Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

雑誌レビュー:BRUTUS「大友克洋、再起動。」/芸術新潮「大友克洋の衝撃」

2012年04月18日 | マンガ・コミック
5/30まで開催中の「大友克洋GENGA展」に関連して、大友特集を組んだ雑誌が
続けて2誌発売されました。

 

それぞれになかなか個性的な内容でおもしろかったので、両誌の比較なども交えながら
紹介させていただきます。

まずは「BRUTUS」の2012年4/15号「大友克洋、再起動。」から。
既に週刊少年サンデーの新連載や新作アニメの詳細情報といった記事が話題になってますが、
ここで注目したいのはその図版の量と、多数の著名人から寄せられた大友作品への感想です。

大友氏は同誌のクール・ジャパン特集や「Tarzan」の自転車特集の表紙などを手がけており、
マガジンハウスとは長い付き合いの間柄。
その深い関係は誌面にもはっきりと表れており、『AKIRA』の縮小原稿112ページを初めとする
多数の図版と、大友氏のアトリエや本棚といった写真に加え、各界著名人の声や大友作品の年譜、
さらにアメリカの大友フリーク取材や、『AKIRA』の担当編集者による連載当時の秘話等をまとめた
綴じ込み別冊「大友克洋、再入門。」、おまけにステッカーまで付属するという充実ぶり。
特集記事の端々に至るまで、大友氏への絶大なリスペクトが感じられます。



特に松岡正剛氏やギレルモ・デル・トロが『AKIRA』を語り、会田誠氏と名和晃平氏らが
大友体験を振り返る「大友克洋、再入門」は、他では読めないほど豪華な内容です。
今は亡きメビウスが、かつて大友氏について語ったインタビューも再録されてますし、
これは「大友以後」のサブカルチャーを振り返る上でも、重要な資料といえるでしょう。

ただし、登場する語り手の数や図版の量があまりに多すぎるせいで、逆に読むほうが
その圧倒的な物量と多彩な視点に翻弄されてしまうのでは・・・というのが、本誌に感じる
唯一の不安でしょうか。

さて、この特集の目玉のひとつだと思われる、大友克洋氏と井上雄彦氏の対談記事について。

一連の動作の中の瞬間を切り取って、まるで報道写真のように見せる大友氏の描写は、
マンガの世界に「説得力」と「臨場感」を与えました。
そして、この表現をスポーツマンガに応用することで、ベタフラッシュと集中線の多用から
抜け出すことに成功し、選手の動きと試合の展開に「説得力」と「臨場感」をもたらしたのが、
井上氏の代表作『SLAM DUNK』という作品ではないだろうか・・・と、私は考えています。

その意味で、今回の顔合わせは単なる人気作家同士の対談以上に大きな意味があると思い、
どんなすごい話が出るだろうかと期待したのですが・・・。
実際には正味6ページ、文字部分だけ見れば3ページ弱という構成は、他の記事に比べて
さすがに分量が足りませんでした。
できれば互いの作品について、もっと深く突っ込んだやりとりを交わして欲しかった。

・・・実はここに載っているよりも多くの話が交わされていて、後ほど書籍化される予定が
すでに決まっている、というオチがつくのかもしれませんが(笑)。


さて、とにかく大友克洋に関する情報を網羅しようとがんばった感じの「BRUTUS」に対して、
「芸術新潮」2012年4月号の「大友克洋の衝撃」は、美術雑誌らしい切り口によって、
大友克洋という創作者とその作品を、じっくり「解読」しようと試みています。



登場人数や図版の数では「BRUTUS」に及びませんが、アップや見開きによる大きな図版によって
原稿の細部までを見せ、中条省平氏によるロングインタビューでは「クリエイター・大友克洋」が
誕生するまでの背景に肉迫。
少年期から青年時代の大友氏に影響を与え、その個性を形作ってきた映画、音楽、文学、美術、
そしてマンガについて、本人がたっぷり語っています。
また、大友氏からうまく話を引き出す中条氏の巧みな会話と、その会話を支える膨大な知識量も
このインタビューの密かな読みどころですね。

さらに村上知彦氏によるマンガ論、柳下毅一郎氏による映像論、椹木野衣氏による絵画論は、
3つの異なる切り口によって大友克洋という作家を全方位から捉えようとする、それぞれに
読み応えのある内容です。
特に椹木氏の、『AKIRA』を戦争画の系譜から捉えなおそうとする視点は、日本人の戦争体験と
美術表現との関わりから、近年大きく進んでいるマンガと現代美術の融合にまで及ぶものであり、
非常に興味深いものでした。



