさによるものなので、徹底して原作にあわせようという
今シリーズの意図も、結果的には正解だったということでしょう。
特に今回のラストについては、「みんなの期待を裏切らない結末」を示したという点で、
正しい少年マンガの終わらせ方のお手本とも言えそうです。

さてハガレンFAの成功によって気になるのが、旧アニメ版に対する評価について。
マンガが完結していない時点での翻案ということで、あの終わり方もやむを得ないかなと
思うところですが、終盤で平行世界という設定に引っぱられすぎたという点は否めません。
(特に映画版では、それに振り回されすぎという感触もありました。)

でもそこを抜きにすれば、原作以上にドラマチックな演出や苛酷な設定といった独自色も
アニメとしてきちんと評価されるべき部分だと思います。
個人的には、アニメならではの面白さを徹底して追求したアレンジ版が「旧ハガレン」、
原作の持ち味を最大限に生かしたのが「ハガレンFA」という印象を持ってます。

さて、TVアニメを見終わった後で、「少年ガンガン」の7月号を読みました。
こちらの最終話では「お父様」を倒すあたりから、アニメの最終回までを一挙に掲載。
アニメ版の展開が原作に忠実だったことがよくわかる一方で、細部の演出に関して言えば
マンガ版にかなりの補足を加えていることにも気づきます。
セリフはほぼ同じだけど、そこに至るシチュエーションやキャラの反応が結構違う。

なお、リン・ヤオのセリフには、マンガからかなりの変更あり。
ハボックのエピソードについては、アニメ版の完全オリジナルと言ってもよいでしょう。
これってアニメ製作のスタッフが「ガンガンを読んだ人にも楽しんでもらいたい」と、
原作に対する最小限のアレンジを試みたものかもしれません。
そして私としては、このアレンジは大正解だったと思いました。

ところで原作とアニメについての違いについて、個人的に気になった点を二つほど。
マンガではエドが帰郷したときに持っていた四角い大型トランクが、アニメ版では
ドクターズバッグへと変更されています。
これに意図があるとすれば、真理の扉を失ったエドが目指す「次の目標」を、
このアイテムで暗示したのではないでしょうか?
化学と人体に通じているエドだけに、医師の道に進んでもおかしくはないはず。

あと、マンガだとマスタングのヒゲはありません。
ただしアニメ版ではヒゲを生やす事によって、あれは大総統になった後の姿だと
独自に表現している可能性もあります。
(マンガでは大将の階級章をつけているが、アニメ版では階級章は見えない。)

おまけ写真として、日本郵便が発行するアニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズ 第13集の
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」を載せておきます。

発売日が6/14で、こちらも原作&アニメの最終回を狙ったようなタイミングです。

それにしても、なぜパンダに切手一枚分を使ってしまったのだろうか・・・。
そしてイズミ師匠やアームストロング姉弟がいないのが悲しすぎる・・・。

この切手シートですが、7月6日現在でも、まだ各郵便局で販売しているようです。
通販の場合はこちらへ。申し込み期限は平成22年7月14日(水)とのことです。
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ユニクロ×ガンダム、今年はZと逆シャアも出る!

2010年05月02日 | アニメ
今年で3回目?になる、ユニクロ×ガンダムのコラボTシャツが、5月1日に
発売となりました。

1度目はCG写真集「MS ERA」の転用で手抜き感の漂っていたTシャツも、
2度目ではオリジナルの絵柄を増やして色やデザイン性が大幅に向上。
そして3度目の今年は「アムロとシャア」という2人の主人公に焦点を当てて、
取り上げる作品もファーストからZガンダムと逆襲のシャアまで拡大されました。

作品の幅が広がったおかげで、MSではアムロ搭乗のνガンダムやディジェ、
シャア(クワトロ)の愛機である百式とサザビーなどもラインナップ。
さらに一部のTシャツには歴代の搭乗艦船もプリントされ、ラー・カイラムやら
レウルーラ、そしてガルダ級輸送機のアウドムラまで出てきます。
ファンション性は維持しつつ、これまでにないマニアックなノリも感じさせるのが
今年のガンダムTシャツの特徴でしょう。

