国立新美術館で「第16回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」を見てきました。
今回は事前に受賞作の情報だけつかんでたので、マンガ部門の『闇の国々』と、アニメ部門の
『火要鎮』『おおかみこどもの雨と雪』に関する展示が目当てです。
この展覧会にはここ数年続けて足を運んでますが、展示内容にムラがあるのが毎度の不満で、
壁いっぱいに展示物を飾ったり、関係者直筆の製作関連資料を置いたりする作品がある反面、
大賞作品なのにパネル数枚だけの展示とか、展示物が広報資料のカラープリントだったりと
ほとんど見るところのないものもありました。
しかし、今回のマンガ・アニメ部門の展示はすごかった・・・これまでで最高レベルの内容かも!
まずはマンガ部門ですが、なんと大賞受賞作『闇の国々』の巨大な展示コーナーを設置!

作画を担当したフランソワ・スクイテン(別名シュイッテン)による本物の生原稿や、
カラーで製作されたポスター原画が大量に展示されてます。

作品を読んだ人ならわかると思いますが、あの細密きわまりない描線と微妙な彩色が
印刷を経ずに肉眼で見られるんですよ!なんというありがたさ!
そしてガラスケース内には、豪華な装丁や付録のついた特装版を含めた『闇の国々』の
様々なバージョンが展示されてます。

下段の3枚は、特装版につくサイン入りのポートフォリオ。あー特装版欲しいなー!
こちらはシリーズの一篇『傾いた少女』の大型版と小型版。どっちの表紙もいいですねー。

さらに展示会場の一角には、原作者のペータースと作画のスクイテンによる生サインまで!

以前に見た優秀作品受賞作『アンカル』の展示がカラーパネル数枚だけだったので、
今回も期待してなかったのですが、まさか原画を見られるとは・・・しかもこんなにたくさん!
はっきり言って、国内でこれだけのモノを見られる機会は今後二度とないかもしれません。
他には『岳 みんなの山』のカラー原稿や『GUNSLINGER GIRL』の生原稿とラフ画などが
見どころだと思います。ガンスリは同人誌版も展示されてました。
続いてアニメ部門。こちらもたくさんの展示物が出てましたが、圧巻だったのはやはり
『火要鎮』と『おおかみこどもの雨と雪』のコーナーでした。
『火要鎮』では、キャラクターデザインや設定画からコンテ代わりのプロット説明、さらには
背景に至るまで、大友克洋監督の直筆資料が展示されています。

特に驚いたのは背景画で、これは本格的な日本画に比べてもひけをとらないと思います。

画材にも和紙を使ってるし、もしかすると顔料まで日本画のものを使ってるのかも?
CGアニメなので展示物の多くは製作用の準備資料ですが、大友さんとにかく絵がウマすぎ、
そして描きこみすぎです!
いずれ資料本にまとめて欲しいけど、もし出ても収録画像が小さくて細部は潰れちゃうんだろうな・・・。
そんなわけで、大友さんの超絶技巧をナマでじっくりと見たい人はぜひ会場へ!
『おおかみこどもの雨と雪』は、子どもの“雪”が雪山を走りながらおおかみに変身するシーンの
全ての作画を展示していました。
あの躍動感と爆発する歓喜の表現がどのように描かれ、一連の動きとして組み立てられたかを
1カットずつ原画で確認できるのは、実にぜいたくな体験です。
こういう作業の過程を見ると、アニメって本当に「絵に命を吹き込む」という仕事だと思うし、
アニメ製作者って一種の魔法使いなんだな、ということを痛感させられますね。
他にはキャラ表や細田監督による絵コンテ、花たちの家の美術ボードなども見ることができました。

会場で初めて知った受賞作では、アート部門の推薦作品『ほんの一片』が圧巻でした。

東日本大震災によって生じた瓦礫の重なりを大画面に貼り付けることで、そこにある事実の重さを
視覚的に立ち上げると共に、その前に立つ人が何を見るかという巨大な問いを反射する作品です。
私は形を歪められ、本来の意味を剥ぎ取られて平面に圧縮されたモノたちの重なりに、失われた
たくさんの命と生活の名残りと、それをひとつの塊として見ることへの戸惑いを感じました。
今回はとにかく時間がなかったので、特に見たかったものを駆け足で見てきましたが、
それだけでもこの充実ぶり。さらに思いがけない作品との出会いもありました。
今年は新美で一番大きな展示スペースを使えたせいか、例年になく展示に力が入ってますので、
アニメやマンガに留まらず、表現そのものに関心のある人なら足を運ぶ価値はあると思います。
会期は2013年2月24日まで。
今回は事前に受賞作の情報だけつかんでたので、マンガ部門の『闇の国々』と、アニメ部門の
『火要鎮』『おおかみこどもの雨と雪』に関する展示が目当てです。
この展覧会にはここ数年続けて足を運んでますが、展示内容にムラがあるのが毎度の不満で、
壁いっぱいに展示物を飾ったり、関係者直筆の製作関連資料を置いたりする作品がある反面、
大賞作品なのにパネル数枚だけの展示とか、展示物が広報資料のカラープリントだったりと
ほとんど見るところのないものもありました。
しかし、今回のマンガ・アニメ部門の展示はすごかった・・・これまでで最高レベルの内容かも!
まずはマンガ部門ですが、なんと大賞受賞作『闇の国々』の巨大な展示コーナーを設置!