読者によってはそれぞれの評論に違和感を感じるところもあると思いますが、その違和感を
手がかりとして、自分なりの作品イメージ・作家イメージを新たに構築することもできるはず。
いま改めて大友作品を考えるなら、まずはこれらを読んでおくべきだと思います。

GENGA展に行く前の予習としても、GENGA展を見終わった後の副読本としても秀逸な2誌。
書店の他に、GENGA展のグッズショップでも販売してますよ。
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SPUR特別企画「岸辺露伴 グッチへ行く」

2011年08月23日 | マンガ・コミック
集英社のファッション誌「SPUR(シュプール)」の表紙に・・・なんと、荒木飛呂彦先生のイラストがっ!

ドオォォォォォ~ン!

そして本日の朝刊には、これと連動した一面ブチ抜き広告までッ!

ズッギュゥゥウウウウウン!

なんでも今年は荒木先生の画業30周年とグッチの創業90周年が重なってるそうで、
これを機に今回のグッチとのコラボが実現したそうです。
なお、企画担当者は「魔少年ビーティー」を読んで以来の荒木ファンとのこと(笑)。

表紙以外に荒木先生が関わっているのは、付録の16ページフルカラー別冊マンガ
「岸辺露伴 グッチへ行く」と、本誌見開き2ページのインタビュー記事です。
露伴先生、ルーブルに続いて今度はフィレンツェですか・・・。

こちらが「岸辺露伴 グッチへ行く」の表紙。


で、こっちが1ページ目の最初のコマ。


露伴先生と親しげで、さらにSPURの表紙を飾った謎の派手女は、一体誰なんだァァァッ!
・・・と思ったら、実は単なる現地通訳でした(^^;。

収録されたイラストの一部については、SPURのホームページでも見ることができます。
また、マンガに出てきたグッチのアイテムも、実際のコレクション写真等で紹介してますが、
これ全部買えるJOJOファンがどのくらいいるのやら・・・。

もしコミケ等で同じコスプレをする場合は、くれぐれも正規品をご購入ください。
もしもニセモノをグッチに見つかったら、エラいことになりますので~。

見開きインタビューで一番衝撃的だったのは、やっぱり荒木先生の写真です。
相変わらずの若々しさに肌のハリ、既に51歳とは思えない!
これはやっぱり波紋の呼吸のおかげなのか、それとも石仮面の力なのか・・・?

しかし予想はしてたけど、他に私の必要とする記事がまったく見当たらないのには参りました(^^;。

せめてもの救いは、もうひとつの付録であるミナ ペルホネンの扇子ですかねー。

このデザインなら、まあ普通に使えます。

でも本音を言えば、むしろ荒木先生の描いたイラストを入れて欲しかったんだけどな・・・。
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よしながふみ先生の『大奥』が、ティプトリー賞を受賞!

2010年03月17日 | マンガ・コミック
よしながふみ先生の傑作マンガ『大奥』が、米SF界の主要賞のひとつである
「ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞」を受賞したそうです。
山岸真先生のTwitter経由で入ってきたニュースですが、見つけた瞬間に小躍り。

“ティプトリー賞は20年近い歴史を持つアメリカのSF賞。
 受賞を報じたサイト→http://www.sfawardswatch.com/?p=3052
(@yamagimaさんのTwitterより転載)

ちなみにティプトリー賞の概要ですが、Wikipediaの解説文によれば

“ジェンダーへの理解に貢献したSF・ファンタジー作品に送られる文学賞。
 SF作家ジェイムズ・ティプトリー・Jr.にちなむ。
 1991年2月 SF作家パット・マーフィーとカレン・ジョイ・ファウラーにより、
 WisConでのディスカッションを経て創始された。”

とのことです。
受賞作家もル・グィンやケリー・リンク、ジェフ・ライマンなどの大物が並ぶ中に
「Fumi Yoshinaga」の名前が刻まれるわけですよ。なんて誇らしいことでしょう!