その中で私がどうしても欲しかったのが「Forever Four」というTシャツ。
タイトルでわかるとおり、これはZガンダム第36話「永遠のフォウ」が
デザインモチーフとなってます。
既にネット販売では早々に品切れとなっているようで、私以外にもこれには
グッときたというガンダムファンが多かったようですね。
私のほうは町内のユニクロにて無事確保してきましたが、店頭に出ている数も
他に比べて少なかった気がします。

せっかく買えたので、Tシャツの写真など載せてみました。


白黒の地味なデザインですが、エピソードの重さと沈痛さを知っている人なら
その意味がすぐにわかるという仕掛け。
タイトルを書かずに、あえてNo.36という話数だけを表示したところも心憎い。
普通に着ても目立たないけど、ファンなら涙モノという気のきいたアイテムです。

襟元のデザインナンバーの下には、小さく「Forever Four」と入ってます。


そしてTシャツ正面の絵柄はこんな感じ。
悲劇のヒロイン、フォウ・ムラサメの死にうつむくZガンダムの両脇には、
当時アムロが乗っていたディジェと、クワトロの百式が寄り添っています。


そしてイラストの下には、この回でアムロとクワトロが発した名ゼリフも掲載。

アムロ「人は、同じ過ちを繰り返す…まったく」
クワトロ「戦士は、生きている限り戦わねばならんのだ」

メインのカミーユとフォウではなく、それを見守る二人の言葉を取り上げることで
このエピソードの悲しさを一層強調していると思いますが、いかがでしょう?

個人的には、このTシャツを着て新訳Z第3部「星の鼓動は愛」を見たら
キリマンジャロ戦を省略されたことに対するちょっとした抗議になるかなと
いささか毒のあることを考えてしまいました。
劇場公開時にこのTシャツがあったら、たぶん本当にやってたと思います(^^;。
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『バッタ君町に行く』見てきました

2010年01月05日 | アニメ
昨年の暮れになりますが、渋谷のシネマアンジェリカで『バッタ君町に行く』を見てきました。



見に行ったのは日曜の午後だというのに、観客の数は10人未満。
古い作品とはいえ、さすがにこれはさびしかったですねー。

・・・さて物語の舞台は、第二次世界大戦前のアメリカのとある街。
その片隅に建つ家の庭先に住む虫たちは、人間たちの心無いふるまいによって、
その平和な生活を脅かされつつありました。
庭を囲む塀が壊れ、そこを通り抜けてくる人間たちが庭を荒し、タバコを投げ捨て、
虫の住みかを踏み潰すようになったのです。

そんなところに、旅好きで飄々とした風体のバッタ君こと“ホピティ”が帰ってきます。
幼なじみのハチ少女“ハニー”と仲間の虫たちのため、新たな引越し先を探そうとする
ホピティですが、どこに行ってもトラブルばかりで、仲間たちの逆恨みを買う始末。
しかもハニーに横恋慕する金持ち虫のビートルとその手下の陰謀で、ホピティ自身も
囚われの身となってしまいます。

そのころ塀も直せないほど資金繰りに窮した持ち主が去った庭には、巨大なマンションの
建設計画が持ち上がっていたのです・・・!



しゃれた音楽と通りを行き交う人々の姿、そして高層化の進む街の様子は、製作当時の
アメリカ社会に満ちていた享楽と繁栄の空気をよく伝えていました。
もっとも映画が公開された頃には既に第二次世界大戦が勃発し、さらには日本軍による
真珠湾攻撃と、作品の持つムードとは正反対の社会情勢になってしまうのですが・・・。

アニメートの技術的な部分については、論じるほどの知識を持ち合わせていないのですが
音楽に合わせた動きの「気持ちよさ」については、素人の私にもよくわかりました。
あとバッタというキャラの特徴からか、水平移動に加えて“上下の動き”が目に付くのも
当時の作品としては異色だったのではないでしょうか。

それにしてもこの作品を見るのは初めてなのに、妙な既視感があると思っていたのですが
正月にTVで『未来少年コナン』の劇場版を見て謎が解けました。
垂直の壁に貼りつき、せまい隙間をよじのぼるコナンの姿。水攻めにされる地下の住民。
そして崩壊していく居住地と、そこを必死で逃げ惑う人々の脱出劇といったモチーフが
確かに『バッタ君町に行く』と共通するものを感じさせるのです。
きっと宮崎駿の作品を通じて、知らないうちに自分の中にも“フライシャーの遺伝子”が
組み込まれていたんだなぁ。