作画を担当したフランソワ・スクイテン(別名シュイッテン)による本物の生原稿や、
カラーで製作されたポスター原画が大量に展示されてます。

作品を読んだ人ならわかると思いますが、あの細密きわまりない描線と微妙な彩色が
印刷を経ずに肉眼で見られるんですよ!なんというありがたさ!
そしてガラスケース内には、豪華な装丁や付録のついた特装版を含めた『闇の国々』の
様々なバージョンが展示されてます。

下段の3枚は、特装版につくサイン入りのポートフォリオ。あー特装版欲しいなー!
こちらはシリーズの一篇『傾いた少女』の大型版と小型版。どっちの表紙もいいですねー。

さらに展示会場の一角には、原作者のペータースと作画のスクイテンによる生サインまで!

以前に見た優秀作品受賞作『アンカル』の展示がカラーパネル数枚だけだったので、
今回も期待してなかったのですが、まさか原画を見られるとは・・・しかもこんなにたくさん!
はっきり言って、国内でこれだけのモノを見られる機会は今後二度とないかもしれません。
他には『岳 みんなの山』のカラー原稿や『GUNSLINGER GIRL』の生原稿とラフ画などが
見どころだと思います。ガンスリは同人誌版も展示されてました。
続いてアニメ部門。こちらもたくさんの展示物が出てましたが、圧巻だったのはやはり
『火要鎮』と『おおかみこどもの雨と雪』のコーナーでした。
『火要鎮』では、キャラクターデザインや設定画からコンテ代わりのプロット説明、さらには
背景に至るまで、大友克洋監督の直筆資料が展示されています。

特に驚いたのは背景画で、これは本格的な日本画に比べてもひけをとらないと思います。

画材にも和紙を使ってるし、もしかすると顔料まで日本画のものを使ってるのかも?
CGアニメなので展示物の多くは製作用の準備資料ですが、大友さんとにかく絵がウマすぎ、
そして描きこみすぎです!
いずれ資料本にまとめて欲しいけど、もし出ても収録画像が小さくて細部は潰れちゃうんだろうな・・・。
そんなわけで、大友さんの超絶技巧をナマでじっくりと見たい人はぜひ会場へ!
『おおかみこどもの雨と雪』は、子どもの“雪”が雪山を走りながらおおかみに変身するシーンの
全ての作画を展示していました。
あの躍動感と爆発する歓喜の表現がどのように描かれ、一連の動きとして組み立てられたかを
1カットずつ原画で確認できるのは、実にぜいたくな体験です。
こういう作業の過程を見ると、アニメって本当に「絵に命を吹き込む」という仕事だと思うし、
アニメ製作者って一種の魔法使いなんだな、ということを痛感させられますね。
他にはキャラ表や細田監督による絵コンテ、花たちの家の美術ボードなども見ることができました。

会場で初めて知った受賞作では、アート部門の推薦作品『ほんの一片』が圧巻でした。

東日本大震災によって生じた瓦礫の重なりを大画面に貼り付けることで、そこにある事実の重さを
視覚的に立ち上げると共に、その前に立つ人が何を見るかという巨大な問いを反射する作品です。
私は形を歪められ、本来の意味を剥ぎ取られて平面に圧縮されたモノたちの重なりに、失われた
たくさんの命と生活の名残りと、それをひとつの塊として見ることへの戸惑いを感じました。
今回はとにかく時間がなかったので、特に見たかったものを駆け足で見てきましたが、
それだけでもこの充実ぶり。さらに思いがけない作品との出会いもありました。
今年は新美で一番大きな展示スペースを使えたせいか、例年になく展示に力が入ってますので、
アニメやマンガに留まらず、表現そのものに関心のある人なら足を運ぶ価値はあると思います。
会期は2013年2月24日まで。