言うまでもない話ですが、ティプトリーといえば女性であることを隠してデビューし、
性差を含む人間性に対する鋭い考察を巡らした傑作SFを書き続けた大作家。
その人の名を冠した歴史あるSF賞に、日本のマンガがはじめて選ばれたのは
実にすばらしいことですし、『大奥』はそれに恥じない作品だと思います。

個人的に『大奥』を傑作だと思うのは、単に「男女逆転」の面白さにあるのではなく、
国家として、社会として、そして人間として生き残っていくために必要な手段として
「男女逆転」という道を選ぶしかなかったという合理性と必然性が、強烈な説得力で
描写されているからです。ある意味では社会改革SFとしての側面もあるかなと。
そして、そんな必然性や合理性の中で翻弄されつつも必死に結ばれようとする
女と男の情がなんとも切なく、時として醜く、また美しいんですよね。

歴史改変SFとしての強靭な骨格と人間の本質を見抜く鋭い批評眼を備えつつ、
男女間の恋愛ドラマとしての生々しさを失わないところが、『大奥』のすごさ。
それをしっかり評価してくれたティプトリー賞の審査員にも、敬意を表したいと思います。

授賞式は5月とのこと。よしながさんにはぜひ現地での授賞式に出て欲しいです。
そして海外の著名作家たちと並ぶ姿を、日本のファンにも披露してください!
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『犬狼伝説』20周年記念で復刊、限定リボも登場ですが・・・。

2009年07月27日 | マンガ・コミック
ワンフェスに行ってきた姫鷲さんの記事を読ませてもらってたら、その中に
「リボルテックヤマグチ プロテクトギア」の別ver.の情報が出てました。

あわてて海洋堂の「REVOLTECH EXPRESS」をチェックしてみると、どうやら
学研が復刊する『犬狼伝説』上下巻の限定版に「犬狼伝説版プロテクトギア」が
付属するようです。

前回のリボルテックが「紅い眼鏡版」だったので、その紹介記事の中で私も

「もし次があるなら、今度は犬狼伝説版のプロテクトギアが欲しいなぁ。」

などと書きましたが、まさかこんな形で出てしまうとは・・・いやはや困りました。

というのも、『犬狼伝説』は昔でたバカでっかい(当時の)全話版を持ってるし、
2009年に書かれた『前夜-ケルベロス騒乱異聞』が収録されてる学研のムック
『ケルベロス東京市街戦』もとっくに入手済みなんですよ。


ここでまた豪華版を出されても、もうお腹いっぱいなんですけど・・・。

いくらなんでも、『犬狼伝説』の豪華版ばっかり買うわけにもいきません。
原稿に作者の藤原カムイによるデジタル・リファインがされたといっても、
さすがに内容まで変わるわけじゃないでしょうし。
大判B5の上下巻というサイズも、置き場所に困りそうですしねぇ。

野良犬の塒」さんでも書かれてたけど、あとは値段次第という感じですか。
リボ分を3,000円と考えても、少なくとも6,000円は下らないでしょうけど・・・。
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『ダークナイト』の原案コミック、邦訳版が登場

2009年04月05日 | マンガ・コミック
昨年大きな話題となった劇場映画『ダークナイト』の原案にもなったといわれる
バットマン作品『ロング・ハロウィーン』が、『WATCHMEN』復刊の影に隠れて
3月末にひっそりと発売されていたようです。
このところAmazonで『WATCHMEN』の売れ行きを連日チェックしてたのですが、
関連書籍の欄にこれが出てきて、邦訳版の存在にはじめて気づきました。

版元はマイナーなヴィレッジブックスで、お値段は3,360円とやっぱり高価。
しかも今回出たのは第1巻だけという、かなりフトコロに厳しい商品です。
しかし『ダークナイト』の公開以後、ムーアの傑作集『キリングジョーク』を
はじめとしたバットマン作品は書店から枯渇し、今も補充されていない状況。
その一方、オークションなどでの落札価格は軒並み上昇しています。
この作品もいま押さえておかないと、今後手に入らなくなる恐れもあるので
いろいろ悩みつつも購入を決めました。

買うと決めたらすぐ読みたいので、近所のコミック専門店や大型書店などを
あちこち回ってみたのですが、肝心の本がどこにも見つかりません。
『WATCHMEN』は品切れみたいですけど、『ロング・ハロウィーン』のほうは
もともと入荷すらしていないようです。
結局はいつもどおり、Amazonから購入することになりました。

原作のジェフ・ローブは『LOST』や『HEROES』の仕掛け人の一人でもある
ベテランクリエイターで、バットマン作品ではジム・リーが作画を担当した
『バットマン:HUSH』が邦訳されてますね。
『ロング・ハロウィーン』を作画したティム・セールは、やはり『HEROES』で
登場人物が描く絵などを担当しているとか。
同番組の公式サイトでは、彼が手がけた絵の数々を見ることができます。

本が手元にないため、感想についてはブツが届いてからということにして、
今回はPLANETCOMICSからの紹介文を引用しておきます。

“映画『ダークナイト』の原点『ロング・ハロウィーン』、待望の邦訳!
 