その宮崎駿氏も絶賛する『バッタ君町に行く』ですが、作品を見れば本人の言葉以上に、
強い影響を受けていたことがわかります。
特にラストで虫の少年がジョーク交じりに放ったセリフが、『天空の城ラピュタ』の中で
(その傲慢さを最大限に強調した形で)ムスカの有名なセリフへと転用されていることは、
その影響度がいかに根強いものであるかを示す一例でしょう。
享楽的で結構なトラブルメーカーだけど、一度決めた目標は決してあきらめないという
ホピティのキャラクターも、どこか『カリ城』のルパン三世を思わせるところがあります。
(単に色が緑色なのと大ジャンプが得意、という共通点のせいかもしれませんが・・・。)

というわけで、アニメ業界を志す人だけでなく「宮崎アニメのお手本」について知りたい人にも
いろいろと参考になる作品だと思いました。
ただし時代背景が色濃く出ている作品でもあるので、多少古びてしまった感は否めませんが。
逆に言うと、主として誰でも知ってる名作童話を手堅くアニメ化してきたディズニーのほうが
結果として時代を超える評価を得たというのが、運命の皮肉なのでしょう。

ちなみに映画のパンフレットは800円で、作中のエピソードにちなんで窓あき封筒入り。

こちらには映画のHPに載っている宮崎氏と庵野氏のコメントのロングバージョンが
収録されてます。
でもパンフのつくりは長いリーフレットを折りたたんだ薄っぺらなもの。
本音を言えば、これで800円はどう考えても高すぎるなーと思いました。
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DTB壁紙、なんとかゲットしました

2009年10月12日 | アニメ
以前に紹介した「DARKER THAN BLACK ‐流星の双子‐パズル」。
手こずりながらも、2種類のうち1種類をなんとかクリアできました。



正直なところ、なかばヤケっぱちで適当にやっててクリアしてしまったので
攻略法とかはよくわかりません(^^;。

でも、もう一種類の壁紙で同じ苦労をするのはイヤだなぁ・・・と思ってたところ、
同じアドレスの一部の数字を変えれば、別の壁紙にもアクセスできるのが判明。
おかげでもう一種類の壁紙も無事入手できました。

絵柄はパズルのと同じで、番組ロゴが入ったものです。
番組内の映像を使ってるので目新しさはないけど、TVで見たばかりの画が使えるのは
ちょっといい気分。
さっそくPCのデスクトップに貼りつけてます。

今後は『東のエデン』みたいな、しゃれたブログパーツにも期待したいですね。
といっても制限のうるさいgooブログだと、また使い物にならないかもしれませんが・・・。
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DARKER THAN BLACK 流星の双子 第1話「黒猫は星の夢を見ない…」

2009年10月10日 | アニメ
ボンズ製作、岡村天斎監督のアニメ『DARKER THAN BLACK』のシリーズ続編となる
『DARKER THAN BLACK 流星の双子(ジェミニ)』が、TBS系列でスタートしました。

(放送情報の告知と前シリーズに関する記事はこちらになります。)

前シリーズは再放送でハマった私ですが、今回よほど期待ハズレに終わらない限りは
できるだけリアルタイムで追いかけるつもり。
各話ごとについての感想も、できるだけアップしていこうと思ってます。

さて、今回は待望の第一話「黒猫は星の夢を見ない…」。
「黒猫」と「星」というキーワードだけで、前作のファンには期待感が高まります。

“「トーキョーエクスプロージョン」があった夜・・・ロシアのシベリア平原で、パブリチェンコ博士と
 その双子の子供、蘇芳(スオウ)と紫苑(シオン)は隕石の落下に遭遇した。


 2年後のある日、親友ターニャとの学校生活を楽しんでいたスオウの周辺で突然、異変が起り始める。
 契約者たち、そして『黒の死神』と呼ばれた男BK201がシベリアに現れたのだ。
 が、全てはこれから起こる、もっと大きな変化への前触れに過ぎなかった。”

冒頭はいきなり学園モノ、しかもほのぼのラブコメ風味というスタートなので、
前シリーズを見ていない人にもとっつきやすい導入部になってます。


逆に前シリーズの印象が強い人は「あれ?」となったかも知れないけど、そこはさすがの岡村監督、
後半からのシリアス展開とアクションのつるべ撃ちで、DTBらしいハードな描写を見せてくれました。
特に契約能力の応酬とそれを読んでの仕掛け合いは、『ジョジョの奇妙な冒険』をアニメで見るかのよう。
これも前シリーズから変わらない見どころのひとつです。