 ハロウィーンの夜に現れ、祝日が来る度に犯行を重ねる謎の連続殺人鬼、
 ホリデイ。
 犯罪都市ゴッサムの浄化に立ち上がった、市警警部ジェームズ・ゴードン、
 地方検事ハービー・デント、そして、クライムファイター、バットマンの
 三人は、神出鬼没のホリデイに翻弄されながらも、理想の実現のために
 奔走するが…。
 バットマンシリーズ最大のミステリー大作、ついに日本上陸!

 底本には、豪華本"アブソリュート"版を使用。
 映画『ダークナイト』監督、クリストファー・ノーランの対談も収録。
 第2巻近日刊行予定!”

だそうです。完結編となる第2巻は4月30日発売の予定とか。
お値段に見合うボリュームありそうな内容が楽しみです。

フトコロは寂しくなるけど、心は熱くなる・・・かな?
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薪さんとミンメイをナマで見てきました

2009年03月01日 | マンガ・コミック
shamonさんから「ヨドバシAKIBAの有隣堂で『秘密』の原画展やってるよ~」と
耳寄り情報が飛んできたので、週末に見てきました。
清水センセの美麗原画に加え、その日は美樹本晴彦センセのマクロス原画展の
最終日も重なってて、いっぺんに両方が見られるというお得ぶり。
あ、前の週はワンホビ9に入れずイタイ思いをしたので、28日開催の9.5は
最初からスルー。チャリもらえないんじゃ、行ってもしょうがないしな~。

ちなみに前日は姫鷲さんからメールもらってたんですが、こちらの確認わすれで
会えずじまいでした。姫鷲さん大変申し訳ない、また後で連絡します!

さて現場の有隣堂についてみると、やはりキチンとした展示会場などはなし。
清水先生の原画は平積み台に置かれた『秘密』単行本のバックに10枚ほどが
展示されておりました。
こういう展示だとじっくり見られないんだよな・・・と思いつつ、食い入るように
ジロジロ眺めて女性ファンのヒンシュクを買ってたのは私です、すんません。
べ、別に薪さんなんか好きじゃないんだからね!・・・とツンデレ調に書いてみたり。

しかし清水さんの絵はええな~。メディア芸術祭で見たときは白黒原画のほうが
多かった気がするけど、今回は販促とはいえカラー原画がほとんど。
清水マジックともいえる自由自在な色使いとパキッとキレのある描線のコラボを
バッチリ堪能してまいりました。

色使いもすごいけど、やっぱり眼が行くのは線の美しさですな~。
先に見てきたshamonさんのレビューに「線に迷いがない」という指摘があるけど
私もまったく同じ感想を持ちました。
ちとコジツケっぽいけど、さっと刷かれた髪の毛の描線の伸びとキレの感じは
まるで長谷川等伯の『萩芒図屏風』に描かれたススキのようにキマってました。

そういえば清水さんの絵って、意匠的にも工夫が凝らされてますよね。
黄色っぽい下地にモノトーン調で薪と青木が描かれ、その横から意匠化された
草花が延びてる絵なんて、まるで琳派の蒔絵だと思いました。
横たわって胸の上で手を組む薪を取り巻く花々のイラストは、去年に実物を見た
ミレイの『オフィーリア』を思い出させます。
意匠に使ってる模様もすごく装飾的。これらに清水さんの美術的な趣味のよさと
幅の広さが伺える気がします。

一方、美樹本さんの絵の方は書棚の上に吊り下げる形での展示でした。
われわれ男性にはともかく、女性ファンにはちょっと不親切な見せ方だったかも。
こちらも絵の数は10枚ほどで、最初のマクロスのイラストがほとんどでした。
あと、マクロス7とシリーズキャラの集合イラストがひとつづつあったかな?