小難しい契約者の説明や世界設定についても、キャラの会話やモノローグ中でうまく処理されてました。
作品に関する基本情報はひととおり紹介されているので、前作のあらすじを忘れてしまったという人や
今回初めて見るという人も、第一話を見ておけば今後も十分についていけると思います。
よくわからない用語については、公式サイトwikipediaの記事が参考になりますし。

でもこれだけでは、DTBの複雑な物語を完全には楽しめないというのも事実。
この1話にしても前作ラストから繋がる物語、かつての主役であるBK201こと“黒”をはじめ
続々と登場する懐かしいキャラクター、さらに全編を通して鍵となるアイテムの存在など、
以前からのファンならニヤリとする仕掛けが惜しげもなく詰め込まれてます。

これらを漏れなく理解するには、やはり前のシリーズを見ておいたほうがいいでしょう。
ネットの情報も役に立ちますが、自分で見て感じて謎を読み解くのも『DTB』の面白さなので・・・。

さて今回のヒロインとなる日露ハーフの蘇芳は、いまのところ完全な巻き込まれ型キャラ。
平穏な日常から一転、契約者となったターニャは国に拘束されてしまい、さらに何者が父を殺害。
弟は謎めいたメッセージを残して姿を消し、彼女自身もロシア連邦保安庁(FSB)に追われるという、
極めて苛酷な状況に追い込まれてしまいました。

蘇芳自身は契約者ではないものの、契約者である弟とは(生まれつき?)テレパシーで
つながっているようです。
さらに契約者の能力を強めるというゲート内物質「流星の欠片」を持っていることから、
彼女自身にも契約能力が発現するか、あるいは弟の能力(どのようなものかは不明)を
代わりに使えるということも考えられます。
(もし後者なら、前シリーズで妹の能力を行使していた黒と似たケースと言えそうです。)

意外な人物の手引きで脱出した蘇芳ですが、待っていたのはFSB所属の契約者による猛攻。
そして遂に「黒の死神」まで登場し、ラストでは思いも寄らない衝撃の展開が・・・!

ハードなのは覚悟していたけど、一話からここまで非情に来るとは思わなかった。
前半のヌルさは、きっとこの非情さをより強く印象づける仕掛けだったんだろうなー。

『DTB 流星の双子』初回から上々の滑り出しで、今後も期待が持てる内容でした。
作画の水準も高レベルで安定しているので、とりあえずは不安なく見続けられそうです。

まだ登場しない前作のキャラ、新たなる契約者が秘めた能力、そして物語の軸となりそうな
双子の弟・紫苑の含みのある言動など、今後への興味も尽きません。
この調子だと、当分は週末の夜が熱く盛り上がりそうです。

ところで公式サイト内の“スペシャル”では、壁紙がもらえるスライドパズルを実施中。
この手のゲームが苦手な私は、いまだに入手できてませんが・・・(^^;。
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『センコロール』観てきました

2009年08月29日 | アニメ
宇木敦哉氏の個人製作として話題沸騰中のアニメ『センコロール』を、
池袋のテアトルダイヤで観てきました。

劇場外に貼られたポスターは『東のエデン』と『空の境界』に挟まれてます。

このテアトルダイヤがいかにも小劇場って感じの座席数なうえに、上映時間も
モーニングとレイトの1日2回だけなので、今のところは連日のチケット完売が
続いているようです。
私はモーニングを見るために朝9時過ぎに行きましたが、ギリギリで当日券の
ラスト1枚を買うことができました。

なおテアトルダイヤは鑑賞日の前々日からネット予約もできますが、こちらは
いつも早々に完売してしまい、窓口以上に購入が難しいようです。

劇場内のポスター。センコは一種類だけなのに、『空の境界』はさすがの別バージョン。

ちなみにこの『空の境界』ポスターは徳島市観光協会のキャンペーン用作品で、
これは制作会社のスタジオが徳島市にあることにちなんだものだそうです。
盗難騒ぎも起きてるようで、なんだかEVAのM鷹市ポスターみたいですね。
式が持っているのは、もちろんご当地の伝統工芸である丸亀うちわでしょう。

・・・話をセンコロールに戻すと、中身はいかにも30分の個人製作アニメらしく
ストーリー性はほとんどありませんでした。

変形能力を持つキモカワ系モンスターのセンコと、それを操ることのできる
謎の少年・テツと知り合ったユキという少女が、同じくモンスターを操れる
別の少年との戦いに巻き込まれてしまうという物語ですが、基本になるのは
「日常風景の中で戦うモンスター」と「ボーイ・ミーツ・ガール」の2点のみ。
自衛隊の出動や戦いの勝敗は、ある意味では付け足しみたいなものでした。

基本的には、いかにも月刊アフタヌーンっぽい不思議系マンガをアニメで動かすと
こんな感じになりますよーという典型例ですな。
専門的なことはよくわからんけど、カット割りとか俯瞰の描き方に関しては
アニメとマンガの折衷っぽい雰囲気を感じます。
アクションについては、事前予想ほどバリバリ動かす場面はなかったけれど
要所にキレのある動きを入れてあり、動と静のメリハリが感じられました。

演出的に目立つのは、キャラの立ち姿にやたらとパースをつけるところかな。
そういえば主人公の名前ってパース作画で知られる「雨宮哲」氏と同じですけど
これは狙ってのものなんだろうか・・・と少し気になりました。

そしてこの作品における一番の特徴といえば、個人作業によるアニメという部分。
プロのアニメ作家から見れば作画技術もストーリーもまだまだと評されそうですが
そんなクセや欠点も含め、首尾一貫して宇木敦哉の作家性が感じられるのも事実。
これを好意的に受け入れるか否定するかは、まさに見る人次第というところです。
(そんな自由さやユルさといった面も、実はこの作品の持ち味だと思いますが。)

私個人としては、この作家の描線や省略された背景、それに画面中で醸し出される
空気感といった部分に、けっこう好感を持ちました。
(動きも悪くはないけど、いわゆる金田的・板野的なモノとはやや異なります。)
個人作家におけるひとつの表現形式として、この作品は「アリ」でしょう。

とはいっても、それはむしろ「プロのアニメ職人」でないからこそ出せる味であり
今後もコンスタントに劇場アニメを作って欲しいかというと、そこはちょっと微妙。
この人の場合はむしろマンガ家として作風や名前を認知させる傍らで、余技的に
アニメを作ったほうがいいかもしれません。
商業アニメで食っていけるタイプとは思えないし、そっち方面に進んで独自の感性を
食いつぶしてしまうってケースも好ましくないですからね。

あと特筆すべきは、やはりsupercellのryoによる音楽です。
全編に曲が流れっ放しというのではなく、演出的にここぞと思われるところだけ
劇伴が入る、という感じになっていたのがよかったですね。
無機質でビートとテンポ重視の曲調がゆるみがちな手製アニメの画面を引き締め、
さらには観客の期待や緊張感までうまくコントロールしていたように思います。
あるいは『センコロール』自体が長めのミュージッククリップと言ってもいいかと。
そのくらいに「劇伴の持つ力」を強く感じさせられた作品でもありました。

こちらはsupercellのメジャーデビューシングル「君の知らない物語」。

タイトルトラックは別のアニメ「化物語」のEDテーマですが、カップリング曲として
センコのテーマ曲「theme of “CENCOROLL”」、EDの「LOVE & ROLL」を収録。
そしてこのCDだけが、現在のところ劇場で買える唯一の物販グッズです。
(パンフレットやスタートブックは、とっくに品切れになってました。)

こちらは劇場でチケットを購入するともらえる、非売品のポストカードセットです。

今週はまだもらえたけど、来週あたりはそろそろ在庫がアブナそうな感じ。

同じく窓口でもらってきた、やはり非売品のセンコロールうちわ。

『空の境界』とのコラボグッズで、ひっくりかえすと両儀式の絵になってます。
(残念ながら、このうちわは丸亀産ではありませんが・・・。)

さらに公式HPによれば、10月にはDVD&ブルーレイの発売も決まったそうですよ。
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『DARKER THAN BLACK』第二期、10月よりスタート