初期の絵はタッチが荒いし線もまとまりがイマイチですが、勢いは感じました。
それがだんだんと洗練されていって、今の美樹本スタイルが完成していくのが
絵を追って見ていくとハッキリわかっておもしろい。
美樹本さんもいろいろな作品を手がけてるけど、やっぱりマクロスシリーズが
一番長いつきあいの長い作品になるんでしょうね。

惜しまれるのは、どちらの原画も決して鑑賞条件にめぐまれてなかったこと。
高橋留美子の展覧会が人気なことだし、清水さんの原画展とかもいっそ大々的に
やってくれないもんですかね~。
ついでにサイン会とかもやってくれたら最高なんですけどなぁ。
美しくてキレ味鋭いその絵柄は、萌え傾向のヒトにはいささかキツすぎるので
るーみっくファンほどの動員は見込めないかもしれませんが・・・(^^;。

そして美樹本さんは、何といってもトップ関連の原画をもっと見たいぞ、と。
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『秘密-TOP SECRET-』

2008年04月12日 | マンガ・コミック
今から半世紀ほど先の未来。
死者の脳から電気刺激によって生前の記憶映像を取り出す「MRI捜査」の登場は
犯罪捜査における新たな分野を確立すると共に、故人に対するプライバシー侵害や
その映像の生々しさによる捜査員への心理的影響など、様々な問題を生み出していた。

『秘密-TOP SECRET-』は、警察庁でこのMRI捜査を専門に扱う組織である
「科学警察研究所 法医第九研究室」(通称「第九」)の室長である「薪 剛」と、
新人捜査員の「青木 一行」を中心とした犯罪サスペンス・コミック。
彼らは次々に発生する重大犯罪を解決するためMRI捜査に従事し、その過程で
脳と記憶の不思議、そして故人が隠してきた「秘密」と対峙する事になる・・・。

作者の清水玲子氏は、これまでの作品でも繊細な心理描写と人間性への問いかけを
繰り返してきた、日本コミック界有数の思索派。
そして抜群の作画力と優れたSF的センスを併せ持つ、稀有な作家でもあります。
そんな清水氏の特質を全て兼ね備えた代表作が、この『秘密-TOP SECRET-』です。

「第九」が扱う事件は、脳から記憶を読み出しただけでは謎を解くことができない
難事件ばかり。その記憶を読み解き、真実に迫ることによって、記憶の中に隠された
「秘密」が明らかになり、それが事件を解く手がかりとなっていきます。
犯罪と科学の対決、複雑に絡まった動機、そして記憶と脳が見せる嘘と真実と狂気と
かすかな希望の光・・・。
科学捜査を通じて人間の怖さや愚かしさ、悲しさといった部分に迫る作風は、往年の
名作TVドラマ『怪奇大作戦』に通じるものがあります。
『秘密』の各エピソードを読んでいると、シリーズ屈指の名作「死神の子守唄」や
「かまいたち」などを思い出すんですよ。
私は残念ながら「狂鬼人間」を見たことがないんだけど、あらすじを読む限りでは
たぶんこの作品が一番『秘密』の雰囲気に近いかもしれない。

室長の薪は年齢不詳の美少年フェイスですが、常に冷静沈着な鉄面皮を見せる一方で
時おり感情をあらわにしたり、その行動の底に強い正義感を感じさせるところなど、
『怪奇大作戦』で岸田森が演じた「牧 史郎」と通じる部分も多いです。
新入りの青木は「助さん」こと三沢京助と「ノム」こと野村洋の合成キャラという感じ。
原作で青木の後に配属される天地奈々子は小川さおりを思わせる天然ですが、着任早々
事件に巻き込まれ・・・こう書いてるだけでも辛くなってきました。
3巻巻末収録の『不思議な秘密』でちょっとだけ出ていたのが、また涙を誘います。
(ちなみに4巻はまだ未読。)

このような傑作コミックである『秘密-TOP SECRET-』ですが、これのアニメ化である
「秘密(トップ・シークレット)~The Revelation~」のほうは、どうにもしまらない。
まだ1話のみ放映したばかりだけど、犯罪の動機がいまいち軽いんですよ。
変に猟奇性をアピールするのもイヤだけど、原作の重さがほとんど感じられないような
形だけなぞった作品も見たくないんだよなぁ。
映像面でも明らかに「ブレードランナー」を模倣した部分(写真立てがたくさんあったり、
MRI捜査がESPERシステムそっくりだったり)があって、ちょっとシラけました。
原作を知らなければアニメとして平均点は取れるけど、だったら『秘密』じゃなくても
よかったんじゃないの?と言いたくなっちゃいます。