2009年08月05日 | アニメ
ノワール映画のムードとジョジョ風な超能力者同士の闘いに、濃いSF設定を絡めた
岡村天斎監督による異色の傑作アニメ『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』の
正式な続編が、10月から放送されることになりました。



まだスタッフとイメージイラストのみですが、公式サイトのトップで告知されてます。

私はうかつにもたまたまWikipediaの記事で見るまで気づかなかったんですが、
熱心なファンには既に各方面から情報が入っていたみたいですね。
こちらではそこまで押さえてなかったため、まさに予想外のオドロキです。
そういえばこの作品が発表された2007年は、他にも『天元突破グレンラガン』や
『電脳コイル』『攻殻SAC SSS』など、良質なSFアニメが大豊作の年でした。

新作のタイトルは『DARKER THAN BLACK-流星の双子(ジェミニ)-』になる模様。
『東のエデン』が終わって、見応えのあるのアニメに飢えていた私にとっては、
この第二期放映の決定は非常にうれしいニュースです。


ということで、続編を見る前に第一期の作品背景をおさらいしておくと・・・。

「ある日宇宙から飛来した一条のエネルギーが、ブラジルから日本の方向へと
 地球を貫いた。その日から地球全体は不可視の障壁に覆われ、人類にとって
 宇宙への道は完全に閉ざされてしまう。
 そして天から本当の夜空は消え、星のかわりに闇夜に輝くようになったのは
“契約者”と呼ばれる超常能力者の存在を示す“偽りの星”だった。

“契約者”たちは何らかの“対価”と引き換えに、重力制御や発火能力などの
 人間の能力を超えた力を発揮する存在であり、一方では感情やモラルといった
“人間性”が極端に欠如した者たちである。
 その数は年々増大しており、いまや世界の動きに様々な影響を及ぼしていたが
 各国政府はいまなおその存在を、世間の人々に隠し続けている。

 そして国立天文台は“偽りの星”の観測を通じて彼らの存在と活動を監視し、
 その動向と生死を把握するための諜報および予知機関へと変貌していた。
 
 

 一方でエネルギーに貫かれた地域の周辺では、既知物理・化学の概念では
 理解のできない怪現象が頻発し、その一帯はやがて“ゲート”と呼ばれて
 巨大な隔壁により遮断され、一切の立ち入りが禁じられた。
 ブラジルに生じたゲートは“天国門(ヘブンズゲート)”、そして日本側の
 東京都心部に生じたゲートは“地獄門(ヘルズゲート)”と名づけられて、
 国連機関PANDORAの厳重な管理下に置かれることとなる。


 
 そして事件から10年後。
 ゲートに関する知識とそこに生じる奇妙な生成物を巡って国際機関や非合法組織の
 暗闘が続いた結果、ブラジルの天国門は謎の消失を遂げ、その周囲1000kmに渡り
 物理的な不可侵エリアを生じさせた。

 一方で増え続ける“契約者”たちは、危険分子や犯罪者予備軍と見なされて
 極秘裏に取締りを受けていたが、逆にその特殊な能力を買われて諜報機関や
 犯罪組織に属し、密かに活動を行う“契約者”たちも相当の数に上っていた。
 そんな「契約者」たちが情報収集と工作のために集まるのが、いまや地球上に
 遺された唯一のゲート、東京の“地獄門”の周辺である。
 
 そしてまた一人、中国人留学生“李舜生(リ・シェンシュン)”と名乗る契約者が
 東京に現れた。
 仲間である霊媒の少女と元刑事の情報屋、そして言葉を喋る黒猫と共に・・・。」





この「李舜生」またはコードネーム「黒(ヘイ)」と名乗る凄腕の暗殺者が、任務の過程で
様々な契約者や通常人と関わり、己の過去とゲートにまつわる謀略へと迫っていくのが
『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』第一期の概要です。

菊池秀行の『魔界都市シリーズ』を思わせる物語を、イーガンの『宇宙消失』や
ストルガツキーの『ストーカー』の設定と組み合わせてTVアニメ化するなんて
普通じゃ考えられない話ですが、なんと『DARKER』はそれを実現しています。



3作品を並べてみると、やっぱりひとつの作品になるとは思えないんですが・・・。
でもそれを作れるのが日本アニメのスゴさであり、岡村天斎の天才たるところでしょう。

ただし作中では“ゲート”に関する科学的解説や、契約者が生まれた理由についての
具体的な説明などは、ほとんどありません。
力点が置かれているのはむしろ“ゲート”や“契約者”といった未知の存在に対する
人々の戸惑いや、それらに対する社会の反応の描写です。

その点ではイーガンよりもストルガツキー兄弟の作品に近いと思うし、また同時に
未曾有の事件とその余波によって世界が変わっていく様子を描いた物語には、
やはり9.11事件の影響を色濃く感じます。
試しに“地獄門”を“グラウンド・ゼロ”、“契約者”を“外国人”に置き換えれば
その意図がよりわかりやすくなると思います。

まあそういった分析はさておき、契約者の能力やゲート内の異様な風景の描写は
SF者やジョジョ好き、そして必殺シリーズのファンにはたまらなく魅力的。
下町のアパートの生活観と都心部のハイテクな無国籍感が混在した舞台設定も
東京という街の多様な姿を見せることに成功しています。

そして忘れちゃいけないのが“人間性がない”とされる契約者たちが見せる情の厚さ。
“MI6最高のエージェント”ノーベンバー11やハヴォック、志保子といったキャラたちにも
大いに泣かされましたが、やはり一番の泣かせキャラは真ヒロインのアンバーですね。



物語後半の中心人物であり、そして黒の過去に大きくかかわる「運命の女」。
本放送時はコードギアス第一期の後番組ということで“C.C.のパチモン”扱いでしたが
個人的な評価ではC.C.より全然好きです。なんといってもケナゲですからね~。

上記のキャラは第一期ですでに退場してるので、第二期のメンバーがどうなるのかは
今のところ不明。ただし黒と霊媒少女の銀(イン)は出るのが確定してるようです。
第一期ラストで姿を見せた黒猫のマオは復活するのか、警察庁の課長として黒を追う
霧原美咲(メガネ美女)とのロマンスはどうなるのか・・・などが、今から気になります。
そしてゲートの謎は、今度こそ明らかになるのでしょうか?

これで『東のエデン』劇場版以外にも、ここで書くネタが確保できそうです(笑)。
秋の番組改編が今から楽しみになってきました。
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魔女の宅急便

2009年07月31日 | アニメ
日テレで久しぶりに『魔女の宅急便』を見ました。

何度も見ているこの作品ですが、今回は昨年開催された『ジブリレイアウト展』で
実際に使われたレイアウトを見た後だったので、一味違った感動がありました。
キキがホウキに乗って街角を曲がっていくシーンや、トンボの自転車で蛇行する坂を
走り降りていくシーンなど、多くの画を組み合わせた大きなレイアウトだったものが
実際の映像ではほんの一瞬で過ぎ去ってしまうことに気づいて、ちょっとショック。
アニメをつくることの大変さと、それだけ贅沢な表現を享受できるというありがたみを
同時に感じさせる経験でした。

大型スポンサーがついて製作された初のジブリ作品だけに、動画も美術も豪華ですが
この『魔女の宅急便』で一番好きなところは、キャラの配置と物語構成の見事さです。

キキの周囲に様々な年齢・職業・社会的地位の女性を配し、彼女たちとキキの交流が
自然にヒロイン自身の成長と女性としての自覚につながっていく構成が、実に巧み。
でもそういった意図はむやみに表へと出さず、あくまで娯楽作品としての出来栄えで
観客に応えようという姿勢は、さらにすばらしいと思います。
このプロ根性と奥の深い構成力こそ、ジブリ本来の強みではないのでしょうか。

その反面、やたらメッセージ性を前面に押し出すと、かえって物語に深みがなくなって
画はキレイだけど薄っぺらな印象しか残らないことも。
例えば『ゲド戦記』などは、その典型的な例ではないかと思います。
久々の『魔女宅』で、ジブリアニメの原点をもう一度確認できたような気持ちでした。

さて満足してスタッフロールを見ていると、その中には当然ながら金田伊功氏の名も
表記されていました。
今回の放送って、ある意味では金田氏の追悼番組にもなってしまったんですね・・・。
改めて氏の偉業に感謝を捧げたいと思います。

そして背景を担当したスタジオ風雅のところを見ると、そこには神山健治氏の名が。

一時代を画した巨星といま天頂を目指す新星のクロスオーバーに、時の流れと
世代を超えて継承される「目に見えないなにか」を感じた気がします。
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