絵については、これが限度かな~。そもそも清水さんの絵をアニメにするのは不可能だし。
セキトモの薪は声だけ聞いてると、フルメタの相良宗介(1回しか見てないけど)か、
のだめの千秋真一(ただし平静な時)を思い出します。合ってるか合ってないかよりも、
声がセキトモである必然性は感じられなかったなぁ。
声優陣で一番印象的だったのは、冒頭ナレーションの池田秀一だったかも。

とりあえず数回様子を見て、化けなかったら切っちゃおうかな。
ただし貝沼役が若本さんだったりしたら、それだけで見続けちゃうと思いますが(^^;。
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50周年記念Tシャツとかいろいろ出ます

2008年03月23日 | マンガ・コミック
週刊少年サンデーと週刊少年マガジン、毎週水曜日発売のライバル誌同士が、
今年でともに創刊50周年を迎えるそうです。
これを記念して今後さまざまな記念企画が予定されていますが、その一つとして
両誌の歴代人気コミックをデザインしたTシャツが、19日より全国のユニクロで
発売されました。
第一弾としてラインアップされているのは次のとおり。

<サンデー>
名探偵コナン、機動警察パトレイバー、らんま1/2、タッチ、うる星やつら
<マガジン>
巨人の星、魁!!クロマティ高校、はじめの一歩、ゲゲゲの鬼太郎、タイガーマスク

いちおうサンデー読者なので、パトレイバーの黒を1枚買おうと思いましたが
すでに近所のユニクロでは手に入らず。仕方ないので通販で注文しました。
デザインはアルフォンスと野明のイラストに英語のロゴがかぶるデザイン。
普通に着て歩いてもよさそうな感じです。
欲を言えば、黒ならグリフォンをデザインして欲しかったんですけど・・・。
背中のエリ元にはシャフトのロゴをオレンジ色でプリントするとか。

このシリーズ、今後1年に渡って毎週水曜にデザインを追加していくそうです。
ユニクロのTシャツは売り切れると再販されにくいので、気に入った作品は
早めに押さえておくほうがよいでしょう。詳細は公式サイトでご確認を。

ちなみにユニクロでは、ガンダムのTシャツも発売予定。
子供向けにガンダム00、大人向けに初代ガンダムをラインナップするそうですが
初代のほうはガンプラ写真集「GUNDAM PHOTOGRAPHY」の写真を使うそうで、
あまり着たくなりそうなデザインにはならない気がします。
マトモなデザインは自社かコスパ向けということなんでしょうね・・・。

00のほうは無彩色ホワイトバージョンの1/144FGエクシアのプラモが
つくそうですが、放送終了間際のうえにエクシア自体が風前の灯となった今、
この商品がどれだけ売れるのか疑問だらけ。
むしろ刹那のマフラーとかロックオンのベストとかデザインして女性向けに
売ったほうが、形見として喜ばれるかも?
(まだ刹那が最終回で死ぬと決まったわけではありませんが・・・。)
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COMICリュウ発売

2006年09月20日 | マンガ・コミック
徳間書店より新たな月間マンガ誌『COMICリュウ』が創刊。
むかし同名のマンガ雑誌が出ていましたが、今回の新雑誌は
その復活という触れ込みです。
世間で一番の注目はやはり付録の「女立喰師列伝」DVDだと
思われますが、私としては吾妻ひでお、ふくやまけいこ、それに
安永航一郎の新作などが気になったので、とりあえずコンビニで
創刊号を買ってみました。

中澤一登のクールな表紙はカッコいいけど、中にはピンナップすら無し。
この表紙で手に取った人のためにも、もう少し読者への気配りが欲しいです
こういう小さなサービス不足が後で尾を引きそうな不安もありますね。
A4中綴じの版型は原価を安く抑える努力でしょうけど、月刊誌としては
チープに見えるのが辛いところです。このへんは今後工夫が必要かも。

私が読んだ中で面白かったのは、やはり先述した3人の作品。
特に吾妻ひでおの「不条理日記2006」は、SF者には必読でしょう。
イーガンやチャンやシモンズでギャグ描けるという時点で神がかり的。
と言いつつネタの半分以上がわかってないダメSF人の私ですが、
どこかのサイトで解説入れてくれないかと期待してます。
連載陣は前述メンバーのほかに、安彦良和や鶴田謙二、遠藤浩輝などが
参加してますが、みんな連載なのにページ数が少なくて、今のところは
なんとも言えないというのが本音ですかね。
執筆者数は減らしても、もう少し1本を長めに書いてもらいたかった。
週刊誌は飽きられないのが大事だけど、月刊誌は忘れられないことが
一番のポイントだと思うので、ツカミはもっと大事にして欲しいなぁ。

連載陣の軸となるのは原作小説のある「ドリームバスター」と
「ル・ガルー」、これにXENONや次回から始まる銀英伝、
それにケルベロス+立喰師のコミック版ということになりますが
これらがどの程度広くウケるかが勝負どころ。
連載1回目ではどの作品も話が見えないので、今後どこまで
読者を引っ張り続けられるかが気がかりなのですが。
スタッフの情熱はちゃんと伝わってきましたので、今後もなんとか
続いていって欲しいものです。

なぜかSF作家の山田正紀が映画コラムを1ページ持ってますが、
ここで取り上げたのがなんと『時をかける少女』。
いきなりライバル出版社の作品を持ってきたのには大笑い。
少ない紙面ながら大林版との比較で細田版「時かけ」の普遍性に
言及した記事も、なかなか面白かったです。
山田先生、次回はぜひアニメ版の『ゲド戦記』をお願いします。
書いてくれるなら次号も絶対買いますよ(笑)。

付録DVDについては、後日時間のあるときにチェックする予定。
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こんなところに

2005年07月15日 | マンガ・コミック
最近、ギャグの斬れとオタク度がメキメキ上昇中の
サンデー連載作品『ハヤテのごとく!』。
スタート当初はどうなることかと思ってましたが、
キャラが固まったのと主人公に存在感が出てきたこと、
そしてなにより、作者の相当なマニアぶりが明らかに
なってきたことが、作品の注目度を高めている模様。

例えるなら、久米田康治とあずまきよひこの持ち味を
まっとうなラブコメにプラスしたような感じでしょうか。
キャラクターデザインさえうまくいけば、実はアニメ化に
最も向いてそうな作品のひとつでもあります。
どこか名乗りを上げてくれる会社は、いないもんですかねぇ。

で、今週の『ハヤテ』ですが、またまた濃いネタが出てきました。
それが写真の「岡田屋のアンドロメダ焼き」。
下の写真はその包み紙ですが、どう見ても帝国宇宙軍マークです。
なんで「岡田屋」なのかは、よくわかりませんけど。
(もしこの画像でS学缶が著作権とかぬかしたら、逆に笑い者ですな。)

アンドロメダ焼きの本体が出なかったのは、ちょっと残念です。
コメント (2)
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全国紙でFSSネタはちょっと無理だろう

2005年05月23日 | マンガ・コミック
某新聞の書評欄に、歌人の穂村 弘氏のコラムが載っていたのですが
理想の女性像が「戦う女神」だということで、例としてあげていたのが
「峰不二子とか火田七瀬とかアイシャ・コーダンテとか妖鳥シレーヌとかドロンジョ様」
だそうです。
なんか微妙に違う系統のキャラが混ざってる気がするけど、
言いたいことはなんとなくわかります。

しかし他のキャラはともかく、全国紙で「アイシャ・コーダンテ」って
名前を見るとは思わなかった。
『ファイブスター物語』って、さすがにそこまでは一般的じゃないよなぁ。
新聞でこれを読んでわかった人がどの程度いたのか、心配になります。
まあわかった人間なら私のように「うんうん」とうなずいたであろうことは
間違いないだろうけど。
でもこの人についていったら、足手まといどころか「無駄死にする覚悟」が
必要だと思います。
というか、たぶんついていけずに置いてかれるな。

FSSは他にも強烈なヒロインが多いですが、最近ではやはりミースと
クリスティンが突出した印象を与えます。
特に11巻でミースが見せた情念の深さには圧倒されました。
女性としての恋情と科学者の業がひとつになることで、狂気とも思える
壮絶な「実験」を成し遂げてしまった彼女。
その所業の持つ「罪」と、崇高なまでの「意志」のせめぎあいこそ
FSSというシリーズを貫くテーマと直結しているように感じます。

でもいま私が一番お気に入りなのは、アルル・メロディ・フォルティシモ。
ターバン巻きの女性キャラに弱いのかも。
乗騎のエンゲージ・オクターバーSR1も美しいですしね。
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